2022/08/19

🇲🇳肘関節内側側副靭帯損傷

野球の投球動作の繰り返しによって、肘関節の内側を支える靱帯に生じる障害

肘関節内側側副靭帯(ひじかんせつないそくそくふくじんたい)損傷とは、野球の投球動作の繰り返しによって肘関節の内側を支える靱帯に生じる障害。肘関節肘尺側(ちゅうしゃくそく)側副靭帯損傷とも呼ばれます。

肘関節は、上腕骨と橈(とう)骨と尺骨という3骨の間に生じた複関節であり、その周りは靭帯や腱(けん)などによって支えられています。

野球の投球動作では、テークバックからの加速期には、腕が前方に振り出される際に肘を外側に広げ、さらにその後のボールリリース期からフォロースルー期には、手首を手のひら側に曲げ、前腕を内側にひねるため、手首を曲げる作用をする屈筋と、前腕をひねる作用をする回内筋が付着している上腕骨内側上顆(ないそくじょうか)という、肘関節の内側にある骨性の隆起に牽引(けんいん)力が働きます。

この投球動作の長年にわたる繰り返しにより、肘関節の内側にあって上腕骨と尺骨をつなぎ、肘関節の横ぶれを防ぐ役目をしている内側側副靱帯が損傷します。回内・屈筋群筋筋膜炎を起こしたり、上腕骨内側上顆炎を起こすこともあります。

野球の投球動作での肘関節内側側副靭帯損傷では、繰り返す牽引により内側側副靱帯が伸びた状態になっていることがほとんどです。これは、小さな断裂の繰り返しや靭帯組織の劣化によるもので、投球歴の長いピッチャーに多く発症します。

バランスのとれたフォームでの投球動作ならば、投球歴の長いピッチャーでも肘関節への負担は少なくなりますが、フォームのバランスが悪かったり、変化球を多投したりすると、肘関節内側側副靭帯損傷を発症する可能性が高くなります。

投球時の肘関節内側痛が、主な症状です。特に、テークバックからの加速期に痛みが起こります。通常、徐々に痛みが起こりますが、急に痛みが起こり投球が不能になることもあります。

日常動作では無症状のことがほとんどなものの、重症例では日常動作で肘がぐらつくような不安定性が生じたり、痛みが起こることもあります。

また、頻度は低いものの、不安定性により肘の内側の表面近くを走行する尺骨神経が損傷され、手の小指側(尺側)にしびれや感覚障害、握力が落ちるなどの運動動障害が生じることもあります。

野球によって肘関節内側側副靭帯損傷が生じるほか、転落などで手を突いて肘に外力が加わった時、スキーで転倒して肘に外力が加わった時、柔道などで肘の固め技を受けた時、アームレスリングで肘に強い外力が加わった時など、1回の外力で内側側副靱帯が損傷したり、完全に断裂することもあります。

外傷性の肘関節内側側副靭帯損傷では、受傷後すぐに肘が痛くなり、はれが生じ、痛みのため肘関節の運動が制限されます。

投球時に肘の内側が痛む場合は、肘関節内側側副靭帯損傷が疑われます。適切な治療を受けないと、競技生活を引退しても変形性肘関節症により肘の可動域が低下したり、尺骨神経遅発性まひを起こし、日常生活にも支障を来すことがありますので、早期に整形外科を受診することが勧められます。

肘関節内側側副靭帯損傷の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、投球時の痛みに加え、肘関節の内側にある骨性の隆起である上腕骨内側上顆の下端前方に圧痛があり、肘を外側に開くように力を加えると痛みが誘発される場合に、肘関節内側側副靭帯損傷を疑います。

X線(レントゲン)検査を行うと、靭帯付着部から剥離(はくり)した小さな骨片を認めることもありますが、正常な場合もあります。肘を外側に開くように力を加えて行うストレスX線(レントゲン)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査により、靭帯付着部に異常が認められることもあります。

整形外科の医師による治療では、投球禁止をした上、テーピングやギプスによる外固定を行って局所安静を図り、その後の筋力トレーニングで、手首を動かす屈筋と、前腕を内側にひねる回内筋の強化を行います。

