2022/08/18

🇼🇸遅発閉経

一般的な停止年齢より遅れて、55歳以降になって閉経する状態

遅発(ちぱつ)閉経とは、女性が55歳以降になって閉経する状態。晩発(ばんぱつ)閉経とも呼ばれます。

閉経の年齢は個人によって異なりますが、一般的には45~56歳くらい、平均では2012年度で52・2歳、遅い人でも60歳前には閉経に至るといわれています。かつては平均閉経年齢は50歳といわれていましたが、平均寿命や健康寿命が延びているように、平均閉経年齢も延長しています。

そもそも閉経とは、女性が性成熟期の終わりに達し、更年期になって卵巣の活動性が次第に消失し、卵巣における卵胞の消失によって月経が永久に停止することをいい、その時期を閉経期といいます。

女性によっては、一度月経が停止したのに半年後に再開するケースもあるため、無月経になってから1年以上経過したことを目安に閉経と見なされます。

遅発閉経で、55歳以降になって月経が続いているということは、ほかの女性よりも長く女性ホルモンを分泌できる恩恵を受けられるということで、骨粗鬆(こつそしょう)症などになる可能性は低く、一見QOL(生活の質)はよいように思われます。

一方、生殖機能にかかわる女性ホルモンには、乳がんの増殖を促す作用があり、分泌期間が長いと発症しやすくなります。子宮体がんや卵巣がんを発症するリスクも、高まるといわれています。

月経の経血量が多いタイプの女性が、閉経が遅い傾向にあります。特に、子宮の筋肉にできる良性腫瘍(しゅよう)である子宮筋腫(きんしゅ)が原因で経血量が多い女性は、卵巣から出る女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が多い傾向があり、閉経時期が50歳代半ば以降になることもあります。

子宮筋腫があると、それまで月経トラブルがなかった女性でも、更年期に経血量が増えたり、突然大量出血することもあります。

子宮筋腫などで貧血を伴う場合は、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。単なる遅発閉経の場合は、特に治療の必要はないものの、乳がん、子宮体がん、卵巣がんの危険因子として挙げられているので、少なくとも年1回程度の定期検診は欠かさず受けることが勧められます。

遅発閉経の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断では、子宮筋腫が疑われる場合、触診に続いて、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、子宮内部の様子を外から観察し、確定します。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、単なる遅発閉経の場合、経過を観察します。

子宮筋腫によって貧血がある場合、薬物療法と摘出手術という2つの方法がありますが、根本的な治療は手術になります。

薬物療法は、ホルモン剤によって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を一時的に停止させる方法です。Gn-RH製剤と呼ばれる薬が使われ、月1回注射を打つ方法、1日に2~3回、鼻に噴霧する方法などがあります。これによって、子宮筋腫の重さを半分から3分の2くらいまで縮小させることができます。

しかしながら、この方法では人工的に閉経したのと同じような状態を作るため、更年期障害が現れ、骨粗鬆症のリスクも高めることになります。Gn-RH製剤を使うのは、半年が限度とされています。その後、半年治療を中断すれば、骨も元に戻り、骨粗鬆症のリスクも低下しますが、子宮筋腫もまた元の大きさ近くに戻りますので、根本的な治療にはなりません。最近は、閉経が間近な女性などに対して、補助的な意味合いで使われることも多いようです。

また、子宮に栄養を供給する子宮動脈を人工的に詰まらせ、子宮筋腫を栄養不足にすることで小さくする、子宮動脈塞栓(そくせん)術という治療法があります。X線でモニターしながら、大腿(だいたい)部の動脈から子宮動脈まで細い管を挿入し、詰め物で血管に栓をします。まだ一般的な治療ではなく、一部の施設で試みられている段階です。

手術で子宮筋腫を摘出する場合は、子宮筋腫のみを摘出して子宮を残す方法と、子宮ごと子宮筋腫を摘出する方法とがあります。どの方法を選ぶかは、筋腫の状態、症状の程度などによって決定されます。

