2022/08/12

🇧🇪急性結膜炎

急に眼球の結膜が充血し、目やにが出てくる疾患

急性結膜炎とは、比較的急激に眼球の結膜が充血し、目やにが出てくる疾患。非常に多くの原因が、急性結膜炎を引き起こします。

結膜とは、まぶたの裏側から白目の表面を覆っている薄い膜。まぶたの裏側を覆っている部分は眼瞼(がんけん)結膜、白目の表面を覆っている部分は眼球結膜と呼ばれています。一方、黒目の部分を覆っている粘膜は、角膜と呼ばれています。結膜の働きは、外界に直接接している目を異物の侵入から守ることです。そこで、結膜には抗菌作用のある粘液や涙液が分泌され、常に作られている涙で目の表面を潤して防御しています。

結膜は常に涙で潤い、細菌などの異物の侵入を防いでいるわけですが、多くの細菌にさらされたり、睡眠不足、過労などで抵抗力が落ちている時には、炎症を起こすことがあります。それが結膜炎であり、症状が比較的急激に現れる急性結膜炎と、発症が緩やかでいつごろかわからない慢性結膜炎とに大きく分けられます。

急性結膜炎は、細菌、ウイルスの感染とアレルギーによって主に引き起こされます。そのほか、目をこすりすぎたり、検査の際に結膜を刺激したりといった機械的刺激、薬品、紫外線によっても引き起こされます。

原因となる細菌はコッホ・ウィークス菌、肺炎球菌、ブドウ球菌などが多く、ウイルスは流行性角結膜炎を起こすアデノウイルス、急性出血性結膜炎を起こすエンテロウイルスなどがあります。

症状は比較的急激に片目、または両目に現れ、涙が多くなったり、目やにが出たり、軽い異物感や熱感があったりしますが、かゆみはあまりありません。初めはさらっとしている涙が、徐々に粘り気を増し、黄白色の目やにとなります。

白目は赤く充血し、多くの場合、黒目の近くよりも周辺部に強い充血が現れます。まぶたを裏返すと、表面は赤く充血し、時には小さいぶつぶつがみられます。まぶたの表側も充血し、はれこともあります。目やにのために視力低下が起こることもあり、重症では眼痛などを伴うこともあります。

結膜のみならず、角膜にも障害が及ぶこともあります。原因によっては目以外の症状として、耳の手前にあるリンパ節がはれて、押さえると痛むことがあります。

急性結膜炎の検査と診断と治療

急性結膜炎に気付いたら、早めに眼科医の診察を受けます。

急性結膜炎には非常に多くの原因があるため、医師には注意深く診断していく必要があります。特に、ウイルスによるものとアレルギーによるものとの区別は、重要です。ウイルスによるものでは、耳の手前のリンパ節がはれ、痛みを伴います。アレルギーによるものでは、かゆみを伴います。

検査としては、目やにの中の細菌培養のほか、結膜からこすり取った細胞のサンプルや、目やにの構成成分である白血球の顕微鏡検査などを行い、原因を特定します。また、血液検査で各種ウイルスの抗体価を調べたり、アレルギーの指標である抗体価(IgE)を調べたりします。

治療としては、細菌によるものでは、抗菌剤の点眼を行い、重症例では全身投与をします。細菌により効果のある薬の種類が異なりますし、これまでは効果があった薬が効かなくなる場合もあり、薬の選択には注意が必要です。

ウイルスによるものでは、残念ながらウイルスを直接死滅させる薬剤はないので、細菌による混合感染を防ぐために、抗生剤の点眼や、炎症を抑えるためのステロイド剤の点眼を行います。

アレルギーによるものでは、症状が強ければステロイド剤の点眼を行い、症状が弱ければ非ステロイド性の抗アレルギー剤や消炎剤、消炎酵素剤の点眼を行います。ステロイド剤は効果に優れる反面、緑内障や白内障を引き起こすなどの副作用に注意が必要です。