ハイレベルの競技活動の継続を希望する野球選手などの場合や、不安定性により肘の内側を走行する尺骨神経に障害を来す場合、強い痛みと不安定性により日常生活に支障を来す場合には、膝(ひざ)や爪先(つまさき)の靱帯、腱、あるいは長掌(ちょうしょう)筋という前腕の筋肉にある腱を移植し、靱帯を再建する手術を行うことがあります。

スキーでの転倒、柔道などの固め技による外傷性の肘関節内側側副靭帯損傷の場合は、軽度から中等度の損傷であれば、テーピングやギプスによる外固定を2〜3週間行い、その後、徐々に筋力トレーニングを始めます。

🇲🇳肘トンネル症候群

肘の皮膚表面近くを通る尺骨神経が狭いトンネル内で圧迫されて起こる障害

肘(ひじ)トンネル症候群とは、肘の内側の皮膚表面近くを通る尺骨(しゃくこつ)神経が圧迫されて起こる障害。肘部管(ちゅうぶかん)症候群とも呼ばれます。

腕に走る大きな神経の1つである尺骨神経は、肘の内側にある内側上顆(ないそくじょうか)という骨の出っ張りの後ろを通り、その先にある骨と靭帯(じんたい)などで形成された肘部管という狭いトンネルをくぐって、手に伸びていきます。トンネル内は狭くゆとりがないため、慢性的な圧迫や引き延ばしが加わると、容易に尺骨神経まひが発生します。

肘トンネル症候群の原因は、現在では変形性肘関節症による肘関節の変形がその多くを占めています。変形性肘関節症は肘をよく使う人に発症しやすいことから、肘トンネル症候群は30歳以上の男性に多くみられます。一般に、利き手側に起こり、両手に同時に発症することはめったにありません。

尺骨神経は肘の皮膚表面近くを通っていて、何度も肘をついたり、長時間に渡って肘を曲げたままでいたりして、簡単に障害されます。野球のピッチャーは、スライダーを投げる際に腕を過剰にひねるため、肘トンネル症候群になりやすい傾向があります。

そのほか、肘関節部の骨折、肘部管を構成する骨が隆起した骨棘(こつきょく)、靭帯の肥厚、肘部管内外にできたガングリオン(結節腫〔しゅ〕)、外傷などから起こる場合もあります。 小児期の骨折によって生じた外反肘(がいはんちゅう)という、肘を伸展させると過剰に外側に反る変形によって、神経が引き延ばされて起こる場合もあります。

尺骨神経の働きは、手首の屈曲、小指と薬指の屈曲、親指を人差し指の根元にピッタリつける内転、親指以外の4本の指を外に開く外転、4本の指を互いにくっつける内転です。 知覚神経は、小指、薬指の小指側半分、手のひらの小指側半分を支配します。

尺骨神経が圧迫されたり引き伸ばされると、ほとんどの場合、最初は小指と薬指の小指側半分のしびれや痛み、感覚障害が起こってきます。また、尺骨神経は手のひら側と甲側の両方を支配しているので、指全体がしびれるのが特徴です。寝て起きた際にしびれていることが、しばしばあります。肘周辺のだるさ、前腕内側の痛みやしびれが出現することもあります。

尺骨神経の障害が進むと、親指の付け根の母指球筋以外の手内筋が委縮して、やせてきます。特に、手の骨と骨との間の筋肉がやせるので、指を開いたり閉じたりする力が弱くなったり、親指の内転困難によって親指と人指し指で物をつまむ力が弱くなったり、はしが使いづらくなったりなど、細かい動きがうまくできない巧緻(こうち)運動障害が生じます。顔を洗うために手で水をすくったりする動作も、難しくなってきます。

そのほか、手の筋肉が固まって指が曲がったままになる鉤爪(かぎづめ)変形(鷲手〔わして〕変形)と呼ばれる独特の現象が起こることもあります。

小指や薬指にしびれや痛みがあり、肘の内側にある内側上顆の後ろをたたくとしびれや痛みが走ったら、整形外科を受診して下さい。一般に、症状が軽いほど、早い回復が見込めます。手指の筋肉にやせ細りがあれば、急を要します。

