2022/08/15

🇬🇱肥満細胞症

皮膚や、体のさまざまな部位に肥満細胞が異常に蓄積する疾患

肥満細胞症とは、皮膚や、時として体のさまざまな部位に肥満細胞が異常に蓄積する疾患。珍しい慢性疾患です。

マスト細胞とも呼ばれる肥満細胞の数が増加して、数年かかって組織に蓄積すると発症します。肥満細胞は免疫システムを構成する細胞の仲間で、アレルギー反応や胃酸の分泌に関与する物質であるヒスタミンを産生します。この肥満細胞症では肥満細胞の数が増えるので、ヒスタミンの量も増加します。しかし、何が原因で肥満細胞の数が増えるのかは、わかっていません。

肥満細胞症には、主として皮膚に症状が現れる皮膚肥満細胞症と、ほかの部位に症状が現れる全身性肥満細胞症があります。

皮膚肥満細胞症にかかるのは、ほとんどが小児です。生後6カ月までの乳児では、腕や下肢の皮膚の一カ所に肥満細胞が増殖して固まり、肥満細胞腫(しゅ)ができることがあります。多くは単発性であり、症状は現れません。

より頻繁にみられるのは、肥満細胞が皮膚のあちこちに蓄積して、小さくて赤みがかった褐色の発疹(はっしん)や丘疹をつくる色素性じんま疹です。生後2年以内の小児に発症することが多いものの、成人になってから発症することもあります。

小児の色素性じんま疹は、ほとんどが自然治癒するといわれていますが、成人の色素性じんましんは慢性の経過をたどることが多いようです。また、小児の色素性じんま疹が進行して全身性肥満細胞症になることはめったにありませんが、成人では全身性肥満細胞症になることがよくあります。

一方、全身性肥満細胞症にかかるのは、ほとんどが成人です。全身性肥満細胞症では、肥満細胞が皮膚、胃、腸、肝臓、脾臓(ひぞう)、リンパ節、骨髄に蓄積します。

この場合も、組織がほとんど影響を受けずに機能し続ける可能性はありますが、白血球が産生される骨髄に過剰に肥満細胞が蓄積すると、血液細胞を十分に産生できなくなって、骨髄球性白血病などの重い血液疾患を発症します。そのほかの臓器でも、肥満細胞が多数集まると機能不全が起こり、結果として生命にかかわることがあります。

色素性じんま疹では、発疹や丘疹をこすったり引っかいたりするとかゆくなることがあります。かゆみは、温度の変化、衣類などによる摩擦、薬の使用などでひどくなることがあります。熱い飲み物、香辛料の入った食品、アルコール類の摂取、そして運動によってもかゆみが増す場合があります。

かゆい部分をこすったり、引っかいたりすると、じんま疹になったり皮膚が赤くなったりします。赤く火照ったり、反応が広範囲に広がりアナフィラキシー反応を起こすこともあります。

全身性肥満細胞症では、かゆみと発赤が起き、顔面紅潮もよく起こります。消化性潰瘍(かいよう)も起きることがありますが、これはヒスタミンが過剰に産生されて胃酸の分泌を促進するためです。潰瘍によって腹痛が起き、吐き気、嘔吐(おうと)、慢性の下痢が起きることもあります。

さらに、肝臓と脾臓が機能不全を起こして腹水がたまった場合は、腹部が膨隆します。骨髄で肥満細胞が増殖すると、骨の痛みが現れます。

症状は広範囲にわたり、重症化して、失神したり生命にかかわるほど血圧が急激に低下するアナフィラキシー様反応を引き起こす傾向があります。アナフィラキシー様反応とは、アナフィラキシー反応に似ていますが、アレルゲンによって引き起こされるものではありません。

肥満細胞症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な症状から肥満細胞症を疑い、皮膚または骨髄の生検により診断を確定します。通常は皮膚の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べます。骨髄の組織を採取して、顕微鏡を使って肥満細胞の有無を調べることもあります。

