2022/08/18

🇰🇿ビタミン欠乏によるニューロパチー

ビタミンの欠乏から、神経細胞が損傷して生じる神経障害

ビタミン欠乏によるニューロパチーとは、ビタミンの摂取不足、あるいは体内での消費過剰によってビタミンが欠乏し、神経細胞が損傷することによって生じる末梢(まっしょう)神経障害。

ニューロパチーとは、脳や脊髄(せきずい)から分かれた後の、体中に分布する末梢神経に障害が起こった状態。末梢神経障害とも呼ばれ、以前は神経炎と呼ばれていました。末梢神経には、筋肉を動かす運動神経のほか、感覚神経(知覚神経)、自律神経の3種類があります。ニューロパチーによって末梢神経に起こる症状は、多彩で、複雑です。

その欠乏によってニューロパチーを起こす主なビタミンとしては、ビタミンB1、ニコチン酸、ビタミンB12が挙げられます。

ビタミンB1が欠乏すると、ビタミンB1欠乏性ニューロパチー、いわゆる脚気(かっけ)が起こり、深部腱(けん)反射の消失に代表される多発神経炎が生じます。ニコチン酸が欠乏すると、ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)が起こり、皮膚炎や下痢とともに神経炎から精神錯乱が現れてきます。ビタミンB12が欠乏すると、ビタミンB12欠乏性ニューロパチーが起こり、貧血とともに各種神経炎、神経痛が現れます。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチー(脚気、ビタミンB1欠乏症)

ビタミンB1は、細胞がエネルギーとして利用する糖質の代謝に重要なビタミンです。偏食、過度のダイエット、激しい運動、重労働、過剰なアルコール摂取、妊娠、授乳、甲状腺(せん)機能高進症などでビタミンB1の消費が一時的に増大した際に、糖質の代謝異常が起こり、血液や筋肉に、糖質の不完全燃焼の産物であるピルビン酸や乳酸が蓄積されます。そうなると、細胞が十分なエネルギーを得られず、神経機能の調節や消化機能が衰えて、神経障害が起こります。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの症状としては、初めは体がだるい、手足がしびれる、動悸(どうき)がする、息切れがする、手足にしびれ感がある、下肢がむくむなどが主なものです。進行すると、足を動かす力がなくなったり、膝(ひざ)の下をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱(しつがいけん)反射が出なくなり、視力も衰えてきます。

かつては、脚気衝心(しょうしん)といって、突然胸が苦しくなり、心臓まひで死亡することもありましたが、現在ではこのような重症例はほとんどありません。

しかし、三食とも即席ラーメンを食べるといったような極端に偏った食生活によるビタミンB1欠乏性ニューロパチーなどが、最近は若い人に増えてきています。インスタント食品やスナック菓子には脂質とともに糖質も多く含まれているのですが、この糖質の消費に必要なビタミンB1の摂取量が足りていないのです。また、過度なダイエットや欠食、外食によって、女子大学生の血中総ビタミンB1の値が非常に低いことも報告されています。

さらに、糖尿病の発症者と、高齢の入院患者にも、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーが増えてきているとされます。糖尿病の場合は、血液中の糖質に対するビタミンB1の相対的な不足が原因となり、高齢の入院患者の場合は、高カロリー(糖質)の輸液に対してやはりビタミンB1の不足が原因となります。

食事の代わりに酒を飲むといったアルコール依存症の人も、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーになる確率が高いと見なされています。ビタミンB1の欠乏以外に、アルコールそのものによる神経の障害から手足のしびれが起こり、特に夜間に強いビリビリとした痛みが多いのも特徴で、燃える足症状ともいいます。

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)

ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏すると、皮膚炎、神経炎、下痢、精神錯乱などを起こします。ナイアシン欠乏症とも呼ばれ、とうもろこしを主食とする中南米などの地域ではペラグラとも呼ばれています。

ニコチン酸は、ナイアシンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、蛋白(たんぱく)質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンから体内で合成されます。糖質、脂質、蛋白(たんぱく)質の代謝に不可欠な栄養素であり、また、アルコールや、二日酔いのもとになるアセトアルデヒドを分解します。人為的にニコチン酸を摂取することで、血行をよくし、冷え性や頭痛を改善しますし、大量に摂取すれば血清のコレステロールや中性脂肪を下げる薬理効果もあります。