肘トンネル症候群の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、損傷した神経の位置の特定するために、神経伝導試験を行います。親指の付け根の母指球筋以外の手内筋の筋委縮や鉤爪変形、両手の親指と人差し指で紙をつまみ、医師が紙を引く時に親指の第1関節が曲がるフローマンサインがあれば、診断がつきます。

感覚の障害がある時は、皮膚の感覚障害が尺骨神経の支配に一致していて、チネルサインがあれば、傷害部位が確定できます。チネルサインとは、破損した末梢(まっしょう)神経を確かめる検査で、障害部分をたたくと障害部位の支配領域に放散痛が生じます。

確定診断には、筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査、超音波検査など必要に応じて行われます。X線検査では、変形性肘関節症や骨折の経験などがわかりますし、肘を曲げた姿勢でX線検査を行うと、肘部管の狭窄(きょうさく)などもわかります。

首の病気による神経の圧迫や、糖尿病性神経障害などとの鑑別が必要で、問診で首の痛みや肩凝りがあるかなどを聞くこともあります。

整形外科の医師による治療は通常、筋肉の硬直を防ぐために理学療法で治療します。超音波治療、電気治療、ストレッチング、アイスマッサージ、アイシングを主に行い、夜間に肘が過度に曲がるのを避けるために添え木で固定したり、肘の負担を避ける肘用のパッドを着用したりします。

肘の圧迫や長時間の肘の屈曲など、明らかな誘因がある場合には、生活習慣の改善と局所の安静で軽快することが多い傾向にあります。ビタミン剤の内服も有効と考えられます。

筋委縮を起こしている場合や、肘関節部の骨折やガングリオンなどよって肘関節に変形を起こしている場合では、手術が必要になります。手術方法には、ガングリオンの切除、腱弓(けんきゅう、オズボーンバンド)の切開、内側上顆の切除、神経の前方移行術などがあります。

腱弓の切開は、尺骨神経を圧迫している膜状の組織を切る手術です。ほかの手術に比べて簡単ですが、再発する場合があります。手術後は、1週間ほど肘を固定します。

内側上顆の切除は、肘を曲げた時に内側上額で尺骨神経が引っ張られ、圧迫されないように、内側上顆を切除します。再発も少なく、肘トンネル症候群の手術としては、日本では最もよく行われています。手術後は、1週間程度の肘の固定が必要です。

神経の前方移行術は、尺骨神経を内側上顆の後ろから前側に移す手術です。手術方法には、前側の皮膚の下に神経を移す皮下前方移行術と、指を握る筋肉の下に移す筋層下前方移行術があります。皮下前方移行術では3週間程度、筋層下前方移行術では1カ月程度、それぞれ肘を固定します。

手術後は、神経の回復を促すために、ビタミンB12剤を服用したり、低周波療法などを行うこともあります。回復の早さは、神経の障害の程度によって異なります。

🇺🇸肘離断性骨軟骨炎

少年期の野球のピッチャーに多く、肘の酷使によって発生する疾患

肘(ひじ)離断性骨軟骨炎とは、肘の外側にある上腕骨小頭の骨軟骨が壊死(えし)する疾患。離断性骨軟骨炎、上腕骨小頭骨軟骨障害とも呼ばれます。

特に、小学校高学年から中学校低学年の野球のピッチャーなどが肘を酷使して発症することが多く、外側(がいそく)型野球肘の代表的なものに相当します。

繰り返す投球動作における微小な外反ストレスの蓄積により、上腕骨小頭の骨軟骨、すなわち肘関節を形成する上腕骨の遠位端の外側部にある球状の部位に変性、壊死が生じます。症状として、肘関節を伸ばしたり、曲げたりする時に痛みが出たり、動きが悪くなったりします。この初期の段階では、投球動作を中止することのみで、自然治癒が促されることがあります。

