2022/08/17

🇱🇰鉤虫症(十二指腸虫症)

鉤虫が人体に寄生することで引き起こされる寄生虫病

鉤虫(こうちゅう)症とは、線虫類に属する鉤虫の幼虫が口や皮膚から人体に入り、成虫となって引き起こす寄生虫病。十二指腸虫症とも呼ばれます。

人間に寄生する鉤虫にはアメリカ鉤虫、ズビニ鉤虫などがあり、口に当たる部分に歯のような器官を持ち、これで小腸粘膜に食いついて血液、および体液を養分として摂取します。大きさは、体長1センチ前後のものがよくみられます。

今の日本では輸入感染症と考えてよく、国内で感染する例はほとんどありません。世界的にみれば、熱帯から亜熱帯の湿潤な地方には鉤虫が広く分布しているので、これらの地域の農村部に仕事や旅行で滞在する時には注意が必要です。

人体の小腸粘膜などにいる成虫から産卵された卵は、糞便(ふんべん)とともに外界に排出され、野菜類などの表面に幼虫として付着しています。ズビニ鉤虫では、野菜を食べることで口から体内に入り、アメリカ鉤虫では、土壌中にいる幼虫が皮膚から人体に移り、1〜2カ月で成熟して小腸上部に寄生します。小腸の一部である十二指腸への寄生は、あまり多くありません。

初期の症状は2〜3日の潜伏期間をへて、腹痛、下痢、嘔吐(おうと)、咽頭(いんとう)の異物感、ぜんそく様発作などが現れます。後期の症状は1〜2カ月の潜伏期間をへて、小腸粘膜から鉤虫に血液などを摂取されるために、鉄欠乏性の貧血、めまいなどが現れます。重症になると、動悸(どうき)、全身倦怠(けんたい)感、頭痛、手足のむくみなどが現れ、まれに毛髪、土、炭など異常な物を食べる異味症が現れることもあります。

鉤虫の寄生数が少ない場合は、目立った症状が現れないこともあります。

鉤虫症の検査と診断と治療

南米やインド、アフリカ、中国などの流行地の農村にある程度の期間滞在したことがあり、帰国して1〜2カ月の間に動悸、息切れ、めまいなどの貧血症状があるなら、この疾患も疑って医療機関を受診し、そのことを医師に伝えます。

医師による診断では、抗体検査も有効ですが、糞便の検査で虫卵を見付けることで確定します。

診断がついたら、駆虫剤のコンバントリン(成分はパモ酸ピランテル)を内服すれば治ります。鉄欠乏の程度がひどい時は、鉄剤も内服します。少数寄生では症状もなく、反復感染しなければ自然に治ります。

🇨🇻後天性陰茎湾曲症

生まれてから生じた異常によって、男性の陰茎が勃起した時に湾曲する状態

後天性陰茎湾曲症とは、生まれてから生じた異常によって、男性の陰茎が勃起(ぼっき)した時に根元から、あるいは途中から湾曲する状態。

上下に曲がる場合や左右に曲がる場合、両方が混在した場合などがあり、陰茎の中ほどから下方向にへの字型に折れ曲がる場合が一番多くみられます。

勃起していない時はほとんど目立たない場合が多いのですが、勃起すると明らかな曲がりが確認できます。湾曲が強いと勃起自体に陰茎の痛みが伴うことがあるものの、勃起していない状態では陰茎の痛みはありません。

陰茎の湾曲のほか、勃起弱化が起こることもあります。

ほとんどの男性の陰茎はどこかの方向に曲がっているものの、大半は真っすぐといえる範囲に収まっています。陰茎湾曲症でも軽度の湾曲は問題ないものの、陰茎の湾曲が強ければ、性行為の際にペニスを挿入しにくかったり、挿入後にすぐに抜けてしまったり、パートナーの女性が痛がったり、男性自身も亀頭部の摩擦が多くて痛みを生じるなどという問題が生じやすくなります。

変形によるコンプレックスや、勃起に伴う陰茎の痛みに対する不安など、精神的なストレスから勃起不全(インポテンツ)に陥ることもあります。

後天性陰茎湾曲症は、陰茎形成性硬結症(ペロニー病)や、外傷による陰茎折症(陰茎折傷)によって生じます。

陰茎形成性硬結症は陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患

陰茎形成性硬結症は、陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患。疾患名は1743年に最初に報告したフランスの医師フランソワ・ジゴ・ラ・ペロニーにちなみ、ペロニー病、パイロニー病、ペイロニー病、陰茎硬化症などとも呼ばれます。