また、血液検査で肥満細胞に関連する化学物質の量を調べます。化学物質の量が増えていれば、全身性肥満細胞症と診断する根拠になります。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、色素性じんま疹の場合には、皮膚症状によってステロイド外用剤の塗布、あるいはステロイド剤の局所注射を行います。皮膚症状の悪化やかゆみを抑制するために、抗ヒスタミン剤の投与も有効です。

全身性肥満細胞症の場合には、抗ヒスタミン剤と、胃酸を抑えるヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)剤(H2ブロッカー)を投与します。クロモグリク酸を投与すると、消化器症状と骨の痛みを軽減できます。アスピリンは顔面紅潮には有効ですが、ほかの症状を逆に悪化させることがあります。

白血病を発症した場合には、抗がん剤を週に1回、皮下に注射すると、骨髄への影響を抑えられることがあります。短期間であればステロイド剤の投与も効果的です。しかし、3~4週間を超えて投与を続けると、さまざまな重い副作用が起きることがあります。

脾臓に多量の肥満細胞がたまっている場合には、脾臓を摘出することがあります。

🇬🇱白血球増加症

細菌の感染などによって白血球が異常に増加

白血球増加症とは、骨髄は正常にもかかわらず、白血球が異常に増加する疾患。未熟な白血病細胞が骨髄の中で異常に増殖する白血病以外の疾患に起因したり、はっきりとした原因が見当たらないものが相当します。

白血球は、体内に進入した細菌や異物を取り込んで、消化分解し、体を守っています。健康な人の血液には、1立方ミリメートル中に4000〜9000個の白血球、平均して7000個くらいの白血球が含まれていますが、個人差が大きく、また同一人でも測定条件いかんによってかなり変動します。このために、はっきりした数を挙げるのは難しいのですが、1万個以上あれば一応、白血球増加症と見なされます。

白血球には好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類の細胞があり、そのどれかが増えれば白血球全体として増加することになります。なお、白血病では、正常には存在しない種類の白血球が出現し、白血球増加症が起きます。

最もしばしば起こるのは、好中球増加による白血球増加症。局所的な化膿(かのう)や、全身性の細菌感染症、がん、心筋梗塞(こうそく)、やけど、手術などに際してみられます。虫垂炎の診断では白血球数を調べますが、この時に増加しているのは好中球です。副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬などの薬剤で、好中球が増えることもあります。

好酸球増加は、ぜんそくやじんましん、そのほかの皮膚症状を起こすアレルギー疾患、寄生虫感染症、ホジキン病など、さまざまな原因で起こります。元来、好酸球の数は少ないために、白血球数全体に影響を及ぼすほど著しい増加を来すことは、あまりありません。

好塩基球増加、単球増加に至っては、いっそうまれです。単球が増えても普通、明らかな白血球増加症を引き起こすには至りません。

リンパ球増加は、百日ぜきやウイルス性感染症などで好中球が減った際に、見掛けの上で生じるにすぎません。絶対数は正常にとどまることが多く、リンパ球が増加したための白血球増加症は、まれといってよいでしょう。

白血球増加症の検査と診断と治療

白血球増加を指摘された場合、感染症や炎症性疾患、アレルギーなどの原因がはっきりしていれば、それぞれの担当科で原因疾患の治療を行います。原因疾患がはっきりしていない場合は、白血病などの重い疾患である可能性もあるため、血液内科への受診が必要です。

治療は、いずれも原因となっている疾患を治療することで、白血球の数も正常に戻ります。

しかし、健康でも基準値から外れる人もあり、白血球数が多いことが必ずしも異常でないこともあります。また、運動、寒冷、精神的ストレス、妊娠などにより、白血球が増えることもあります。

🇻🇳白血病

白血病細胞が骨髄で増殖し、正常な血球成分の産生を抑制

白血病とは、未熟な細胞である白血病細胞が骨髄の中で異常に増殖するため、正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまう疾患。白血病細胞が増殖すると、血液が白く見えるところから、白血病と名付けられました。

