2022/08/17

🇰🇲新生児仮死

新生児が生まれた時に産声を上げず、自発呼吸をしない状態

新生児仮死とは、生まれた時に新生児が産声を上げず、正常な自発呼吸をしない状態。出生時仮死とも呼ばれます。

胎児は母体の胎盤から臍帯(さいたい)を通じて酸素や栄養をもらい、二酸化炭素を処理してもらっています。生まれた時に臍帯を通じた母体からの酸素が十分に得られなくなると、血中の酸素濃度が下がって二酸化炭素濃度が上がり、呼吸中枢が刺激されて呼吸運動が始まります。

順調なお産であれば生まれた直後に呼吸運動が始まり、空気が肺に入って自発呼吸が始まります。その際、新生児は肺を膨らませるために大きく呼吸をするので、声帯を通る時に産声という泣き声を上げるのです。一般に、新生児は出生後30秒以内に産声を上げます。

新生児仮死では、生まれた時に産声を上げず、呼吸がうまく行えない上に、手足の動きも弱く、皮膚の色合いも悪くなっています。

産科の医師や助産師は、生後1分の時点で、新生児の全身状態を心拍数、呼吸、筋肉の緊張の程度、刺激に対する反射、皮膚の色合いの5項目について、それぞれ0〜2点ずつを与えて、その合計点の0〜10点で評価しています。

これがアプガースコアで、6点(または7点)以下だと新生児仮死といい、全出産の約10パーセントに起こります。また、アプガースコア3点以下を重症仮死、4〜6点(または7点)を中等症仮死といいます。

新生児仮死がある場合は、生後3分後、5分後に再評価したり、アプガースコアが正常になるまでの時間を計るなど、産科の医師や助産師は慎重に経過観察をします。

新生児仮死では、全身の低酸素と循環障害の結果、呼吸障害、心筋障害、低酸素性虚血性脳症、腎不全、チアノーゼ、血液のアシドーシス(酸性化)などさまざまな異常が同時にみられます。

ごく軽症の仮死では後遺症はありませんが、重症仮死では呼吸がほとんどなくて心拍が非常に低下している状態で、長い間呼吸しなかった場合は、酸素不足のため死亡したり、命を取り留めてもけいれんなどの神経症状が出たり、脳に障害を残して脳性まひになることがあります。

胎盤の働きが悪いために、胎児に酸素を十分に送ることができない場合や、胎盤がはがれたり、臍帯が圧迫されたりして、母親と胎児の間の血液循環が妨げられた場合、脳が強く圧迫された場合、逆子の場合などに、新生児仮死が起こります。

また、お産の時、母親に全身麻酔をかけると、仮死状態で生まれることがあります。

新生児仮死の治療

軽い新生児仮死の時は、産科の医師や助産師が足の裏をたたいたりして刺激すると、顔をしかめ、呼吸が始まるので、心配はありません。

重い仮死では、皮膚は青白く、刺激しても反応がなく、一刻を争って気管にたまっている羊水や粘液を取り除いたり、酸素吸入などをする蘇生(そせい)術を産科の医師や助産師が行います。

蘇生術により新生児の状態が安定すれば、新生児特定集中治療室(NICU)に収容し、保温、酸素投与、人工換気、点滴などの本格的な蘇生術を産科や新生児科、小児科の医師が施したり、その後の管理を行います。

重症仮死では、全身の臓器障害を合併するため、それに対して必要な治療も行います。全出産の約1パーセントで、本格的な蘇生術を要します。

仮死状態で生まれた新生児は、退院後も定期検診が必要です。

🇰🇲新生児月経

生後間もない女の子の新生児の性器から出血があること

新生児月経とは、生後3~5日ころの、女の子の新生児の性器から出血を認める状態。

出血量は多くなく、おむつに少量の血液が付着する程度で、生後1週間程度で出血は終わります。また、大便が出る時だけ、息んだ弾みで性器からの出血を認める女の子の新生児もいます。

おむつ交換の際に母親が気付き、どこからの出血か判断できずに不安にあることもありますが、疾患ではありませんし、生理痛のようなものが起こることも、貧血になることもありません。もちろん、すべての女の子の新生児に起こるわけではありません。