日常生活上の注意としては、目を洗うことはかえって刺激となることがあり、家族への感染予防の意味からも必要ありません。目やにの多い際には、湿らせた清潔な脱脂綿などで、そっとふき取る程度に。

細菌によるものは、あまり感染力は強くありませんが、一応、他人に移らないように注意します。感染を予防するには、感染者本人は手をよく洗い、手で目をこすったり、顔に触れたりしないことです。周囲の人も手洗いをしっかりと行い、感染者のタオルを共有しないなど、清潔にするよう心掛けます。

🇧🇪急性呼吸窮迫症候群

さまざまな重症の疾患に起因して、突然起こる呼吸不全の一種

急性呼吸窮迫症候群とは、さまざまな疾患に起因して、肺の中に液体がたまって血液中の酸素濃度を異常に低下させる急性呼吸不全の一種。急性呼吸促迫症候群、ARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome)とも呼ばれます。

この急性呼吸窮迫症候群は、死亡率が30〜40パーセントと危険な疾患で、2〜3日間の短期間に強い息切れ、呼吸困難が起こり、左右の肺の中に液体がたまります。発症者の約3分の1は、敗血症という重く広範囲に及ぶ感染症の結果、発症しています。最初に膵臓(すいぞう)など、ほかの器官が重い損傷を受け、その後に発症することもあります。膵臓が損傷すると、酵素やサイトカインなどのたんぱく質が放出され、これが肺など体内のほかの器官や組織に障害を与えます。

急性呼吸窮迫症候群の主な原因は、重く広範囲の敗血症、膵臓の炎症のほか、肺への食べ物の吸引、やけど、心肺バイパス手術、胸部の損傷、大量の煙の吸入、何らかの有毒ガスの吸入、高濃度の酸素吸入による肺の損傷、大量の輸血 、溺水(できすい)、ヘロイン・メサドン・プロポキシフェン・アスピリンなどの薬物の過剰使用、重症肺炎、長期間のまたは重度の低血圧(ショック)、肺塞栓(そくせん)症など。

肺胞や肺の毛細血管が傷付くと、血液や体液が肺胞の間の透き間に漏れ出し、やがて肺胞の内部にも入ってきます。多くの肺胞がつぶれる無気肺を起こし、サーファクタントという肺胞の内側の表面を覆い、肺の形を保つ働きをする液体の機能が低下します。

肺胞内に液体がたまり、多くの肺胞がつぶれると、吸い込んだ空気中から酸素を血液中に取り込めなくなるため、血液中の酸素濃度が急激に低下します。血液中から二酸化炭素を取り出し、空気中に放出する作用はそれほど影響を受けないため、血液中の二酸化炭素濃度はほとんど変化しません。

症状としては、まず息切れがみられ、普通は速く浅い呼吸を伴います。医師が聴診器を当てた場合、パチパチという水泡音(ベルクロラ音)や喘鳴(ぜんめい)音が肺から聞こえますが、異常音が何も聞こえないこともあります。血液中の酸素濃度の低下によって、皮膚に斑点(はんてん)や、皮膚の色が青っぽく変化するチアノーゼがみられたり、心臓などほかの器官に機能不全が生じ、心拍数の増加、錯乱、昏睡(こんすい)などが起こります。

急性呼吸窮迫症候群によって血液中の酸素濃度が低下し、肺細胞で産生されるサイトカインなどの特定のたんぱく質や白血球が血流内へ漏れ出すことによって、ほかの器官に炎症や多臓器不全などの合併症が引き起こされます。

器官の機能不全は、急性呼吸窮迫症候群の発症直後または数日後、数週間後に始まります。さらに、急性呼吸窮迫症候群の発症者は、肺の感染症に対する抵抗力が弱まり、細菌性肺炎を起こしやすくなります。

