2022/08/19

🇴🇲21トリソミー症候群

染色体の異常により、体と精神の発達が遅れる疾患

21トリソミー症候群とは、21番目の染色体が1本多い、3本あることが原因で引き起こされる重度の先天性障害。21トリソミー、ダウン症候群、ダウン症とも呼ばれます。

人間の体は、父親と母親からもらった遺伝子情報に基づいて作られます。遺伝子情報は、染色体という生体物質が担っています。一般の細胞の核には、1番から22番までの一対の常染色体が44本、それにXまたはYの性染色体の2本が加わって、合計46本の染色体がセットになって存在します。半数の23本ずつを父親と母親から継承しています。

合計46本の染色体のうち、ある常染色体が過剰に存在し、3本ある状態がトリソミーです。卵子や精子が作られる過程で染色体が分離しますが、分離がうまくいかないことがトリソミーを引き起こします。トリソミーが引き起こされると、その染色体が担当する物質産生などが通常の1・5倍になって致命的な影響を及ぼし、新生児が生きて生まれた場合でも知的障害や奇形など多くの先天性障害を持つことになります。

21トリソミー症候群は新生児で最もよくみられるトリソミーであり、まれに21番染色体と別の染色体が互いに切断されて結合している転座型や、受精後の初期細胞分裂の際に染色体の不分離が起こるモザイク型によって、21トリソミー症候群が起こることもあります。

1866年に英国の眼科医ジョン・ラングドン・ハイドン・ダウンが初めてその存在を報告し、以来、本症例にみられる異常所見が多く報告され、現在の21トリソミー症候群としての症状を導いてきています。しかし、1959年にフランス人のジェローム・レジューンによって、21番染色体がトリソミーを形成していることが初めて証明されるまでは、その原因は不明でした。

日本では現在、新生児800人から1000人に1人の割合で21トリソミー症候群がみられます。母親が高齢、特に35歳以上の場合は、若い母親よりも過剰な染色体が生じる原因となるため、21トリソミー症候群の新生児を産む確率が高くなります。しかし、過剰な染色体が生じる原因は、父親にあることもあります。

21トリソミー症候群の子供では、精神と体の発達が遅れます。知能指数(IQ)には幅がありますが、正常な子供の知能指数が平均100であるのに対し、平均でおよそ50。聞くために必要な能力より、絵を描くなどの視覚動作能力が優れている傾向があるため、典型的には言語能力の発達が遅くなります。

身体的な特徴として、特異な顔貌(がんぼう)と多発奇形が挙げられます。頭が小さく、顔は広く偏平で、斜めにつり上がった目と低い鼻を持つ傾向があります。舌は大きく、耳は小さくて頭の低い位置についています。手は短くて幅が広く、手のひらを横切るしわが1本しかありません。

指は短く、第5指の関節は3つではなく2つしかないことが多く、内側に曲がっています。足指の第1指と第2指の間が、明らかに広くなっています。

乳児期には体の筋力が弱く、軟らかいのも特徴で、身長、体重の増えもよくないことがあります。運動の発達も遅れ、歩行開始の平均年齢も2歳くらいになります。

多くの合併症が知られていて、これらの程度が生命的な予後に大きく関係しています。約40パーセントに先天性の心臓疾患がみられ、多くに甲状腺(こうじょうせん)疾患が起こります。耳の感染症を繰り返し、内耳に液体がたまりやすいため、聴覚に障害が起こりやすい傾向があります。角膜と水晶体に問題があるため、視覚障害も起こしやすい傾向があります。

そのほか、十二指腸閉鎖や鎖肛(さこう)といった消化管の奇形、頸椎(けいつい)の異常、白血病がみられることもあります。

40歳以降には、アルツハイマー病でみられるような記憶喪失、知能低下の進行、人格の変化などの認知症の症状が高確率で起こります。

21トリソミー症候群の検査と診断と治療

21トリソミー症候群(ダウン症候群)は、生まれる前に診断することも可能です。妊娠15〜16週ごろに、産婦人科病院で行う羊水染色体検査が相当しますが、妊婦は自ら医療側に進言しないと正式には行ってもらえません。

21トリソミー症候群の乳児には、診断を促す特徴的な外見があります。小児科の医師による確定診断には、乳児の染色体を検査して21トリソミー、あるいは21番染色体のそのほかの疾患を調べます。診断がついたら、超音波検査や血液検査などを行って、21トリソミーに関連する異常がないか調べます。