30~70歳代の男性に多く、陰茎海綿体を包む白膜(はくまく)という結合組織に、線維性のしこり(硬結)ができます。白膜は伸び縮みする弾性線維と硬い膠原(こうげん)線維の組み合せでできていて、ある程度伸びると止まる構造になっていますが、膠原線維が増えてしこりになります。しこりは陰茎の陰嚢(いんのう)と反対側の面にできることが多く、すじ状のものから板状で骨のようなものまで、さまざまな形があります。

勃起すると陰茎がしこりのある方向に曲がり、疼痛(とうつう)が起こることもあります。曲がり具合にもよりますが、十分な勃起が得られず、性交に支障を来すこともあります。

平常時は痛くもかゆくもなく、しこりそのものは無害と考えられ、自然によくなることもあります。逆に、徐々に進行することもあります。

詳細な原因は、まだよくわかっていません。慢性陰茎海綿体炎、糖尿病、痛風、外傷などとの関連が疑われています。手の小指や薬指の内側の腱(けん)が引きつって内側に曲がったり、手のひらや足の裏が短縮したりするデュプイトラン拘縮という疾患と一緒に現れることもあります。デュプイトラン拘縮は中年以降の男性に多くみられ、長期にわたるアルコール摂取が危険因子の一つと見なされ、糖尿病に合併することもあります。

陰茎形成性硬結症らしいと思い当たり、性生活に支障を来すようであったり、ほかの疾患、例えば陰茎がんなどとの見極めが困難な場合は、泌尿器科などの医師に相談することが勧められます。

陰茎折症は陰茎に過度の力が加わり、著しく変形したり、はれ上がった状態

陰茎折症は、勃起した陰茎に過度の力が加わったために、あるいは事故などによる外傷のために、陰茎海綿体を包む白膜が断裂して、陰茎が折れ曲がる状態。陰茎折傷とも呼ばれます。

陰茎白膜のみにとどまらず、陰茎海綿体に裂傷が生じたり、尿道海綿体や尿道に損傷が生じることもあります。

年間の発生率は10万人に0・3人との報告もあり、まれです。20〜40歳の性的活動性の高い年齢層に多く発生し、その原因として、自分の手で曲げる行為、性行為、自慰、寝返り、転倒などが挙げられます。

陰茎白膜が断裂する部位は、陰茎中央部が最も多く、陰茎根部、亀頭近接部にもみられます。勃起した陰茎が無理やり曲げられた場合などでは、ほとんどのケースで、伸展して薄くなった陰茎白膜が穀物の茎の折れる音、あるいはガラス棒の折れる音と形容されるようなブチッという異常音を立てて、断裂します。

その瞬間から、激しい痛みが起こります。陰茎は勃起状態から普通の状態に戻るとともに、激痛は持続的な鈍痛あるいは刺痛に変わり、浅陰茎背静脈などの血管の破裂による内出血のために、徐々に皮下血腫(けっしゅ)ができてきます。そして、破裂した部位とは反対側に、陰茎が折れ曲がります。陰茎は著しくはれ上がり、陰茎の皮膚は暗紫色をみせます。

皮下血腫の圧迫により排尿困難を起こしたり、尿道に損傷が生じた場合には、外尿道口からの出血、血尿、尿閉を伴うこともあります。

陰茎根部に接する陰嚢の鞘膜(しょうまく)も破裂すると、鼠径(そけい)部、会陰(えいん)部、恥骨(ちこつ)部に斑状(はんじょう)の皮下血腫ができることもあります。

誘因として尿道炎、尿道周囲炎、尿道狭窄(きょうさく)、陰茎白膜の硬化性変化、陰茎海綿体の変性が挙げられ、陰茎にわずかに異常な外力が加わっただけで陰茎折症が起こりやすく、尿道の損傷などの合併症が起こる危険性が増すともいわれています。

陰茎折症の症状が出たら、早期に泌尿器科、ないし外科の医師を受診する必要があります。放置すると、勃起力の減退、勃起時の陰茎の湾曲、有痛性勃起、勃起障害、排尿障害などが起こり得ます。軽度の場合のはれ上がりがない状態でも、受診は必要になります。