ニコチン酸欠乏症はとうもろこしを主食とする人に多い疾患ですが、日本では、不規則な食事をするアルコール多飲者にみられます。酒を飲むほどニコチン酸が消費されますので、つまみを食べずに大量に飲む人は、栄養不良に注意が必要です。特にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が不足すると、ニコチン酸の合成能力が低下します。

遺伝病であるハートナップ病の人も、トリプトファンが腸から吸収されないために、ニコチン酸欠乏症を発症します。

症状としては、日光に当たることによって手や足、首、顔などに皮膚炎が起こります。同時に、舌炎、口内炎、神経炎、腸炎などを起こし、そのために食欲不振や下痢なども起こします。その後、頭痛、めまい、疲労、不眠、無感情を経て、脳の機能不全による錯乱、見当識の喪失、幻覚、記憶喪失などが起こり、最悪の場合は死に至ります。

日本では普通の食事をしている限り、重症にはなりません。食欲減退、口角炎、不安感などの軽いニコチン酸欠乏症が見られる程度です。

ビタミンB12欠乏性ニューロパチー

ビタミンB12とは、鉄分を補っても治らない貧血の治療法を研究した結果、発見された水溶性ビタミン。物質名はシアノコバラミンです。

ビタミンB12は、胃で消化された後で腸で吸収される他のビタミンとは違って、胃で溶かされたり腸内の細菌によって食べられるのを防ぐために特殊な蛋白(たんぱく)質と結び付くという過程を通って、腸に吸収されます。そのために、最後に発見されたビタミンに相当し、12という二桁(けた)の番号が付いています。

蛋白質や核酸の体内合成に欠かせないビタミンであり、細胞のエネルギー獲得を助ける作用、神経細胞を正常に保つ作用があります。

その核酸とは、DNA=遺伝子の主な成分になっている物質で、細胞を再生する時に重要な働きをしています。ビタミンB12には、神経細胞の中にある核酸の体内合成を助ける働きがあります。つまり、正常な神経細胞を維持して、脳からの指令を手足などの末梢神経まで正確に伝えるには、ビタミンB12はなくてはならない栄養素なのです。神経系が原因の腰痛の治療、不眠症や時差ボケの解消には、ビタミンB12の大量摂取が有効とされています。

また、ビタミンB12には、正常な赤血球を作り出す働きがあり、貧血になるのを予防しています。赤血球は鉄分を材料にして体内で作られますが、たとえ十分な鉄分を食品から取っても、ビタミンB12や葉酸が不足していると正常な赤血球に成長しません。造血に関係するため赤いビタミンとも呼ばれ、肝機能強化にも有効です。

ビタミンB12が欠乏すると貧血になるほか、息切れ、めまい、動悸(どうき)、神経系に作用して各種神経炎、神経痛、筋肉痛、精神障害、記憶力の減退、睡眠障害、食欲不振などが引き起こされます。

欠乏症は、厳格な菜食主義者(ベジタリアン)や、手術で胃の切除をした人、高齢で胃腸の粘膜が収縮している人などに多くみられます。

ビタミン欠乏によるニューロパチーの検査と診断と治療

神経内科、ないし内科の医師によるビタミンB1欠乏性ニューロパチー(脚気、ビタミンB1欠乏症)の検査では、ハンマーなどで膝の下を軽くたたく、膝蓋腱反射を利用した方法が広く知られています。足がピクンと動けば正常な反応で、何も反応がなければビタミンB1欠乏性ニューロパチーの可能性がありますが、診断を確定する検査ではありません。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの治療では、ビタミンB1サプリメントを投与します。ただし、神経障害の回復には時間がかかるとされています。また、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの症状は回復したようにみえても、数年後に再発することがあるので注意が必要です。

ビタミンB1はいろいろな食べ物の中に含まれているので、偏食さえしなければ、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーを起こすことはほとんどありません。過度のダイエット、朝食や昼食を抜く、外食で食事をすませる、インスタント食品に偏るなどの食生活では、ビタミンB1の不足を招き、発症しやすくなります。

ただし、ビタミンB1が不足していても、他の栄養素のバランスがいい場合は、すぐに発症しません。食生活に偏りがあって、疲労感や倦怠(けんたい)感が続いている場合は、潜在的ビタミンB1欠乏症と考えて、食生活を改善する必要があります。