根本的な治療法はなく、症状に応じて治療を行います。検査で発見した異常を治療すると、それにより健康が損なわれることを防止できます。21トリソミー症候群の子供の死因の多くは心臓の疾患と白血病ですが、心臓の異常はしばしば、薬剤や手術で治療できます。

重い合併症のない21トリソミー症候群の子供は、元来健康で、温厚、陽気な性格であることが多く、訓練や教育により日常生活は可能となります。最近は、早期からの集団保育、集団教育が望ましいといわれています。家族の会などから情報を得ることも役立ちます。

遺伝カウンセリングを受けることも重要で、特に転座型では親の片方が均衡転座保因者である場合もあり、次の子供の再発率を知るためには両親の染色体検査が必須です。

21トリソミー症候群の子供の大半は、死亡することなく成人になり、平均寿命は約50歳といわれています。数十年前までは平均寿命が20歳前後でしたが、当時は循環器合併症の外科的治療ができなかったためであり、合併症と奇形を治療すれば健康状態は改善することができます。

🇴🇲偽近視

目の疲労によって、一時的に近視と同じ症状を生じる状態

偽近視(にせきんし、ぎきんし)とは、目の中の毛様体筋の持続的緊張が起こり、近視と同じ症状を生じるに至った状態。仮性近視、調節緊張性近視とも呼ばれ、近視に含めない考えで単に調節緊張とも呼ばれます。

目には、近くを見る時に網膜上に正しく焦点を合わせるため、毛様体筋を働かせて水晶体を厚くし、屈折を強くする調節力が備わっています。子供などが試験前の猛勉強や読書、ゲームなどで、近い距離に長時間視点を合わせた場合には、毛様体筋の緊張が続いて一時的に水晶体が元の厚さに戻りにくくなり、軽い近視と同じ偽近視になります。文字や画面の距離の近すぎのほか、照明や姿勢の不良も原因となり、軽い遠視がある子供がなりやすい傾向があります。

子供の偽近視は、あまり長時間近くを見ないように心掛けるだけで、いずれは治ります。しかし、偽近視を放置して、同じような目に悪い生活習慣を続けると、症状はますます悪化して本当の近視になります。

偽近視にもかかわらず、眼鏡やコンタクトレンズを使用してしまった際にも、毛様体筋の緊張がなく、水晶体が薄くても楽に近くが見えるような目に適応し、本当の近視になります。学校の健康診断などで視力の低下が指摘された時は、すぐに眼鏡やコンタクトレンズを作る前に、まずは眼科で正確な屈折検査を受け、本当の近視なのか一時的な偽近視なのかを調べることが大切です。

授業の合間に行われることが多い学校の健康診断の場合は、教科書などの近くの文字を見た後にすぐ目の検査をすることになり、調節力が大人より強い子供では近くにピントがあったままになってしまい、遠くが見えない偽近視を生じていることもある点に、留意が必要です。

大人になると、毛様体筋の緊張が長時間続きにくくなるため、偽近視は起こりにくくなります。ただし、パソコンを始めたりして目を酷使すると、大人でも偽近視になりやすいので注意が必要です。時々、パソコン作業を中止して目を休めたり、遠くを見る必要があります。

偽近視の検査と診断と治療

子供の近視が増えている時勢ですが、子供の近視は大人の近視と違い、一時的な偽近視の場合があります。視力が低下したからといって、すぐに眼鏡やコンタクトレンズを使用するのではなく、本当の近視なのか一時的な偽近視なのかを眼科で検査する必要があります。

眼科では、裸眼視力の測定、機械による屈折力の測定、眼鏡をかけての矯正視力の測定を行います。機械による屈折検査で近視がみられ、これを矯正する眼鏡をかけて視力が1・0以上あれば、近視です。調節をまひさせる点眼薬をさして、もう一度屈折検査を行い、屈折度が1D(ディオプター)以上遠視側、すなわち近視度が少ない方向に変化すれば、偽近視と診断されます。