血液のがんともいわれる白血病を発症すると、未熟な白血病細胞が骨髄を占領するために正常な血液を作る能力が障害され、赤血球、白血球、血小板が減少してきます。そのため、赤血球の減少による貧血、白血球の減少による感染、血小板の減少が原因となって出血が起こったりします。また、白血病細胞が血流に乗って全身の臓器に浸潤してその働きを障害し、肝脾腫(かんひしゅ)、リンパ節の腫大、骨痛、歯肉の腫脹(しゅちょう)などいろいろな症状を起こし、生命を脅かします。

白血病は、疾患の進行の速さと、がん化する細胞のタイプによって、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病という4つのグループに大別されます。急性白血病は急速に進行し、慢性白血病はゆっくりと進行します。リンパ性白血病では、リンパ球やリンパ球を作る細胞ががん化します。骨髄性白血病では、好中球、好塩基球、好酸球、単球を作る細胞ががん化します。

日本では、白血病発生率は年々増加傾向にあり、2006年では人口10万人当たり5.9人で、年間7400 人以上が死亡しています。男性は人口10万人当たり7.1人 、女性は人口10万人当たり4.7人で、男性のほうが多いのは他のがんと同様です。白血病は小児から高齢者までまんべんなく発生しますが、高齢者では発生率はより高くなり、70〜74歳代では年間人口10万人当り男性23.1人、女性11.8人、80〜84歳代では男性38.9人、女性18.3人になります。ただし、多くは前白血病状態と考えられている骨髄異形成症候群関連の白血病です。

急性白血病と慢性白血病の比は、約4:1です。急性白血病のうち、急性骨髄性白血病(AML)と急性リンパ性白血病(ALL)の比は、成人では約4:1、小児では逆に約1:4です。慢性白血病のうち、慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病の比は約9:1です。

白血病の原因は不明ですが、放射線被曝(ひばく)やある種の染色体異常、免疫不全症がある場合に、発症頻度が高いことが知られています。小児急性リンパ性白血病(ALL)の約80パーセント、小児急性骨髄性白血病(AML)の約70パーセントに染色体の異常がみられることが、明らかになっています。

白血病の検査と診断と治療

まず、血液検査で血球数と白血球分画を調べます。末梢(まっしょう)血中に白血病細胞が認められる場合も多く、診断への手掛かりになります。

診断のためには骨髄検査が必須で、骨髄細胞をメイ・ギムザ染色やその他の特殊染色で染色し、顕微鏡で細胞の性質を検討します。また、細胞表面マーカーや染色体検査を行うことにより、白血病の病型の確定と予後の推測に役立ちます。

急性白血病の治療の目標は、体内から1個残らず白血病細胞を根絶させることです。抗がん薬の投与が治療の中心になり、有効性が明らかにされている複数の薬剤を併用して用います。

まず、寛解(かんかい)導入療法を行い、完全寛解という状態にすることを目標にします。完全寛解とは、骨髄中の白血病細胞が5パーセント以下で末梢血液が正常化し、白血病による症状が認められない状態です。しかし、完全寛解になっても発症時に体内にあった10の12乗個の白血病細胞が10の9乗個程度に減少したにすぎず、ここで治療を終了すると再発してしまいます。このため急性リンパ性白血病(ALL)では、引き続き地固め、中枢神経再発予防、強化、維持療法と呼ばれる治療を約2〜3年行います。急性骨髄性白血病(AML)では、強化療法を5〜6回行います。

急性リンパ性白血病(ALL)でフィラデルフィア染色体陽性例、診断時の白血球数高値や、乳児・年長児で寛解導入療法に反応しない場合、急性骨髄性白血病(AML)で予後不良と考えられる染色体異常がみられる場合などでは、造血幹細胞移植が行われます。

白血病の治療は化学療法が中心ですが、治療による骨髄抑制下での感染症の治療、抗がん薬の副作用対策などの補助療法が重要です。化学療法の経験が十分にある施設で治療を行うことが望まれます。日本では現在3つの小児白血病治療グループがあり、よりよい治療法を確立するための治療研究が行われています。

