2022/08/11

🇸🇦過換気症候群

過換気症候群とは、過呼吸が起こり、そのために血液中の炭酸ガスが不足して酸素が過剰となり、血液がアルカリ性に傾いてしまうために出現する症状です。息が苦しくなり、めまいやしびれを来し、動悸、腹痛、下痢なども起きます。ひどい時には、失神することもあります。

別名は過呼吸症候群。心療内科で治療を行う心身症の中で、ノイローゼに属さないで、心理的なものが原因となっている身体疾患の一つに挙げられています。

女性に多くみられる病気で、しかも若い年齢層に多いのも特徴となっています。性格的に未熟で、情緒不安定な人に、激しい感情の動きがきっかけとなって起こることが多いようです。

過呼吸発作が起こった際には、息苦しくて今にも死にそうでも、しばらく安静にしているか、鼻と口に紙袋かビニール袋を当てて、吐いた息を吸えば発作は鎮まります。吐いた呼気を吸うことによって、血液中の成分を中和させることになるからです。

繰り返し発作を起こすような人は、その背景に潜んでいる心の問題を解決する必要があります。過換気症候群の症状は、不安や悩みなどの心理的なものが原因とされるからです。

しかし、同じ息苦しさでも、肺の機能不全などによって起こる過呼吸症候群などもあります。肺機能が低下したケースでは、呼吸ができずに酸素が不足するため、極めて危険で死亡する場合もあり、酸素吸入などの処置を行う必要があります。

息苦しさが過換気症候群なのか、あるいは肺機能の低下によるものかは、動脈血を採取し、血液中の酸素と炭酸ガスの量を測定した結果により判断されます。

🇵🇰核黄疸

新生児の血液中の間接型ビリルビンが異常に増え、脳の神経細胞にたまって脳性まひなどの後遺症を残す疾患

核黄疸(かくおうだん)とは、新生児期に黄疸が出現し、血液中の間接型ビリルビン(胆汁色素)の上昇によって脳の神経細胞に蓄積、黄染していろいろな神経症状を来す疾患。ビリルビン脳症とも呼ばれます。

血液と脳の間には血液脳関門と呼ばれる組織があり、血液中の物質を簡単には脳に通さない仕組みになっています。元気な新生児であれば、生後1週間ほどたつと血液脳関門が働いて、血液中のビリルビンが脳へ移行しなくなります。しかし、低出生体重児(未熟児)、低酸素状態、低血糖などが存在すると、血液脳関門の機能が働かないためにビリルビンが脳の大脳基底核という神経細胞に移行し、核黄疸になりやすくなります。

核黄疸の発症2〜3日の第1期には、重症の黄疸症状のほかに、元気がなくなる、筋緊張が低下する、ほ乳力が低下する、1日中うとうとしているなどの症状がみられます。

次いで、発症約3日〜1週間の第2期には、筋緊張が高進する、後弓反張(こうきゅうはんちょう)という頭を後ろに反らした全身硬直を起こす、発熱する、甲高い泣き声を上げる、けいれんを起こすなどの症状をを示します。

発症1週間以降の第3期には、筋緊張の高進は弱まり、あるいは消えていきます。この時期に死亡したり、生存しても脳性まひ、知的障害、難聴などの後遺症を残し、永続的に続きます。

早発黄疸を見付けた場合、早急に診断、治療ができる医療機関を受診することが大切です。

核黄疸の検査と診断と治療

小児科の医師による診断では、黄疸の症状があり、血液中の間接型ビリルビン値が高い場合に、核黄疸を疑います。

ビリルビンの脳神経系への影響を調べるために、聴性脳幹反応という聴力検査や、頭部のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うこともあります。

小児科の医師による治療では、光線療法、交換輸血を行い、高ビリルビン血症の治療に努めます。

光線療法は、新生児を裸にして強い光を照射することで、ビリルビンをサイクロビリルビンに化学変化させる治療法です。サイクロビリルビンは尿によって排出されるため、体の中のビリルビンは速やかに減少します。強い光線による視神経の障害を避けるため、眼帯で遮光する必要がありますが、光線治療は長時間受けても副作用はみられず、脳性まひを引き起こす核黄疸に対して非常に有効な治療法です。