お勧めなのは玄米食。玄米にはビタミンB1が多く含まれているからで、玄米を精米した白米ではほぼ全部のビタミン類が取り除かれています。玄米のほかにビタミンB1を多く含む食品には、豚肉、うなぎ、枝豆、えんどう豆、大豆(だいず)、ごま、ピーナッツなどがあります。これらをうまく組み合わせて、ビタミンB1を摂取していきましょう。ビタミンB1を添加している強化米や強化精麦を利用するのも、1つの方法です。

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)の治療は、ニコチン酸を含むビタミンB群の投与です。ニコチン酸アミドを1日50〜100mg投与し、他のビタミンBの欠乏を合併することも多いので、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6も併用して投与します。ビタミンB群は、お互いに協力しあって活動しているため、それぞれの成分だけではなく、ビタミンB群としてまとめて投与することが望ましい栄養素でもあります。

ニコチン酸の過剰症は特にありませんが、合成品のニコチン酸を100mg以上摂取すると、皮膚がヒリヒリしたり、かゆくなることがあります。とりわけ、ニコチン酸の摂取に際して注意が必要なのは、糖尿病の人です。ニコチン酸はインシュリンの合成に関与し、大量に摂取すると糖質の処理を妨げてしまいます。 一部の医薬品との相互作用を示唆するデータもあるため、すでに他の薬を服用中の場合は主治医に相談の上、ニコチン酸を摂取する必要があります。

ビタミンB12欠乏性ニューロパチーの治療は、菜食主義者に対してはサプリメントによって、胃の切除をした人などに対しては静脈注射や投薬によって、ビタミンB12を補給します。

よほど偏食しない限り、日常の食生活で不足することはありませんが、ビタミンB12の含有量が多いのは、魚肉を始め、カキ、アサリ、ホタテガイなどの貝類、牛や豚のレバー、牛肉、卵、牛乳などの動物性食品で、植物性食品にはほとんど含まれていません。ただし、しょうゆ、みそ、納豆などには、微生物によって作られるビタミンB12が含まれています。

🇹🇲ビタミンB1欠乏性ニューロパチー

ビタミンB1の欠乏から、神経細胞が損傷して生じる神経障害

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーとは、ビタミンB1の摂取不足、あるいは体内での消費過剰によってビタミンB1が欠乏し、神経細胞が損傷することによって生じる神経障害。脚気(かっけ)、ビタミンB1欠乏症とも呼ばれます。

ビタミンB1は、細胞がエネルギーとして利用する糖質の代謝に重要なビタミンです。偏食、過度のダイエット、激しい運動、重労働、過剰なアルコール摂取、妊娠、授乳、甲状腺(せん)機能高進症などでビタミンB1の消費が一時的に増大した際に、糖質の代謝異常が起こり、血液や筋肉に、糖質の不完全燃焼の産物であるピルビン酸や乳酸が蓄積されます。そうなると、細胞が十分なエネルギーを得られず、神経機能の調節や消化機能が衰えて、神経障害が起こります。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの症状としては、初めは体がだるい、手足がしびれる、動悸(どうき)がする、息切れがする、手足にしびれ感がある、下肢がむくむなどが主なものです。進行すると、足を動かす力がなくなったり、膝(ひざ)の下をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱(しつがいけん)反射が出なくなり、視力も衰えてきます。

かつては、脚気衝心(しょうしん)といって、突然胸が苦しくなり、心臓まひで死亡することもありましたが、現在ではこのような重症例はほとんどありません。

しかし、三食とも即席ラーメンを食べるといったような極端に偏った食生活によるビタミンB1欠乏性ニューロパチーなどが、最近は若い人に増えてきています。インスタント食品やスナック菓子には脂質とともに糖質も多く含まれているのですが、この糖質の消費に必要なビタミンB1の摂取量が足りていないのです。また、過度なダイエットや欠食、外食によって、女子大学生の血中総ビタミンB1の値が非常に低いことも報告されています。

さらに、糖尿病の発症者と、高齢の入院患者にも、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーが増えてきているとされます。糖尿病の場合は、血液中の糖質に対するビタミンB1の相対的な不足が原因となり、高齢の入院患者の場合は、高カロリー(糖質)の輸液に対してやはりビタミンB1の不足が原因となります。