🇻🇳バッセン・コルンツヴァイク症候群

深刻な結果を招くほど脂質濃度が低下する遺伝性疾患

バッセン・コルンツヴァイク症候群とは、血液に含まれる脂質濃度が低下して著しい低脂血症を示す、まれな常染色体劣性遺伝疾患。アメリカの医師であるフランク・バッセンとエイブラハム・コルンツヴァイクが1950年に、初めて報告しました。

無βリポ蛋白(たんぱく)血症、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)欠損症とも呼ばれます。

アポB含有リポ蛋白であるカイロミクロン、VLDL(超低比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)が血液中に欠損しており、乳児期から著しい低コレステロール血症、および低トリグリセライド(中性脂肪)血症を来します。

原因は、MTP(ミクロソームトリグリセライド〔中性脂肪〕転送蛋白)遺伝子の変異です。

MTPは、肝臓と小腸で合成されたアポ B 蛋白にトリグリセライド(中性脂肪)が転送され、VLDL(超低比重リポ蛋白)とカイロミクロン粒子が形成される過程に不可欠。肝臓での VLDL(超低比重リポ蛋白)の産生により末梢(まっしょう)組織に必要なコレステロールの輸送がなされ、小腸でのカイロミクロンの形成により脂肪が吸収されます。MTPの欠損により、トリグリセライド(中性脂肪)と結合しないアポ B蛋白は速やかに分解されて、血液中に分泌されません。

本来なら、トリグリセライド(中性脂肪)と結合したアポB蛋白は、LDL(低比重リポ蛋白)と略されるβリポ蛋白、VLDL(超低比重リポ蛋白)と略されるプレβリポ蛋白として血液中に分泌され、脂溶性の物質を吸収したり、運搬したりします。従って、血液中にβリポ蛋白、プレβリポ蛋白がないと、脂肪やビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンなど多くの栄養素が臓器や組織に運ばれず、さまざまな症状が起こってきます。

バッセン・コルンツヴァイク症候群の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。脂肪吸収の障害により、授乳開始とともに便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。慢性下痢、嘔吐(おうと)も生じます。

また、ビタミンEを始めとした脂溶性ビタミンの吸収障害により、思春期までに網膜色素変性による夜盲、視野狭窄(きょうさく)、視力低下などの目の症状が生じ、失明する可能性もあります。中枢神経系の損傷による運動失調症や精神遅滞、末梢神経系の損傷による知覚低下や腱(けん)反射消失などが起きる可能性もあります。

未治療のケースでは、30歳前後までに中枢神経系の損傷により、歩行など通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されることもあります。

バッセン・コルンツヴァイク症候群の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液検査で血中のコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の値を測定します。朝食前の空腹時に採血します。

血中の総コレステロールの値が50mg/dl未満、血中のトリグリセライド(中性脂肪)の値が15mg/dl 未満で、特徴的な脂肪便、神経症状、目の症状が認められる場合に、バッセン・コルンツヴァイク症候群と確定します。

鑑別する疾患には、家族性低βリポ蛋白血症、カイロミクロン停滞病(アンダーソン病)、甲状腺(せん)機能高進症があります。

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂溶性ビタミン、特にビタミンEのサプリメントを使用し、多量に補充します。

バッセン・コルンツヴァイク症候群は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、幼児には1日1000〜2000mg、成人には5000〜10000mgの脂溶性ビタミンを長期にわたって大量に補充することによって、中枢神経系の損傷の発生と進行を遅らせることができます。

消化器症状に対しては、脂肪の摂取、特に長鎖脂肪酸の摂取を制限します。栄養障害に対しては、カイロミクロンを経ずに吸収される中鎖脂肪酸を補充することもあります。

🇻🇳発達障害

脳の機能的な問題が原因

発達障害とは、乳児期から幼児期にかけての発達過程が何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された症状の総称。基本的には、脳の機能的な問題が原因で起こるものです。