新生児月経が起こる理由は、生後2~3日目ころ、胸が膨らんできたり、乳腺(にゅうせん)から乳汁様の液体が出たりする魔乳(奇乳)と同じように、胎児期における母親の女性ホルモンの影響です。

妊娠中、母親の卵巣から分泌されている卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加し、この2つの女性ホルモンが胎盤を介して胎児の血液にも移行します。

この女性ホルモンの作用によって、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増えると、胎児の子宮の内側を覆う子宮内膜が月経の時と同様に厚くなり、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増えると、子宮内膜が厚くなった状態が維持されます。

出生後、臍帯(さいたい)が切断され、母親との関係が絶たれると、女性ホルモンが急激に減少して、その影響が急速に失われ、特に黄体ホルモン(プロゲステロン)が減少することにより、やがて子宮内膜がはがれ落ち、体外に排出される時に消退性出血が起こると考えられています。

新生児月経と同様に、生後間もない女の子の新生児の性器から、透明から乳白色の膣(ちつ)分泌物である下り物をごく少量認めることもあります。新生児帯下(たいげ)といい、こちらも胎児期における母親の女性ホルモンの影響で起こります。こちらもすべての女の子の新生児に現れるものではありません。

新生児月経の量は少ないですから、自然に出血が止まるのを待てばよく、特別な処置は必要ありません。

出血量が多かったり、生後1週間以降も出血が続いたり、出血がある時に激しく泣いたり、機嫌が悪かったりなどの症状があれば、何らかの疾患が疑われますので、一度、産科、または小児科を受診し診察を受けてください。

受診する際には、血液が付着したおむつを持参すると、出血の量や状態からより正確な診断が受けられます。

🇸🇨新生児呼吸窮迫症候群

低出生体重児が生まれて2〜3時間後に発症する、呼吸不全の一つ

新生児呼吸窮迫症候群とは、低出生体重児が生まれて2〜3時間後に発症する、呼吸不全の一つ。新生児肺硝子(しょうし)膜症とも呼ばれます。

発症する大部分は、1500グラム以下の低出生体重児で、特に生まれた時の体重が少ない場合ほど、発症しやすくなります。成熟児はまれにしか発症しないものの、母親に糖尿病があると、比較的発症しやすくなります。

普通、新生児は生まれた瞬間に産声を上げ、自発呼吸を始めると肺が広がります。新生児呼吸窮迫症候群では、主として肺が未熟なため、肺を広げておく肺サーファクタントという物質が欠如していて、そのために肺がよく広がらず、肺に空気が入りにくくなって呼吸不全が起こります。

肺が広がっているところも一部分あり、顕微鏡で見ると、その部分にガラスのような膜ができているので、新生児肺硝子膜症とも呼ばれます。

生まれて2〜3時間後に呼吸数が1分間に60以上と速くなり、息を吸う時に肋骨(ろっこつ)の間や胸骨の下部がへこんだり、息苦しそうにうめき声を出すなどの呼吸困難が現れます。酸素不足のために、皮膚は紫色になります。

呼吸困難は次第にひどくなり、生後24〜48時間が最も重くなる時で、呼吸が停止したり、死亡したりします。

生後3~4日目になると肺サーファクタントの産生が始まるため、4日目まで生き延びることができれば、呼吸困難は次第に軽くなり、治ります。

新生児呼吸窮迫症候群の治療

極めて高度の呼吸管理が必要なので、設備と要員の整った新生児特定集中治療室(NICU)を備えた医療機関に搬送し、そこで治療を行うことが必要です。

新生児特定集中治療室(NICU)では、小児科、新生児科の医師などが肺に管を入れて人工呼吸器による呼吸補助を行いながら、できるだけ早期に人工肺サーファクタントを気管から肺に注入します。胎便の吸引や、新生児仮死などが原因にある場合は、肺の洗浄、強心薬などによる循環の補助などの治療も、同時に行います。

多くは、2〜3日で改善しますが、数週間の治療が必要になることもあります。

予防的な治療として、妊娠33~34週以前に早産となりそうな場合には、出産前に母体にステロイド剤を投与して胎児の肺サーファクタントの産生を促すことが行われています。

