2022/08/11

🇨🇳角膜びらん

角膜上皮の一部が、外部からの刺激などで傷付いたり、むけたりした状態

角膜びらんとは、黒目に相当する部分の一番上の組織である角膜上皮の一部が、外部からの刺激などで傷付いたり、むけたりした状態。

初期症状は、目の違和感、痛み、白目の充血などとして現れます。涙がたくさん出たり、目やにが出ることもあります。皮膚と違って角膜には血管はないので、出血はしません。

多くは、角膜部分の傷、異物混入、コンタクトレンズの使用による弊害などの外的な要因で起こります。最近は、パソコン作業が多い人にも増えています。パソコン作業では、テレビの画面を見るのと違って、長時間じっと画面を見るため、まばたきの回数が減って眼球を潤し保護する涙が出ないために、目の表面が乾燥し、傷付きやすい状態になるとされます。

また、糖尿病、遺伝性の角膜ジストロフィなどの内的な要因で、誘発される場合もあります。糖尿病の人では普通の人と比べて、角膜上皮がむけやすくなるからです。

進行する疾患ではなく、角膜潰瘍(かいよう)など角膜に関するほかの疾病とは異なり比較的軽症で、後々に視力障害などの後遺症は通常残りません。

しかし、角膜自体がもともとデリケートな人がかかりやすいため、角膜びらんそのものを何度も再発する人も多くいます。再発した際は、朝起きた時に突然起こるケースが多いようです。再発を予防する決定的な方法はありませんが、きちんと一回一回ケアしていれば、過度に心配する必要はありません。徐々に角膜が刺激に対して強くなり、角膜びらんも起こらなくなってくると考えられています。

ただし、再発した際に目に強い刺激を受け、違和感が残ったら眼科を受診して、きちんと対処することが必要です。

角膜びらんの検査と診断と治療

眼科の医師による診断は、通常、単純なびらんの場合は容易です。再発性角膜びらんの場合は、糖尿病や角膜ジストロフィについて血液検査で調べることもあります。

眼科の医師による治療は、症状が非常に軽い場合には、消毒用の点眼をするだけです。少し強い症状を示している場合には、抗菌効果のある眼軟膏(がんなんこう)を塗って眼帯をします。びらんの程度の差や個人差はありますが、角膜上皮の再生能力は高く、早ければ1週間程度で治ります。

再発を繰り返す場合には、基本的には1回ごとの治療方法は変わりませんが、より痛みが強く、刺激に敏感である場合も多いため、再発を防ぐ意味でも保護用のソフトコンタクトレンズを使用する場合もあります。もともとコンタクトで角膜びらんになることもあるのですが、正しく利用すれば角膜を覆うコンタクトレンズは角膜を保護する機能があるといえます。

再発を繰り返す場合には、痛みがなくなっても、最低2カ月は治療を続けることが必要とされます。

予防法としては、日頃から、コンタクトレンズの正しい使い方や、パソコン作業の際のまばたきを意識することです。パソコンで長時間調べ物や資料作成をして、疲れてきた際に目をゴシゴシこするのは禁物で、意識してパチパチとまばたきすることを心掛けるべきです。

🇨🇳角膜ヘルペス

単純ヘルペスウイルスの感染で起こり、再発を繰り返す眼疾

角膜ヘルペスとは、目の角膜表面に樹枝状の潰瘍(かいよう)ができる疾患。再発を繰り返しながら、表層から深層に炎症が進んでいきます。

角膜とは、黒目の表面を覆う透明な無血管組織で、4つの異なった層からなっています。外界の光が目の中に入る入り口となるとともに、目の屈折力の約7割を担うレンズとしての役割も果たしています。三叉(さんさ)神経が多岐に分布し、知覚が非常に鋭敏であるという特徴があり、厚さ約1ミリながら目の中の組織を守るために膠原線維(こうげんせんい)というとても丈夫な線維組織で作られています。

