2022/08/11

🇦🇫化膿性耳下腺炎

細菌感染によって引き起こされ、耳の下にある耳下腺が痛みを伴って赤くはれる疾患

化膿性耳下腺炎(かのうせいじかせんえん)とは、細菌感染によって引き起こされ、唾液(だえき)腺の一つで、耳の下にある耳下腺が痛みを伴って赤くはれる疾患。

おたふく風邪とも呼ばれる流行性耳下腺炎や、耳下腺が繰り返しはれる反復性耳下腺炎では、痛みやはれはあっても、赤くはれてくることはありません。

化膿性耳下腺炎は、急性の化膿症であり、唾液が出る部位の唾液腺導管から、口の中の細菌が耳下腺の中に入り込んで、炎症が起こります。さらに、耳下腺の周囲にも炎症が拡大します。原因となる細菌で多いのは、黄色ブドウ球菌、溶連菌、肺炎球菌。

普通、片方の耳下腺がはれ、側頭部から顔面部のうずくような痛み、発熱、頭痛などが生じます。耳下腺部の皮膚は赤くなり、熱感があり、押さえると痛みます。

赤くはれた耳下腺部の皮膚を圧迫すると、口の中の耳下腺の開口部である唾液腺導管から膿(うみ)が出てくることがあります。はれがひどくなると、耳下腺部に波が打つような波動感が出てきて、膿が耳下腺全体にたまってきたことがわかるようになります。

初期段階での症状は、流行性耳下腺炎と見分けがつかないことがあります。ウイルスが原因の流行性耳下腺炎と違って、化膿性耳下腺炎は周囲に感染拡大しませんが、細菌が原因なので免疫はできずに、繰り返し発症する可能性があります。

放置しておかずに耳鼻咽喉(いんこう)科、ないし内科、小児科を受診することが勧められます。

化膿性耳下腺炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科、内科、小児科の医師による診断では、視診や触診で、耳下腺のはれ、口の中の炎症など特有の症状がないか確認し、初期段階で症状が似ている流行性耳下腺炎と識別します。

耳鼻咽喉科、内科、小児科の医師による治療では、抗生剤(抗生物質)を投与します。痛みを和らげる消炎鎮痛剤の投与、湿布なども行います。

抗生剤は、最も多い原因菌である黄色ブドウ球菌であることを前提に、経口投与することとなります。効かない場合は、培養検査で原因菌の種類を特定し、それに合った抗生剤に変更して、経口投与します。

軽い場合はそのままよくなることもありますが、耳下腺のはれと膿のたまりがひどい場合は入院治療が必要なこともあります。耳下腺部に波が打つような波動感が出てきて、膿が耳下腺全体にたまっていれば、切開を行い膿を排出させる消炎手術を行います。

家庭での注意としては、唾液分泌を促す酸っぱい食品は痛みの原因になるので避け、硬い食品、塩辛い食品も避けます。入浴はかまいません。

🇮🇷化膿性爪囲炎(ひょうそう)

化膿菌が入って爪の周囲の皮膚が赤くはれ、うみが出ることもある状態

化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)とは、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌などの化膿菌が入って、爪(つめ)の周囲に急性の炎症が起こった状態。化膿性爪甲周囲炎とも呼ばれます。

爪囲部のささくれ、小さな切り傷、足では爪切りの際の傷や爪が皮膚に食い込んでいるところなどから感染が起こり、爪囲が赤くはれ上がり、自発痛、圧痛が強くなります。

この化膿性爪囲炎は、ひょうそ、ひょうそうとも呼ばれます。ひょうそという疾患名は、指趾(しし)の化膿性炎症全体に付けられるもので、化膿性爪囲炎から、さらに炎症症状が真皮深層、脂肪織にまで拡大した指の蜂窩織(ほうかしき)炎、あるいは骨、関節部の化膿性炎症が真皮にまで波及した時にも付けられます。

 従って、ひょうそという時には、指先全体が赤紫色に強くはれ、痛みが強い状況で、うみが出たり、皮膚が破れ、潰瘍(かいよう)になることもあります。

時には、腕、下腿(かたい)のリンパ腺(せん)に沿って炎症が広がり、触れると痛くて赤い線状のリンパ節(管)炎となります。わきの下のリンパ節、股(また)のリンパ節が腫(は)れて痛むこともあります。