脳医学の進歩により、今までは落ち着きがない、集中力がない、親の躾(しつけ)がなってないといわれていた子供たちの脳に、発達の遅れや障害が見付かるようになり、それぞれの症状に応じて名称が付けられています。どの発達障害にも共通しているのは、人とのコミュニケーションが苦手という点です。

多くの子供たちは成長とともに、障害を適切な療育や教育によって克服したり、投薬で自己コントロールの方法を学んでいきます。大人になっても発達障害の克服が難しい場合は、障害者手帳の交付などを受けて、福祉支援を受けることができます。

発達障害の代表的なものとして、知的障害(精神発達遅滞)、広汎性発達障害(自閉症)、高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)などがあります。

発達障害の原因は遺伝子異常、染色体異常、体内環境の異常、周産期の異常、生まれた後の病気や環境などさまざまですが、多くの場合、はっきりとした原因はわかりません。養育態度の問題など心理的な環境要因や教育が原因となったものは、発達障害に含めません。

学術的には、発達障害に知的障害を含みますが、一般的に、あるいは法律上は、知的障害を伴わない軽度発達障害だけを指します。平成17年4月に施行された発達障害者支援法も、知的障害者以外の軽度発達障害者だけを支援対象として規定しています。

軽度発達障害は、高機能広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害の3つが代表的なものです。この軽度発達障害の子供では、障害の程度が軽く、一見普通と変わらないた、社会での認知度が低く、わがままや育て方の問題などとされていることが少なくありません。学童期の子供の5~6パーセントが軽度発達障害と考えられており、とりわけ教育現場での適切な対応が求められています。

発達障害のそれぞれの症状

知的障害(精神発達遅滞)は、年齢相応の知的能力がなく、社会的自立の上で支援が必要とされます。ダウン症など染色体異常によるものもありますが、原因が特定できないものも多くあります。人口の2~3パーセントが該当すると見なされ、知的障害者の福祉制度を利用することが可能です。

広汎性発達障害(自閉症)は、主たる兆候が幼児期に顕著。生後3年以内に下記の3つの兆候が同時にある場合に、自閉症と診断されます。(1)社会性の障害で、他者とのやりとりが苦手、他者の意図や感情が読み取りにくい、仲間を作ることが苦手。(2)コミュニケーションの障害で、言葉の発達が遅れる、おうむ返しが多い、会話が一方的で自分の興味関心事だけ話す、ごっこ遊びや物まね遊びができない。(3)こだわり行動で、興味の偏りと決まりきったパターンへの固執、同じ行動をいつまでも繰り返す。

人口の0.5パーセント程度が自閉症に該当すると見なされ、知的障害者の福祉制度を利用することが可能です。

高機能広汎性発達障害 (アスペルガー症候群・高機能自閉症)は、自閉症と同じ幼児期の兆候を持ちますが、発達するにつれて症状が目立たなくなります。自閉症と診断されても、知的な遅れのないものが高機能自閉症で、さらに言葉の発達に問題を持たないものがアスペルガー症候群です。

知的には標準またはそれ以上で、関心ある領域には博士並みの知識を持っていることがあり、自分の気持ちがすむかどうかへのこだわりがあります。また、動作が不器用であることが少なくありません。中核症状である社会性の障害は軽くはなく、仕事の得手不得手があり、あいまいなことの判断に迷うなど、社会的自立においては大きな問題を持ちます。

注意欠陥多動性障害(AD/HD)は、(1)注意集中が難しい、(2)多動、落ち着きがない、(3)衝動的、思い付いたらた行動に移してしまう、の3つが同時にある場合に、障害と診断されます。学業や社会的な活動に支障を来し、集団生活が始まると特徴が次第にはっきりしてきます。