後天性陰茎湾曲症の検査と診断と治療

陰茎形成性硬結症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による陰茎形成性硬結症(ペロニー病)の診断では、特徴的なしこり(硬結)の症状の視診、触診で確定できます。以前に打撲などによる外傷や炎症があったかどうかが、参考になります。超音波検査やMRI検査を行うと、しこりの厚さや大きさを観察でき、しばしば石灰化が確認できます。陰茎知覚異常がある場合には、振動覚測定を行います。

この陰茎形成性硬結症ががんになることはありませんが、しこりや痛みが同じように現れる陰茎がんとの見極めは難しく、正確に診断するためにしこりの一部を切除して組織検査を行うこともあります。

陰茎形成性硬結症に特に有効な根本的な治療法はありませんが、勃起障害の原因となったり、痛みが起こる場合には、超音波治療(体外衝撃波治療)、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射ないし内服、コラーゲン分解酵素の局所注射、ビタミンEの内服、ヘパリン類似物質や非ステロイド系消炎鎮痛薬の軟こうの塗布などが試みられますが、あまり有効ではないようです。痛みが起こる場合には、放射線照射が有効とされています。

性交渉に障害が出るような場合、本人が希望すれば手術を行うこともあります。手術には、しこりがある反対側の白膜を切り詰めて湾曲を矯正する縫縮法(プリケーション法)と、白膜のしこり自体を切除し、欠損部に皮膚や静脈を移植する移植法の2つがあります。

通常、軽い場合は縫縮法、症状が進んでいれば移植法が行われます。縫縮法は湾曲の改善のみを目的とした方法で、移植法に比べて簡単ですが、しこりや痛みの改善はできないことと陰茎の短縮が問題となります。移植法も、手術後の瘢痕(はんこん)組織が硬化して手術前より悪化したり、切除しても再発することがあるのが問題となります。

いずれも2時間ぐらいの手術で、3日間程度の入院が必要です。糖尿病のある人の場合は、血糖コントロールが必要のため入院期間が少し長くなります。縫縮法を局所麻酔で行う場合は、日帰り手術も可能です。

症状が進んで陰茎海綿体にまで影響するなど重い勃起障害がある場合は、陰茎の中に支柱材を埋め込むプロステーシス手術も検討されます。デュプイトラン拘縮が一緒に現れている場合は、 基本的に薬物療法や注射は治療効果がなく、手術による治療になります。

陰茎折症の検査と診断と治療

泌尿器科、ないし外科の医師による陰茎折症(陰茎折傷)の診断は、発症時のブッチという断裂音の問診と、陰茎白膜の断裂部位と反対側への陰茎の屈曲、陰茎の暗紫色のはれ上がりなど独特な形態変化から、臨床的に下します。

皮下血腫が広範であれば、陰茎白膜などの断裂部位の確定は触診のみで困難なことも多く、MRI検査が行われることもあります。尿道の損傷の発生率が高いため、陰茎尿道X線撮影(逆行性尿道造影)が行われることもあります。

泌尿器科、ないし外科の医師による治療は、尿道の損傷がない場合や軽い尿道断裂と見なした場合、保存的に治療することもあります。局部の安静、陰茎および陰嚢の挙上などにより血腫の吸収を促進し、圧迫包帯、湿布、止血剤、消炎鎮痛剤などを使用して治療します。

しかし、保存的治療だけでは、陰茎の変形、勃起障害などの後遺症が生じる割合が高いため、陰茎白膜の断裂が高度で出血が著しい場合や尿道損傷のある場合は、手術が行われるのが一般的です。まず血腫がある場合にはこれを取り除いて、最小限の皮膚切開で陰茎白膜の断裂部分を縫い合わせます。早期に適切な手術を行えば、後遺症はまず生じません。

早期に適切に対応しないと、後遺症が残る可能性が高くなります。また、尿道断裂に至るなど重度なものは予後はよくなく、陰茎形成術、尿道形成術などを要します。

🇨🇻後天性QT延長症候群

薬剤の使用などの二次的原因により突然、脈が乱れて不整脈発作や失神発作を起こし、突然死に至ることもある疾患

後天性QT延長症候群とは、薬剤の使用や電解質異常、徐脈、心疾患などの二次的原因により、突然、脈が乱れる不整脈発作や失神発作を起こしたり、時には突然死に至ることもある疾患。二次性QT延長症候群とも呼ばれます。