時には、炎症の場所が浅い場合に、かなり大きな血うみである膿疱(のうほう)ができることがあります。炎症の場所が深い場合に、関節が痛み、曲げることもできなくなることがあります。

化膿性爪囲炎の検査と診断と治療

皮膚科の医師による化膿性爪囲炎の検査では、細菌培養を必ず行います。また、黄色のうみは黄色ブドウ球菌、緑色のうみは緑膿菌など、うみの性状は原因菌を推測する上で参考になります。

治療としては、軽い化膿性爪囲炎の場合は、爪の周囲を消毒し、抗生物質含有軟こうを塗布します。痛みの強い場合には冷湿布をして安静にします。痛み、腫れが強い場合や、リンパ節(管)炎、リンパ節の痛みと腫れがある場合には、抗生物質を内服し、痛みが特に強い場合は、痛み止めを併用します。

化膿が強い場合は、切開排膿が必要となります。メスで皮膚を切開して、たまっているうみを排出すると、痛みはすぐに弱まり、早く治ります。爪が浮かび上がるような場合は、爪を取り除き、内側にたまったうみや壊死(えし)組織を取り除きます。

予防法としては、化膿性爪囲炎は水仕事の機会の多い女性や調理人、掃除屋などがかかりやすく、特にささくれ、小さい傷がある時に化膿菌が入りやすくなりますので、指先に小さい傷がある時には、まめに消毒を行い、水などに指先をつける時には、手袋をして直接、触らないように注意する必要があります。

🇮🇷化膿性肉芽腫

毛細血管を構成する細胞が増殖し、皮膚や粘膜の表面にしこりとして現れる良性腫瘍

化膿性肉芽腫(かのうせいにくげしゅ)とは、最も微細な血管である毛細血管を構成する細胞が増殖し、皮膚や粘膜の表面にしこりとして現れる良性腫瘍(しゅよう)。血管拡張性肉芽腫、毛細血管拡張性肉芽腫、小葉(しょうよう)状毛細血管腫とも呼ばれます。

化膿性肉芽腫という疾患名から悪性腫瘍と誤解されやすいものの、膿(うみ)を持つわけでも、肉の塊が形成されるわけでもありません。通常、皮膚や粘膜の表面から突出して、その基部はくびれています。

微小な外傷が切っ掛けとなり、毛細血管が反応性に急速に増殖し、その周囲の組織がはれたものと考えられています。外傷がなく、突然出現することもあります。妊娠中に発症する傾向が比較的多いことから、性ホルモンが関与している可能性も指摘されています。

性差はなく男女ともに発症し、小児や若年者に多くみられます。体中のどこにでも出現し、好発部位は手、中でも手指と、顔面、特に口唇です。

皮膚や粘膜の比較的表面付近の血管から、鮮紅色または茶色の小さなしこりとして現れ、数週で急速に増大した後、増殖は止まります。皮膚からくびれをもって隆起することが多いのですが、なだらかに隆起する場合もあります。軟らかいしこりで、触れると表面から出血しやすく、かさぶたがついたり、湿っていることも少なくありません。大きさは通常、1〜2センチ以内。

化膿性肉芽腫に気付いたら、皮膚科、皮膚泌尿器科内科、ないし形成外科を受診して、ほかの悪性の疾患との関与性がないか診断してもらうことが大切です。化膿性肉芽腫であれば自然に治ることはほとんどなく、長く放置しておくと悪化する可能性もあり、治療が必要です。

化膿性肉芽腫の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科内科、形成外科の医師による診断では、特別な検査は行わずに、見た目と症状の経過から確定します。腫瘍を切除した場合には、病理検査で確認することができます。顕微鏡で組織を確認すると、複数の毛細血管が連なっているのがわかり、その形は小葉のように見えます。

皮膚科、皮膚泌尿器科内科、形成外科の医師による治療では、手術で切除し、縫縮するのが最も確実な方法です。液体窒素によって、腫瘍の凍結、融解を繰り返す凍結療法もあります。この場合、数回の治療が必要になることが多いのですが、麻酔の必要はありません。

