2022/08/12

🇳🇴急性副腎不全

副腎の機能が急に低下した場合に発症し、ショック状態から死に至る恐れもある疾患

急性副腎(ふくじん)不全とは、左右の腎臓の上に位置する小さな内分泌臓器である副腎の急な機能不全により、副腎皮質ホルモンの分泌に異常を来す疾患。副腎クリーゼ、アジソンクリーゼとも呼ばれます。

急性副腎不全は、副腎皮質ホルモンの分泌異常により、糖代謝や水分代謝などが滞るようになるのが特徴です。酸や塩基などの電解質のバランスも崩れるため、精神面に影響が出ることもあります。

急性副腎不全を発症した際の症状として、全身が疲れやすくだるさを感じる易疲労感、全身に力が入らないように感じる脱力感、食欲の不振などの症状が現れます。

進行すると、徐々に症状が重くなり、38度以上の高熱 、吐き気とそれに伴う嘔吐(おうと)、下痢、腹痛などが現れます。

これらの症状が続くと、極端な脱水症状や血圧の低下が起こり、さらに症状が重篤化すると、意識障害や呼吸困難を引き起こして、ショック状態に陥り、治療が遅れると死亡に至る危険性もあります。

いずれの症状も副腎疾患に特徴的な症状ではなく、腹部の疾患と間違われることがあります。

急性副腎不全を引き起こす原因としては、副腎の機能が急に低下し副腎皮質ホルモンが極端に減ってしまうことが挙げられます。この状態に至る理由には、副腎が細菌に感染したり、副腎皮質ホルモンの分泌を調節する下垂体(脳下垂体)が何らかの原因によって異常を来したり、血管が何らかの原因によって閉塞(へいそく)ないし出血したなどが考えられます。

また、慢性副腎皮質機能低下症(アジソン病)を発症した患者にも急性副腎不全を発症するリスクがあり、これは手術時や発熱、けがなどを起こした際の身体的ストレスに対して、副腎皮質ホルモンの分泌が相対的に不足している時に起こるのではないかと考えられています。

さらに、副腎皮質ステロイド薬を長い間服用していた患者が急に服用を中断したり、減量した場合にも、急性副腎不全を発症する可能性があります。これは長期間の副腎皮質ステロイド薬の服用により、本来正常に働くべき副腎が委縮してしまい、自ら副腎皮質ホルモンをつくれなくなってしまうために、発症します。

予防する方法は、現段階では特にありません。この急性副腎不全は急激に進行してゆくことで知られていますので、すでに慢性副腎皮質機能低下症と診断されていたり、長い間副腎皮質ステロイド薬を服用していて最近中断した患者が、疲労感や脱力感など特徴的な兆候を体に覚えた場合には、速やかに内科、内分泌代謝内科、循環器内科などを受診することが重要です。早期に適切な処置を受けることができれば、比較的短い期間で軽快に向かいます。

急性副腎不全の検査と診断と治療

内科、内分泌代謝内科、循環器内科などの医師による診断では、さまざまな血液検査、尿検査に加え、ホルモンの検査、腹部のCT(コンピュータ断層撮影)検査、頭部のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを行います。

ホルモンの検査は、血液中の副腎皮質ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、尿中に排出される副腎皮質ホルモンなどを測定するほか、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を投与した後の副腎や下垂体の反応により、副腎の機能を評価します。

そのほか、副腎を損なう原因を調べるため、結核など感染症に対する検査、がんの検査、自己免疫疾患の検査などを行うこともあります。

血液検査では、血液中のナトリウム濃度の低下とカリウム濃度の上昇がしばしば認められます。ホルモンの検査では、多くの場合、血液中の副腎皮質ホルモンの一つであるグルココルチコイド(糖質コルチコイド)の低下が認められます。また、副腎に原因がある場合は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が増え、下垂体に原因がある場合はこれが減っています。

内科、内分泌代謝内科、循環器内科などの医師による治療では、急速に悪化する疾患なので、急性副腎不全が疑われた場合は、測定に時間がかかるホルモンの検査結果を待たずに、直ちに塩分とブドウ糖を含む補液と副腎皮質ホルモン薬の点滴投与を行います。

素早く治療すれば、患者は普段の生活に戻れることがよくあり、一貫した薬物療法で副腎は十分機能できるようになります。

🇳🇴急性副鼻腔炎

ウイルスや細菌が鼻腔に感染して炎症を起こし、副鼻腔にまで及ぶことで起こる急性の炎症

急性副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは、主に風邪などでウイルスや細菌が鼻腔に感染して炎症を起こし、それが副鼻腔にまで及ぶことで起こる急性の炎症。