食事の代わりに酒を飲むといったアルコール依存症の人も、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーになる確率が高いと見なされています。ビタミンB1の欠乏以外に、アルコールそのものによる神経の障害から手足のしびれが起こり、特に夜間に強いビリビリとした痛みが多いのも特徴で、燃える足症状ともいいます。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの検査と診断と治療

神経内科、ないし内科の医師によるビタミンB1欠乏性ニューロパチー(脚気、ビタミンB1欠乏症)の検査では、ハンマーなどで膝の下を軽くたたく、膝蓋腱反射を利用した方法が広く知られています。足がピクンと動けば正常な反応で、何も反応がなければビタミンB1欠乏性ニューロパチーの可能性がありますが、診断を確定する検査ではありません。

ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの治療では、ビタミンB1サプリメントを投与します。ただし、神経障害の回復には時間がかかるとされています。また、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーの症状は回復したようにみえても、数年後に再発することがあるので注意が必要です。

ビタミンB1はいろいろな食べ物の中に含まれているので、偏食さえしなければ、ビタミンB1欠乏性ニューロパチーを起こすことはほとんどありません。過度のダイエット、朝食や昼食を抜く、外食で食事をすませる、インスタント食品に偏るなどの食生活では、ビタミンB1の不足を招き、発症しやすくなります。

ただし、ビタミンB1が不足していても、他の栄養素のバランスがいい場合は、すぐに発症しません。食生活に偏りがあって、疲労感や倦怠(けんたい)感が続いている場合は、潜在的ビタミンB1欠乏症と考えて、食生活を改善する必要があります。

お勧めなのは玄米食。玄米にはビタミンB1が多く含まれているからで、玄米を精米した白米ではほぼ全部のビタミン類が取り除かれています。玄米のほかにビタミンB1を多く含む食品には、豚肉、うなぎ、枝豆、えんどう豆、大豆(だいず)、ごま、ピーナッツなどがあります。これらをうまく組み合わせて、ビタミンB1を摂取していきましょう。

ビタミンB1を添加している強化米や強化精麦を利用するのも、1つの方法です。

🇹🇲ビタミンB2欠乏症

皮膚や粘膜のトラブルと子供の発育不良

ビタミンB2欠乏症とは、ビタミンB2(リボフラビン)の欠乏によって、皮膚や粘膜にトラブルが現れたり、子供の発育が悪くなったりする疾患。

ビタミンB2には皮膚を保護する働きがあるので、欠乏すると皮膚や粘膜にいろいろな症状が現れてきます。例えば、唇の周囲やふちがただれたり、舌が紫紅色にはれたり、肛門(こうもん)や外陰部などの皮膚と粘膜の移行部のただれなどもみられます。目の充血や眼精疲労などの症状のほか、進行すると白内障を起こすこともあります。 脂漏性皮膚炎も認められ、鼻の周囲や顔の中央部に脂ぎった、ぬか状の吹き出物ができます。重症になると、性格変化や知能障害が現れることがあります。

ビタミンB2にはまた、子供の発育を促す働きがあるので、欠乏した子供では成長不良につながります。成長期には、必要量を十分取らなければなりません。

ビタミンB2は、体内で糖質、蛋白(たんぱく)質、脂肪をエネルギー源として燃やすのに、不可欠な水溶性ビタミンです。ビタミンB2欠乏症は、アルコールの多飲、糖質過剰摂取、激しい運動、労働、疲労などで、現れることがあります。多量の抗生物質や経口避妊薬、ある種の精神安定薬や副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬などを長期に服用した時にも、現れることがあります。また、心臓病、がん、糖尿病、肝炎、肝硬変などの慢性疾患や吸収不良によって、ビタミンB2欠乏症のリスクが高くなります。血液をろ過する血液透析や腹膜透析でも、同様です。

ビタミンB2欠乏症の検査と診断と治療

医師による診断は、現れた症状や全身的な栄養不良の兆候に基づいて行います。尿中のビタミンB2排出量を測定し、1日40μg以下であれば欠乏症です。血中のビタミンB2濃度の測定も行われます。

治療では、ビタミンB2を症状が改善されるまで、経口で服用します。ビタミンB2の1日所要量は成人男性で1・2mg、成人女性で1・0mgとされており、1日10mgを経口で服用すると症状は完全に改善します。他のビタミン欠乏症を伴うことも多く、その場合はビタミンB1、ビタミンB6、ニコチン酸なども服用すると、より効果的です。