光線療法でビリルビン値が下がらない場合には、交換輸血を行います。新生児自身の血液をゆっくり取り出しながら、見合う量を輸血する治療法で、新生児自身の約85パーセントの血液が交換されます。輸血による感染症などのリスクが全くないわけではありませんが、核黄疸による後遺症を防ぐためには必要な治療です。

脳性まひに至った場合は、早期診断し、リハビリを早期に開始します。

🇲🇴顎下腺唾石症

唾液腺の一つである顎下腺にできる結石の存在によって、種々の症状が発生する疾患

顎下腺唾石(がくかせんだせき)症とは、唾液を分泌する腺の1つである顎下腺に、唾液中の石灰分が沈着して石ができてくる疾患。この唾石の存在によって、種々の症状を生じます。

唾液は、唾液を分泌する腺を構成する無数の腺房というところで作られます。腺房で作られた唾液は管を通じて集まり、最終的には1本の排出管に集まり、口の中に出てきます。

その唾液を分泌する腺には顎下腺のほか、耳下腺、舌下腺、小唾液腺などがあり、これらの唾液腺の内部にも唾石はできますが、多くは顎下腺の排出管にみられます。顎下腺の内部、耳下腺の内部、耳下腺の排出管、舌下腺の排出管の順に少なくなります。舌下腺に生じることはまれで、小唾液腺に発生することはほとんどありません。

明らかな原因は不明ですが、排出管の炎症や、何らかの原因による唾液の停滞、唾液の性状などによると見なされています。治療のため摘出した結石を割ってみると、炭酸石灰やリン酸石灰などを主成分とする石灰分が年輪のように見えます。結石のでき初めは当然小さいのですが、自然に排出されないと次第に大きくなっていきます。

1本しかない排出管に結石があると、唾液の通過障害が起こります。食事をすると、唾液腺は唾液を作って口の中に出そうとしますが、途中の結石のために唾液が口の中に出ることができず、唾液腺内にたまり、腺そのものが痛みを伴ってはれてきます。酸味の強い物を食べた時などは、特に症状が強く出ます。

ほとんどの唾石は顎下腺の排出管、顎下腺の内部に生じますが、これらの唾石では左右どちらかの顎(あご)の下がはれます。耳下腺の内部、耳下腺の排出管に生じると、耳の前から下のほうが痛みを伴ってはれます。はれは、食事後しばらくするとだんだん取れてきますが、次の食事をすると再びはれるということを繰り返します。

この症状は結石の大きさに比例しないことが多く、ごく小さなものでも管の出口をふさぐと強い症状が出ます。また、食事ごとの症状はある時期にひどく出ても、一時的に出なくなることもあります。

長期に渡って唾石が存在したり、結石が次第に大きくなると、腺そのものの機能が低下し、唾液の分泌が少なくなります。この状態になると、口の中から細菌が管を通じて入っていき感染を生じると、唾液腺が痛みを伴ってはれ、排出管付近の粘膜が赤くはれて、開口部からはうみが出ます。

無症状のまま偶然発見されるケースもありますが、顎下腺唾石症など唾石症の症状が認められる際は耳鼻咽喉(いんこう)科を受診するようにします。

顎下腺唾石症の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、典型的な症状があれば、口の中の視診や触診により確定診断が可能です。唾石は通常1個ですが、時には多発していることもあります。炎症が合併すると診断が困難なこともあるものの、X線写真、特に造影剤を注入する造影CT(コンピューター断層撮影)検査による唾液腺造影像では確実に診断されます。

小さな唾石は自然に排出されることもありますが、大きくなって排出管をふさぐようになると症状が強くなるので、医師による手術で唾石を取り出す必要があります。排出管でも出口に近い部位にできたものでは、口の中で排出管を切り開いて唾石だけを摘出することにより容易に治療できます。この手術では、まれに摘出部に粘液嚢胞(のうほう)ができたり、唾石が再発したりすることがあります。

唾液腺に近い部位や、唾液腺の内部にできたものでは、頸部(けいぶ)を切開して唾液腺ごと唾石を摘出する必要のある場合がありますが、顎下腺唾石症などの唾石症が再発することはありません。

🇸🇦顎関節症

顎関節などの周辺に何らかの異常がある疾患の総称

顎(がく)関節症とは、顎関節や咀嚼(そしゃく)筋などの周辺に、何らかの異常がある疾患の総称。

あごを動かす時に痛みがあること、関節の雑音があること、スムーズに口が開かない開口障害や、側方への運動異常があることを主な症状とします。炎症症状もなく、下あごを安静にしていれば全く異常感はありません。