鼻の穴である鼻腔の周囲には、骨で囲まれた空洞部分である副鼻腔が左右それぞれ4つずつ、合計8つあり、自然孔という小さな穴で鼻腔とつながっています。4つの副鼻腔は、目と目の間にある篩骨(しこつ)洞、その奥にある蝶形骨(ちょうけいこつ)洞、目の下にある上顎(じょうがく)洞、鼻の上の額にある前頭(ぜんとう)洞です。

4つの副鼻腔は、強い力が顔面にかかった時に衝撃を和らげたり、声をきれいに響かせたりする働きを持つとされますが、その役割ははっきりとはわかっていません。鼻腔や副鼻腔の中は、粘膜で覆われており、粘膜の表面には線毛と呼ばれる細い毛が生えています。線毛は、外から入ってきたホコリやウイルス、細菌などの異物を粘液と一緒に副鼻腔の外へ送り出す働きを持っています。

急性副鼻腔炎になると、こうした機能が働かなくなり、風邪のウイルス感染に引き続いて細菌感染が起こり、細菌が繁殖して炎症を起こします。原因菌としては、肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌などが挙げられます。

急性副鼻腔炎の初期の段階では、水っぽい鼻水が出ますが、症状が進むにつれて副鼻腔の中に膿(うみ)がたまると、粘り気のある黄色っぽい鼻水が出ます。鼻水に悪臭を伴うこともあります。この粘性の高い鼻水が粘膜がはれた鼻腔に詰まると、鼻詰まりが生じます。

頭痛や顔面痛などの急性症状も起こります。痛みの出る部位は、炎症の起こっている部位によって異なります。篩骨洞に炎症が起きた時は目のあたりに痛みを感じ、蝶形骨洞に炎症が起きた時は頭痛や頭の重い感じが現れ、上顎洞の炎症では頬(ほお)や歯に痛みを感じ、前頭洞の炎症では額に痛みを感じます。

炎症が喉(のど)に広がったり、鼻水が喉に流れると、せきやたんが出ます。

まれに、副鼻腔の炎症が目や脳に進むことがあり、目に及ぶと瞼(まぶた)がはれたり、視力が落ち、脳に及ぶと強い頭痛や意識障害が起こります。

通常は、1~2週間、長くても30日以内で治ります。

時に、この急性副鼻腔炎が長引いたり、繰り返したりすることによって3カ月以上症状が続くと、蓄膿(ちくのう)症とも呼ばれる慢性副鼻腔炎を発症します。この慢性の炎症がさらに長引くと、副鼻腔の分泌液の量が増えたり、その粘度が高くなったりして、自然孔より排出されずにたまり、状態を悪くすることにつながります。さらに、たまった分泌液により粘膜肥厚が起こると、排出がより困難となる悪循環に陥ります。

なお、風邪のウイルス感染に引き続く細菌感染が原因で起こる一般的な急性副鼻腔炎とは別に、咽頭(いんとう)炎や扁桃(へんとう)炎などの喉の炎症、カビの仲間である真菌、虫歯なども、急性副鼻腔炎の原因となることがあります。また、細菌感染のないアレルギー性鼻炎や気管支喘息(ぜんそく)、アスピリン喘息などのアレルギーによって起こる疾患が、急性副鼻腔炎の原因となることもあります。

一般的な急性副鼻腔炎では、自分でよく鼻をかんで鼻の中の膿を減らし、睡眠を多くとって体の抵抗力を上げることが大切です。鼻水の量が増えたり、においがひどくなったり、痛みが増すようなら、耳鼻咽喉(いんこう)科、耳鼻科を受診して早く治療し、慢性副鼻腔炎の発症を防ぐことが必要です。

急性副鼻腔炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科、耳鼻科の医師による診断では、自覚症状を問診した上で、X線(レントゲン)検査を行います。通常であれば、空洞であるはずの副鼻腔は黒く映り、骨は白く映りますが、副鼻腔炎になると、黒く映るはずの副鼻腔が白く映ります。これは、粘膜がはれたり、膿がたまったりして空洞が埋まっているためです。

また、炎症を起こしている部位やその程度をより詳しく調べために、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うこともあります。