手術の方法も、おなかにメスを入れる開腹手術だけではなく、腟(ちつ)から子宮を取る手術や、腹腔(ふくくう)鏡など内視鏡によって開腹せずに行う手術もあります。

🇳🇨茶あざ

先天的もしくは後天的に、皮膚の表面に生じる褐色調の平らなあざ

茶あざとは、先天的もしくは後天的に、皮膚の表面に生じる褐色調の平らなあざ。

一般的に茶あざと呼ばれているものの大多数は扁平母斑(へんぺいぼはん)ですが、類似するベッカー母斑などもあります。

扁平母斑は、先天的もしくは後天的に、顔面および四肢、体幹の皮膚表面に生じる淡褐色から褐色の平らなあざ。ほくろのように、皮膚から盛り上がることはありません。そのために、盛り上がりのないあざという意味で、扁平母斑と呼ばれています。また、コーヒーのような黒さでなく、ミルクコーヒーに似た色のあざという意味で、カフェオレ班、カフェオレ・スポットとも呼ばれます。

色素細胞の機能高進により、表皮基底層でメラニン色素が増加するために、扁平母斑が生じます。大きさや形はさまざまで、類円形から紡錘形、辺縁がギザギザした不正型の小さいあざが多数集まっていたり、面状に分布する比較的均一な大きいあざであったりします。淡褐色から褐色のあざの中に、直径1ミリ程度の小さな黒色から黒褐色の点状色素斑が多数混在することもあります。

ほとんど、生まれ付きに存在するか幼児期に発生しますが、思春期になって発生する場合もあり、遅発性扁平母斑とも呼ばれます。

思春期になって発生する茶あざには、肩や胸などに生じる比較的大きな褐色調のあざであるベッカー母斑もあります。多くは、体の片側に10~20セント前後の大きさで出現します。周囲の正常な皮膚との境界がはっきりしており、表面はザラザラとしています。好発部位は、肩、胸、背中、上腕など体幹と四肢の境界部。

女性よりもやや男性に多く、過半数に少し濃い発毛を伴うという点が特徴といえます。あざの部分に、髪の毛くらいの太さの毛が密に生えることもあります。扁平母斑と同様に、皮膚から盛り上がることはありません。

発毛を伴う場合は、毛包という毛を包んでいる組織に、メラニン色素を作る色素細胞も入っています。海水浴や強い日光にさらされた後などに、ベッカー母斑が現れることもあります。

先天性扁平母斑、遅発性扁平母斑、ベッカー母斑とも通常、悪性化することはありません。

しかし、生まれた時から丸い扁平母斑が6個以上ある場合には、神経線維腫(しゅ)症1型(レックリングハウゼン病)の主症状のこともあります。神経、目、骨など皮膚以外の場所にも症状が出てくる可能性がある症候群で、早めに総合病院の皮膚科を受診したほうがよいでしょう。

扁平母斑、ベッカー母斑は、多少の色の変化はありますが、自然に消えるあざではありません。色が淡褐色で、肌と違和感が少ないため気にならなければ、強いて治療する必要はありません。顔や腕など、肌の露出部にあって気になる場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診することが勧められます。

茶あざの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断では、特徴的な母斑なので、ほとんどは見ただけでつきます。神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)が疑われる場合は、神経線維腫や聴神経腫瘍、骨格異常の有無など検査します。

皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による扁平母斑の治療では、病変が浅いので、Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザーなどを照射すると、メラニン色素に選択的に吸収され、母斑が消失したり軽快します。

医療レーザー治療の長所は治療を行った部位に傷跡ができにくいことですが、すべての扁平母斑に有効ではありません。思春期になって発生する遅発性扁平母斑では、多くのケースで効果を認めます。

先天性の扁平母斑では、思春期以降に色調が強くなって認識したケースでレーザーが効くのはまれで、レーザーを照射してしばらくは消えていたものが、次第に再発する場合もしばしばあります。再発の程度は、テスト治療で推測できます。