原因としては、歯のかみ合わせの異常によるものや、利きあごのみで物をかむなど咀嚼(そしゃく)の偏り、歯ぎしりや食いしばりの習癖、大あくびや打撲などの外傷、疲労を蓄積させる生活習慣、精神的ストレス、関節の間にあるクッション役の関節円板の位置異常などいろいろあり、どうして起こるのか不明な点が多い疾患です。

症状は、関節の痛み、関節の雑音、開口障害や運動異常という3症状のほかに、頭痛や顔面痛などの関連痛、首、肩の凝り、耳の痛み、耳閉感、耳鳴り、難聴、めまい、眼精疲労といった目や耳の症状などがみられることもあります。多くの場合、これらの症状は複合します。

子供から高齢者まで幅広く発生しますが、10歳代半ばから増え始め20〜30歳代がピークで、女性に好発する傾向があります。最近では、若年者の発症が増加しています。

女性に後発する理由はよくわかっていないものの、女性のほうが筋肉の緊張やストレスに対して感受性が高く痛みに敏感、男性よりも骨格や靱帯(じんたい)が弱い、女性ホルモンに関係があるなどの説があります。若年者の発症の増加は、最近の柔らかい食べ物の多い食生活から、かむ力が弱くなり、あごの筋肉が衰えているのが、その理由ではないかといわれています。

顎関節症と思い当たる症状がある場合には、歯科または口腔(こうくう)外科の医師を受診します。

顎関節症の検査と診断と治療

顎関節症の場合、歯科、あるいは口腔外科での治療が一般的。あごだけでなく、耳や顔に痛みが出るので耳鼻科や整形外科などにかかったとしても、顎関節症の疑いがある場合は歯科、口腔外科の受診を勧めてくれます。全国の歯科大学・歯学部の附属大学病院の多くは、顎関節専門の診療科、専門外来などを開設し専門的治療を行っています。

医師による診断では、症状にもよりますが、歯のかみ合わせ状態、顎関節X線写真、顎関節内の内視鏡検査、MRI、CTなどの画像診断を行います。それとともに血液検査や生化学検査、心理検査などによって、ほかの炎症性の疾患との区別と、原因の究明が行われます。

治療は、原因に対する治療と対症療法を行います。消炎剤、鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤、精神安定剤などの服用のほか、咀嚼筋のマッサージやストレッチ、スプリントという入れ歯のような器具の装着、関節円板の整位で、歯のかみ合わせの改善を図ります。歯のかみ合わせが悪いからといって、歯を削ったり、冠を被せて調整するなどの非可逆的治療は、避けるのが原則です。

非外科的治療で改善しない顎関節の痛みには、関節内の炎症性物質を洗い流す顎関節洗浄療法が適用されます。これでも改善しない場合には、変形した骨や関節円板を整形する顎関節開放形成術の適用が検討されます。

🇦🇪顎骨腫瘍

上あごや下あごの骨の中にできる腫瘍

顎骨腫瘍(がくこつしゅよう)とは、上あごの上顎骨や、下あごの下顎骨の中にできる腫瘍。

良性のものと悪性のものとがありますが、悪性腫瘍はあまり多くありません。 良性腫瘍は再発が少なく転移もしないため、生命に影響を及ぼすことはほとんどありません。まれに、悪性化する場合もあります。悪性腫瘍であるがんは、生命に関わる重大な疾患であり、再発や転移の可能性があります。首のリンパ節や肺などに転移を起こすこともあります。

顎骨に発生する良性腫瘍には、歯に関連する組織が原因となる歯原性腫瘍と、歯に関連する組織が原因とならない非歯原性腫瘍があります。歯原性腫瘍には、エナメル上皮腫、角化嚢胞(のうほう)性歯原性腫瘍、歯牙(しが)腫、セメント質腫などがあります。

人の歯は、胎児期の口の中の歯胚(しはい)というものから作られます。この歯胚からエナメル質、象牙(ぞうげ)質ができた後は、本来、歯胚は委縮してしまうのですが、これが残って腫瘍ができるのが、歯原性腫瘍です。