実際は、練習や試合での投球動作の終了後は速やかに痛みが消失するために、単なる使いすぎによる痛みと勘違いされることが多く見受けられます。

放置して投球動作を続けると症状が進行し、壊死を起こした骨軟骨片が肘の関節面から遊離して関節内遊離体となり、関節の中をあちらこちらと移動することになります。

この関節遊離体に最も特有な症状が、嵌頓(かんとん)症状。肘関節の運動の最中に、突然、遊離体が関節の透き間に挟まってしまい、激しい痛みを起こして関節の運動が不能となる状態です。何かの拍子に遊離体が外れれば、急速に痛みは治まりますが、嵌頓症状を繰り返していると、滑膜炎と呼ばれる関節内の炎症や変形性関節症を起こしやすくなります。しかし、遊離体があっても、嵌頓症状が必す起こるわけでもありません。

そのほか、関節遊離体の症状として、関節の痛みや、だるさ、はれを感じたり、肘の曲げ伸ばしができなくなったり、関節に水がたまったりすることもあります。

肘離断性骨軟骨炎は進行してしまうと、投球動作にかかわるスポーツが十分できなくなるどころか、遊離したことで生じた上腕骨小頭の骨軟骨の欠損は成人期以降も肘の変形性関節症を発症し、痛みが出たり、動きが悪くなったりする後遺障害を残しやすくなります。

早期発見、早期治療を行う必要がある典型的な疾患が、肘離断性骨軟骨炎です。野球少年が投球時に肘の痛みを訴える場合は、早めに整形外科を受診することが勧められます。

なお、離断性骨軟骨炎がよく起こるのは膝(ひざ)の関節で、跳躍を伴う競技の選手に多くみられ、股(こ)関節や足関節などに起こることもあります。

肘離断性骨軟骨炎の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、問診をしたり、関節の動きを調べ、上腕骨小頭部の圧痛がある場合に肘離断性骨軟骨炎を疑います。

確定診断は、X線(レントゲン)検査により行います。病巣は、初期には骨の陰が薄くなった状態として、進行すると病巣部の骨軟骨片が上腕骨小頭から分離、遊離した状態として撮影されます。しかし、初期には病変を認識することが難しいこともあります。また、正面と側面からの肘関節2方向撮影法、肘関節を45度屈曲した位置で正面像を撮影する撮影法が有用です。そのほか、CT(コンピューター断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査は、骨軟骨がはがれやすい状態であるかどうか確認するなど病態を調べるのに有効です。

整形外科の医師による治療では、初期の場合、局所安静、投球禁止により病巣の修復、治癒が期待できます。しかし、実際には6カ月から1年間、場合によっては1年以上の長期にわたり投球動作を禁止することもあり、投球の再開により再発するケースもあります。

従って、初期の場合であっても長期の投球禁止を望まないケースや、再発例では、手術を行うこともあります。

進行した場合では、再び投球を可能にし、将来的な障害を残さないために、手術を行うことになります。具体的な手術としては、壊死した骨軟骨を切除し関節遊離体を取り除く方法を基本として、遊離しかけた骨軟骨片を再固定し、病巣部に新たな骨ができることを促す方法、遊離した骨軟骨片の再固定が困難な場合に、欠損した肘の関節面に体の他の部位から骨軟骨を移植し、関節面を形成する方法などがあります。

手術後のリハビリテーション、投球再開の時期は病期、手術法により異なりますが、おおむね6カ月程度で全力投球が可能になります。

肘離断性骨軟骨炎の発生の予防には、基本的には肘関節の使いすぎによるところが大きいため、練習日数と時間、投球数の制限が重要です。また、投球フォームにより肘に負担がかかりすぎるケースも多くあり、適切な筋力トレーニングと投球フォームの指導、正しいスケジュール決定も必要です。

🇺🇸脾腫

さまざまな疾患が原因となって、脾臓がはれて大きくなった状態

脾腫(ひしゅ)とは、脾臓がはれて大きくなった状態。それ自体は疾患ではありませんが、ほかの疾患の影響によって起こります。

脾臓は、左横隔膜の下、左肋骨弓(ろっこつきゅう)のところにある100グラムほどの臓器。健康な人では腹壁の上から触れることはできませんが、500グラムまたはそれ以上に大きくはれると触れることができます。

脾臓は、古くなった血球、すなわち赤血球、白血球、血小板を破壊して処理したり、細菌や異物に対して抗体を作るなど、防御作用を持っています。脾臓が大きくはれると、血球を破壊する力が強くなり、赤血球、白血球、血小板すべてが減少します。このような状態を、脾機能高進症といいます。