医療機関において、心臓の動きをコントロールしている電気刺激の変化を記録する心電計で検査をすると、心電図に現れるQTと呼ばれる波形の部分の間隔(QT時間)が、正常な状態の心臓に比べて長くなることから、この疾患名が付けられています。

先天的な遺伝子の異常が原因で起こる先天性QT延長症候群とは異なり、遺伝子の異常が認められる頻度は少ないものの、薬剤の使用が原因になって起こる後天性QT延長症候群では遺伝子の異常もかかわっています。

安静時の元々のQT時間は正常範囲内で、正常よりも長め、または正常ですが、二次的原因が加わった場合に、心臓の筋肉である心筋細胞が収縮して全身に血液を送り出した後、収縮前の弛緩(しかん)状態に戻るQT時間が著しく延長するために、心筋細胞が過敏になって後天性QT延長症候群の不整脈発作を発症します。

症状としては、不整脈発作による動悸(どうき)、立ちくらみ、気分不快や、失神発作、けいれん発作などがあります。発作の多くは、短時間で自然に回復しますが、心室期外収縮や、トルサード・ド・ポアンツと呼ばれる多形性心室頻拍から、心室細動といわれる不整脈にまで進行して回復しない場合は、突然死に至ります。

また、失神発作、けいれん発作は、てんかんと間違えられることもよくあります。

QT時間を延長させる可能性がある薬剤は、抗不整脈薬、抗生剤(マクロライド系)、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、向精神薬、抗うつ薬、抗潰瘍(かいよう)薬、脂質異常症治療薬など多岐にわたっています。同じ薬剤でも著しくQT時間が延長する人と、延長しない人がいることから、後天性QT延長症候群でも先天性の遺伝子の異常もかかわっていると考えられます。

薬剤の使用のほか、低カリウム血症や低マグネシウム血症、低カルシウム血症によって生じる電解質異常、洞機能不全症候群や房室ブロックを起こしたりすることが原因で脈が正常よりも極端に遅くなる徐脈、急性心筋炎や虚血性心疾患などの各種心疾患、くも膜下出血などの中枢神経疾患、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症などの内分泌疾患に伴い、QT時間が延長して発症することもあります。

後天性QT延長症候群の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、服薬内容の確認、心電図検査、血清中の電解質濃度を測定する血液検査が基本となります。基礎心疾患の有無をみる目的で、心臓超音波検査や運動負荷心電図を行うこともあります。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、薬剤の内服や電解質異常、徐脈などの原因があるので、それらを取り除くとQT延長が短縮して正常化し、症状はよくなります。

脈が正常よりも極端に遅くなる徐脈性不整脈を起こしている場合は、脈を正常まで速めて発作が起こりにくいようにするため、恒久型ペースメーカーの植込みによる治療を考慮します。

ペースメーカーは、徐脈時には電気刺激を出して心臓の拍動を調整する装置で、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。手術で、ライターほどの大きさのペースメーカーを鎖骨の下に埋め込みます。

🇨🇻後天性巨大結腸症

腸管が細くなって慢性の便秘になり、大腸の大部分を占める結腸の一部または全部が著しく拡張する疾患

後天性巨大結腸症とは、腸管が細くなって慢性の便秘になり、大腸の大部分を占める結腸が著しく拡張する疾患。

この後天性巨大結腸症は、ほかの疾患に付随して起こる症候性巨大結腸症と、原因が明らかでない特発性巨大結腸症に分けられます。

成人にみられる後天性巨大結腸症は、先天的に腸の壁にある神経が欠損しているために腸の運動に障害が生じて起こる先天性巨大結腸症が小児期に発見されなかった場合もありますが、症候性巨大結腸症と特発性巨大結腸症の占める割合が小児に比べて高いとされています。

症候性巨大結腸症を合併する疾患としては、全身性エリテマトーデス、アミロイドーシス、全身性硬化症による筋肉の障害、鉛中毒、甲状腺(こうじょうせん)機能低下や低カリウム血症などの代謝異常、パーキンソン病、糖尿病性神経障害、脊髄(せきずい)損傷などの神経系の病気、感染症および炎症性の疾患、中毒性大腸炎、シャーガス病などがあります。

また、直腸や結腸の悪性腫瘍(しゅよう)や、手術後の癒着による便やガスの通過障害、精神的ストレスによる自律神経の働きの乱れ、精神安定剤や下剤などの乱用による薬の副作用が原因になることもあります。