歯に関連する組織が原因とならない非歯原性腫瘍には、化骨性線維腫、血管腫、線維性骨異形成などがあり、主に周囲の軟組織に生じます。

顎骨に発生する悪性腫瘍には、周囲の軟組織から発生した歯肉がんなどが顎骨に浸潤するものと、骨肉腫のように顎骨中心性に発生するものとがあります。歯肉がんは、下顎に3分の2がみられ、また臼歯(きゅうし)部に好発します。男性に多く、50歳以上の中高年齢者に多く発症します。骨肉種も、下顎骨に多くみられ、20〜30歳代に多く発症します。10歳代に発生することもあります。

顎骨に発生する良性腫瘍は、骨の中でゆっくりと大きくなるものが多く、口の中に腫瘍が顔を出すことはあまりありません。代わりに、歯茎がはれたり、顔がはれたりします。痛みや出血などの症状はほとんどなく、歯科治療の際に撮影されたX線写真によって、偶然発見されるケースが多くなっています。

歯肉がんでは、歯茎の炎症と同じような症状で始まり、歯の痛み、歯茎のはれなどを自覚します。進行すると、凸凹したこぶ状のしこりとなって、表面に潰瘍(かいよう)ができ、 悪臭や神経痛のような痛みが出たり、出血することもあります。さらに進行すると、歯肉のすぐ下にある下顎骨や上顎骨へとがんが広がっていき、これを破壊します。そのために、歯が緩んだり、抜け落ちたりすることがあります。

骨肉種では、発育が非常に速く、あごの運動障害、歯の緩みや抜け落ち、あごの神経まひなどを起こします。

顎骨腫瘍の検査と診断と治療

疑わしい病変に気付いたら、直ちに口腔(こうくう)外科などの専門医を受診し、検査や治療を受けます。日ごろから歯磨き時の異常出血などに気を付けておけば、早期発見につながります。

医師による診断では、口腔内を視診し、腫瘍の状態を確かめます。大きさや固さ、深さなどを調べるため、直接指で腫瘍に触れ、同時に首のリンパ節の状態も触診します。初診時の腫瘍の状態を記録するために口腔内外の写真を撮影し、腫瘍に近接する歯の検査を行うこともあります。さらに、CT検査、MRI検査、超音波検査を行い、腫瘍の正確な位置や大きさ、首のリンパ節転移の有無などの情報を得ます。

確定診断をするには、腫瘍の一部を採取して顕微鏡下で調べる生検という検査が必要になります。何らかの理由で生検が行いにくい場合は、細い針で腫瘍細胞を吸引して検査をする吸引細胞診という検査を行うこともあります。

治療法は、良性腫瘍と悪性腫瘍であるがんとでは違ってきます。

良性の顎骨腫瘍の場合は原則として、手術で病変だけを全部取り去れば治ります。しかし、腫瘍の周りの骨に入り込んでいるものがあり、きちんと取り去るためには、周囲の骨や歯をある程度含めて切り取らなければなりません。取る骨の大きさによっては、骨の移植が必要となります。

良性の腫瘍では症状が少ない場合が多いので、突然手術を勧められて驚くかもしれませんが、放射線や抗がん剤の治療よりも手術が最良の治療法ですので、手術を受けることが賢明です。

顎骨に発生した悪性腫瘍の場合は、他領域での悪性腫瘍と同様、手術療法、放射線療法、化学療法およびそれらの併用療法が用いられる。歯肉がんの場合、初期では手術療法が中心となりますが、機能温存の点から組織内照射という特殊な放射線治療を行う医療機関もあります。 また、進行したものでは、それぞれの治療法を組み合わせた集学的治療法が行われます。

骨肉腫の場合、手術で原発腫瘍を切除するだけでは不十分で、目に見えない微少転移を防ぐことが重要です。このため、化学療法と手術療法の組み合わせが標準治療となります。

🇲🇴拡張型心筋症

心筋の細胞が変質して、心室の壁が薄く伸び、心臓全体が拡張する疾患

拡張型心筋症とは、心臓の筋肉組織である心筋の細胞の性質が変わり、正常な心臓と比べて心筋が薄く伸び心臓全体が拡張する疾患。

その結果、とりわけ血液を全身に送り出している左心室の壁が薄く伸びて、心筋の収縮機能が低下し、十分な血液を全身に送れなくなります。十分な血液を送れなくなると、それを補うため心臓は容積を大きくして、1回の収縮で送り出す血液の量を増やそうとします。