わざとピントが合わないようにした眼鏡を20分ほどかけて、調節ができない状態から偽近視を診断する雲霧(うんむ)法が行われることもあります。

偽近視と診断されると、ミドリン、もしくはサンドールという調節をまひさせる点眼薬を処方されます。この点眼薬を何日か寝る前にさすことにより、寝ている間に目の回りの筋肉である毛様体筋がリラックスし、近視が改善することがあります。ミドリンは本来、眼底を検査するために用いられる薬ですが、硬くなった毛様体筋を緩めることを目的に、濃度を薄めて用いられています。

偽近視ではない軽度近視の始まりの場合は、調節をまひさせるミドリンの点眼で近視を改善することは困難なものの、進行を遅らせる可能性はあります。しかし、教室の黒板の字が見えにくいなどの不都合が生じた時点で、眼鏡やコンタクトレンズを作ることになります。

偽近視の進行を予防する一般的な注意事項としては、悪い姿勢や暗い照明の下で、勉強、読書、ゲームなどをしないことです。目に疲れが出たら、こまめに目薬を点眼するのも効果的です。そのほか、ブルーベリーなどのサプリメントの効果が期待できるのも偽近視の特徴ですので、積極的に服用します。ブルーベリーに含まれるアントシアニンは、視覚機能を高めるということから、近年とても注目されているところです。

🌄日光角化症(老人性角化腫)

長期間、紫外線を受けて起こる前がん性の皮膚変化

日光角化症は、長い年月に渡って日光紫外線を受けたことが原因で起こる前がん性の皮膚変化。老人性角化腫(しゅ)とも呼ばれます。

日光紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲の皮膚に好発します。直射日光を受けて急性に起こるいわゆる日焼けとは異なり、長い年月に渡って慢性的に日光紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。

日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。

発症者の年齢は、中高年層がほとんど。性差は、やや男性に多い傾向があります。日焼けの際に皮膚に紅斑(こうはん)を生じやすい人のほうが、褐色変化する人よりもなりやすいと見なされています。白色人種に比べて黒色人種、黄色人種では発症率が低く、日本人での発症率については沖縄県が高いという報告もあります。

症状としては、黄褐色のかさぶたを伴う大きさ1〜3cmの紅褐色の皮疹(ひしん)が現れることが多く、角化した部分はかさかさしたうろこ状となり、ぼろぼろむけます。色が濃くなったり、灰色がかったりすることもあり、触れると硬く感じられます。周囲の皮膚は薄くなり、多少の赤みがあります。皮疹が1カ所だけにできることも、複数の部位にできることもあります。軽度のかゆみを訴えるケースもありますが、皮疹以外に自覚症状を来すことはまれ。皮疹は自然に消えることもあれば、同じ部位や別の部位に再発することもあります。

老人性のいぼと間違いやすいので注意が必要なものの、前がん性の皮膚変化といっても実際に、扁平(へんぺい)上皮がん、または有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは、数パーセントにとどまります。

日光角化症の検査と診断と治療

日光角化症では、いぼ(脂漏性角化症あるいは尋常性疣贅〔ゆうぜい〕)などと紛らわしいことがありますので、疑わしい場合は病変の一部を切り取って組織検査をする皮膚生検を行います。組織所見に基づいて、日光角化症を委縮性、ボーエン病様、棘(きょく)融解性、肥厚性、色素性に分類することもあります。

治療は通常、病変を液体窒素で凍結させて取り除きます。高齢者や角化部分の多発例では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー照射なども行います。また、角化部分の多発例では、フルオロウラシル入りのローションやクリームを塗ることもあります。フルオロウラシルは皮膚の発赤、うろこ状のかさつき、角化症の部分とその周囲の日光で損傷した皮膚をヒリヒリさせるなどの作用を起こすため、この治療を行うと皮膚の状態は一時的に悪化したようにみえます。

治療後も、外科的切除の取り残しがないことや再発の有無をみるため、定期的な経過観察が必要です。

日常生活での注意点としては、一見正常にみえる皮膚も日光紫外線のダメージをすでに受けているので、新たな病巣を生じないためにも、サンスクリーンを使用するとともに帽子などで直射日光を避けるようにします。日光の紫外線が最も強いのは、1日の中では午前10時から午後3時までの日中、季節では夏、地域では海抜の高い場所です。

⛅日光過敏症(光線過敏症)