後天性巨大結腸症の症状としては、強い便秘があり、腹部膨満、吐き気、嘔吐(おうと)がみられます。

早急に対処しなければ命にかかわるという重症は少ないようですが、慢性的な便秘が続くと、さまざまな症状が現れてきます。嘔吐を繰り返す場合では、栄養障害が起こる場合もあります。

頑固な便秘が続く場合は、消化器科、ないし内科を受診することが勧められます。

後天性巨大結腸症の検査と診断と治療

消化器科、内科の医師による診断では、腹部X線(レントゲン)検査を行い、大量の便やガスが停滞し著しく拡張した大腸を確認します。より精密な診断を下すには、腸の特殊な運動機能検査や、直腸の粘膜を一部採って特殊な染色を行った上で顕微鏡で調べる生検を行います。また、原因となっている疾患を特定する精密検査を行います。

消化器科、内科の医師による治療では、原因となる疾患が特定された時はその治療を行った上で、便秘を改善する対症療法を行います。排便の習慣をつけるための腹部マッサージ、規則的な浣腸(かんちょう)や洗腸、軟便となり排便回数が増加する緩下剤の投与のほか、副交感神経刺激剤を投与することもあります。

便秘を改善するために、食物繊維の多い食事を取る、規則正しい生活を送る、適度な運動を行うなど日常生活での改善も行います。

精神的ストレスが原因で起こっている場合は、抗不安薬などの向精神薬を用いることもあります。

内科的治療や生活習慣の改善で症状の緩和がみられない場合は、結腸を切除するなどの外科的な手術を行います。これにより多くの場合は完治しますが、将来的に肛門(こうもん)の機能が低下し、人工肛門(消化管ストーマ)を形成することもあります。

🇨🇻後天性腎性尿崩症

後天的な理由により、抗利尿ホルモンに腎臓が反応しないために多尿を示す疾患

後天性腎性(じんせい)尿崩症とは、後天的な理由により、抗利尿ホルモン(バソプレシン)に腎臓が反応しなくなることで、薄い尿が大量に排出される疾患。

利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンは、大脳の下部に位置する視床下部で合成され、神経連絡路を通って下垂体(脳下垂体)後葉に運ばれて貯蔵された後、血液中に放出されて腎臓に作用し尿の量を調節します。後天性腎性(じんせい)尿崩症では、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌は正常でも、腎尿細管における作用障害に由来して腎臓が反応しなくなり、体内への水分の再吸収が低下するために、尿の濃縮障害が引き起こされ、水分が過剰に尿として排出されます。

一方、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌量の低下で、体内への水分の再吸収が低下するために、水分が過剰に尿として排出される疾患は、先天性ないし後天性の中枢性尿崩症です。

後天性腎性尿崩症の症状は、薬剤の副作用で出現することがあります。原因となる薬剤は、双極性障害(躁〈そう〉うつ病)の躁状態治療薬、抗リウマチ薬、抗HIV薬、抗菌薬、抗ウイルス薬など広範囲にわたります。薬剤を服用後、数日から1年くらいで発症することが多く、数年以上たって発症することもあります。

また、何らかの理由で血液中のカリウム値が低くなった場合や、カルシウム値が高くなった場合にも、発症することがあります。そのほか、慢性腎盂(じんう)腎炎、シェーグレン症候群、骨髄腫(しゅ)、多嚢胞(たのうほう)性疾患、鎌(かま)状赤血球貧血などの疾患によって腎臓が障害された時にも、発症することがあります。

後天性腎性尿崩症は、いずれの年代でも、徐々にあるいは突然、発症します。発症すると、のどが渇いて過剰に飲水するといった症状が現れ、多尿を呈します。1日に排出される尿量は3リットルから15リットルと、通常の2倍から10倍にもなります。ひどい時には、1日30リットルから40リットルになることもあります。

薄い尿の大量排出は、特に夜間に著しくなります。飲水は冷水を好む傾向があり、たくさん飲むために、食べ物があまり取れず、体重は減少します。

一般に、口渇中枢は正常であるため、多尿に見合った飲水をしていれば脱水状態になることはありません。進行すると、体液が減少し、発汗の減少、皮膚や粘膜の乾燥、微熱などの症状がみられることがあります。