感染症、例えば伝染性単核球症、腸チフスなどの敗血症、マラリアなどで、脾臓がはれます。また、溶血性貧血、白血病、リンパ腫(しゅ)、骨髄(こつずい)線維症といった血液の疾患でも、脾臓がはれます。

鳥やネズミでは脾臓で赤血球や白血球を作っていますが、成人では脾臓ではリンパ球を作るだけで、赤血球や白血球は骨髄で作られているものの、骨髄線維症や白血病の際には、脾臓でも造血を行うようになって、脾臓がはれることがあります。

そのほか、肝硬変や慢性肝炎でも、脾臓がはれる場合も少なくありません。

脾臓がはれて大きくなった分、血液中から取り込む血球の量が増えて、大量の血球が血液から取り除かれると、さまざまな問題が生じます。赤血球が減少すれば貧血症が現れ、白血球が減少すれば感染症にかかりやすくなり、血小板の減少があれば出血が起こりやすくなります。

脾臓のはれ方が強くなれば、隣にある胃を圧迫するため、少量食べただけで、あるいは何も食べていなくても満腹感を感じるようになります。また、脾臓のある付近に膨満感が生じたり、左上腹部や背部に痛みが生じることがあります。脾臓の一部に血液が十分に供給されず、壊死が起こり始めると、痛みが左肩へと広がります。

肝臓に血液を供給する門脈圧が上昇して脾腫がある時は、食道に静脈瘤(りゅう)ができます。これが破れると、吐血や下血を起こし、危険な状態に陥ります。

脾腫の検査と診断と治療

消化器内科の医師による診断では、腹部に膨満感があったり、左上腹部や背部に痛みがある場合に、脾腫を疑います。大抵の場合、触診でわかり、腹部X線検査でも診断がつきます。

脾臓の大きさを確認し、他の臓器を圧迫しているかどうかを調べるために、超音波検査やCT検査が必要になることもあります。MRI検査では、CT検査と同様の情報が得られるだけでなく、脾臓を通過する血流をたどることもできます。弱い放射性の粒子を使用して脾臓の大きさと機能を調べ、大量の血球を取り込んでいるか、または破壊しているかどうかをみる検査もあります。

血液検査では、赤血球、白血球、血小板の数に減少がみられます。顕微鏡で調べた血球の大きさや形が、脾腫の原因を突き止める手掛かりとなることもあります。骨髄検査では、白血病やリンパ腫といった血液細胞のがんを確認することができますし、血中たんぱく質の測定では、マラリア、結核など脾腫を起こす他の病気の有無を判定することができます。肝機能検査は、肝臓も障害を受けているかどうかを調べるのに役立ちます。

消化器内科の医師による治療では、脾腫の原因となった疾患が特定でき、治療可能なものであれば、その疾患を治療します。

脾腫の原因となった疾患にもよりますが、脾腫が周囲の臓器に悪影響を及ぼしている時や、脾腫があって食道静脈瘤から出血するような時には、消化器外科などの医師による手術を行って脾臓を摘出することがあります。脾臓を摘出すると、細菌やウイルスに対して防御する働きが失われ、感染を起こしやすくなるなどのリスクが生じますが、命にかかわるような問題がある場合は手術を行う価値があります。

手術の代わりに、放射線療法を行って脾臓を小さくすることもできます。

脾臓が腫れて大きくなっている場合は、破裂する危険性があるために、激しい運動は避けるようにします。

🇺🇸鼻出血

約半数を占めるのは、原因不明の特発性鼻出血

鼻出血(びしゅっけつ)とは鼻、特に鼻腔(びくう)からの出血を意味します。原因のはっきりしているものと、原因が全く不明のものとがあります。

原因のはっきりしているものでは、鼻に原因がある場合と、鼻以外に原因がある場合とに分けられます。鼻では、外傷、がん、血管腫(しゅ)などが原因となります。鼻以外では、高血圧、腎(じん)炎、心臓疾患、血液病、紫斑(しはん)病などが原因となります。