「注意集中が難しい」は、忘れ物が多い、気が散りやすい、指示に従えず授業を最後までやり遂げられない、気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避けるなどの症状を指しています。「多動」は、すぐに席を離れてしまう、手足をいつもそわそわ動かしている、しゃべりすぎるなどが特徴です。「衝動的」は、順番を待つのが難しい、他の人がしていることを遮ったり、じゃましたりする、すぐにキレて手が出てしまうなどの症状です。チックを伴っていることもよくあり、人口の3パーセント程度が該当すると見なされますが、薬物療法が著効する場合もあります。

学習障害(LD)は、一般的な知的発達は標準またはそれ以上ですが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定能力の一部だけの習得と使用に困難を示し、学力の著しい偏りがあります。読み書きがとても不得意、数の概念がわからず計算ができない、テストの問題の意味がわからないといった症状がみられます。注意集中力や落ち着きがない場合や、不器用な場合もあります。人口の5パーセント程度が該当するというデータもあります。

以上の発達障害の、それぞれの症状とは別に、周囲から障害を理解されないために、家族から虐待されたり、同級生や教師から不当ないじめにあったりすることが、少なくありません。それによって2次的に心因反応が起こったり、身体化症状が出たりすることがよくあります。

一般的な治療法と生活上の注意

児童精神科医、小児神経専門医を始めとした医師による診断では、面接や診察、質問用紙や発達テストなどを使って、症状を調べます。実際には、それぞれの病気がきちんと分かれて診断されるとは限らず、症状が重なっていることが少なくありません。

また、それぞれのの発達障害に対する根本的な治療はなく、どのように社会に適応していくかということが大切になります。

高機能広汎性発達障害は、基本的には治る病気ではありません。社会生活でのトラブルをたくさん経験することになりますが、青年期を上手に過ごすことができれば、その後の生活も安定して過ごせることが多いといわれています。

注意欠陥多動性障害は、その約3分の1は自然に治ります。しかし、約半数は成人になっても障害を持ち続け、社会生活のトラブルの原因となることがあります。

この注意欠陥多動性障害には、中枢神経興奮剤の塩酸メチルフェニデートが有効とされています。この薬には覚醒(かくせい)作用があり、多動を抑制し集中力を高める効果があります。

しかし、効果は3~4時間と短いため、学校での生活に合わせて朝1回、あるいは朝昼2回服用とします。休日や夏休みには使用しないのが、一般的です。副作用として食欲不振、興奮、チック症状の悪化などがあります。実際によく使われていますが、日本の保険制度では効能、効果として注意欠陥多動性障害は認められていません。6歳未満の小児では安全性が確立していないため、使用しないことになっています。

塩酸メチルフェニデートの効果がない場合、抗うつ薬のイミプラミンが有効なことがあります。また、中枢性降圧剤のクロニジンも有効なことがあり、特にクロニジンはチック症状にも効果があるとされています。

薬物は根本的な治療ではないとして、治療に反対する意見もあります。アメリカでは、注意欠陥多動性障害の治療のために塩酸メチルフェニデートを投与されていた大人や子どもに死亡例があることを、食品医薬品局(FDAF)が公表し、注意を促しています。

学習障害は、障害がなくなるということはありません。しかし、自分をきちんと理解し適切な仕事につければ、普通の社会生活を送ることができます。

🇺🇦バッド・キアリ症候群

肝臓から出る血液の流れが悪くなり、門脈圧高進症などの症状を示す疾患

バッド・キアリ症候群とは、肝臓から出る血液の流れが悪くなるために、腸から肝臓につながる血管である門脈の血圧が上昇し、門脈圧高進症などの症状を示す疾患。肝後性の門脈圧高進症とも呼ばれます。

血液は心臓を中心に循環していますが、肝臓に入った血液は大きな3本の肝静脈から肝臓の外に出て、肝部下大静脈に集められ、心臓に戻ります。従って、肝静脈や下大静脈が何らかの原因で閉塞(へいそく)ないし狭窄(きょうさく)すると、肝臓を巡る血流全体が障害され、門脈圧の上昇から二次的な病態である静脈瘤(りゅう)、脾腫(ひしゅ)、腹水を生じる門脈圧高進症や、肝臓のうっ血を起こします。