なお、ビタミンB2吸収不良を生じている場合、血液透析や腹膜透析を受けている場合は、ビタミンB2サプリメントを日常から摂取する必要があります。

🇹🇲左腎静脈捕捉症候群

左側の腎臓の静脈が動脈に圧迫されることが原因となって、目で見て赤い尿が出る疾患

左腎静脈捕捉(ひだりじんじょうみゃくほそく)症候群とは、左側の腎臓からの出血のために、目で見て明らかに赤い尿が出る疾患。ナットクラッカー症候群、ナッツクラッカー症候群、くるみ割り症候群、腎臓くるみ割り症候群、左翼腎静脈わな症候群などとも呼ばれます。

まれな疾患で、その多くは小児期から思春期前後に発症します。成人では、やせた人によくみられるともいわれています。

右側の腎臓の静脈は下大静脈にすぐに合流しますが、左側の腎臓の静脈は下大静脈に合流する途中で、上腸間膜動脈と腹部大動脈の間を通り、くるみ割りの器具(ナットクラッカー)に挟まったような状態になっています。この静脈が2つの動脈に挟まった部位で、動脈圧が高く静脈圧が低いために静脈が押しつぶされると、静脈内圧が上がって静脈の血液の流れが悪くなるために、左側の腎臓の毛細血管がうっ血や出血を来し、排尿時に赤い尿が出ます。

身体的には無症状で、目で見て赤い肉眼的血尿のみが認められる場合が多く、一定の時を置いて起こる間欠的な血尿が認められます。血尿は、ピンク色から鮮紅色で、コーラのように色の濃いこともあります。

尿の中に混ざる赤血球の程度によって、多ければ目で見て明らかに赤い肉眼的血尿となり、少なければ見た目は正常な尿の色でも赤血球が混ざっている、いわゆる尿潜血、または顕微鏡的血尿の状態になります。左腎静脈捕捉症候群でも、検診などによって尿潜血を認めることによって発見されるケースが多くみられます。

症状が重いケースでは、血尿のほかに、片腹部痛、腰痛、貧血、精巣静脈瘤(りゅう)、卵巣静脈瘤、起立性蛋白(たんぱく)尿がみられることもあります。精巣静脈瘤、卵巣静脈瘤があると、不妊の原因になることもあります。

こうした一部のケースを除き、左腎静脈捕捉症候群の予後は良好で、多くは時間の経過とともに、他の静脈への側副血行路といわれる血液の別ルートが発達しますので、自然に治ることがほとんどです。

左腎静脈捕捉症候群の検査と診断と治療

泌尿器科、腎臓内科の医師による診断では、出血の部位が左側の腎臓であることを膀胱(ぼうこう)鏡で確認後、造影剤を静脈注射して撮影する造影CT(コンピューター断層撮影)検査、腹部超音波(エコー)検査などを行います。

腹部超音波検査の際には、左側の腎臓静脈、卵巣静脈、副腎をよく観察し、それぞれの拡張や、腎臓静脈の周囲の循環系による圧迫、狭窄(きょうさく)がないかどうかに注意します。超音波検査法の一種である超音波ドップラー法という検査を行い、腎臓静脈を観察し、狭窄部位から下大静脈への血流速度の計測をすることもあります。

泌尿器科、腎臓内科の医師による治療は、基本的には不要で、側副血行路が発達し自然に治ることが多いものの、薬物療法として、抗プラスミン薬などの止血薬を使用して、血尿を止めます。

貧血が進行するほどの肉眼的血尿が持続する場合には、尿管カテーテルを用いて、1~3パーセントの硝酸銀を腎盂(じんう)内へ注入して、出血している静脈を凝固させる治療を行うこともあります。

それでもうまく出血のコントロールができない場合には、左側の腎臓静脈の狭窄部位に、血管の中で拡張して適切な太さに保つステントと呼ばれる機器を挿入する手術を行うこともあります。あるいは、左側の腎臓静脈が下大静脈に合流する部位を切り離し、上腸間膜動脈と腹部大動脈の間の距離が広い下側につなぎ直す、左腎静脈転位術という手術を行うこともあります。

🇺🇿鼻中隔湾曲症

鼻腔(びこう、びくう)を左右に分けている隔壁の部分を、鼻中隔(びちゅうかく)といいます。鼻中隔は、いくつかの軟骨と薄い骨が組み合わさっていて、粘膜で覆われています。この鼻中隔が左右どちらかにゆがんでいたり、曲がっているのが、鼻中隔湾曲症です。