しかし、先天性の扁平母斑でも乳幼児期からレーザー治療を行うと、再発が少なく効果を認めることが多くなります。そのため、有効率を高めるために、皮膚が薄い0歳児からレーザー治療を行う医療機関が増えてきました。

レーザー治療が無効で扁平母斑がすぐに再発する場合には、ドライアイスや液体窒素を使用した治療や、グラインダーで皮膚を削る皮膚剥削(はくさく)術という手術が行われます。傷跡を残すことがあるので、第一選択ではありません。

ベッカー母斑の治療でも、医療レーザーによる治療が第一選択とされます。Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチヤグレーザー、炭酸ガスレーザーなどを照射すると、メラニン色素に選択的に吸収され、多くのケースでベッカー母斑が消失したり軽快します。

有毛性のベッカー母斑では、レーザー治療の前に脱毛するなどの処理できれいにすることが、重要になります。

有毛性のベッカー母斑に対して、脱毛処理を行わずにレーザー治療を行うと、最初は周囲の正常な皮膚と同じ肌色になりますが、時間が経つにつれて、ポツンポツンと毛穴に一致して色素沈着が出てきます。毛包の中のメラニン色素を作る色素細胞が、過剰に反応してしまうためです。

医療機関によっては、剛毛が生えていたり、多毛である際には、Qスイッチヤグレーザーなどと医療脱毛用のレーザーを併用することもあります。

レーザー治療が無効でベッカー母斑が再発する場合にも、ドライアイスや液体窒素を使用した治療や、グラインダーで皮膚を削る皮膚剥削術、植皮術などが行われます。

🇬🇫中咽頭がん

口を開ければ見える扁桃や、その周辺に発生する咽頭がん

中咽頭(ちゅういんとう)がんとは、口を開ければ見える扁桃(へんとう)や、その周辺の舌の付け根などに発生するするがん。ほとんどは、中咽頭の表面を覆っている薄く平らな形をした偏平上皮細胞から発生します。

鼻や口の奥にある部分を咽頭といいます。咽頭は全長約13センチの中空の管で、鼻の後方から始まって、気管、食道の入り口まで連続しています。咽頭は上咽頭、中咽頭、下咽頭に分類されていて、中咽頭とは口の後方に位置する咽頭の中間部分のことをいいます。

空気や食べ物が気管や食道に送られる際には、この中咽頭の中を通過していきます。中咽頭には、これら呼吸作用、嚥下(えんげ、えんか)作用のほかに、言葉を作る構音作用があります。

中咽頭がんは、頭頸(けい)部がんの約10パーセントにすぎません。その頭頸部がんの発生頻度は少なく、がん全体の約5パーセントと見なされています。日本では年間1000〜2000人程度に、中咽頭がんが発生していると推定されています。男性が女性よりも3〜5倍多く発症し、好発年齢は50〜60歳代。

中咽頭がんは、咽頭粘膜の偏平上皮細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることにより発生します。近年、がんの発生と遺伝子の異常についての研究が進んでいるものの、なぜ細胞が無秩序に増える悪性の細胞に変わるのか、まだ十分わかっていません。がんは周囲の組織や器官を破壊して増殖しながら、ほかの臓器に広がり、多くの場合腫瘤(しゅりゅう)を形成します。ほかの臓器にがんが広がることを転移と呼びます。

中咽頭がんの原因として最も因果関係がはっきりしているのは、喫煙習慣と過度の飲酒です。従って、長期の飲酒歴、喫煙歴のある人は注意を要します。

その初期には、自覚症状がほとんどありません。進行すると、扁桃部のはれ、咽頭の異物感、咽頭痛、嚥下痛などの症状で気付きます。さらに、発声障害、出血、呼吸困難、嚥下障害などの深刻な症状が出現してきます。首のリンパ節への転位も比較的多く出現し、のどの症状より先に首のしこりに気付くこともあります。