急性呼吸窮迫症候群の検査と診断と治療

内科、ないし呼吸器科の医師による診断では、胸部X線像で両側の肺に液体の浸潤影が認められ、動脈血ガス分析で血液中の酸素濃度の低下が認められます。

急性呼吸窮迫症候群は、呼吸器だけでなく腎臓や血液など多くの臓器の障害が起こるのが特徴であるため、集中治療室で治療されます。いまだに有効な治療法は確立されていませんが、必ず背景にある疾患に対する治療ができるかどうかに成否がかかっています。

現在、行われている治療は、呼吸管理と薬物療法の2つに大きく分けられます。いずれも早期診断と治療が重要で、予後を決定します。

呼吸管理では、肺の酸素を取り込む力が非常に低下しており、顔につけたマスクなどで酸素吸入をしても簡単には血液中の酸素が増えないため、口あるいは鼻腔(びくう)からチューブを気管に挿入する気管内挿管や、首の皮膚を切って気管に穴を開ける気管切開によって、気管にチューブを挿入し、人工呼吸器に接続します。

人工呼吸をするメリットは、高濃度の酸素を吸入することができること以外に、ピープ(PEEP)といって息を吐く時にも一定の圧力を肺にかけて肺胞がつぶれるのを防ぐことができ、呼吸を機械に任せ、自力で呼吸をしなくてもよいため、エネルギーの消耗を防げることなどが挙げられます。

逆に、人工呼吸に伴う合併症、例えば圧力を加えての呼吸による肺の損傷、感染症にかかる機会の増加などもあります。また、人工呼吸は根本的な治療ではなく、あくまでも肺の機能が回復してくるまでの時間稼ぎにすぎません。

薬物療法では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)が最も一般的に使用されています。たんぱく分解酵素の1つであるエラスターゼの働きを阻害するウリナスタチンという薬もよく使われます。

そのほか、細菌から分泌される毒素で、敗血症の時に重要な役割をするエンドトキシンに対する抗体、ある種のサイトカインに対する抗体、好中球が毛細血管壁に接着する時に重要な役割をする接着分子に対する抗体などが使われることがあります。これらは、より根本的な治療薬となる可能性を持っていますが、確実性という点でまだ問題があります。

🇧🇪急性出血性結膜炎

強い感染力があるウイルス性結膜炎

急性出血性結膜炎とは、別名をアポロ病といい、主にエンテロウイルス70型かコクサッキーA24変異株によって起こる、ウイルス性の結膜炎です。強い感染力があり、感染してから発症するまでの期間は、半日から3日程度です。

この結膜炎が初めて大流行した年に、アメリカのアポロ11号が人類初の月着陸に成功しました。当初、宇宙飛行士が月面から持ち帰った病原体が原因でないかと疑われましたが、その後、日本人の科学者が原因ウイルスを発見しました。

6~7歳以下の年齢がかかりやすく、特に1~4歳に多く見られます。乳幼児は特に強い症状を起こしやすいため、注意が必要です。特別な季節性はありません。

症状としては、突然の強い目の痛み、ゴロゴロした感じ、まぶしさなどで始まり、結膜の充血や、結膜下の白目の部分に出血をきたします。

この白目に出血する結膜下出血が1970年代には特徴だったため、急性出血性結膜炎という病名が付けられました。その後、ウイルスの性質が変わって、最近では、結膜下出血をきたすことは少なくなっています。

アデノウイルスによる流行性角結膜炎と同じような症状を見せて、1週間くらいで治ります。

医師による治療では、ウイルスに直接効く薬剤がないため、対症療法的に抗炎症剤の点眼を行い、細菌による混合感染を防ぐために抗菌剤の点眼を行います。また、症状を軽減するためには、ステロイド剤の点眼を行います。

感染を予防するには、感染者本人は手をよく洗い、手で目をこすったり、顔に触れたりしないことです。周囲の人も手洗いをしっかりと行い、感染者のタオルを共有しないなど、清潔にするよう心掛けましょう。学校や職場は、医師の許可があるまで休むようにします。