この角膜は、常に外界と接して空気にさらされているために乾燥したり、ほこりが付いたりします。 そこで、まばたきというまぶたの動きによって、常にその表面を涙で湿らして、ほこりを取り除き、細菌やかび、ウイルスなどの侵入を防いでいます。しかし、目にゴミが入ったり、目を強くこすったり、涙の出る量が少なくて角膜が乾燥したりすると、角膜の表面に傷が付いて、傷口から細菌などが侵入し、感染を起こします。

角膜ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスの感染です。ちなみに、単純ヘルペスウイルスは、皮膚の単純疱疹(ほうしん)や、口唇ヘルペス(熱の花)の原因ともなるウイルスです。角膜ヘルペスを発症する時に、単純ヘルペスウイルスが外から感染するのではありません。大部分の人は成人になるまでに、知らない間に感染していますが、あまり発症には至りません。

ほとんどの場合、単純ヘルペスウイルスは感染後、目の奥にあって角膜の知覚をつかさどっている三叉神経節に潜伏感染しています。このいわば眠った状態の単純ヘルペスウイルスがストレスや体調不良、発熱、気温の低下などが引き金となって目覚め、角膜の表面に出てくることによって、角膜ヘルペスが発症します。発症は、30歳代や40歳代で多くみられます。

角膜ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが角膜の表面の上皮で増える上皮型と、単純ヘルペスウイルスが角膜の内部に侵入し、角膜に混濁を生じる実質型に大きく分けられます。

上皮型の症状としては、常に涙が流れ出ている状態となり、まぶしさ、異物感があります。まぶたの裏側から白目の表面を覆っている結膜も、充血してきます。時に痛みを覚えますが、視力の低下は軽度です。眼科医の診断に際して、角膜の上皮を染色すると樹枝状の特徴ある形を見ることができ、これが広がれば地図状の形になることもあります。

実質型では、充血がひどく、角膜が円板状に濁ってしまうため視界がぼやけ、視力がかなり低下します。角膜の深部の感染した細胞を自分自身のリンパ球が攻撃して起こるのが実質型であり、さらに単純ヘルペスウイルスが深部に入ると、ぶどう膜炎を併発し、角膜に穴が空くこともあります。

ほとんどの場合、片目で発生します。また、一度治しても、三叉神経節には単純ヘルペスウイルスが残っており、これがしばらくしてまた角膜に出てくるため、再発を繰り返すという厄介な特徴を持っています。何度も再発すると角膜全体が混濁して、治療しても視力障害を残す危険性があります。目の感染症の中では、一番失明率が高い疾患ですが、近年、角膜ヘルペスに対して非常に効果を発揮する特効薬であるアシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)が開発され、失明率は低下しました。

他の人に伝染することはあまりないものの、単純ヘルペスウイルスに対して抗体を持っていない乳幼児に対しては、注意が必要です。成人の発症者が自分の目を触った手で、乳幼児に感染させる可能性があります。

角膜ヘルペスの検査と診断と治療

角膜ヘルペスは、もともと体に単純ヘルペスウイルスを保有している人がかかり、再発しやすいものです。皮膚に発生するヘルペス感染症と同じく、角膜ヘルペスに対しても、再発するごとに根気強く繰り返し治療していく必要があるといえます。ほうっておくと失明する可能性のある疾患なので、油断は大敵です。少しでも目に違和感があれば、特に一度経験した人は、早めに眼科医を受診します。

眼科医は、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で角膜を観察して診断します。上皮型では樹枝状や地図状の潰瘍、実質型では円板状の混濁が診断に役立ちますが、特徴的な所見を示さない場合も多々あります。その場合は、角膜の悪い部位をこすり取ったり、涙を採取したりして、その中にに単純ヘルペスウイルスがいないかどうかを調べます。

一般には、単純ヘルペスウイルスを分離するのはごく一部の専門の施設でないと行えないため、ウイルスの持っている蛋白(たんぱく)に反応する抗体を用いた蛍光抗体法や、ウイルスのDNAを検出するPCRという方法が使用されています。

また、角膜ヘルペスでは角膜の知覚が低下することが特徴であるため、角膜の表面をナイロン糸などの先で触れて、触れたことがわかるかどうかを検査します。

治療では、単純ヘルペスウイルスに対する特効薬であるアシクロビル(ゾビラックス)、あるいはバラシクロビル(バルトレックス)の眼軟こうの点入、IDUという薬の点眼を繰り返し行い、二次感染防止のために抗生物質の投与を行います。アシクロビル(ゾビラックス)、あるいはバラシクロビル(バルトレックス)を内服薬として使用することもあります。