程度や形は個人差がありますが、ほとんどの日本人の鼻中隔は多少、湾曲しています。多くは先天的なもので、症状がなく治療の必要はありません。

鼻の高い人は湾曲の程度が強い傾向にあり、あまり程度が強いと、鼻の空気の通りが悪くなり、粘膜が刺激を受けやすくなったり、炎症を起こしやすくなります。湾曲側に鼻詰まりや、時に鼻出血が起こり、また鼻が詰まるために頭重感や頭痛が起こることもあります。

鼻詰まり、鼻出血を繰り返す場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科で手術を受け、湾曲した軟骨、骨を切除して真っすぐにするのが、お勧めです。

🇺🇿ピック病

人格の変化が目立つ認知症の一種

ピック病とは、人格の変化や理解不能な行動を特徴とする疾患で、認知症の一種。働き盛りの40歳~60歳に多く発症し、大脳皮質のうち前頭葉から側頭葉にかけての部位が委縮します。

ピック病の発症ケースは、同じく大脳皮質のうち頭頂葉と側頭葉後部が委縮するアルツハイマー型認知症よりもはるかにまれです。

1898年にチェコのアーノルド・ピックにより報告された疾患で、100年以上経過してもまだ世界共通の明確な診断基準すらなく、正確な発生頻度も不明。疾患を正しく診断できる医師が少ないために、アルツハイマー型認知症と誤診されたり、うつ病や統合失調症と間違えられて、不適切な治療やケアを受けるケースも少なくありません。

認知症も発症する年代によって、40~60歳代で発症する初老期認知症と、60歳、ないし65歳以降に発症する老年期認知症に大まかに分けられますが、ピック病は初老期認知症の代表疾患。40歳代~50歳代にピークがあり、平均発症年齢は49歳。女性の発症率が多いアルツハイマー型認知症に対して、そういった性差はありません。

記憶力の低下を主症状とするアルツハイマー型認知症に対し、ピック病の初期では、記銘力・記憶力、見当識(けんとうしき)、計算力などの知的機能は保たれています。

初期で目立つのは人格障害で、認知症の中では人格の変化が一番激しくなります。アルツハイマー型認知症の人格障害はピック病に比べれば軽く、脳血管性認知症ではさらに軽いといわれます。

人格障害には、易怒、不機嫌、爽快なども認められ、人を無視した態度、人に非協力な態度、不まじめな態度、ひねくれた態度、人をばかにした態度などが目立つようになります。しかし、本人に病識はありません。

ピック病特有の症状といえる滞続言語も、認められます。滞続言語とは特有な反復言語で、会話や質問の内容とは無関係に、同じ内容の話を繰り返したり、おうむ返しを続けたりします。これらは持続的で、制止不能です。

時刻表のように毎日決まった時間に、散歩や食事、入浴など日常生活のさまざまな行為を行うようになることもあります。この際、やめさせたり、待たせたりすると怒ります。毎日、同じ物、特に甘い物しか食べない場合もあり、際限なく食べる場合もあります。

自制力の低下により、周囲には理解不能な行動、状況に合わない行動もみられます。例えば、場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや、配慮を欠いた行動をしたり、周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為を示します。

また、自発性が低下し、考え不精がみられる一方で、多動、外出、徘徊(はいかい)、落ち着きのなさ、多弁、衝動行為、粗暴行為が増加することもあります。窃盗や万引きなどの犯罪を犯す場合もありますが、反省したり説明したりできず、同じ違法行為を繰り返すこともあります。

症状が進行すると、意欲減退が生じ、仕事を放棄して引きこもったり、何もしないなどの状態が持続し、自発性行動の少なさは改善しません。身だしなみにも無関心になり、不潔になります。周囲の出来事にも無関心になります。

やがて、記憶障害や言葉が出ないなどの神経症状が現れます。最終的には、重度の認知症に陥ります。

検査と診断と治療

できるだけ早めに医療機関を受診し、詳細な診断を受けることが勧められます。また、医療機関を受診する際には、できればピック病の専門医を訪ねることが併せて勧められます。