原因がはっきりしない場合を原発性バッド・キアリ症候群といい、肝腫瘍(しゅよう)、炎症、腹部外傷、血液疾患、血管炎、血液凝固異常、経口避妊薬の使用など、原因が明らかな場合を続発性バッド・キアリ症候群といいます。原発性バッド・キアリ症候群が約70パーセントを占めており、なぜ肝静脈や下大静脈の血管が詰まりやすいのか、はっきりしたことはわかっていません。

また、バッド・キアリ症候群は比較的まれなものと考えられてきましたが、超音波検査の普及に伴い、発生例が増えています。経過からみると急性型と慢性型とに分けられ、日本ではほとんどが慢性型で、下大静脈の閉塞か狭窄によるものです。

急性型では腹痛、吐血、肝腫大、腹水がみられ、時に重篤な経過をたどり急性肝不全で死亡することもあります。これに対し、慢性型は数週から数カ月という経過の中で軽度の腹痛や肝臓の腫大が生じるようになりますが、腹痛は現れないこともあります。

下大静脈の閉塞の症状として、腹部や胸部の静脈が怒張して皮膚に血管が盛り上がって見えたり、下肢の浮腫が生じます。門脈圧高進症の症状は必発で、食道静脈瘤、胃静脈瘤、腹水がみられるようになります。脾臓が大きくなると脾機能高進症という状態になり、貧血を来すようになります。また、静脈瘤の血圧が上昇すると、静脈の血管が耐えきれな くなって破裂、出血し、吐血、下血などの症状が出ます。

バッド・キアリ症候群の検査と診断と治療

内科、消化器科の医師による診断では、静脈からカテーテルを入れて、下大静脈や肝静脈造影を行い、これらの血管系の閉塞、狭窄が証明されればバッド・キアリ症候群と確定します。

最近では、腹部超音波検査、CT、MRIなどの検査も有用です。超音波検査を行うと、下大静脈の閉塞や血栓が見られます。また、超音波ドップラー法という検査を行うと、下大静脈や肝静脈に通常とは逆方向の血流がみられます。

内科、消化器科の医師による治療は、血管の閉塞、狭窄と門脈圧高進症に対して行います。続発性バッド・キアリ症候群の場合は、原因疾患の治療も必要です。

諸検査で血栓が確認されれば、血栓を予防したり、溶解させるために抗凝固療法を行います。また、その病態に応じて、狭窄部のバルーンカテーテルによる狭窄部拡張術や、閉塞、狭窄を直接排除するような手術を選択して行います。

門脈圧高進症の治療は、門脈圧の上昇から生じる二次的な病態である静脈瘤、脾腫、腹水などに対する対症療法が主体となります。中心になるのは食道静脈瘤、胃静脈瘤に対する治療で、予防的治療、待機的治療、緊急的治療があります。

予防的治療は、内視鏡検査により、出血しそうと判断した静脈瘤に対して行います。待機的治療は、静脈瘤の出血後、時期をおいて行うものです。緊急的治療は、出血している症例に止血を目的に行う治療です。緊急的治療では、出血している静脈を収縮させる薬を静脈注射で投与し、失われた血液を補うために輸血をします。大出血に際しては、内視鏡的に静脈瘤を治療します。

静脈瘤の治療は、1980年ころまでは外科医による手術治療が中心でしたが、最近では内視鏡を用いた内視鏡的硬化療法、静脈瘤結紮(けっさつ)療法が第一選択として行われています。

内視鏡的硬化療法には、直接、静脈瘤内に硬化剤を注入する方法と、静脈瘤の周囲に硬化剤を注入し、周囲から静脈瘤を固める方法があります。どちらも静脈瘤に血栓形成を十分に起こさせることにより、食道への側副血行路と呼ばれるバイパスを遮断するのが目的です。静脈瘤結紮療法は、特殊なゴムバンドで縛って静脈瘤を壊死(えし)に陥らせ、組織を荒廃させ、結果的に静脈瘤に血栓ができることが目的となります。