しかし、この状態が長く続くと、心臓の中に血液が滞って心臓はさらに拡張し、心筋もさらに引き伸ばされて薄くなっていきます。これによって、心臓にかかる負担はむしろ大きくなってしまう悪循環を招きます。

心臓の収縮機能が低下して全身に十分な血液がゆき渡らなくなると、脳から心臓に強く働くよう指令が出る一方、腎臓(じんぞう)では尿として排出される量が減り、そのぶん、体内の水分(体液)の量が増え、心臓にかかる負担はさらに増えます。

この悪循環が心不全といわれる状態で、拡張型心筋症の人は心不全の発症をいかに抑制するか、心不全になった場合はどのようにして悪循環から脱出するかが重要になります。

発症するのは60歳前後の人が多いという報告もありますが、10歳以下の子供から高齢者まで幅広い年齢層に発症します。また、男女比を見ると、2・6:1と男性に多い傾向がみられます。

遺伝子やウイルス感染、免疫反応などが拡張型心筋症の原因と考えられ、一部は原因がわかるようになってきましたが、多くは不明のままです。原因がわからない拡張型心筋症は、厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されているため、医療費の自己負担分が公費で支払われる場合があります。

最初のうちは自覚症状がないことも多く、なかなか疾患に気が付かない人もいます。しかし、心不全が重くなると症状が現れてきます。

初期には疲れやすくなったり、運動時や坂道・階段の昇降時などに動悸(どうき)や息切れを感じたりという症状が現れ、ひどくなると安静時にも症状がみられるようになり、夜間発作性呼吸困難が出てくることもあります。夜間発作性呼吸困難とは、夜、眠りについて数時間たったころに突然起こる強い呼吸困難のことです。横になったことで下半身の血液がより多く心臓へ流れ込み、肺全体が血液で満たされ、肺がうまく酸素を取り入れられなくなって起こります。

もっと重症になると、不整脈が起こったり、全身にむくみが出たり、肝臓がはれたり、むくみにより体重が増加したり、胃腸粘膜のむくみにより食欲が低下したりします。また、全身への血液供給の低下により、全身倦怠(けんたい)感、手足の冷感、日中の尿量や尿の回数の減少などが起こります。

脈が通常よりも早くなる心室頻拍や、心筋の収縮が失われてけいれんする心室細動といった危険な不整脈が起こると、突然死する場合もあります。

拡張型心筋症の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状、身体所見や、胸部X線検査、心電図検査、心臓超音波検査(心エコー)、冠動脈造形などの各種検査の所見により判断します。

そのほか、詳細な心臓の画像を作成できるMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、心臓の機能の詳しい情報がわかる心臓カテーテル検査、心筋生検による組織検査を行うこともあります。

診断の基本は、心不全の重症度、その原因となる心室拡大と左心室の収縮機能低下の程度を評価することにあります。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では一般的に、長期間にわたる安静と減塩食、水分摂取制限が必要です。

心筋の収縮機能の低下に対しては通常、強心薬のジギタリス、利尿剤、降圧剤の一種のACE阻害剤の3つを使用し、症例によってはβ(ベータ)遮断剤が有効なこともあります。

すべての薬剤が無効な場合には、心臓移植が検討されます。

拡張型心筋症で多く出現する頻拍性不整脈に対しては、抗不整脈薬を使用します。しかしながら、心筋の収縮機能の低下している拡張型心筋症では、抗不整脈薬の使用で、さらに収縮力を低下させることは不利であるため、使用には十分な注意が必要です。

突然死のリスクが高い場合は、植え込み型除細動器による治療を行うこともあります。

また、拡張型心筋症を発症した場合、医療機関での治療のほかに日常の生活習慣を改善することも重要です。適度な運動、禁煙や節酒、ストレスの管理、体重の管理などが必要となります。

🇲🇴拡張期血圧

拡張期血圧とは、心臓が拡張して戻ってきた血液をため込んでいる際に、血管壁にかかる圧力(血圧)のことです。最低血圧、最小血圧とも呼びます。

逆に、心臓が収縮して全身に血液を送り出している際に、血管壁にかかる圧力(血圧)を収縮期血圧といい、最高血圧、最大血圧とも呼びます。

日本高血圧学会では、拡張期血圧の基準値(正常血圧)を85mmHg、理想的な血圧を80mmHgと設定しています。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...