鼻鏡や内視鏡を使って、粘膜がはれて鼻腔が狭くなっていないか、副鼻腔から膿が出ていないかなど、鼻腔や副鼻腔の状態を確認する場合もあります。

炎症の原因となっている細菌の種類を調べるために、吸引装置や細長い綿棒を使って、鼻腔、あるいは喉の奥にある分泌物を採取して細菌検査を行うこともあります。

耳鼻咽喉科、耳鼻科の医師による治療では、鼻腔にたまった鼻水を吸引装置を使って取り除き、原因菌に有効な抗菌薬と、痛みを和らげるための消炎鎮痛薬を投与します。抗菌薬を続ける期間は、一般的に2週間以内です。

そのほかに、たんや鼻水を出しやすくする気道粘液修復薬、気道粘液溶解薬、気道潤滑薬などが使われます。血管収縮薬をスプレーして鼻腔と副鼻腔をつないでいる自然孔の狭まりを軽減し、抗菌薬などの薬の液を霧状にしたものを鼻などから吸い込むネブライザーを行うこともあります。

最も大きな副鼻腔である上顎洞に炎症がある場合には、鼻の粘膜に麻酔をかけ細い管を鼻腔から副鼻腔に入れたり、上顎洞に針を刺したりして、生理食塩水を注入し、洞内を洗浄することもあります。

🇸🇪急性腹膜炎

原因となる病気があって、炎症や穿孔を起こす

急性腹膜炎とは、腹腔(ふくくう)内を覆う薄い膜である腹膜に、急性の炎症が起こる疾患をいいます。

胃、小腸、大腸、肝臓、脾(ひ)臓などの臓器がある腹腔内を覆って、腹壁との間にある腹膜は、その表面は滑らかで、数ミリリットルの液で潤されていて、臓器の動きをよくしています。腹膜は吸収作用が旺盛(おうせい)で、水分、電解質を吸収する反面、毒素などの有害物質もよく吸収します。

急性腹膜炎の多くは、さまざまな消化管疾患の合併症として起こります。その原因には、細菌感染と物理的、化学的刺激が挙げられます。

細菌感染とは、腹腔内の臓器の炎症が腹膜へ波及することによって生じるものであり、一般には急性虫垂炎が最も頻度が高く、急性胆嚢(たんのう)炎、急性膵(すい)炎などによってもみられます。

物理的、化学的刺激とは、外傷を始め、消化管疾患や腸間膜の虚血による消化管穿孔(せんこう)が原因となって起こるもので、胃液、胆汁などの腹膜への漏出が急性の炎症を引き起こします。

外傷には打撲、交通外傷があり、消化管疾患では胃潰瘍(かいよう)、十二指腸潰瘍や、胃がんなどの悪性腫瘍(しゅよう)に続発します。急性胆嚢炎に胆嚢穿孔が加わった場合や重症の急性膵炎では、胆汁、膵液の細菌感染と化学的刺激が重なり、重症の状態になることが多くみられます。そのほか、急性虫垂炎の穿孔、腸閉塞(へいそく)、女性生殖器の病気などでも起こります。

汎発性腹膜炎と限局性腹膜炎

急性腹膜炎の症状として、腹痛は必ずみられます。原因となる病気の前兆として、腹部不快、軽い腹痛を示すことがまれにありますが、通常は急激な腹痛が突発的に起こります。痛みは持続し、初めは限られた部位だけですが、次第に腹部全体に及びます。

そのほかの症状として、悪心、吐き気、嘔吐(おうと)、発熱、頻脈がみられます。

また、消化管の穿孔(せんこう)により内容物が腹腔内に広がると、腹膜全体に炎症が広がって激烈な腹痛が現れ、ショック状態に陥ることがあります。これを急性汎発(はんぱつ)性腹膜炎といいます。一方、盲腸周囲、横隔膜下、膀胱(ぼうこう)ないし子宮と直腸の間のダグラス窩(か)など腹膜の一部に、膿瘍(のうよう)を形成するものを急性限局性腹膜炎といいます。

いずれの場合も、できるだけ早期に受診して適切な治療を受けないと、重症になります。特に、急性汎発性腹膜炎では、生命に関わる重症の状態に陥る可能性があり、緊急な医学的処置が必要です。

多くの場合、激しい腹痛は持続性で、食欲不振、吐き気、嘔吐があり、のどの渇きと熱感を感じ、間欠的な震えを生じます。体温は38~40℃近くに上昇し、若く健康であった人ほど高熱となり、高齢者や衰弱した人では発熱はわずかなことがあります。