🇳🇱急性出血性腸炎

抗生物質の投与後に、激しい腹痛と血性下痢が発生

急性出血性腸炎とは、何らかの疾患のために抗生物質を投与されている人に現れる急性腸炎。急性出血性大腸炎とも呼ばれます。

高齢者よりも若年者から中年者に多くみられ、風邪などの治療のためにペニシリン系抗生物質を投与された3~4日後に突然、激しい腹痛と血性下痢に見舞われます。血液の混じった下痢が頻回に渡って現れ、ちょうどトマトジュースのように見える便が出ます。 ただ、大腸のびらんの程度が低い場合では、下痢ないし軟便で下血を伴わないこともあり、腹痛も軽微なことがあります。

合成ペニシリンが主な起因薬剤とされていますが、セフェム系や他の抗生物質も誘因となり得ます。抗生物質のほか、非ステロイド性消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤、重金属製剤、経口避妊剤などの薬剤も誘因となることがあります。

急性出血性腸炎のメカニズムはいまだに解明されていませんが、疾患に対する治療を目的に投与されたペニシリン系抗生物質が、その目的に反する副作用として何らかのアレルギー反応を引き起こし、大腸の血流を障害してびらんや潰瘍(かいよう)などの炎症を引き起こし、腹痛、下痢、下血を起こすと見なされています。

抗生物質は微生物を原料にして作られた薬剤で、副作用は少ないのですが、人によってはアレルギー反応が起きたり、発疹(はっしん)、のどの渇き、めまいなどの症状が現れることもあります。

急性出血性腸炎の検査と診断と治療

何か薬剤を服用している期間中に、思い当たる原因もなく下痢が続くような症状が現れたら、内科、消化器科、胃腸科の担当医に相談します。

医師による診断では、まず、抗生物質の投与歴を確認します。あれば、抗生物質の内容も確認します。投与経路では、経口投与の場合が多いようです。

次いで、大腸内視鏡検査を行うと、横行結腸を中心にS状結腸から結腸の粘膜に発赤、びらんが認められ、潰瘍が認められることもあります。血液検査では、白血球の増加などを認めるものの特徴的ではありません。糞便検査では、クレブシエラ・オキシトカ菌が高率に検出されます。この菌の毒素産生は認められませんが、何らかの関与が考えられています。

抗生物質が原因となった急性出血性腸炎は、その抗生物質を中止することが第一の治療法です。脱水を認めれば、輸液を行います。下痢がひどい場合も、腸の安静を保つために、点滴による栄養の補給を行います。その他症状に応じて、腸の動きを抑えて、痛みを和らげる作用のある鎮痙(ちんけい)剤、腸内細菌のバランスを整える整腸剤などの投与を行います。これらの対症療法だけで急速に症状が改善し、2〜4週間ぐらいで治癒します。

ただし、薬剤が原因であると考えられる場合でも、自分だけの判断で服用を中止せず、担当の医師の指示に従うことが大切です。原因となる薬剤は、一般にペニシリン系抗生物質が多いもの、他の抗生物質や消炎鎮痛剤などでも起こることがあるからです。

🇳🇱急性出血性膀胱炎

出血を伴う膀胱炎で、多くは子供が罹患

急性出血性膀胱(ぼうこう)炎とは、肉眼で見えるほど尿に血が混じっており、白く濁る膿尿(のうにょう)の症状がない膀胱炎。出血性膀胱炎とも呼ばれます。

この急性出血性膀胱炎の原因は、ウイルスや細菌の感染、抗がん剤の投与、食物や薬のアレルギーなどですが、ウイルス性のものが多く、一般的に急性出血性膀胱炎といえばウイルスが原因とされます。