しかし、がんのできる部位や大きさにより症状が出にくい場合もあり、症状がないからといって安心はできません。 偏平上皮細胞から発生するがんのほか、まれには唾液分泌腺(せん)などの腺組織から生じる腺がん、およびそれに類するがんも発生します。また、この部位には悪性リンパ腫がしばしばみられるが、中咽頭がんとは別に取り扱われます。

中咽頭がんの検査と診断と治療

医師による診断では、内視鏡検査やCT検査、MRI検査などの画像検査を行い、最終的には組織片を調べて確定します。

初期のがんでは、放射線治療で十分に治る可能性があります。進行したがんでは、手術が必要になります。

両側の首にリンパ節転移がある場合や、片側でも多数のリンパ節がはれている場合には、肺転移が多いために、手術や放射線治療の前後に抗がん剤による治療が行われます。抗がん剤による治療はある程度の効果は得られるものの、単独でがんを根治するだけの力はないので、現在のところ手術や放射線治療に比べると補助的な治療と位置づけられています。

近年では、放射線治療と抗がん剤の同時併用療法が注目されています。

🇬🇫肘関節脱臼

肘の関節が外れ、肘関節を構成する骨同士の関節面が正しい位置関係を失った状態

肘関節脱臼(ちゅうかんせつだっきゅう)とは、外力が働くことによって、肘(ひじ)の関節を構成する骨同士の関節面が正しい位置関係を失った状態。いわゆる肘の関節が外れた状態のことです。

肘関節の脱臼は、人体に起こる脱臼の中では、肩関節の脱臼に次いで多く起こっています。

肘関節は、上腕骨と、2本の前腕骨である橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃくこつ)とで形成される関節で、上腕骨の内側の滑車という部分と、尺骨の肘頭や滑車切痕(せっこん)というくぼんだ部分とが強く絡み合って、肘の曲げ伸ばしの運動を行っています。

この肘関節全体は、関節包という靱帯(じんたい)状の線維で覆われており、さらにその上に内側側副(ないそくそくふく)靱帯、外側側副(がいそくそくふく)靱帯、そして橈骨輪状靱帯などが補強しています。

これらの軟部組織が骨を支える力が弱いために、転倒などに際して外力が働くことによって、肘関節の脱臼が起こりやすくなっています。特に、骨自体がまだしっかりしていない子供に多くみられます。

脱臼した後、前腕骨の肘に近いほうの端が前方(内側)に動いているか、後方(外側)に動いているかによって、前方脱臼、後方脱臼に分類されます。より多く起こっているのは肘関節後方脱臼で、肘関節の後方(外側)のほうが前方(内側)よりも、肘を曲げ伸ばしする時の力に対する抵抗力が強く、通常やや反り返る程度まで伸展できることがあだとなっています。

肘関節後方脱臼は、肘を伸ばした状態で手を突いて転倒し、さらに前腕が外側にねじられるような形になった際に、肘が過伸展されることにより、骨が関節包を突き破って起こります。

転倒によるほか、柔道やレスリングなどの格闘技において、手を突いた際や、腕の固め技である腕ひしぎ十字固め、アームロックを受けた際、あるいは交通事故などによる外傷でも、後方脱臼は起こります。

肘関節後方脱臼が起こると、ほとんどの場合、痛みが生じるとともに肘の曲げ伸ばしができなくなります。外見上も肘の変形が明らかで、脱臼した直後には、骨が関節包を突き破って後方(外側)に飛び出している部分がはっきりとわかりますが、はれが次第に大きくなるので、飛び出している部分がわかりにくくなります。

場合によっては、尺骨神経まひを合併することもあります。血管損傷を合併することはめったにありませんが、すぐに整復しないとフォルクマン拘縮を起こすことがあります。骨折の合併がある場合は、尺骨の鉤状(こうじょう)突起、橈骨頭部分の骨折を起こしやすく、たまに上腕骨内側上顆(ないそくじょうか)、外側上顆(がいそくじょうか)なども骨折することがあります。