顔は苦痛のためにゆがんで、苦悶(くもん)状となり、目は落ちくぼみ、皮膚は乾燥して、いわゆる腹膜炎顔貌(がんぼう)を呈します。呼吸も浅く速くなります。腹部は腹筋を緊張させて、安静を保とうとするため、平坦となり、板のように硬くなります。さらに病勢が進むと、循環血液量の減少、細菌毒素のためのショック状態に陥り、死亡の危険度は高まります。

急性汎発性腹膜炎を薬で治すことはまず不可能で、緊急手術を行うことになりますので、夜間であろうと、手術のできる病院へできる限り早く行くことが大切です。

病院での診断と検査と治療

医師の腹部所見により、まず、押すと痛む圧痛、筋性防御、ブルンベルグ徴候、腸雑音の有無を調べます。

圧痛は、部位が限られているため、鑑別診断に有用です。圧痛が腹部全体に及ぶ急性汎発性腹膜炎の時も、原因となる疾患の部位の圧痛が特に強くみられます。

筋性防御は、腹壁側の腹膜の炎症を示す所見として、診断に有用です。初期では、軽い触診で腹壁の筋肉の緊張として触知されますが、病状が進行すると、腹筋は硬く緊張して腹壁反射は消え、板のように硬くなる状態になります。

ブルンベルグ徴候は、腹部の病変を圧迫した手を急に離すことで周囲に痛みが響く所見です。腸雑音は、腸管の麻痺(まひ)のために低下します。

急性腹膜炎の検査では、血液検査と画像検査が有用です。血液検査では、白血球が増えて、炎症反応を示すCRPが陽性になります。画像検査では、腹部単純X線、腹部超音波、腹部CTが有用です。

特に、消化管の穿孔の場合には、腹部単純X線で横隔膜下の空気遊離像(フリーエアー像)が診断の決め手になります。そのほか、急性胆嚢炎、急性膵炎などの原因になる疾患の区別には、腹部超音波、腹部CTが有用です。

原因によって治療は違い、予後も異なります。消火管の穿孔による汎発性腹膜炎では、火元となった原発巣の処置、排膿などを目的として、早期に開腹手術や腹腔鏡下手術などが行われます。治療が早いほど、予後は良好です。

消化管の穿孔がなく、腹膜炎の部位が盲腸周囲、横隔膜下、ダグラス窩などに限られている限局性腹膜炎の場合には、補液、抗生剤の投与により保存的に治療することで治ることもありますが、基本的には早期の緊急手術を必要とすることがほとんど。適切な治療が行われれば、予後は良好です。

🇸🇪急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)

突然眼圧が高くなり、激しい目の痛みや頭痛が生じる緑内障

急性閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障とは、眼内液である房水の出口を虹彩(こうさい)の根部がふさぎ、房水の流出が障害されて、急激に眼圧が上昇する疾患。緑内障発作、閉塞隅角緑内障とも呼ばれ、放置すれば短期間に失明する可能性がある疾患です。

房水の出口である前房隅角部が狭くなっている場合に、起こりやすくなります。その原因としては、生まれ付きの素因、また、強い遠視や老化のために、水晶体が膨らんで虹彩を持ち上げ、隅角部が狭くなることが挙げられます。さらに、精神的過労、睡眠不足、精神的な興奮、さまざまな生活上の誘因も考えられます。

高頻度でみられるのは、50歳以上の遠視の女性です。

自覚症状としては、急激な視力障害と、裸電球を見ると回りに虹(にじ)が見える虹視が特徴的。黒目の白濁、白目の充血、瞳孔(どうこう)の散大が起こるほか、激しい眼痛、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などを伴うこともあります。頭痛や嘔吐が激しい時は、ほかの内科的疾患と誤りやすいので、注意が必要です。

この急性閉塞隅角緑内障の経過は急激で、視神経の急激な血行不良から神経線維が一気に、大量に死滅し、時には1日で失明してしまいます。発作が起きたら、数時間以内に専門医を受診します。

急性閉塞隅角緑内障の検査と診断と治療

急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)では、目の症状以外に頭痛、吐き気、嘔吐などの全身症状がみられるため、眼科以外の内科や脳外科などの診療科を受診してしまうことがありますが、視覚障害がないかどうかの確認をすることが重要です。