一方、原因が全く不明のものは、実は鼻出血の約半数を占めており、特発性鼻出血と呼ばれています。中でも、小さな子供の鼻出血は繰り返して起こり、原因が不明で予防がうまくいかない点に、問題があります。

幸い、この場合には、多量の出血は少なくてすぐに止まります。強く鼻をかんだり、顔を下方に向けて洗ったり、息んだりすることがきっかけで出血することがありますが、多くは何の誘因もなく突然、鼻から出血します。

また、知らないうちに鼻の中に指を入れたり、こすったり、炎症を起こしてただれ、出血することもあります。

鼻出血の検査と診断と治療

軽症の場合は、応急処置で出血は止まります。なかなか止まらない場合は、専門医の診察を受けます。

軽症の鼻出血の時はまず、慌てないことが大切です。血を見て興奮すると頭に血が上り、血管が拡張して、余計に出血します。仰向けに、頭をやや高くして寝て、のどに流れた血は口から出します。

出血する鼻孔に脱脂綿を詰め、指で小鼻を軽く内方に向けて、押さえるようにします。鼻出血の多くは鼻の入り口のキーゼルバッハ部位から出るため、そこをうまく押さえられれば、止血できます。

しかし、止まりにくかったり、出血を繰り返す場合は、昼間のうちに早めに耳鼻科で診てもらう必要があります。

重症の場合は、出血部位に止血剤や血管収縮剤などの薬液を含んだタンポンを挿入します。必要に応じ、輸血や、輸液の点滴を行い、抗生物質や止血剤も投与します。どうしても止血しない場合は、鼻にいく動脈を縛ることもあります。

応急処置が一段落したら、原因となっている疾患がないか、注意深く調べます。また、血管が拡張している場合は、予防のために薬や電気で出血部位の粘膜を焼きます。

鼻出血の予防として、高血圧、腎臓病、血液病などの人は、鼻を強くかまない、鼻の中をいじらない、うつむいて長い間仕事をしない、酒を飲みすぎない、マージャンやテレビゲームなどで夜更かしをしない、熱い湯に長湯しないなどの注意が必要です。

🇹🇷微小血管狭心症

 

冠動脈の末梢にある微小血管が一時的に収縮して起こる狭心症

微小血管狭心症とは、心臓の表面を取り巻く血管である冠動脈のうち、直径が0・5ミリ以下の非常に細い末梢(まっしょう)血管が一時的に収縮するために起こる狭心症。
 一時的な収縮は末梢の微小血管の構造的あるいは機能的異常のために起こり、血流配分に異常を来して、心臓の筋肉である心筋が虚血状態になり、胸痛発作が生じます。
 微小血管の内腔(ないくう)が狭くなって血流が阻害されるのではなく、血管の拡張が障害されるための症状といわれています。血流の需要が大きくなった時に末梢の微小血管網の一部に十分に拡張できない部位があると、周辺の拡張した微小血管網のほうに血流を奪われて、微小血管網の一部の収縮が高進するために、心筋が一時的に虚血状態になります。
 胸痛発作は、階段や坂道の昇降運動といった一定の強さの運動や動作と無関係に、就寝中や早朝などの比較的安静にしている時にも起こります。  微小血管狭心症の発症者の70%は女性が占めるとされ、発症する年齢は30歳代半ばから60歳代半ばです。動脈硬化などで冠動脈が狭くなるために起こる狭心症に比べると、発症する年齢は若く、最も多いのは40歳代後半から50歳代前半の更年期前後の女性です。
 この時期はエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少し始めるとともに、人生においてもさまざまな問題を抱え、心臓に限らず心身の不調を感じる時期とも重なっています。はっきりとした原因解明にはいまだ至っていませんが、女性ホルモンが微小血管狭心症に関与していることは確実なようです。  冠動脈の狭窄(きょうさく)がないにもかかわらず冠動脈がけいれんを起こすために起こる血管攣縮(れんしゅく)性狭心症と同じように、微小血管狭心症が精神的ストレス、寒冷、大量飲酒、喫煙などが誘因となって起こることも知られています。
 微小血管狭心症の症状としては、通常の狭心症で典型的にみられる胸の中央部に締め付けられるような痛みが突然起こる短時間の胸痛発作ではなく、背部痛、顎(あご)やのど、耳の後部などへの放散痛、動悸(どうき)、呼吸困難感、吐き気や胃痛などの消化器症状など多彩な不定愁訴であることが多く、その持続時間も数分ではなく数時間におよぶこともあります。