そのほか、CO2レーザーを用いて、拡張している毛細血管を根っこから焼いて除去するレーザー療法もあります。この場合には、手術と同様に局所麻酔が必要です。

小さい腫瘍は、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の軟こうを塗り続けると、退縮することもあります。

🇮🇶化膿性膝関節炎

細菌が膝関節の中に侵入し、炎症と化膿を起こす疾患

化膿(かのう)性膝(ひざ)関節炎とは、膝関節に細菌が侵入して炎症が起き、化膿する疾患。急性的に発生するものや、慢性的に経過するものなどがあります。

膝関節周辺の骨髄炎からの波及を始め、関節穿刺(せんし)や膝関節手術によって起こる細菌感染が、原因となります。体のほかの部位に生じた感染巣から血液の流れに乗って、膝関節に細菌感染が起こることは、乳児期のものを除くと極めてまれですが、敗血症や上気道感染などから波及することもあります。

原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌。この黄色ブドウ球菌はそれほど毒性が強い菌ではなく、どこにでもいる常在菌であるものの、ひとたび関節の中に侵入して化膿を起こすと、関節の破壊が強い状況を作ることが多くなります。また、膝関節手術後の感染では表皮ブドウ球菌が多くなり、感染防御力の低下した人ではグラム陰性桿菌(かんきん)である緑膿(りょくのう)菌の感染が多くなります。

症状は、膝関節が赤くはれて、急激な痛みや熱感が現れます。そのほか、悪寒(おかん)や発熱などが現れることがあります。

膝関節には運動制限がみられ、関節液はうみが混じって濁ってきます。強い痛みを伴う状況が続くと、関節の骨を覆っている軟骨などの軟部組織は特に細菌の感染に弱いため、関節の破壊が強くなります。関節軟骨はその構造上、表面がいったん傷んでくると、元に戻りにくく、だんだん擦り減って悪くなる傾向があります。

化膿性膝関節炎の検査と診断と治療

整形外科、ないし外科の医師による診断では、針を刺して関節液を採取する穿刺検査を行います。化膿性関節炎では関節液は混濁しており、関節液の培養検査で原因となっている細菌を検出し、治療で使用する抗生物質に対する感受性も調べます。

血液検査を行うと、白血球が増え、CRPの上昇がみられます。CRPは蛋白(たんぱく)質の一種で、体内に炎症が起きたり組織の一部が壊れたりした場合に、血液中に現れます。X線検査を行っても、初期には変化を認めません。

整形外科、ないし外科の医師による治療では、細菌に感受性のある抗生物質の内服と点滴を行うとともに、たまった関節液を排出して膝関節内を洗浄します。難治の症例では、関節鏡という内視鏡を入れて、膝関節内の感染性滑膜を切除します。

基本的には、炎症が強く出ている時は、安静にする必要があります。炎症が治まってくれば、徐々に膝の上の筋力を強くする運動を始める必要があります。膝サポーターの装着も、痛みの緩和、膝の保護に効果があります。

このような治療にもかかわらず、関節軟骨の障害が強く起こり、関節の運動制限や、ひどい場合には関節が全く動かなくなることもあります。関節の破壊が強い場合は、人工関節に置換する手術を行う場合があります。

なお、関節穿刺によって起こる細菌感染を予防するには、特に、中高年齢者に多い変形性膝関節症などに対し、臨床でしばしば行われている副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の関節腔(くう)内注入に当たっては、感染防止に最大の注意を払い、薬剤注入の乱用は慎まなければなりません。

🇮🇷過敏性血管炎

薬物、ウイルスなどがアレルギーの原因となって、細い血管に炎症が発生

過敏性血管炎とは、薬物やウイルス、細菌感染、化学物質などにアレルギー反応を起こすことが原因となって、全身の細い血管に炎症が起こる疾患。細動脈、毛細血管などに限局的に急性、壊死(えし)性の炎症が起こります。