実質型では、体の免疫反応を抑えないと混濁がよくならないので、副腎(ふくじん)皮質ステロイド系の点眼薬を併用します。角膜全体が混濁して視力障害が著しい時には、角膜移植を行います。

🇨🇳角膜変性

角膜に混濁が生じたり、形状が変化したりする疾患

角膜変性とは、黒目の表面を覆う透明な薄い膜である角膜内に、本来は存在しない脂肪や石灰などの成分が沈着して混濁が生じたり、形状が変化したりする疾患。角膜の表面の上皮だけでなく、その奥の実質にも濁ったり、薄くなったりといった影響が出ます。

進行すれば、視力障害を起こします。混濁の種類によっては、異物感を覚えることもあります。

原因はさまざまで、遺伝性のものから、老化現象によるもの、腎臓(じんぞう)病など全身疾患から生じるもの、緑内障やぶどう膜炎などの合併症として生じるものまで、多岐に渡ります。頻度の高い角膜変性症として、角膜老人環、角膜若年環、角膜ジストロフィー(家族性角膜変性)、帯状角膜混濁、角膜脂肪変性が挙げられます。

角膜老人環は、老人の角膜実質の回りに、幅1~2ミリの輪状の白い混濁ができる疾患。自覚症状はありませんし、白目の表面を覆う薄い膜である結膜の充血もありません。角膜の辺縁部の退行性変性で、輪状の混濁が非常に濃くなることもあるものの、中央部まで進むことはありませんし、潰瘍(かいよう)にもなりません。視力には影響しませんので、そのまま放置します。

角膜若年環は、若い人の目に、角膜老人環と同様の変化がみられるものをいいます。

角膜ジストロフィー(家族性角膜変性)は、青少年に発症し、家族の間に起こることが多い遺伝性の疾患。一般的に、両方の目の角膜表層に灰色の混濁ができ、徐々に進行します。しかし、まぶしさや痛みといった刺激症状や、粘膜の充血などはありませんし、潰瘍にもなりません。

角膜にみられる混濁の形から顆粒(かりゅう)状ジストロフィー、斑(はん)状ジストロフィー、格子状ジストロフィー、膠様滴(こうようてき)状ジストロフィーなどに分類されているほか、日本人ではまれで欧米に多いフックス角膜内皮ジストロフィーもあります。疾患の原因として、代謝の異常が関与していることがわかっており、多くのタイプのジストロフィーでは原因となる遺伝子が特定されています。

帯状角膜混濁は、緑内障やぶどう膜炎に合併する表在性混濁で、灰白色で微細な斑点の集まりからなり、角膜のほぼ中央を横断して帯状の混濁を生じる疾患。結膜の充血、まぶしさや痛みといった刺激症状、炎症症状はほとんどありません。

角膜脂肪変性は、灰色の斑点状の混濁ができて徐々に進行し、角膜の縁を除いてほぼ全面に広がる疾患。視力は著しく減退し、多くは両目に起こります。原因は不明。

角膜変性の検査と診断と治療

角膜変性には、いくつかのタイプがあり、その状態によっても治療方法は異なります。角膜老人環、角膜若年環に対しては、治療の必要はありません。そのほかの角膜変性で視力障害のある時は、角膜の表面を削ったり、角膜移植を行います。

角膜の表層部分までの混濁であれば、メスを使って混濁を除去するか、エキシマレーザーを使って紫外線を角膜に当てることにより、混濁を除去します。従来からのメスを使って行う手術よりも、エキシマレーザーを使う手術は精密に行えるため、良好な結果が期待できます。このエキシマレーザーは、近視矯正手術でも使われているものです。

角膜の深部まで混濁が起こっている場合には、角膜移植手術が行われます。この手術では、濁った角膜を円形にくり抜いて除去し、アイバンクに登録された透明な角膜を移植し、特殊なナイロン糸で縫い付けます。 角膜以外に目の病気がなく、拒絶反応の少ない角膜変性であれば、移植後に1.0以上の視力が得られることも珍しくはありません。