1日3リットル以上の著しい多尿や口渇、多飲などの症状がみられた際には、糖尿病や心因性多飲症とともに後天性腎性尿崩症である可能性があります。内科か内分泌科の専門医と相談して下さい。

後天性腎性尿崩症の検査と診断と治療

内科、内分泌科の医師による診断では、早急に採尿検査、採血検査などを行い、多尿、多飲を示す糖尿病を除外します。これが除外された後、心因性多飲症などとの鑑別が必要になります。

心因性多飲症は、精神的原因で強迫的に多飲してしまう疾患です。血漿(けっしょう)浸透圧と血中の抗利尿ホルモンを測定して、鑑別診断に用います。鑑別が難しい場合、水制限試験を行います。水分摂取の制限を行うと、心因性多飲症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えて濃縮がみられますが、中枢性尿崩症では尿浸透圧が血漿浸透圧を超えることはありません。腎性尿崩症では、抗利尿ホルモンは高値になります。

腎性尿崩症と中枢性尿崩症の区別は、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤の投与によって、尿が濃縮されるか否かで調べます。反応せず尿が濃縮されないのが腎性尿崩症であり、尿が濃縮されるのが中枢性尿崩症です。

内科、内分泌科の医師による治療では、薬剤が原因の場合は、早期発見で障害が軽度なら、原因薬剤の中止のみでよく、1カ月ほどで症状が改善されることが多いので、経過観察を行います。

原因薬剤の中止でも回復が遅れる場合は、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤や、デスモプレシン剤を用いた治療を行います。尿量を減らす目的で、抗利尿ホルモンの産生を刺激するサイアザイド系(チアジド系)利尿薬を使用することもあります。

そのほかの疾患が原因とされる場合は、原因疾患の治療と、腎臓障害、脱水、高ナトリウム血症の有無の経過観察を続けます。

🇲🇹後天性真皮メラノサイトーシス

顔面に青みがかった茶褐色の色素斑がいくつかまとまって出現する皮膚疾患

後天性真皮メラノサイトーシスとは、顔面に青みがかった茶褐色の色素斑がいくつかまとまって出現する皮膚疾患。両側性遅発性太田母斑様(ぼはんよう)色素斑とも、ADM(Acquired Dermal Melanocytosis)とも呼ばれます。

従来は、両側性太田母斑の亜型とされていましたが、現在は、独立疾患として扱うのが標準的になってきています。

幼少期よりできるそばかす(雀卵〔じゃくらん〕斑)と似ていることもありますが、顔に発生する後天性皮膚疾患の一つで、20〜30歳代から中年の女性に多く見られ、特に日本人や中国人に多いといわれています。

通常は表皮にあって、メラニン(メラニン色素)という皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイト(メラニン細胞、メラニン形成細胞、色素細胞)が、表皮に出ていけずに顔の皮膚の深い位置にある真皮にとどまって増殖しているために、色素斑が出現します。

遺伝性も高いとされるものの、加齢、日焼け、ホルモンバランスの崩れなどの影響が考えられています。

額の両端、頬骨(ほおぼね)部、鼻翼部などに、直径1〜3ミリのおよそ茶褐色の色素斑が、いくつかまとまって出現します。顔面の両側に左右対称に多発することもよくあります。

小さな点の集合であるために染みのようにも見えますが、実際はあざの一種として分類されます。

真皮に存在するメラノサイトの深さの程度により、茶褐色から灰色、さらに青色へと進行変化するため、色素斑の色はさまざまです。

後天性真皮メラノサイトーシスの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、部位や色素斑の様子から視診で判断します。患部に、染みの一種である肝斑(かんぱん)や、老人性色素斑(日光性黒子)、そばかすなどが混在していると判別が難しいものの、多くは左右対称に出現することなどから判断します。色素斑をほんの少し切り取って病理組織検査を行うと、真皮層に色素含有メラノサイトが認められます。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、悪性化の心配はないため、見た目の問題で気になるならQスイッチレーザー治療により、色素斑を除去します。

Qスイッチレーザー治療は、レーザー光線を皮膚に当てるもので、皮膚の表面にはダメージを与えず、その下の真皮層にあるメラノサイトを選択的に焼灼(しょうしゃく)することができます。ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヤグレーザー、フラクショナルレーザーなどがあり、レーザーの種類により多少の効果や経過の違いがみられます。