微小血管狭心症の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科などの医師による診断では、通常の心電図検査を中心に、運動負荷心電図検査、心臓ペーシング負荷試験、冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)などを行います。
 運動負荷心電図検査では、無症状時の心電図からは狭心症であるかどうかわからないため、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいだりして心臓に運動負荷をかけることによって、心電図に現れる変化から狭心症らしいかどうか、またどの程度運動が可能かを評価します。  心臓ペーシング負荷試験では、血管を通してカテーテルという細長いチューブを心臓の冠静脈まで挿入して、心筋虚血を誘発した上で、心臓を還流して戻ってくる冠静脈血を採血し、心筋虚血のために心筋から代謝される乳酸を測定します。
 冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)では、カテーテルを心臓の冠動脈まで挿入し、造影剤を注射して冠動脈のX線撮影を行います。  運動負荷心電図検査や心臓ペーシング負荷試験で心筋虚血の存在が証明されているのに、冠動脈造影検査では狭窄が認められず、冠動脈攣縮も起こらないのであれば、微小血管狭心症を疑います。
 しかし、胸痛発作時も心電図の変化に乏しく、冠動脈のX線撮影では映ってこないような微小血管の病変を想定するので、多くの場合は診断に時間を要し、診断されていないこともあります。
 診断がつきにくい時には、診断的治療といって亜硝酸剤(ニトロペンなど)の舌下錠を発作時に試してみて、症状がよくなれば狭心症と考えて対応することがあります。しかし、冠動脈の大きな部位の攣縮には特効薬である亜硝酸剤が微小血管狭心症には効きにくい発症者 も認められ、亜硝酸剤の舌下錠が効かない際には狭心症と診断されず、症状を抱えたまま消化器内科や整形外科、心療内科、精神科にかかってしまうこともあります。
 鑑別する疾患としては、心疾患の不整脈、食道や胃などの消化器疾患、胸部の整形外科的疾患、心身症があります。
 循環器科、循環器内科などの医師による治療では、心筋の血流需要を高めないようにするためには、交感神経遮断薬が有効です。心筋の血流増加を図るのであれば、太い血管の血流を改善する亜硝酸剤が有効です。微小血管の収縮を抑制するためには、細い血管の拡張薬であるカルシウム拮抗(きっこう)薬が有効です。
 つまり、治療薬については、アデノシン系の薬を避けるほかは通常の狭心症の場合と変わりがありません。これこそ特効薬といえるような薬はないのです。細い血管の拡張薬であるアデノシン系の薬は、時に微小血管網の一部の収縮を起こして逆に胸痛発作を誘発させることがあります。
 予後は、通常の狭心症に比べて良好です。心筋梗塞(こうそく)や脳血管障害などを起こすことは少ないといわれていますが、中には比較的リスクの高い発症者も認められています。
 最も大切になるのは、予防です。冠動脈の末梢の微小血管内皮に障害を来す原因になる高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリック症候群などを適度な運動と食事で予防し、大量飲酒や喫煙をしないこと、精神的ストレスをため込まないことで、微小血管狭心症の発症も避けることできるとされています。

🇹🇷微小脳梗塞

梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞

微小脳梗塞(こうそく)とは、梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞。無症候性脳梗塞、隠れ脳梗塞とも呼ばれます。

自覚症状は全くないけれど、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像診断の普及に伴って、脳の病変が見付かることが多くなっています。高齢者に多く、脳ドック受診者のうち、50歳代は約1割、60歳代は約2割、70歳代は約3割の人に、微小脳梗塞が見付かっています。

その約80パーセントは、ラクナ梗塞と呼ばれるタイプの脳梗塞です。ラクナ梗塞は通常、高血圧による動脈硬化が原因となって、脳の深部にある0・4ミリ以下の極めて細い血管である穿通枝(せんつうし)動脈が狭くなり、この部位に血の固まりである血栓が形成されて、最終的に血管が閉塞して生じるとされています。