角膜ジストロフィー(家族性角膜変性)でのエキシマレーザーや角膜移植の成績は、一般に良好なものの、原因が内因性であるため再発してくる可能性があります。タイプによっては、何年かたつうちに移植した角膜にも同じ症状が起こってくることがあります。

🇧🇹隠れ脳梗塞

梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞

隠れ脳梗塞(こうそく)とは、梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞。無症候性脳梗塞、微小脳梗塞とも呼ばれます。

自覚症状は全くないけれど、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像診断の普及に伴って、脳の病変が見付かることが多くなっています。高齢者に多く、脳ドック受診者のうち、50歳代は約1割、60歳代は約2割、70歳代は約3割の人に、隠れ脳梗塞が見付かっています。

その約80パーセントは、ラクナ梗塞と呼ばれるタイプの脳梗塞です。ラクナ梗塞は通常、高血圧による動脈硬化が原因となって、脳の深部にある0・4ミリ以下の極めて細い血管である穿通枝(せんつうし)動脈が狭くなり、この部位に血の固まりである血栓が形成されて、最終的に血管が閉塞して生じるとされています。

極めて細い血管の閉塞により生じる脳梗塞なので、病変の大きさは直径15ミリ以下です。直径15ミリを超える梗塞は、ラクナ梗塞とはいいません。

血管の閉塞のほかに、不整脈や心臓の疾患で心臓内で血栓が形成され、この血栓が流れて飛んで、脳の深部の極めて細い血管を閉塞させることもあります。血管の閉塞により、脳の組織の一部が壊死して脱落し空洞を残します。

ラクナ梗塞の場合は、小さな梗塞であるため、脳梗塞の中では最も症状が軽症です。ほかの種類の脳梗塞であるアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓と違い、大きな発作が起こることはありません。

その症状はラクナ症候群といい、運動まひ、しびれなどの感覚障害が主に起こります。そして、症状は段階的に現れて、少しずつ進行していきます。ラクナ梗塞が発症することが多いのは、安静時で、特に睡眠中です。朝起きた時にも、起こることが多くみられます。

また、ラクナ梗塞では梗塞する部分が極めて小さいので、症状が出ないことがあります。これが隠れ脳梗塞で、運動障害や感覚障害などの自覚症状を全く感じないまま、小さな脳梗塞が起こります。高齢者に多くみられ、高血圧、高脂血症、糖尿病などがあると発症する確率が高くなります。

ほとんどが直径15ミリ以下の小さな梗塞ですが、そのまま隠れ脳梗塞を放置しておくと、梗塞の数が増えたり、梗塞が脳のいろいろなところに発生して、多発性脳梗塞になります。多発性脳梗塞になると、手足や顔面のしびれ、軽いまひ、言語障害、歩行障害、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害などの症状がみられます。また、認知症の原因となることもあります。

多発性脳梗塞の一番の危険要因は、高血圧です。高血圧は、血管の内側の壁に強い圧力を加えます。そのために、血管の内側の壁が傷付いて、どんどん硬くもろくなり、動脈硬化が発症します。動脈硬化が起こると、血管の血液が通る部分が狭くなり、血流が途絶えて脳梗塞になる危険が増すのです。

隠れ脳梗塞の検査と診断と治療

脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)で脳血管の様子を調べるほか、超音波検査で首を通る頸(けい)動脈が動脈硬化を起こして狭くなっていないかどうかを調べます。頸動脈で血栓ができて脳に流れると、脳血管が詰まる恐れがあるためです。

脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による治療では、血管が狭くなっていれば、血液を固まりにくくするアスピリン、塩酸チクロピジン、シロスタゾールなどの抗血小板剤を使用します。

脳血管がこれ以上詰まらないようにするには、血圧の管理が大切です。塩分を控え、過カロリー、脂質過多の食生活を見直して、魚や植物性蛋白(たんぱく)質中心の日本食を取り入れるなど食生活に気を配り、50歳代であれば、上は130未満、下は80未満を目標にします。毎日30分程度歩くこともお勧め。水分はしっかり補給し、節酒や禁煙も必要です。