眼科の医師による検査では、通常は60〜80mmHgの急激な眼圧上昇と、隅角検査で閉塞隅角、充血や瞳孔の散大を認めます。

治療では、まず目を冷やし、グリセリンの内服、縮瞳剤の点眼、高浸透圧剤の点滴などで、眼圧を下げるようにします。しかし、多くは再発するため、眼圧が下がったら、房水の出口を閉じている周囲虹彩切除を主とした手術や、レーザーによる虹彩切開を行います。

最初は片方の目だけに発作が起こっても、早晩、両目に起こることが多いので、予防のために、もう一方の目の虹彩切除、またはレーザー切開が必要です。

あらかじめ、急性閉塞隅角緑内障を起こす危険性があることがわかれば、予防的処置を講ずることができますので、強い遠視の人、40歳すぎの人、眼球の前部にある前房が浅い、眼球が小さいなど生まれ付きの素因があると指摘されたことのある人では、定期的に緑内障の眼圧検査を受けることが大切です。

日常生活では、紅茶、酒、コーヒーなどを大量にとることを控え、水分も控えます。加えて、精神的ストレスのたまらない生活を送るように心掛けます。

🇸🇪急性膀胱炎

細菌が原因で起こる急性の膀胱炎で、女性に多いのが特徴

急性膀胱(ぼうこう)炎とは、細菌が原因で膀胱内の粘膜に炎症が起こる疾患。一般的に膀胱炎と呼ばれる疾患のほとんどは、この急性膀胱炎だといわれています。

女性に多いのが特徴で、特に妊娠可能な年齢で多発しますが、男性にも起こります。

症状は急激ながら経過は短く、泌尿器科の疾患では最も普通にみられます。原因の大部分は細菌感染で、大腸菌が最も多く、ブドウ球菌、連鎖球菌などによることもあります。細菌以外の原因としては、ウイルス感染、放射線、薬剤によるものなどがありますが、頻度はそれほど多くありません。

感染経路としては、尿道からの細菌の侵入が最も多く、腎(じん)臓からの感染、周囲の臓器からの感染もあります。この疾患が女性に多発する理由として、尿道が男性に比べて短いために細菌が尿道に入りやすいこと、細菌のいる腟(ちつ)や肛門と尿道との距離が近いことなどが挙げられます。

普通の健康な状態では、膀胱内に細菌が入ったからといっても、膀胱は細菌に対して抵抗力があり、排尿により細菌は外に排出されるため、必ずしも膀胱炎になるわけではありません。しかし、ストレスや過労による疲れ、風邪や無理なダイエットなどでの体力低下、尿の停滞、排尿の我慢のしすぎ、便秘、不潔な性交、妊娠、冷えなどが誘因となった場合に発症します。

男性では、膀胱炎は女性ほど一般的ではありません。男性はまず尿道が感染し、その感染が前立腺(ぜんりつせん)から、膀胱に広がって発症します。

症状としてみられるのは、頻尿、残尿感、尿の出が悪い、排尿時の痛み、尿の濁りが特徴。発熱はほとんどみられません。高熱や腰痛が出た場合は、腎盂腎炎(じんうじんえん)などの疾患が疑われます。

女性の場合、内科や婦人科で治療を受けることがありますが、なかなかよくならない、膀胱炎を繰り返す、血尿が出た場合は、専門の泌尿器科を受診することが勧められます。

泌尿器科の医師による診断では、尿に混濁がみられ、尿検査では膿尿(のうにょう)、尿中に白血球と細菌が混入した細菌尿が認められます。通常、血液検査やX線検査では異常は認められず、臨床症状と尿検査から診断されます。

医師による治療では、原因菌に有効な抗生物質、抗菌剤が投与されます。一般に女性では、合併症が起こっていなければ、2~3日で症状は軽快します。感染が長引く際には、薬剤を7~10日間服用します。男性では投与期間が短いと再発を繰り返すため、一般に薬剤を10~14日間服用します。原因菌の種類によっては薬剤が効きにくいこともあり、薬剤の種類を変えることもあります。

男女とも、水分の摂取を多くして尿量を増やし、細菌を洗い流すほか、尿の刺激性を低下させて症状を和らげます。症状の強い際は、体の抵抗力を落とさないために、十分な休息、睡眠を確保するようにします。

🇪🇪急性網膜壊死

ヘルペスウイルスの眼内感染が原因で、網膜とぶどう膜に炎症が起こる疾患

急性網膜壊死(えし)とは、単純ヘルペスウイルスや水痘(すいとう)・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスの眼内感染によって、網膜とぶどう膜に炎症が起こる疾患。桐沢型ぶどう膜炎とも呼ばれます。