普通量の日光に当たっただけで皮膚に異常が起こる反応

日光過敏症とは、普通の人では何でもない程度の日光の紫外線が当たっただけで、皮膚に異常が引き起こされる免疫システムの反応。光線過敏症とも、日光アレルギーとも呼ばれています。

外部から起こる外因性のものと、体の内部から起こる内因性ものがあります。

外因性の日光過敏症は、日光に当たると敏感になるような化学物質が皮膚に接触して起こります。ある種の薬や化学物質を内服したり、ある種の薬や化粧品などを皮膚に塗った後、日光に当たった場合にのみ現れます。日光過敏を助長させる可能性がある内服剤には、経口糖尿病食、降圧利尿剤、精神安定剤、ある種の抗生物質などがあり、光エネルギーにより活性化される物質(光感作物質)が何らかの経路で皮膚に達し、光エネルギーを吸収して皮膚に異常を起こします。

内因性の日光過敏症は、小児期では色素性乾皮症、ポルフィリン症などで起こります。大人では、ペラグラ(ニコチン酸欠乏症)や、肝臓の疾患からくるポルフィリン症などで起こります。

色素性乾皮症というのは、遺伝性の疾患で、日光が当たった部分が日焼けを繰り返し、皮膚が乾燥してくる疾患です。ポルフィリン症は、ポルフィリンという物質の先天性の代謝異常で、皮膚、歯、骨などにこの物質が沈着し、日光に敏感になる疾患です。ペラグラは、ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患です。

また、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、単純性疱疹(ほうしん)のように、日光によって誘発されたり、悪化するものもあります。

症状としては、日焼けのひどい状態から、湿疹(しっしん)、皮膚炎のようなものまでさまざまですが、顔、うなじ、手の甲のように、露出部分に起こるのが特徴です。普通は、強い日光に当たってから数時間で症状が現れます。中には、数日たってから出てくることもあり、日光照射との関係に気が付かない場合もあります。

日光過敏症の検査と診断と治療

日光過敏症を診断するための特別な検査はありませんが、それを取り除く必要があるいろいろな原因があるので、各種の検査や診断によって見付けます。

皮膚が露出した部分だけに発疹が出た場合は、日光過敏症を疑います。その他の疾患、服用した薬、皮膚に塗った薬や化粧品などを詳しく調べると、日光過敏症を起こした原因を特定するのに役立ちます。全身性エリテマトーデスなど一部の発症者で、この反応の感受性を高める疾患を除外するための検査を行うこともあります。

全身性エリテマトーデスによる日光過敏の発症者などでは、ヒドロキシクロロキンやステロイドを内服すると効果があることがあります。日光過敏のタイプによっては、皮膚を紫外線に対し敏感にする薬剤であるソラレンを併用して、紫外線を当てる光線療法を行うことがあります。この治療法はPUVA療法といいます。しかし、全身性エリテマトーデスの発症者は、この治療に耐えられません。

原因が何であれ、日光に過敏な人は、紫外線を防止できる衣類を着用し、日光を極力避け、日焼け止めを使います。日光過敏を引き起こす薬や化学物質などは、可能ならば中止します。