一方、肘関節前方脱臼は極めてまれに起こり、例えば自動車の運転中に肘を曲げた状態で窓にかけていて、外の物に肘をぶつけた際に、起こります。多くの場合は、尺骨の肘頭骨折も合併します。

肘関節前方脱臼を起こすと、前腕骨の肘に近いほうの端が前方(内側)に動いて、肘を触った時に尺骨の肘頭ではなく上腕骨の先端が飛び出していることがわかります。

転倒や事故による受傷後、肘関節の明らかな変形が認められる場合は、骨折も疑い、アイシングと固定を行い,速やかに整形外科を受診することが勧められます。

肘関節脱臼の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、受傷時の状況と、肘の症状から、肘関節脱臼を疑います。脱臼と骨折の判別のために、異なった2方向から撮影するX線(レントゲン)検査を行うこともあります。

必要に応じて、他のX線撮影や関節造影検査(アルトログラフィー)、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査を追加し、関節包や靱帯、筋肉、骨軟部組織の損傷程度を調べることもあります。

整形外科の医師による治療では、まず、脱臼した骨を素手で元の位置に戻す徒手整復を試みます。

肘関節後方脱臼の場合、肘関節を軽く屈曲して、前腕を後方に押し下げながら牽引(けんいん)すると、通常は簡単に整復されます。その後、肘関節の安定性をチェックし安定している場合は、肘関節を曲げた状態でギプス固定をします。通常、1~3週間程度で完治します。

整復されても、すぐに再脱臼を起こすような場合は、肘関節の広範囲な靭帯損傷などが疑われます。このような場合、少し長めに2〜3週間程度のギプス固定を行うことで回復することもありますが、手術で靭帯の縫合が必要なこともあります。

手術には、関節鏡視下手術と通常の直視下手術があります。関節鏡視下手術のほうが体に負担がかからず、手術後の痛みが少ないために普及してきています。いずれの手術でも、はがれたり切れたりした靱帯や関節包などの軟部組織を元の位置に縫い付ける方法や、骨や腱で補強する方法などがあります。

肘関節前方脱臼の場合、腕を長軸方向に牽引し、前腕骨の肘に近いほうの端を後方へ押して整復します。その後、尺骨の肘頭骨折を合併しているケースでは、動揺関節や可動域制限などの後遺症を残すこともあるため、手術を行います。

2022/08/17

🇬🇫虫刺症(虫刺され)

虫に皮膚を刺されてできる傷

虫刺(ちゅうし)症とは、虫に皮膚を刺された時にできる傷であり、外傷の一つ。虫刺されとも呼ばれます。

傷は、ハチ、蚊、ノミ、ダニ、ブヨ、アリなどに刺されて、皮膚に注入される虫の唾液腺(だえきせん)物質に対するアレルギー反応です。主に腕や足の外側に多く、引っかき壊して水膨れを作ったり、皮膚がむけたり、出血したり、かさぶたとなります。幼児が主で、春夏に著しく、秋冬にはよくなるのが普通です。

同じ虫刺症といっても、人間を刺す虫の種類は多く、その毒性の強弱、あるいは刺された人の毒物に対する反応の差により、症状が異なります。

◆ハチ◆

一般的には、ハチに刺された場合は、その強い毒性のために、刺された部位が強い痛みとかゆみとともに、大きく赤く膨れ上がり、治るのに数日かかります。特に、ハチの毒液の成分に対し、アレルギーを持っている人は、反応が強いと、血圧低下、呼吸困難などのショック症状を起こすこともあります。反応が異常に強い時は、ショック死することもあります。

しかし、ショックを起こすのはハチだけではなく、蚊でも、その毒液の成分にアレルギーのある人は、ショックを起こすことがありますので、注意が必要です。

◆蚊◆

蚊による虫刺症は、一番ポピュラーなもの。普通は刺されたところが、銅貨大くらいまでに赤くはれ、強いかゆみがありますが、数時間以内に治まります。ただ反応の強い人では、水膨れになったり、数カ月間に渡って硬いしこりが残って、かゆみの非常に強い固定じんましんといわれる皮膚病になることがあります。