🇸🇨新生児低血糖症

新生児の血液中の糖分が少なくなっている状態

新生児低血糖症とは、生まれたばかりの新生児の血液に含まれる糖分が少なくなっていて特有の症状が現れる状態。

新生児に低血糖が認められても、すぐに正常な血糖値に回復することが多いのですが、中には低血糖の状態が続いてしまうケースもあります。血液に含まれる糖分は人間の脳の働きを支える重要なエネルギー源であるため、低血糖の状態が続いてしまうと、脳に悪影響を与えて神経系の後遺症を引き起こす可能性があります。

胎児は低血糖にならないように、母親の胎内にいる時から胎盤を通して糖分を摂取し、出生後には母乳やミルクから糖分を得て、正常な血糖値を保っていきます。

生まれたばかりの新生児は、それまで胎盤を通じて行われていた栄養供給が止まり、母乳かミルクを飲むまでは栄養を摂取できなくなります。胎盤を通じて得ていた糖分の摂取も一時的に途切れてしまうため、新生児が低血糖になるのは生理的なものだといえます。一般的に、新生児の血糖値は生まれた後に急速に下がり、1〜2時間後には最も低くなります。

出生直後に血糖値が下がっても、ほとんどの新生児は体内の仕組みのお陰で、徐々に血糖値は上昇していきます。しかし、中には血糖値が正常に上がらず、低血糖の治療が必要になる場合もあります。

新生児の低血糖を引き起こす原因はさまざまで、主にインスリンの過剰分泌がある場合と、ない場合に分けられます。

インスリンは膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島にあるベータ細胞から分泌されるホルモンで、骨格筋や肝臓、組織において血液から細胞内への糖分の吸収を促し、エネルギーを作ったり蓄えたりする働きを持つほか、血糖値を上昇しすぎないよう調節する役割も持っています。このインスリンが過剰に分泌されていたり、成長ホルモンなど血糖値を上昇させるホルモンが欠乏していたりすると、低血糖を引き起こします。

例えば、妊娠中の母親が糖尿病にかかっていた場合、胎盤を通して通常より多くのブドウ糖が胎児に送られるため、血糖値を下げる働きを持つインスリンの分泌量も増えています。出生直後には、胎盤によるブドウ糖の供給は止まっても、インスリンは分泌され続けるために血糖値が下がり、新生児に低血糖の症状が現れることになります。

インスリンの過剰分泌がない場合も、早産児や低出生体重児で、肝臓や筋肉に蓄えているグリコーゲンの量が少ないと、一時的に低下した血糖値を上げることができず、低血糖を引き起こしやすくなります。このほか、感染症も新生児の低血糖を引き起こす原因と考えられています。

新生児の低血糖が軽症であれば、目立った症状が現れないことが多いのですが、重症の場合は、元気がなく母乳を飲まない、ボーッとして意識レベルが低い、けいれんに似た動きをする、無呼吸になる、顔色が悪く青白くなっていたりチアノーゼが起きている、汗をたくさんかき呼吸が荒くなる、などの症状が現れることがあります。

新生児低血糖症の検査と診断と治療

小児科の医師による診断は、血糖値を調べる血液検査を行うのが一般的です。低血糖とともに起きやすい電解質異常を調べる検査を行うこともあります。

小児科の医師によなどる治療は、無症状の場合には、できるだけ速やかに母親の直接授乳、ないしミルクによる栄養供給を開始します。経口摂取が困難な場合や、授乳などを行ったにもかかわらず低血糖が改善しない場合、症状のある場合、無症状でも血糖値が20~25㎎/dl未満の場合は、基本的にブドウ糖を点滴で投与します。点滴だけでは症状が改善しない場合は、ステロイド剤の投与や血糖を上昇させるホルモン、またはインスリンの働きを抑える薬を使うことがあります。

また、低血糖を引きこしている原因についても調べ、原因となっている疾患がわかれば、その治療も同時に行います。

血糖値と体調が落ち着いてきたら、母親の直接授乳などを増量し、糖分を供給していきます。血糖値が安定し、点滴の必要がなくなるまでは、入院の上で治療を行います。

新生児低血糖症は、早期に適切な治療が行われた場合には予後は良好なのですが、発見が遅くなって治療が遅れてしまうと、低血糖の状態が長く続き、脳に何らかの障害を残す恐れがあります。特に早産児や低出生体重児で産まれ、新生児仮死があった場合は、様子を注意深く観察する必要があります。