🌤日光口唇炎

日光照射が原因で生じる日光角化症が口唇に生じたもの

日光口唇炎とは、長い年月にわたって日光に当たったことが原因で生じる口唇炎の一種。光線性口唇炎、慢性日光口唇炎とも呼ばれます。
 太陽の光線である日光に含まれる紫外線を受けやすい顔面、耳、前腕、手の甲、頭部の皮膚に好発する日光角化症(光線角化症)が口唇に生じたもので、炎症性疾患ではなく腫瘍(しゅよう)性病変で、前がん性の皮膚変化と考えられています。
 日光角化症が有棘(ゆうきょく)細胞がんにまで発展するケースは1%と見なされているのに対して、日光口唇炎は有棘細胞がんにまで発展するケースが11%の可能性があるとの報告もあり、発症した場合には、高リスク型の前がん性の皮膚変化と認識した上で、適切に管理することが不可欠となります。
 日光角化症は、長年にわたって慢性的に日光に含まれる紫外線、特に中波長紫外線を受けることにより、皮膚の表皮細胞のDNAに傷ができるのが、その原因と考えられています。
 日光に含まれる紫外線は肉眼では見えませんが、皮膚に最も大きな影響を与えます。体がビタミンDを作り出すのを助ける働きがあるので、少量ならば紫外線は有益なものの、大量に浴びると遺伝物質であるDNAが損傷を受け、皮膚細胞が作り出す化学物質の量と種類が変わってしまうのです。
 とりわけ口唇は人のみにみられる特殊な皮膚とされ、組織学的にも汗腺(かんせん)や毛包などの皮膚付属器を欠如しています。また、メラニンという皮膚の色を濃くする色素を作り出すメラノサイトは少なく、皮膚の最も表面にあってケラチンからなる角質層(角層)は薄いといった組織的特徴があります。
 これらの組織的な理由に加え、人は直立するため、最も紫外線を多く有する真昼の直射日光を口唇、特に下唇は垂直に浴びることになり、下唇は紫外線の影響を強く受けると考えられます。
 ゆえに、日光口唇炎にかかると、表皮基底細胞層での異常増殖が生じるため、主に下唇が赤くはれ、膨張したり、水疱(すいほう)となったりします。膨張や水疱とならなかった場合には、下唇が全体にわたってひび割れを起こしたり、かさかさと乾燥したり、かさぶたができたり、出血したりする症状もみられます。
 水疱や乾燥によるかゆみの誘発や、水疱が破れた時の痛みも症状の1つです。ヒリヒリとした痛みが続くこともあり、苦痛を感じます。
口唇の表層の角質層がダメージを受けるため、バリア機能が正常に作用せず、唾液(だえき)や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで症状が波及することもあります。
 発症者は中高年層がほとんどで、男性のほうが女性より多い傾向があります。女性に少ない理由は、戸外の労働が男性よりも少ないため紫外線の蓄積照射量が少ないこと、口紅の使用によって紫外線が防御されることが挙げられています。

日光口唇炎の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、目視での口唇の視診と患者への問診が主な方法になります。問診では、症状が出始めた時期、アレルギーの有無、過去の病歴などをカウンセリング方式で質問していきます。
 口唇の回りの部位にも何らかの症状が出ていないか視診し、場合によっては口腔(こうくう)内も検査対象になります。
 日光口唇炎自体は生命に問題はないものの、有棘細胞がんに発展すれば、その予後は不良であるため、診断は有棘細胞がんの発生の予防につながるという意味で重要です。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、通常、局所麻酔は行わず、液体窒素を浸した綿棒などを腫瘍性病変に押し付けて凍結、壊死させて除去する凍結療法を施します。簡便な処置法ですが、凍結時にかなり強い痛みを伴います。また、多くの場合、数回の処置が必要となります。
 高齢者では、液体窒素による凍結療法やCO2レーザー(炭酸ガスレーザー)照射なども行います。
 有棘細胞がんに発展している可能性がある場合は、局所麻酔を行い、腫瘍性病変をメスで切除する外科切除を施します。下唇全体を筋層上で切除した場合は、後面の口唇粘膜を1センチほど剥離(はくり)して、引き上げるように下唇の皮膚と単純縫合します。
 薬物療法として、抗がん剤の1種であるフルオロウラシル入りのローションやクリーム、または、皮膚の免疫系を活性化し、強い炎症を起こすことでがん細胞を除去する効果があるイミキモド(ベセルナクリーム)を腫瘍性病変に塗ることもあります。
 フルオロウラシル入りのローションやクリームは、1日2回単純に塗布するか、1日1回塗布後にラップ類で密封します。イミキモドは、1日1回、週3回、患部に直接塗布します。
薬物療法は、塗り薬の副作用で皮膚が荒れて、びらん、痛みが出ることがありますが、治療に伴うものであるため頻度を調節して継続すると、多くは症状が軽快します。
 治療後は、再発の予防のため、口唇への長時間の直射日光照射を避けることも重要で、サンスクリーン剤(日焼け止め化粧品)の使用が勧められます。

🇰🇼Ⅱb型高リポ蛋白血症

体質の遺伝により、思春期以降に高リポ蛋白血症が出現しやすい疾患

Ⅱb型高リポ蛋白(たんぱく)血症とは、血液中の総コレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)の両方がかなり高値となる疾患。家族性複合型高脂血症、家族性複合型脂質異常症とも呼ばれます。