極めて細い血管の閉塞により生じる脳梗塞なので、病変の大きさは直径15ミリ以下です。直径15ミリを超える梗塞は、ラクナ梗塞とはいいません。

血管の閉塞のほかに、不整脈や心臓の疾患で心臓内で血栓が形成され、この血栓が流れて飛んで、脳の深部の極めて細い血管を閉塞させることもあります。血管の閉塞により、脳の組織の一部が壊死して脱落し空洞を残します。

ラクナ梗塞の場合は、小さな梗塞であるため、脳梗塞の中では最も症状が軽症です。ほかの種類の脳梗塞であるアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓と違い、大きな発作が起こることはありません。

その症状はラクナ症候群といい、運動まひ、しびれなどの感覚障害が主に起こります。そして、症状は段階的に現れて、少しずつ進行していきます。ラクナ梗塞が発症することが多いのは、安静時で、特に睡眠中です。朝起きた時にも、起こることが多くみられます。

また、ラクナ梗塞では梗塞する部分が極めて小さいので、症状が出ないことがあります。これが微小脳梗塞で、運動障害や感覚障害などの自覚症状を全く感じないまま、小さな脳梗塞が起こります。高齢者に多くみられ、高血圧、高脂血症、糖尿病などがあると発症する確率が高くなります。

ほとんどが直径15ミリ以下の小さな梗塞ですが、そのまま微小脳梗塞を放置しておくと、梗塞の数が増えたり、梗塞が脳のいろいろなところに発生して、多発性脳梗塞になります。多発性脳梗塞になると、手足や顔面のしびれ、軽いまひ、言語障害、歩行障害、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害などの症状がみられます。また、認知症の原因となることもあります。

多発性脳梗塞の一番の危険要因は、高血圧です。高血圧は、血管の内側の壁に強い圧力を加えます。そのために、血管の内側の壁が傷付いて、どんどん硬くもろくなり、動脈硬化が発症します。動脈硬化が起こると、血管の血液が通る部分が狭くなり、血流が途絶えて脳梗塞になる危険が増すのです。

微小脳梗塞の検査と診断と治療

脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)で脳血管の様子を調べるほか、超音波検査で首を通る頸(けい)動脈が動脈硬化を起こして狭くなっていないかどうかを調べます。頸動脈で血栓ができて脳に流れると、脳血管が詰まる恐れがあるためです。

頸部から血管の雑音を聴き取ることもあります。心疾患が疑われる場合には、心エコー検査を行います。

脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による治療では、血管が狭くなっていれば、血液を固まりにくくするアスピリン、塩酸チクロピジン、シロスタゾールなどの抗血小板剤を使用します。

脳血管がこれ以上詰まらないようにするには、血圧の管理が大切です。塩分を控え、過カロリー、脂質過多の食生活を見直して、魚や植物性蛋白(たんぱく)質中心の日本食を取り入れるなど食生活に気を配り、50歳代であれば、上は130未満、下は80未満を目標にします。毎日30分程度歩くこともお勧め。水分はしっかり補給し、節酒や禁煙も必要です。

適正な血圧は、年齢や心臓病や糖尿病の有無、コレステロール値などによって変わってきます。掛かり付け医を持ち、指導を受けるといいでしょう。

また、微小脳梗塞のある人は、ない人に比べて約4倍脳梗塞になりやすいことがわかっています。脳梗塞を発症すると、突然、片側の手足や顔半分のまひやしびれ、言語障害などの症状が出現します。

発症時には119で救急車を呼び、専門的治療のできる病院に発症から2時間以内に搬送してもらうことが重要です。t-PAという薬剤を静脈内に点滴して、血管に詰まった血栓を溶かす治療を受けると、後遺症が残らない人が1・5倍に増えますが、発症から2時間以内の病院到着が必須条件だからです。

ラクナ梗塞が進行した多発性脳梗塞で起こりやすい認知症には、根本的な治療はありません。デイケア、デイサービスへの通所や、家族の協力のもとでの散歩や、食事、テレビ、清掃、おやつ、会話など、生活習慣を規則正しく続けることで、脳を活性化させ、症状が改善したり、進行が遅れたりということがあります。

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