いずれのQスイッチレーザー治療も痛みを伴うため、麻酔シール、注射などを使用して痛みの緩和を行い、2〜3カ月の間隔で、少なくとも3~5回の照射を行います。まれに軽い色素沈着を残したり、白色に変化する色素脱出を来すこともありますが、外用剤を使用すると、1・5〜3カ月程度でレーザーの跡が薄くなります。

色素斑の消失率はほぼ70パーセントとされ、消えた色素斑は再発しません。

液体窒素で色素斑の凍結、融解を繰り返す凍結治療や、外科的に切除し他の部位から皮膚を移植する方法もあります。

🇲🇹後天性水頭症

生まれてから生じた異常により、脳脊髄液がたまって脳室が拡大する疾患

後天性水頭症(すいとうしょう)とは、生まれてから生じた異常によって、脳脊髄(せきずい)液(髄液)が頭蓋(とうがい)内にたまり、脳の内側で4つに分かれて存在する脳室が正常より大きくなる疾患。

脳脊髄液は、脳全体を覆うように循環して脳保護液として働き、脳を浮かせて頭部が急激に動く衝撃を柔らげたり、部分的な脳の活動によって産生される物質を取り除く働きも併せ持つと考えられています。脳室で血液の成分から産生されて、1日で3回ほど全体が入れ替わる程度のスピードで循環し、最終的には、くも膜という脳の保護膜と脳との間に広がっている静脈洞という部位から吸収され、血液へ戻ってゆきます。

この脳脊髄液の産生、循環、吸収などいずれかの異常によって、脳脊髄液が頭蓋内に余分にたまると、脳を圧迫し、脳機能に影響を与えます。

後天性水頭症は成人でみられることが多く、脳腫瘍(しゅよう)、がん、細菌・ウイルス・寄生虫などの感染で起こる髄膜炎、頭部外傷、脳動脈瘤(りゅう)の破裂や高血圧が原因で起こる脳内出血、脳室内出血、脳室内腫瘍などの原因となる疾患に合併して、頭蓋内の内圧が上昇し、年齢を問わず起こります。

余分な脳脊髄液による頭蓋内の内圧の上昇は、脳を直接圧迫する力となり、激しい頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、意識障害を引き起こします。急激に症状が悪化する場合もあるため、早急な処置が必要となります。

一方、後天性水頭症には、50歳代以降の人に多くみられ、頭蓋内の圧力が上がった症状を示さない正常圧水頭症があります。脳室が大きくなっていて、認知障害、歩行障害、尿失禁といった特徴的な症状がありながらも、頭蓋内の圧力は高くなりません。くも膜下出血後や髄膜炎の治った後に認められることが多く、原因不明の特発性のものもあります。

後天性水頭症の検査と診断と治療

内科、脳外科、脳神経外科の医師による診断では、頭部のCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などの画像検査を行います。これらの検査で多くの場合、脳室の拡大の有無、原因となっている疾患の有無がわかります。

内科、脳外科、脳神経外科の医師による治療では、脳腫瘍、脳内出血、髄膜炎など原因となっている疾患があり、脳室内の脳脊髄液の流れを障害していれば、外科的治療で除去します。

水頭症そのものに対する治療としては、一時的な緊急避難的な治療と、永続的な治療が行われます。

一時的な治療では、ドレナージと呼ばれる方法が一般的で、余分な脳脊髄液の一部分を頭蓋骨の外へ流す処置の総称です。頭蓋内の圧力が急上昇した状態による病状の不安定さを解除するために、救急処置として行われます。

永続的な治療では、シャントと呼ばれる手術法が一般的で、年齢、原因を問わず行われています。本来の脳脊髄液の流れの一部分から、シリコンでできたシャントチューブと呼ばれる細い管を用いて、頭以外の腹腔(ふくこう)や心房などへ脳脊髄液を半永久的に流す仕組みを作ります。

シャント手術をすると、正常圧水頭症で示している認知障害が改善することもあります。

内視鏡手術も行われています。神経内視鏡を用いて、脳の内部に本来ある脳脊髄液の流れ方の経路とは別に、新しい経路を作ります。治療できる年齢や原因に制約があり、シャント手術に取り換わる治療法にはいまだ至っていません。

後天性水頭症の治療を受けた人は、定期的な医師の診察を受けることが必要です。疾患の管理が良好であれば、通常の生活を送ることが可能です。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...