子供がかかりやすく、アデノウイルスによるものが一番多くみられます。アデノウイルスは夏風邪のウイルスの一種で、プール熱や流行性結膜炎などの原因としても知られています。このアデノウイルスによる急性出血性膀胱炎では、排尿時に痛みがあり、真っ赤な血尿が出ます。排尿痛、肉眼的血尿のほか、頻尿、残尿感や、微熱程度の発熱がある場合もあります。

また、白血病の治療に使われる抗がん剤のエンドキサンなどの投与によって、急性出血性膀胱炎を起こすことがあります。

子供が急性出血性膀胱炎にかかった場合、症状を口でいうことができないことがあります。トイレに行く様子がおかしかったり、おしっこをしてもじもじしているようなら、膀胱炎を疑ったほうがよいでしょう。基本的には自然治癒を待つことが多いのですが、急性出血性膀胱炎による血尿であることを判断し、別の大きな疾患であることを否定するためにも、小児科を受診することが勧められます。

急性出血性膀胱炎の検査と診断と治療

医師による急性出血性膀胱炎の診断では、尿検査を行って、尿を赤くしているものが血液かどうかを調べたり、膀胱炎の時に出てくる細胞が現れているかどうかを確認します。また、尿のウイルスの種類を検査し、原因となるウイルスを検査することもあります。

アデノウイルスに効く薬は今のところないため、アデノウイルスによる急性出血性膀胱炎も安静と十分な水分摂取を心掛けて、自然治癒を待ちます。一般的に、肉眼的血尿の症状は数日で改善され、尿検査でも血尿は10日間ほどでなくなります。排尿痛、頻尿、残尿感も1週間以内になくなります。細菌性尿路感染症と区別が付くまで、抗生剤を内服することもあります。

抗がん剤など薬剤による急性出血性膀胱炎の場合、軽い血尿には止血剤を使用したり、原因の薬剤を中止することで改善されます。症状が重い場合、血尿中で血液が塊となり、尿閉を起こしたり、膀胱委縮が起こることもあります。薬を服用中は、水分を多めに取り、たくさん排尿し、膀胱炎を予防することが大切です。

🇳🇱急性食道炎

熱い食べ物の摂取などによる、食道粘膜の急な炎症

急性食道炎とは、食道の内面を覆う粘膜に、急に起こって悪化する炎症が起こった疾患。炎症が粘膜の下にまで深く及び、強いただれの起こった食道潰瘍(かいよう)も、本質的には食道炎に含みます。

この急性食道炎は、熱い食べ物、冷たい食べ物を摂取した時や、魚の骨、義歯といった異物を飲み込んだ時、抗生物質、鎮痛剤、鉄剤、カリウム錠を就寝前に水なしで服用した時に起こります。

さらに、全身衰弱のある時にはウイルス性食道炎があり、抗生物質、抗がん剤の服用時には、かびの一種が繁殖して起こるカンジダ食道炎もあります。そのほか、酸性やアルカリ性の液体を誤って飲み込んだり、自殺の目的で飲み込んで起こることもあります。特殊なものとして、腸チフスなどの重い伝染病や、がんの末期などに、食道壁が腐るほどの急性食道炎が起こることもあります。

軽いものは特に症状がないこともありますが、通常は食道に沿って灼熱(しゃくねつ)感があったり、胸焼けが起こります。食べ物が食道に残留している感じを伴うこともあります。

急性食道炎の検査と診断と治療

急性食道炎の診断に際しては、内視鏡検査が最も重要な検査の一つです。急性食道炎による特徴的な内視鏡像を呈するからです。

急性食道炎の治療では、原因となっているものをやめ、重症の初期には絶食も必要です。軽ければ流動食を取ったりして、食道粘膜を保護するように心掛けます。また、傷を治す薬を内服します。