国内ではあまりないものの、海外では蚊に刺されてマラリア病やフィラリア症に感染することがありますので、海外旅行をする時は注意が必要です。

◆ノミ◆

ノミもまた、刺す虫の代表的なもの。最近は衛生設備の整備により、人ノミはあまり都会ではみられなくなり、現在よくみられるのは、犬、猫につく犬ノミ、猫ノミの虫刺症です。

このノミは元来、人につくことはないのですが、たまたま地面や畳などに落ちていると、人の足について刺したりします。かゆみの強い、赤いボツボツと水膨れができます。

◆ダニ◆

ダニは非常に種類の多い昆虫ですが、虫刺症と一番関係が深いのは家ダニです。家ダニはネズミに寄生していて、ネズミがいなくなると人を刺します。

最近は家屋が密閉されたために、昔ほどネズミはみられなくなり、家ダニの被害も減っているものの、食品を扱っている店などでは、ネズミも多く、そのネズミの移動によって被害に遭うことがあります。

野鳥に寄生しているトリサシダニ類は、鳥が巣を捨てると人を刺します。畳やカーペットの下に巣くうコナダニ類では、ツメダニが人を刺すことがあります。

これらの非常に小さくて、肉眼ではなかなか見付けにくいダニ類は、皮膚の軟らかいところを好んで刺しますので、軟らかい部分に赤いボツボツがあれば、ダニの虫刺症も考えられます。

山や草原を歩いている時に、体長1~2センチのマダニに刺されることがあります。激しい痛みと赤いはれを起こします。しかも、虫体が皮膚の中に深く食い込んでいて、一度刺されるとなかなか引き離すことができません。手術的に周囲の皮膚と一緒に虫を切り取るか、1~2週間放置して、虫が満腹になり、自然に離れるのを待つしか手はないようです。

日本海側の河川領域のネズミに寄生するダニ類のアカツツガムシ、全国の山林にいるネズミに寄生するフトゲツツガムシ、タテツツガムシによる虫刺症により、ツツガムシ病を起こすこともあります。発病すると、高熱とリンパ腺のはれと同時に、全身に淡紅色から淡紫紅色の大小の紅斑(こうはん)が生じます。刺された部位の中央に、かさぶたのついた大豆(だいず)より大きな潰瘍(かいよう)を持つしこりができるのが、ツツガムシ病の特徴です。

◆南京虫◆

南京虫(トコジラミ)は、家屋の透き間や、織物、紙の間などに潜んでいて、夜間に活動して人を刺します。刺されると、強いかゆみと痛みがあり、やや大きな赤いしこりがたくさんできます。

都会では、南京虫による虫刺症はあまりみることがなくなっているものの、織物や紙を扱う職業の人は刺されることが多いようです。また、家具について移動するため、新築の家でも油断することはできません。

虫刺症の検査と診断と治療

虫刺症(虫刺され)の治療には、抗ヒスタミン剤含有軟こうを塗布します。炎症症状の強い時は、短期間のステロイド外用剤の塗布が有効です。特に、テープ状のものを発疹(はっしん)の大きさに切って張り付けるのが、効果的です。

しかし、慢性の硬い結節ではなかなか治りません。これにはステロイドの注射薬を少量ずつ、一つ一つの結節に直接注射する方法もあります。引っかくのが疾患を悪化させ、長引かせるもとですから、かゆみ止めの飲み薬も必要な場合があります。

ハチの場合は、刺された直後には、毒を中和する意味でアンモニア水の塗布が有効です。刺されて時間がたち、赤く膨れ上がっている時には、ステロイド外用剤の塗布、あるいは短期間のステロイド剤の内服を行います。