胃静脈瘤に対しては、血管造影を用いた塞栓(そくせん)療法も用いられます。また、門脈圧を下げるような薬剤を用いた治療、手術が必要な症例もあり、手術では側副血行路の遮断や血管の吻合(ふんごう)術が行われます。

出血が続いたり再発を繰り返す場合は、外科処置を行って、門脈系と体循環の静脈系の間にシャントと呼ばれるバイパスを形成し、肝臓を迂回(うかい)する血液ルートを作ることがあります。静脈系の血圧のほうがはるかに低いため、門脈の血圧は下がります。

脾腫を伴う場合は脾臓摘出術あるいは脾動脈塞栓術、腹水を伴う場合には利尿剤の投与などが行われます。

🇺🇦パトー症候群

染色体の異常により引き起こされる重度の先天性障害

パトー症候群とは、13番目の常染色体が1本多い、3本あることが原因で引き起こされる重度の先天性障害。13トリソミー症候群とも呼ばれます。

人間の体は、父親と母親からもらった遺伝子情報に基づいて作られます。遺伝子情報は、染色体という生体物質が担っています。一般の細胞の核には、1番から22番までの一対の常染色体が44本、それにXまたはYの性染色体の2本が加わって、合計46本の染色体がセットになって存在します。半数の23本ずつを父親と母親から継承しています。

合計46本の染色体のうち、ある染色体が過剰に存在し、3本ある状態がトリソミーです。卵子や精子が作られる過程で染色体が分離しますが、分離がうまくいかないことがトリソミーを引き起こします。

13番目の常染色体が3本あるトリソミーがパトー症候群で、パトー博士らのグループにより1960年に初めて確認されました。

日本では現在、新生児約5000人に1人の頻度でパトー症候群が発生するといわれ、男児は流産する場合が多いため、女児に多くみられます。母親が高齢、特に35歳以上の場合は、若い母親よりも過剰な染色体が生じる原因となるため、パトー症候群の新生児を産む確率が高くなります。しかし、過剰な染色体が生じる原因は、父親にあることもあります。

パトー症候群のうち、約80パーセントが染色体が3本独立している標準型トリソミー、約15~19パーセントが多い1本が他の染色体についている転座型、約1~5パーセントが正常細胞とトリソミーの細胞が混在しているモザイク型と見なされています。一部の転座型を除き、そのほとんどは細胞分裂時に起こる突然変異だと考えられており、遺伝的な背景は否定されています。

パトー症候群の新生児は明らかな全身の発育不全で生まれ、精神発達遅滞のほか、前頭部の発育不良、無眼球症または小眼球症、虹彩(こうさい)欠損、両眼開離、口唇裂、口蓋(こうがい)裂、耳介の低位、多指、先天性心臓形態異常、臍帯(さいたい)ヘルニアなどの消化管の奇形、揺り椅子(いす)状の足、生殖器の異常、難聴、無呼吸発作、けいれんといった多彩な異常がみられます。

誕生後の予後は一般的に悪く、生後1カ月以内に約半数、1年以内に90パーセント以上が死亡、平均寿命は3~4カ月となっています。モザイク型では、正常細胞とトリソミーの細胞の混在する割合や症状により、 生命予後、成長発達に恵まれる場合もあり、最高齢は日本では19歳、欧米では30歳代となっています。

パトー症候群の検査と診断と治療

産婦人科の医師による出生前の診断では、超音波検査異常または母体血清スクリーニングの異常所見から、パトー症候群と確定します。

小児科の医師による出生後の診断では、特徴的な外見から疑われ、染色体検査で確定します。

小児科の医師による治療では、根本的な治療法がなく予後の改善は見込めないため、さまざまな症状に対する対症療法を行います。症状が安定している場合は、口唇裂、多指、臍帯ヘルニアなどの手術に踏み切ることもあります。

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