🇸🇨新生児テタニー

新生児の血液中のカルシウム量が少なくなり、けいれんを起こす疾患

新生児テタニーとは、新生児の血液中のカルシウム量が少なくなり、上肢中心のけいれんを起こす疾患。新生児低カルシウム血症とも呼ばれます。

新生児テタニーは発症時期により、出生後48時間以内に発生する出生直後のテタニー(早発型低カルシウム血症)と、生後1週間前後に発症する古典的新生児テタニー(晩発型低カルシウム血症)、輸血時に血液に混合されたクエン酸ナトリウムが血中でカルシウムイオンと結合して起こる交換輸血によるテタニーに分けられます。

新生児、特に未熟児は出生後に血清カルシウムが一時的に低下することが多く、それに伴って筋肉が異常な収縮を起こして硬直し、けいれんなどの症状を起こすものを出生直後のテタニーといいます。副甲状腺(せん)ホルモンの分泌低下やビタミンDの不足なども、原因になります。早産、新生児仮死、帝王切開、母親が糖尿病の場合にも、発症率が高くなります。

古典的新生児テタニーは、リン酸含有量の多い牛乳や乳製品を飲むことが原因と考えられ、母乳栄養児にはまず起こりません。

症状としては、意識障害を伴わない、上肢中心のけいれんが特徴で、数分間持続します。重症の場合は、全身のけいれん、無呼吸、不整脈、チアノーゼ、むくみなども現れます。

新生児は不安状態になり、四肢を震わせ、泣き叫びます。興奮状態が過ぎると、急に手足をだらりとして動かさず、嗜眠(しみん)状態になります。このような嗜眠が繰り返して起こります。症状は外部からの刺激に誘発されて現れ、泣くと症状が悪化する場合があるので、泣かせない工夫が必要です。

新生児テタニーの検査と診断と治療

新生児テタニーは、声門けいれん、てんかんなどほかの原因によるけいれん発作と区別できないことがあります。区別できない場合は、血清および尿中カルシウム濃度の測定が役立ち得ます。

なお、検査や診察で、症状が全くない潜在性のテタニーが初めて発見されることもあります。

治療では、症状の程度に応じて、グルコン酸カルシウムの点滴や乳酸カルシウムの内服によるカルシウム投与、鎮けい剤投与などが行われます。その後も経過を観察し、その原因に合った検査と治療が行われます。

🇱🇰拘束型心筋症

心筋が拘束されたように硬くなって、左心室が広がりにくくなる疾患

拘束型心筋症とは、心臓の筋肉組織である心筋が拘束されたように硬くなって広がりにくくなるため、左心室に血液を満たす上で抵抗が生じ、体が必要とする量の血液を十分に送り出せなくなる疾患。

心筋症は、心筋の伸び縮みがうまく働かなくなり、体が必要とする量の血液を送り出しにくくなる疾患のことをいいます。いくつかの種類がある心筋症の1つである拘束型心筋症は、拡張型心筋症のように左心室が拡張することはなく、肥大型心筋症のように心筋が肥大することもありません。また、心臓の動きも見たところ正常ですが、左心室の壁が硬くなって広がりにくくなり、進行すると心不全や不整脈などの症状が起こります。

拘束型心筋症は、心筋症の中でも発症例が少ないタイプです。拡張型心筋症、肥大型心筋症とともに、厚生労働省が定める特定疾患(難病)に指定されています。

一般に拘束型心筋症という場合は、特発性つまり原因がわからず発症した特発性拘束型心筋症のことを指します。この特発性拘束型心筋症には、2種類の基本的なタイプがあります。

1つのタイプでは、心筋が徐々に瘢痕(はんこん)化した組織に置き換わります。瘢痕とは手術などによってついた傷跡のことで、がんへの放射線療法による皮膚の損傷が原因で起こる場合もあります。

もう1つのタイプでは、異常な物質が心筋内に蓄積したり、心筋内に浸潤したりします。例えば、体内の鉄分が過剰になると、心筋内に鉄分が蓄積します。血球の一種である好酸球が、好酸球増加症候群の人の心筋に浸潤することもあります。