体質の遺伝による高リポ蛋白血症(高脂血症)で、いわゆる生まれ付きのものです。常染色体優性遺伝の形式を示すとされているものの、疾患を起こす遺伝子は特定されておらず、リポ蛋白リパーゼ(LPL)やアポ蛋白など複数の遺伝子異常がかかわっていると見なされています。

その頻度は高く、人口1000人に10人の割合で、つまり人口の約1パーセントにみられます。血液中の脂質を増やす遺伝性疾患の中では、最も多くみられる疾患に相当します。

若年で心筋梗塞(こうそく)を発症することがあり、65歳以下の心筋梗塞患者の基礎疾患として約30パーセントを占めるとされます。

思春期以降に高リポ蛋白血症が出現することが多く、過栄養、運動不足などの後天的要因によっても、高リポ蛋白血症が誘発されます。LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇は、同じ遺伝性疾患であるⅡa型高リポ蛋白血症(家族性高コレステロール血症)に比べると、比較的軽度。

VLDL(超低比重リポ蛋白)コレステロールとLDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値が上昇するⅡb型高リポ蛋白血症を基盤としますが、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値が上昇するⅡa型高リポ蛋白血症や、VLDL(超低比重リポ蛋白)コレステロールの値が上昇するⅠⅤ型高リポ蛋白血症を示す時があります。

同一家系内に高コレステロール血症、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)および両者合併型の高リポ蛋白血症が混在し、さらに同一者が高コレステロール血症を示したり、高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)を示したりするという特徴があります。

通常、小児期には症状はありません。LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の上昇が、Ⅱa型高リポ蛋白血症に比べると、比較的軽度のためです。

高リポ蛋白血症はそれ自身自覚症状はありませんが、将来、心筋梗塞などの動脈硬化症を引き起こす疾患であることを十分認識し、もし検診などで指摘されたら、放置せずに内科、内分泌・代謝科を受診し、適切な治療を受けることが勧められます。

Ⅱb型高リポ蛋白血症の検査と診断と治療

内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、まず身体診察を行い、家族歴について質問します。次に血液検査を行ない、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)、またHDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(善玉コレステロール)の値を測定するとともに、中性脂肪(トリグリセライド)、小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)、アポ蛋白Bの測定を行ないます。食後9時間から12時間の空腹時に採血します。

大抵の場合、LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)と中性脂肪(トリグリセライド)の値が上昇しており、HDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(善玉コレステロール)の値は平均値よりも低下しています。また、小型LDLコレステロール(超悪玉コレステロール)の存在により、アポ蛋白Bの値が上昇しています。

内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法、運動療法、薬物療法を行ないます。Ⅱb型高リポ蛋白血症(家族性複合型高脂血症)は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するため、治療の目的は疾患を完治させることではなく、心臓疾患のリスクを軽減させることです。

食餌療法では、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。

運動療法では、積極的にウォーキングや水中歩行などの適度な有酸素運動を行ないます。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。

また、喫煙、ストレス、過労、飲酒、睡眠不足など生活習慣全般の見直しも、改善法として効果的です。

薬物療法では、一般にスタチン系薬剤と呼ばれているHMG‐CoA還元酵素阻害薬を使います。この種類の薬は、コレステロールの合成を抑制するもので、LDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値を低下させます。

症状に応じて、フィブラート系薬剤のベザフィブラートやフェノフィブラートを使います。この種類の薬は、中性脂肪の合成を阻害するものです。オメガ3系多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)製剤やドコサヘキサンエン酸(DHA)製剤を使うこともあります。

そのほか、ニコチン酸、胆汁酸陰イオン交換樹脂を使うこともあります。胆汁酸陰イオン交換樹脂は、特に食事療法と併用した場合に、LDL(高比重リポ蛋白)コレステロール(悪玉コレステロール)の値を効果的に低下させます。

血液中の脂質レベルが高すぎるため、医療的な治療を施しても心臓発作の可能性を大幅に低めることはできない場合があります。こういった場合、治療を行ってもリスクは高いままです。

🇰🇼二分膝蓋骨

正常では1つの骨である膝蓋骨が、先天的に2つ以上に分かれている状態

二分膝蓋骨(にぶんしつがいこつ)とは、正常では1つの骨である膝蓋骨が先天的に2つ以上に分かれている状態。分裂膝蓋骨とも呼ばれます。

膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨は、下肢の中央、大腿(だいたい)骨の下端にあり、大腿四頭筋腱(けん)と膝蓋腱(膝蓋靭帯〔じんたい〕)により上下から支えられています。膝の屈伸運動、歩行に重要な働きを担っています。