種々の膠原(こうげん)病、悪性腫瘍(しゅよう)、炎症性疾患、混合性クリオグロブリン血症などでも過敏性血管炎を生じ、はっきりした原因がつかめないものもあります。男女差や好発年齢はありませんが、小児にみられるシェーンライン・ヘノッホ紫斑(しはん)病は、この疾患の亜型とされています。

下肢や腹、腰などの下半身を主に、腕、胸、背部などの皮膚表面に、少し硬めのしこりのような紫斑ができます。点状出血、皮膚潰瘍(かいよう)、水ぼうそう、じんましんなどの症状がみられることもあります。紫斑などが消失した後や、慢性化、再発したケースでは、色素が沈着することもあります。皮膚症状が目立ちますが、発熱や関節痛、筋肉痛、腹痛、倦怠(けんたい)感、体重減少などの全身症状とともに、腎(じん)臓や肝臓、肺、腸管、脳神経などの内臓が侵されることもあります。

過敏性血管炎の検査と診断と治療

治療では、原因となった薬剤などを取り除き、軽症の場合は特に何もせず自然に治るのを待ちます。中等症で皮膚に病変が限定されている場合は、対症療法が行われます。

重症で全身症状が激しく、皮膚以外の臓器障害ある場合は、中等度から大量の副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の投与が行われます。血尿、蛋白(たんぱく)尿に対しては、抗血小板薬、血管強化剤の投与が行われます。腎不全に対しては、一般の腎不全に準じた治療が行われます。

🇮🇶過敏性腸症候群

●ストレスからくる腹痛、下痢、便秘

慢性的な下痢や便秘、ガス過多などの症状が現れる病気で、緊張や不安などのストレスが原因で起こる腹痛や腹部不快感、便通異常を総称したものです。

しかし、腸の機能に問題があるわけではありません。

下痢型

ちょっとした緊張がきっかけで腹痛が起き、すぐトイレに行きたくなります。下痢や軟便が1日に何回も起こり、いつ便意をもよおすか分からないため、トイレのついていない電車には不安で乗れなかったり、駅ごとにトイレに行くといった状態になることもあります。

便秘型

腹痛や腹部の不快感があり、トイレに行ってもあまり便が出ず、出ても小さなコロコロの便になります。

不安定型

下痢が数日続いたと思うと次は便秘が数日続くといった症状を交互に繰り返します。

●ストレスが腸の運動を異常に高めるのが原因

緊張や不安といったストレスが副交感神経を刺激し、腸の運動が過度に高まって、はげしい腹痛や下痢が繰り返し起こるようになります。

比較的神経質でデリケートな性格の方に多く、家庭や職場での人間関係のストレス、転居や転職による環境の変化、過労や暴飲暴食などが引き金になって症状が現れます。

●対処のむずかしい人は医者に相談を

最近は過敏性腸症候群という言葉がよく聞かれるようになり、この病気に対する一般の認識も高くなってきています。それにともなって「自分も過敏性腸症候群かもしれない」と受診される方が増えています。

腸の機能に異常はないのですが、慢性的でなおりにくいため、毎日の暮らしに大きな影響をおよぼします。

ストレスが原因と分かっていても、それを取り除くのは簡単ではありません。なかなかよくならない場合は最寄りの医療機関に相談してください。

🇮🇶過敏性肺炎

カビなどの有機物や、化学物質などの無機物を繰り返し吸入し、これに過敏になって起こるアレルギー性の肺炎

過敏性肺炎とは、カビなどの真菌、細菌、動物性蛋白(たんぱく)などの有機物や、化学物質などの無機物を繰り返し吸入しているうち、これに過敏になって起こるアレルギー性の肺炎。過敏性肺臓炎、外因性アレルギー性肺胞炎とも呼ばれます。

急性のものと慢性のものとがあり、急性のものでは原因となる吸入物から離れることにより回復しますが、慢性になると病変と症状は続き、進行することがあります。

吸入物の種類や発症する環境の相違により、過敏性肺炎は夏型過敏性肺炎、農夫肺、鳥飼育病、加湿器肺、空調病などに分けられます。いずれも症状はせきや発熱で、進行すると呼吸困難に陥ります。ほかに、たん、咽頭(いんとう)の違和感、体重減少、だるさ、頭痛などがみられます。