また、拘束型心筋症には、ほかのさまざまな疾患に伴って発症する二次性拘束型心筋症もあります。例えば、通常、体内には存在しないアミロイドと呼ばれる異常な蛋白(たんぱく)質が心筋に蓄積すると、アミロイドーシスという疾患を起こし、発症します。二次性拘束型心筋症でも、発症するメカニズムは多くの場合不明です。

軽症の場合は症状がないこともありますが、病状が進行して心不全を引き起こすと、息切れや動悸(どうき)、むくみ、体がだるいなどの症状が現れます。さらに進行すると、不整脈が起こりやすくなります。

症状は、安静時よりも運動時に起こりやすくなります。安静時に比べて、運動中はより多くの血液が必要になるからで、安静時には十分な血液量を全身に供給できていても、心筋が硬くなり血液を満たす上で抵抗が生じると運動中に体が求める血液の量を送り出すことが困難になり、症状が起こります。

息切れや動悸が頻繁にみられるようであれば一度、病院で診断を受けるようにしたほうがいいかもしれません。

拘束型心筋症の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による診断では、診察、心電図検査、心臓超音波検査(心エコー)を行います。また、心筋内に蓄積したり浸潤している異常な物質を特定するために心臓MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、心臓カテーテル検査を実施することもあります。

鑑別が重要な疾患には、病態が似ている収縮性心膜炎があります。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科の医師による治療では、特発性拘束型心筋症は原因がはっきりわからないため、拘束型心筋症そのものを治す方法はありません。

二次性拘束型心筋症では基礎疾患を治療することになりますが、この基礎疾患に対しても有効な治療法がないことも多く、中心となる治療は拘束型心筋症によって引き起こされる心不全、不整脈、血栓塞栓(そくせん)症の予防になります。

心不全の治療では、症状がうっ血中心になるため、主に利尿薬を使って、たまった血液の排出を図ります。また、心筋の傷害を軽減するためにアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体遮断薬を使うこともあります。

不整脈の治療では、心臓が拍動しなくなってけいれんするだけの状態になる心房細動が最も多い不整脈であり、心房細動が出現すると心臓の働きも急速に低下するため、脈拍が上がりすぎないようにある種のカルシウムチャンネル遮断薬、β(ベータ)受容体遮断薬を使います。ジギタリスなどの強心薬も心不全治療と合わせて使用される場合がありますが、副作用に注意が必要です。脈が早くなる心室頻拍などそのほかの重症心不全も発症する可能性があり、必要に応じて抗不整脈薬などを使います。

血栓塞栓症の予防では、心房細動がみられる場合は心臓の中に血の固まりである血栓ができやすくなるため、長期間にわたって血液を固まりにくくする抗凝固療法を行い、塞栓症の防止を図ります。

拘束型心筋症の予後は、基礎疾患によってさまざまです。成人の特発性拘束型心筋症について、海外から5年生存率64%、10年生存率37%という報告もありますが、そのまま日本人に当てはめていいかどうかは不明です。ただ、決して予後は良好といえないため、特に小児の特発性拘束型心筋症の場合は積極的に心臓移植の適応を考慮することになります。

二次性拘束型心筋症の中では、特にアミロイドーシスによるものは不良で、心臓の機能低下が認められてから数年以内、さらに心不全症状が出現してからは半年程度の予後と考えられています。

🇱🇰甲高

足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足

甲高(こうだか)とは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足。凹足、ハイアーチとも呼ばれます。

足の裏にはアーチと呼ばれる緩やかな盛り上りがあり、踵(かかと)から親指の付け根を通る土踏まず、すなわち内側の縦アーチ(内側縦足弓)、踵から小指の付け根を通る外側の縦アーチ(外側縦足弓)、親指の付け根から小指の付け根を通る横アーチ(横足弓、メタタザールアーチ)の3つから構成されています。3つのアーチは、足が地面に着地する際にスプリングの役目を果たし、体に加わる衝撃を和らげる働きをしています。

甲高では、アーチの湾曲が強く、しなやかさに欠けるために、スプリング機能の働きが悪く、足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収や、力の分散がうまく発揮できず、さまざまな症状が現れます。