虫刺症の予防法は、虫に刺されないように注意すればすむことです。蚊に刺されそうな場所に出掛ける時には、市販されている虫よけの外用剤を使います。

家庭における予防法としては、生活環境からのノミ、ダニなどの駆虫が第一で、まず家の大掃除をして、畳、カーペットは直接日に干し、さらに駆虫剤を散布します。部屋は風通しをよくして、湿気を払います。飼っている犬、猫の虫退治、家の中や周囲にいるネズミの退治、鳥の巣の取り除きも行います。

かいてあまり傷にならないように、週2回はつめを切る、寝る時に手袋をするなどの工夫も必要です。

🇻🇺中耳炎

耳の鼓膜と内耳との間にある中耳に炎症

中耳炎とは、耳の鼓膜と内耳との間にある中耳に起こる炎症。急性中耳炎と慢性中耳炎とに分けられます。

急性中耳炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こります。成人より小児に多い疾患で、風邪やアレルギーが誘因となります。

耳と鼻の奥をつなぐ耳管から、鼻やのどの連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌といった化膿(かのう)菌が中耳腔(くう)に入って炎症が起こると、耳が痛み、耳の詰まった感じ、耳鳴り、難聴に加え、発熱、全身倦怠(けんたい)、頭痛が起こり、鼓膜が赤くはれます。やがて、鼓膜が破れて耳垂れが出る場合もありますが、そのころになると痛みも和らぎます。

急性中耳炎がひどくなって乳様突起にまで炎症が及んだ場合には、耳の後ろがはれて、触る激しく痛み、熱も高く、頭痛など全身症状が悪化します。これを乳様突起炎といいます。近年では、抗生物質などの進歩で乳様突起炎のケースは少なくなりました

鼻を強くかまない、安静にする、入浴を控えるなどを心掛ければ、急性中耳炎のほとんどは、一週間くらいで治ります。急性中耳炎のうちによく治療し、耳垂れを主症状とする慢性中耳炎にならないように、心掛けたいものです。

慢性中耳炎は、耳垂れ、すなわち耳漏が主症状で、同じ中耳の炎症でも、耳痛、耳鳴り、発熱を伴う急性中耳炎とは、かなり様子が違っています。

慢性中耳炎の多くは、小児期からの持ち越しです。この慢性中耳炎には、2つの型があります。1つは、連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌といった化膿菌の感染による慢性化膿性中耳炎。もう1つは、鼓膜に穴が開く穿孔(せんこう)から、回りの上皮が中耳に入り込んで、上皮の剝脱(はくだつ)角化物がたまり、腫瘍(しゅよう)のようにみえる真珠腫性中耳炎。

症状としては、鼓膜に穿孔があり、持続的に耳垂れが出ます。真珠腫性では、耳垂れに悪臭があります。耳垂れの刺激で外耳道炎を起こしやすく、多くは難聴を伴います。経過中にめまいを起こせば、内耳炎の併発が疑われ、発熱や激しい頭痛があれば、脳合併症の疑いもあります。急いで、専門医に診てもらいます。

中耳炎の検査と診断と治療

急性中耳炎では、鼓膜を検査し、その色、はれ具合から簡単に診断がつきます。外耳道炎を併発し、外耳道がはれて見えにくい時は、診断がやや難しいことがあります。

急性中耳炎の治療に当たる多くの医師は、全例にアモキシシリンなどの抗生物質による治療を行っています。自然に治癒するか、悪化するかどうかを予測するのが、難しいためです。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬は、痛みを和らげます。フェニレフリンが入ったうっ血除去薬も、効果があります。抗ヒスタミン薬は、アレルギーによる中耳炎の場合は有効ですが、風邪による中耳炎には効果はありません。

痛みや熱が激しかったり、長引く場合、また鼓膜のはれがみられる場合には、鼓膜切開を行って、耳垂れを中耳腔から排出します。鼓膜を切開しても聴力に影響はなく、切開した穴も普通は自然にふさがります。中耳炎を繰り返し起こす場合は、鼓膜を切開して、耳だれを排出する鼓膜チューブを設置する必要があります。