重症の疾患の一つで、高度の網膜血管炎による血流障害から網膜の壊死を起こし、また高頻度に網膜剥離(はくり)を合併し、しばしば高度の視力障害を来します。

主要原因ウイルスとして、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、水痘・帯状疱疹ウイルスが確認されています。これらのウイルスは成人ではほとんどがすでに感染していて、体内に潜伏していると考えられていますが、多くの場合、生涯にわたり特に問題なく経過します。

しかし、この急性網膜壊死では、これらの潜伏していたヘルペスウイルスが再活性化することにより、疾患を起こします。健康な人にも生じるため、再活性化の原因は明らかではありませんが、何らかの免疫異常が関与している可能性が示唆されています。

突然、主に片方の目の虹彩(こうさい)、毛様体に、やや強い炎症が起こり、角膜と水晶体との間にある前房や、水晶体の後面に接していて眼球の内容の大部分を占める硝子体の混濁、飛蚊(ひぶん)症や視力低下、高眼圧などの症状が出ます。

急速に進行すると、網膜血管が閉塞(へいそく)し、眼底の前方から後方に向かって網膜の壊死が始まります。壊死の部分は黄白色に変化し、網膜に強い炎症とむくみが生じ、網膜が強く損傷、破壊され、多数の穴ができて網膜剥離が起きます。網膜剥離が起こると、高度の視力障害を来し、最終的に失明にまで至ることがあります。

急性網膜壊死は6対1の割合で片方の目に起こりますが、両方の目に起こる場合は発症の時期に差のあることがあります。

急性網膜壊死の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、症状から急性網膜壊死を疑い、前房水を採取したり、硝子体の悪い部位をこすり取ったりして、その中に原因となっているヘルペスウイルスがいないかどうかを調べます。

一般には、ヘルペスウイルスを分離するのはごく一部の専門の施設でないと行えないため、ウイルスの持っている蛋白(たんぱく)に反応する抗体を用いた蛍光抗体法や、ウイルスのDNAを検出するPCRという方法を使用します。

眼科の医師による治療では、網膜の壊死を防ぐために、抗ウイルス薬のアシクロビルやバラシクロビルの全身投与あるいは眼内注射を行い、補助的にステロイド剤、抗血小板薬のバイアスピリンの投与を行います。

網膜剥離に対しては、その発症予防にレーザー光凝固術を行い、発症後は網膜剥離手術、硝子体手術を行います。

予後は大変不良ですが、近年の抗ウイルス薬の進歩、レーザー治療、硝子体手術の進展に伴い、治療成績は改善してきています。

🇪🇪急性腰痛症

重い物を持ったりした時などに突然、起こる腰の激痛

急性腰痛症とは、中腰で重い物を持ったり、腰をひねったりした弾みに、あるいは特別な切っ掛けもないのに、急激に激しい腰痛が起こり、そのために腰の運動が障害される疾患。通称では、ぎっくり腰と呼ばれます。

普通、腰痛以外には、ほかの異常はありません。20歳代、30歳代の若い層の人たちにもみられますが、40歳代、50歳代の中年すぎの人たちに多くみられます。

原因としては、単純な腰の筋肉の肉離れのほか、腰椎(ようつい)のねんざや椎間板ヘルニアなどのような脊椎(せきつい)に異常のある疾患、さらに、老人では脊椎の圧迫骨折などが考えられます。

腰痛が数日のうちに消えていく場合、あまり心配する必要はありません。しかし、安静にしていられず治らないうちに仕事などを再開したことで再発して、そのまま慢性化してしまう事例も少なくありません。

急性腰痛症の検査と診断と治療

とりあえず安静を保ち、できればじっと寝ていることが大切です。硬めの布団で一番楽な姿勢で休みますが、コルセットを着けるか、さらしを巻くのも有効です。強い痛みがあれば、貼付(ちょうふ)薬を張ったり、冷湿布を行います。

症状によっては、整形外科医に診てもらいます。時期によって、ホットパックなどの温熱療法や、腰の牽引(けんいん)療法が効果的です。ほかに、鎮痛剤の注射や内服療法などを行うこともあります。

予防策として、無理な姿勢で荷物を持ち上げたりしないように心掛けることや、極端に重い物はなるべく持たずにすむように、物の収納法などをふだんから工夫しておくことも有効です。また、ふだんから軽度の運動をして、腰回りから背中にかけての筋肉全体が弱らないようにしておくことも、それなりに有効です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...