二分膝蓋骨は、通常1個の骨化核から生じる膝蓋骨の骨形成が先天的に妨げられて、癒合不全を生じ、2つ以上に分裂して生じると考えられています。

出生100人のうち約5人に生じ、9対1で男性に多く、両膝に分裂がある例は約40パーセントです。

分裂のタイプは数種類ありますが、大腿四頭筋の外側広筋が付着している膝蓋骨の外側上方に分裂がある型がほとんどを占めます。

膝蓋骨が2つ以上に分裂しているからといって、必ず痛みがあるわけではなく、ほとんどの場合は、痛みなどの症状を伴うことなく日常生活を送れます。

しかし、激しいスポーツ活動や、事故や転倒などで膝を床や地面に強くぶつけた打撲が切っ掛けで、膝蓋骨の分裂した部分に大きな負担が加わって炎症が発生し、膝蓋骨の上部などに痛みが現れることがあります。

激しいスポーツが切っ掛けとなる場合は、成長期に当たる10~17歳の男性に多くみられるのが特徴です。

痛みが発生しやすいスポーツとしては、野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、短距離走などの陸上競技が挙げられ、これらの急激なダッシュや急停止など、特に太ももの筋肉である大腿四頭筋を酷使する運動では、膝蓋骨に付着している大腿四頭筋によって何度も繰り返し引っ張られて、膝蓋骨の分裂した部分に負荷が蓄積したり、異常可動性が生じたりした結果、痛みが起こります。

現れる症状は、ジャンプやランニング時の膝蓋骨の外側上方もしくは下端の痛みで、押すと痛む圧痛や、骨の隆起などもみられます。痛みや機能障害を伴う二分膝蓋骨を、特に有痛性二分膝蓋骨と呼びます。

スポーツ活動が思うようにできなくなったり、ひどい場合には、歩行時や階段昇降時に痛みを伴ったり、膝に水がたまって日常生活にも支障を来すこともあります。

二分膝蓋骨の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査などの画像検査で、2個または2個以上に分かれた膝蓋骨を確認した場合に、二分膝蓋骨と判断します。

有痛性二分膝蓋骨では、触診で膝蓋骨の分裂部分に骨性の盛り上がりを感知することがあります。癒合不全により骨の位置のずれ(転位)がある場合は、異常可動性を感知することもあります。また、膝蓋骨の分裂部分に一致して、はっきりとした圧痛と叩打(こうだ)痛を認めます。

整形外科の医師による治療では、症状が軽度であれば、痛みが治まるまでスポーツ活動を中止して安静を保つことで、自然と痛みは治まります。

より積極的な治療では、炎症を抑え、膝への負担を軽減するための保存的療法が主となります。炎症を抑える目的では、消炎鎮痛剤入りのシップ薬や塗り薬による薬物療法、患部を温める温熱療法を行います。

痛みが強い場合には、消炎鎮痛剤を内服したり、分裂部周囲にステロイド剤と局所麻酔剤を注射すると、痛みが軽快することがあります。

膝の負担を軽くするには、膝をテーピングやサポーターで固定する装具療法、大腿四頭筋をストレッチングしたり膝周辺の筋肉を鍛える運動療法が効果的です。

これらの治療法でも痛みなどの症状が改善されない時や、何度も再発を繰り返す時は、膝蓋骨の一部を摘出または縫合する手術を行います。

予防法としては、膝への負担を減らすことが第一です。スポーツ活動前後のウォームアップとクールダウンはしっかり行い、膝を急激に動かしたり、ジャンプ動作を繰り返したり、長時間のランニングを行うなど、膝を酷使する無理な運動は避けるようにします。

🟥ロッテ、ガム3商品3万個を自主回収へ 国内で認められていない食品添加物を使用

 ロッテは26日、「めっちゃふくらむフーセンガムボトル」(2024年7月発売)などガム3商品を自主回収すると発表した。回収個数は計約3万個になる見込み。原材料である「エンドウたんぱく」に、国内で使うことが認められていない食品添加物「メチルパラベン」「PEGエステル類」が含まれて...