医師による検査では、CT、MRIによって、前頭葉と側頭葉に目立った局所性の脳委縮が認められるかを調べます。SPECT、PETという脳血流や脳ブドウ糖代謝を見る検査によって、前頭葉と側頭葉の血流、あるいは代謝の低下が認められるかも調べます。

診断に際しては、アルツハイマー型認知症、統合失調症との鑑別が行われます。アルツハイマー型認知症では記銘・記憶力、見当識、計算力などの知的機能低下が初期症状ということを始め、症状、検査などの特徴によって、知的機能が保たれているピック病と鑑別されます。統合失調症では幻聴がみられるということを始め、症状、検査などの特徴によって、幻聴はほとんどみられないピック病と鑑別可能です。

ピック病は原因が不明であるため、その研究が立ち遅れていて、治療法は今のところ発見されていません。対症療法をアルツハイマー型認知症と同様に行うのが一般的で、落ち着きのなさ、多動、徘徊などに対して、抗精神病薬を使うことがあります。

介護も重要となりますが、40歳代~50歳代に多発するピック病の人はまだ若いので、老人に比べると力も強く、その上徘徊などもあるため、その対応は困難を伴うことも多くみられます。場合によっては、精神病院への入院を余儀なくされることもあります。

予後は不良とされ、全経過は短めで2~3年から、長くても8~10年で衰弱し死亡することが多く、アルツハイマー型認知症よりも短い傾向にあります。

🇺🇿ヒップポインター

骨盤の最も上の部分にある腸骨稜の外側への直接的打撃などにより、痛みが生じる障害

ヒップポインターとは、骨盤の最も上の部分にある腸骨稜(ちょうこつりょう)の外側部への直接的打撃、いわゆる打撲などにより、痛みが生じる障害。スポーツ傷害の1つで、腸骨稜打撲とも呼ばれます。

腸骨稜はズボンが引っ掛かる骨で、内腹斜筋、外腹斜筋、大腿(だいたい)筋膜張筋、中殿(ちゅうでん)筋などの強い筋肉が付着しています。そのため、大きな力が働く部位です。

ラグビー、アメリカンフットボール、柔道、相撲、レスリング、空手などのコンタクトスポーツ時の激しい接触や、バスケットボール、サッカー、ハンドボール、体操、スキー、スノーボードによる転倒、野球でのスライディングなどにより、脂肪や筋肉が薄い腸骨稜の外側部への直接的打撃を受けて、ヒップポインターが生じます。

打撲により、腸骨稜に付着する筋肉が硬くなり、けいれんを起こします。痛みは受傷直後は少なく、数時間後あるいは翌日に歩けないほどの激痛になることがあります。

激痛があると、上体を曲げたりひねることができなくなり、多くは受傷した部位にはれと変色が見られます。股(こ)関節が曲げにくくなることもあり、重度の場合は歩行に松葉杖(づえ)が数日必要になることもあります。

腹部に付着している内腹斜筋、外腹斜筋が損傷した場合は、せきやくしゃみをしたり笑ったりした時に、受傷した部位に痛みを感じることもあります。

ヒップポインターの検査と診断と治療

整形外科、形成外科の医師による診断では、受傷状況、受傷部位の痛み、はれ、変色などから判断します。痛みが強い場合は、X線(レントゲン)検査を行って、腸骨稜の裂離骨折などがないか確認します。

整形外科、形成外科の医師による治療では、急性期は安静にして下肢を動かす運動を避け、痛みや炎症を鎮めるためにアイシング(冷却)を行います。

内出血や筋肉の損傷の治療、痛みの軽減、血流の改善などを目的に、テーピング、低周波治療などを行うこともあります。

痛みなどの症状が軽減した後は、急性期の治療に加えて温熱療法、運動療法、ストレッチング、マッサージなどを行います。受傷の程度にもよりますが、ある程度制限はあっても1~2週間で、スポーツ活動の練習を再開することはできます。

再発予防としては、ヒッププロテクターやヒップパッドの装着が有効です。

🟥ロッテ、ガム3商品3万個を自主回収へ 国内で認められていない食品添加物を使用

 ロッテは26日、「めっちゃふくらむフーセンガムボトル」(2024年7月発売)などガム3商品を自主回収すると発表した。回収個数は計約3万個になる見込み。原材料である「エンドウたんぱく」に、国内で使うことが認められていない食品添加物「メチルパラベン」「PEGエステル類」が含まれて...