適正な血圧は、年齢や心臓病や糖尿病の有無、コレステロール値などによって変わってきます。掛かり付け医を持ち、指導を受けるといいでしょう。

また、隠れ脳梗塞のある人は、ない人に比べて約4倍脳梗塞になりやすいことがわかっています。脳梗塞を発症すると、突然、片側の手足や顔半分のまひやしびれ、言語障害などの症状が出現します。

発症時には119で救急車を呼び、専門的治療のできる病院に発症から2時間以内に搬送してもらうことが重要です。t-PAという薬剤を静脈内に点滴して、血管に詰まった血栓を溶かす治療を受けると、後遺症が残らない人が1・5倍に増えますが、発症から2時間以内の病院到着が必須条件だからです。

ラクナ梗塞が進行した多発性脳梗塞で起こりやすい認知症には、根本的な治療はありません。デイケア、デイサービスへの通所や、家族の協力のもとでの散歩や、食事、テレビ、清掃、おやつ、会話など、生活習慣を規則正しく続けることで、脳を活性化させ、症状が改善したり、進行が遅れたりということがあります。

🇧🇹隠れ肥満

隠れ肥満とは、身長と体重から求める体格指数BMIが肥満とされる25未満で太って見えないにもかかわらず、体脂肪が多い状態。体脂肪率が25パーセント以上の男性、同じく30パーセント以上の女性が相当します。

運動せずに、食事制限だけでダイエットをした場合に多くみられます。食事を制限して炭水化物を減らしすぎると、体は不足するエネルギーを筋肉中の蛋白(たんぱく)質から作り、筋肉が減って脂肪は残るため、体重が減っても体脂肪率が多い隠れ肥満を招きます。

自分は太っていると自覚している場合と違って、見た目はやせているから肥満じゃないと思っていて、体脂肪率が多い人も要注意です。ダイエット後のリバウンドを繰り返して脂肪が増えている人や、昔から体重が変わらなくても腹が出てきたり、腕の下の部分がたるんできたり、体形が崩れてきた人も要注意。

隠れ肥満の解消には、単に食事制限だけでなく、ウオーキングや水泳などの有酸素運動を同時に行う必要があります。

🇧🇹鵞口瘡

カンジダ菌の感染で、口の粘膜が白い苔状物で覆われる疾患

鵞口瘡(がこうそう)とは、口腔(こうくう)内に常在するカンジダ菌という真菌によって、主として斑点(はんてん)状の白い苔(こけ)のようなものが生じる疾患。口腔カンジダ症、急性偽膜性カンジダ症とも呼ばれます。

乳幼児や老人に多い疾患ですが、生後間もない健康な乳児にみられるものは、放置しておいても自然に消えます。成人がかかることもあります。

原因は真菌(かび)の一種のカンジダ菌の感染で、カンジダ・アルビカンスが圧倒的に多い原因菌となり、カンジダ・トロピカーリス、カンジダ・パラプシローシスなどが原因菌となることもあります。誘因としては全身の衰弱、抗生物質の長期連用、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)、免疫抑制剤、抗がん剤などの使用、がんの放射線治療、ビタミン欠乏、全身疾患による免疫機能の低下が挙げられます。

カンジダ菌は酵母菌(イースト)の一種で、元来、人間の口腔粘膜や腸管の中に住んでいます。誘因があってたまたま増殖すると、鵞口瘡や皮膚カンジダ症になるのですが、このカンジダ菌は水虫などを起こす白癬菌とは異なって、体の内部に侵入する力があります。そのため、免疫機能の低下がある時には、全身に増殖して、重篤な疾患になることがあります。

鵞口瘡の最初は、口腔粘膜、舌、歯肉が赤くはれ、表面が白い斑点状の苔状物の膜で覆われます。この苔状物の膜は軟らかくて、こするとすぐはがれ、はがれたところは赤くただれます。普通、痛みは軽度ですが、舌のズキズキする痛み、違和感、味覚異常を伴うこともあります。熱などの全身症状は、ほとんどありません。