まず、体の重みを踵や親指と小指の付け根の点で支えることになるため、足の指の付け根や踵に、皮膚表面の角質層が部分的に厚くなるたこや、魚の目ができます。

足の甲の部分に5本存在する中足骨(ちゅうそくこつ)の骨頭の太くなっている部分にかかる圧力が高くなるため、中足骨骨頭部痛を起こすこともあります。足の甲の部分にある第1中足骨の骨頭下部にある種子骨の周囲に炎症が起き、足の親指の裏側に痛みが生じることもあります。

親指が圧迫を受けて変形する外反母趾(がいはんぼし)と逆に、小指が圧迫を受けて変形する内反小趾(ないはんしょうし)を起こすこともあります。足の指、特に第2指と第3指が曲がってハンマートーの状態になり、浮き指になる傾向もあります。

足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収がうまく発揮できない場合は、足の裏のアーチを支えている足底筋膜に炎症が起こる足底筋膜炎や、脛(すね)に沿った筋肉に損傷が生じて痛むシンスプリント(脛骨〔けいこつ〕疲労性骨膜炎)を起こすこともあります。

さらに、足の裏の縦アーチが高いために、いつも足底筋が縮んだままで、足の裏全体で均一なバランスをとれないので、ふくらはぎや足の裏が極めて疲れやすく、たくさん歩いたり運動をすると、ふくらはぎや足の裏がつるような痛みを感じることもあります。そして、常にバランスをうまくとれない状態になることで、足裏だけではなく、膝(ひざ)や腰、背筋にも負担がかかり痛みが出てくることもあります。

甲高の原因の多くは遺伝によるもので、足を形作る筋力の不均衡が成長の過程で現れ、発症しやすいといわれています。末梢(まっしょう)神経に原因があり、かつ遺伝性の疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病では、特徴的な甲高の足がみられます。

後天的に甲高を発症するケースもあり、遺伝性で進行性に筋力が低下してくる筋ジフトロフィーや神経のまひなどが原因で発症するものと、ハイヒールなどの踵が高い靴を長期間にわたって履き続けることにより、筋肉のバランスが崩れるなどの習慣が原因で発症するものとがあります。

ハイヒールを履き続けて甲高を発症するケースでは、つま先で立つような状態が長期間にわたって続くために、脛前面の筋肉である前脛骨筋と足の裏の筋肉である足底筋群のバランスが崩れ、徐々に足のゆがみが起こり、甲高へと進行していきます。

一度、甲高になると、スニーカーなどの踵の低い靴よりも踵の高い靴を履いていたほうが楽なので、好んで踵の高い靴を履くようになります。こうなるとさらに足のゆがみが進行し、重度の甲高になることもあります。

甲高の検査と診断と治療

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、足の土踏まずが地面に付かずに不自然にアーチを描いている特徴的な骨の変形であるため、見た目ですぐに状態がわかります。

骨の変形の状態を詳しく知るために、X線(レントゲン)検査を行って足の状態を撮影し、骨の変形が影響している別の部分の状態も調べます。

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、骨の変形の程度が軽い場合は、日常生活の中での心掛けや意識した足指の運動を行うことにより、症状の改善を図ります。

骨の変形の程度の重い場合は、足の裏のアーチを緩めるために足底筋膜や中足骨を切るといった手術を行うこともあります。

日常生活の中での心掛けには、必ずといっていいほどできているたこ、魚の目を取り除くことと、正しい歩き方をすることがあります。正しい歩き方は、踵が地面に接触したら足の裏全体をつけるような感じで体重移動させ、足の親指で地面をけるように意識するものです。

足指の運動には、弱くなった下腿(かたい)の腓骨(ひこつ)筋群を鍛え、緊張している足底筋群の緩和を目的として、両方の足のひらをバンドで巻き付け、つま先の開閉をゆっくり行うといった方法があります。また、つま先立ちを繰り返すなど、足の裏の縦アーチが伸びるようなストレッチ運動をするのも効果的です。

必要に応じ、靴での圧迫部分の保護と痛みの軽減を目的として、一人一人に合った足形を取り、中敷き(インソール)を作るのも効果的です。縦アーチを保護する大きめの中敷きで、足の指の付け根や踵だけに掛かる荷重を分散して、足底部でも受け止めるようにします。これで足底筋群への負担を少なくして、痛みや疲労感を軽減できますし、中敷きと組み合わせて、たこ、魚の目ができにくい足にすることもできます。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...