夏型過敏性肺炎は、過敏性肺炎のうちで最も多くみられるもので、梅雨の後の高温多湿な夏季に、風通しや日当たりが悪く湿気の多い家屋内に増殖するトリコスポロンというカビの一種が原因で起こります。秋田県、岩手県以南の地域にみられ、冬季はみられません。

トリコスポロンを吸入してから、肺の奥にある小さな袋状の肺胞でアレルギー反応が起こり、8〜13時間で症状が現れます。

農夫肺は、干し草の中の好熱性放線菌というカビが原因で、酪農家にみられます。

鳥飼育病は、鳥のふんなどの排出物が原因で、ハトやインコなどを飼う人に起こります。また、ニワトリなどの鳥の飼育や羽毛を取り扱う職業の人にも起こります。

加湿器肺や空調病は、換気装置についたカビ類を蒸気とともに吸入することが原因となります。

そのほか、サトウキビ肺、養蚕者肺があり、またナメコ栽培者、小麦粉取り扱い者、ポリウレタンの原料であるイソシアネートを扱う塗装工などでも、各種の吸入物を原因とする過敏性肺炎の報告があります。

症状が特定の環境や作業に関連して起こったり、同じ症状が繰り返し起こっている場合には、過敏性肺炎ではないかと疑うことが大切で、内科、呼吸器科を受診します。

過敏性肺炎の検査と診断と治療

内科、呼吸器科の医師による診断では、一般血液検査で末梢(まっしょう)白血球数の上昇、CRP(C反応性タンパク)の上昇などの炎症反応が認められ、低酸素血症を示し、胸部X線像で両肺にすりガラス状や粒状の陰影が認められます。

このような検査データ、所見は他の疾患でも認められるため、抗原を吸入することにより発症するという経過と病歴、また原因抗原の吸入による誘発試験で疾患が発症する再現性を確認することなどにより、診断を確実なものにする必要があります。ただし、誘発試験は抗原の吸入により肺疾患が発症し、呼吸困難になることもあるので、注意して行う必要があります。

家の中に存在するカビなどの真菌が原因であれば、帰宅すると抗原を吸入することになるので、診断できることもあります。

ほかに、気管支鏡と呼ばれる細い肺カメラを使って、肺内の組織を採取する経気管支肺生検が行われることがあります。この検査は他の疾患を否定する意味もあります。過敏性肺炎の特徴的な病理組織像は、器質化肺炎、リンパ球性胞隔炎、肉芽腫(にくげしゅ)などです。

気管支鏡を使って、肺内に生理食塩水を注入して肺を洗った後、回収した液を検査する気管支肺胞洗浄(BAL、バル)が行われることもあります。回収した液の中には、リンパ球が多くみられ、リンパ球のCD4とCD8の比率が低下する特徴があります。

また、血清中に原因となる抗原に対する抗体の存在を検索することも重要です。しかし、疾患を起こしていない健常者でも陽性になることがあるので、この検査だけでは確定診断とはなりません。

内科、呼吸器科の医師による治療では、原因となっている抗原の吸入を避けるようにすることが重要です。薬物療法については、軽度の症状で日常生活に影響しない場合、無治療で経過をみることがあります。中等症、重症では、発熱、呼吸困難、低酸素血症などがあるため、炎症を抑える作用のある副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)を服用するか、静脈注射します。そのほか、息苦しさには酸素吸入など対症療法を行います。

家などの環境が原因の夏型過敏性肺炎の場合は、家の中の掃除や消毒、台所・洗面所・風呂場の腐った木の部分の除去、風通しをよくするなどの工夫も重要です。

農夫肺の原因である干し草のカビのように、環境から抗原をなくせない場合は、防塵(ぼうじん)マスクの装着などが効果を示す場合もあります。加湿器肺、空調病の場合には、換気装置がカビで汚染されていることが多いので、フィルターを交換したり、機材を清潔にします。鳥飼育病では、ハトやインコなどの飼育をやめます。

急性の場合では、入院することなどにより原因抗原から離れると回復することがほとんどです。しかし、慢性の場合では進行することがあり、肺に線維組織が増えて硬くなる肺線維症や、呼吸不全になりますから、予防が大切です。

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 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...