🇩🇪急性腎炎

血液を、ろ過する糸球体に起こる炎症

腎炎(じんえん)とは、尿を作るために血液を、ろ過する糸球体(しきゅうたい)に、出血性の炎症が起きる疾患です。正確には、糸球体腎炎といいます。

免疫の異常が関係して起こると考えられており、左右の腎臓とも平等に侵されます。病気が進行すると、毛細血管の塊である糸球体だけではなく、尿細管まで障害が広がります。腎臓病のうちで最も多い病気で、一般に1年以内のものを急性(糸球体)腎炎といい、それ以上長く続くものを慢性(糸球体)腎炎といいます。

急性腎炎の症状と早期発見法

急性(糸球体)腎炎は4~10歳の子供に多い疾患で、加齢により発生は減少します。子供では完全に治ることが多いのに対して、成人発病者の一部では慢性腎炎に移行するものもみられますので、慢性化しないよう十分療養するべきです。

細菌、特に溶連菌による扁桃(へんとう)炎、咽頭(いんとう)炎などの上気道感染後、あるいは風邪などのウイルスの感染後、1~3週間たったころ発症する場合がほとんどです。

腎臓の糸球体に炎症が起こるのは、これらの細菌やウイルスが関係する抗原抗体反応によって生じた免疫複合体(抗原抗体複合物)と呼ばれる物質が、血流に運ばれて糸球体に付着するためと考えられています。

通常では、この免疫複合体は糸球体にあるメサンギウム細胞が処理し、発病には至りません。あまりに量が多い場合、糸球体に沈着して炎症を引き起こします。炎症が起こると、糸球体の細胞が異常に増殖したり、血液中の白血球の成分が糸球体の中に入り込んで、糸球体の働きを阻害するとされています。

急性腎炎の症状として、血尿と蛋白(たんぱく)尿が必ずみられます。ただ、血尿は赤ブドウ酒かコーラ様になっている場合もありますが、ほとんどは肉眼ではわからない血尿であり、顕微鏡で検査をして初めて確認されるほうが多いものです。

ほかに、顔や手のむくみ、血圧上昇、食欲低下、だるさ、尿量減少などがみられます。血圧上昇は病院で測定してもらって、初めて指摘されるのが普通ですが、子供の場合には、高血圧によってけいれん発作が起こる場合もあります。

急性腎炎の治療と療養上の注意

急性(糸球体)腎炎の治療では、安静と食事療法が主体となります。特に初期の安静は重要なので、入院治療が原則です。食事は蛋白質、塩分、水分の制限が、病気の程度や時期に応じて行われます。

蛋白質と塩分を制限するのは、腎臓の働きが低下すると、蛋白質から生じる窒素化合物や食塩の成分であるナトリウムの排出がスムーズにいかなくなるためです。蛋白質を減らす分、糖質や脂質でカロリーを十分にとります。むくみのある時や、1日の尿量400ml以下と尿が少ない場合、あるいは無尿の場合は、1日に摂取する水分を制限します。病状の改善とともに運動量は増し、食事の内容も変わってきます。

腎炎そのものを、根本的に治す特効薬というものはありません。ただし、急性腎炎のきっかけとなった溶連菌などの感染症の治療には、抗生物質が使われます。ほかに、炎症を鎮めるために抗炎症剤、血尿がひどい時には止血剤、乏尿やむくみがひどい時には利尿剤、高血圧に対しては降圧剤が使われます。

入院して適切な治療を受ければ、むくみや高血圧は、通常1週間以内によくなりますが、病気の程度が重ければ長引くことになります。血尿、蛋白尿なども、2~3カ月で消えていくことが多く、この時点で通学あるいは軽作業が許されるようになります。

退院後は、病気の回復と合わせて医師と相談の上、無理のない生活を送るようにコントロールしていくことになります。一般的いって、子供の場合には、体育の授業や水泳、遠足などのへの参加は控えましょう。大人の場合は、周囲の理解を求めて夜勤や残業などを避け、最低3年程度、激しいスポーツや肉体労働を見合わせる必要があります。女性の場合には、2年ほど妊娠を避けたほうがよいでしょう。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...