適切な処置をすれば、比較的早くよくなりますが、まれには進行して咽頭(いんとう)から食道、肺に広がって、カンジダ性肺炎を生じることもあります

鵞口瘡の検査と診断と治療

鵞口瘡(口腔カンジダ症)が味覚異常の原因になっていることもありますので、口の中を清潔に保ち、消毒力のあるうがい薬を使ってみます。それで舌などの口腔内の違和感が治らない場合、また全身状態が悪い場合には、食道や肺に広がることがあるので、口腔外科や内科などで治療を受けます。

医師は病状から診断しますが、カンジダ菌が証明されれば確定します。証明のためには、KOH検査(皮膚真菌検査)と培養検査が行われます。KOH検査では、綿棒で皮膚の表面をこすり、それを水酸化カリウム溶液で溶かして、顕微鏡で観察します。5分もあれば結果が出ますが、カンジダ菌の種類の特定までは困難です。培養検査では、クロモアガー・カンジダ培地などで培養します。検査に時間がかかりますが、菌の種類を特定できます。

治療においては、抗真菌剤の外用が主体で、殺菌性消毒剤による口すすぎも有効です。外用剤では、イミダゾール系のものが抗菌域が広く、カンジダ菌に対しても有効性が高く、第一選択薬といえます。ネチコナゾール(アトラント)、ケトコナゾール(ニゾラール)、ラノコナゾール(アスタット)などの新しい薬は、抗菌力が強化されています。基剤としては、軟こう剤、クリーム剤、液剤、ゲル剤があります。鵞口瘡ではただれの症状を示すことが多いので、刺激が少ないクリーム剤か軟こう剤が無難です。

なお、抗真菌剤の外用剤は近年、たくさんの新しい薬剤が開発されかなり有効ですが、中には白癬菌にだけ効き、カンジダ菌には効きにくい薬剤もありますので、注意が必要です。

症状が強い場合には、抗真菌剤の内服を行います。内服剤では、トリアゾール系のイトラコナゾール(イトリゾール)が、抗菌域が幅広く、第一選択薬です。副作用は比較的少ないのですが、血液検査は必要で、併用に注意する薬剤があります。特殊な内服剤として、鵞口瘡・食道カンジダ症用で、ほとんど吸収されないミコナゾール(フロリード)ゲルがあります。1日1〜2本を4回に分けて内服しますが、鵞口瘡では病変部に塗るだけでも有効です。

🇳🇵過呼吸症候群

●不安、興奮、緊張などが引き金に

過呼吸症候群とは、ストレスなどが原因となって呼吸過多になり、頭痛やめまい、手の指先や口の回りのしびれ、呼吸困難、失神といった、さまざまな症状を起こすものです。

呼吸が速く浅くなって、空気を吸い込みすぎる状態に陥り、血液中の二酸化炭素が少なくなるために起こるものです。

傾向として、男性よりも女性、しかも若い世代に多く見られ、呼吸をしているのに空気が吸い込めないと感じて、「このまま死ぬのでは…」といった恐怖に駆られますが、これが命にかかわることはありません。

発作のきっかけは、心に抱えている不安や興奮、緊張、恐怖といったもので、これらが自律神経や呼吸中枢に影響します。時には、肉体的な疲労から起こることもあります。

「呼吸が苦しい」と感じてしまうと、その不安感から余計に「呼吸をしよう、呼吸をしよう」とすることが、さらに症状を重くするといった悪循環をもたらします。

●発作とうまく付き合う方法

発作が起きた時は、紙袋を口にあてがい、袋の中で呼吸を行なう「ペーパーバッグ法」が有効です。血液中の二酸化炭素を増やすことができ、発作は次第に治まります。

発作を何度も経験した人なら、どんなことがきっかけになって、どんなふうに治まるかが自分でわかってきます。

例えば、ペーパーバッグ法を行いながら好きな音楽を聴くとか、常に精神安定剤を持ち歩いて心に余裕を持つとか、自分なりの方法が見付けられるはずです。

一度うまく対処できれば、それが自信につながり、徐々に発作も軽くなっていきます。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...