慢性中耳炎の診断は、比較的簡単で、鼓膜の穿孔、耳垂れの有無が目標になります。耳垂れの細菌検査、CTを含む耳のX線検査、聴力検査を行います。

治療では、抗生物質で炎症を抑え、耳垂れを止めます。しかし、鼓膜の穿孔や破壊された中耳はそのまま残ることが多く、また、真珠腫性中耳炎では普通の治療では治りにくいので、手術が必要です。

鼓膜の穿孔をふさぎ、疾患で破壊された、音を鼓膜から内耳に伝える働きをする耳小骨をつなぎ直せば、聴力は改善できます。これを鼓室形成術といい、細かい手術のため手術用の顕微鏡を使って行います。

急性中耳炎のうちによく治療し、慢性中耳炎にならないように心掛けたいものです。

🇻🇺中手骨頸部骨折

拳を握った状態での殴打により、自らの中手骨の頸部が折れる外傷

中手骨頸部(ちゅうしゅこつけいぶ)骨折とは、ボクシングや空手などのスポーツで、拳(こぶし)を握った状態で相手や物を殴打することによって、自らの手のひらの骨である中手骨の頸部が折れる外傷。ボクサー骨折とも呼ばれます。

パンチ力の強いボクシング選手が、対戦相手の頭を強く殴打し、拳を握った状態でできる平らな面で、親指以外の4本指の第2、第3関節の間の部分、いわゆるナックルパートで正確に当たっていない場合に、よく発生します。

実際には、ボクシングでの発生は意外に少なく、一般の人がけんか相手やゲームセンターのパンチングマシーンを殴打して発生するケースがほとんどを占めます。また、乗り物のハンドルを握ったまま正面から交通事故に遭うなどしたケースでも、衝撃による外力が手指の付け根にある中手指節関節(MP関節)から中手骨の長軸に向かうことで発生します。

ボクシング選手では人差し指や中指の中手骨に、一般の人では薬指や小指の中手骨に発生することが多く、外傷の衝撃後に激痛、特定部位の圧痛、手の甲や時に指先までのはれ、変形、手や手指の機能不全、運動障害などが急激に現れます。

とりわけ、中手骨頸部の骨頭が手のひら側に曲がる屈曲変形を来すため、拳がつぶれた状態になります。後遺症として、指の動きが悪くなる、握ると指が重なる、指の力が弱くなるなどが現れることもあります。

ボクサー骨折が発生した際は、応急処置として患部を氷などで冷やしてはれを抑え、患部を固定し、早めに整形外科、ないし手の外科を受診することが勧められます。

患部の固定には添え木とテーピングが必要ですが、応急措置で適当な添え木がない場合は、親指以外なら隣の指を添え木として利用できます。例えば、中指の中手骨を骨折した場合は中指と薬指を2本まとめてテープで巻けば十分です。

中手骨頸部骨折の検査と診断と治療

整形外科、ないし手の外科の医師による診断では、手指の付け根の中手指節関節(MP関節)にあって、手を握ると本来は盛り上がる拳がへこんでいて、痛みやはれを認めることで、中手骨頸部骨折と判断します。

X線(レントゲン)検査を行うと、中手骨頸部に骨折線を確認でき、特に側面から見た画像で骨折の屈曲変形が明らかに認められます。

整形外科、ないし手の外科の医師による治療では、屈曲変形を手で整復した上で、スプリント材で手全体にスプリント固定を施し、三角巾などを使って吊(つ)り包帯での挙上を行います。

屈曲変形の整復状態を保存療法で保持するのが困難な場合は、ピンなどを用いて中手骨頸部を固定する手術的処置を行います。腱の損傷を合併した場合も、手術的処置を行います。

予防法としては、ボクシングでは正確にナックルパートで当たるように打つこと、厚めのグローブを使用することなどです。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...