2022/08/21

🇮🇶退職うつ病

会社を定年退職後に、抑うつ気分に陥り日常生活に支障が出る状態

退職うつ病とは、今まで勤めてきた会社を定年退職後に、抑うつ気分などの、うつ病の症状が現れ、日常生活に支障が出てくるようになった状態。定年退職うつ病、退職症候群、定年症候群などとも呼ばれます。

うつ病は、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安、焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠症などを特徴とする精神疾患。一般に、うつ病を発症しやすい年齢は25歳から35歳ですが、何歳からでも起こる可能性があり、退職や転居といった人生の節目、生活の大きな変化で起こる場合もあるのです。

退職うつ病は、定年退職後になるばかりでなく、定年の数年前から退職後の年金生活などに不安を感じて、抑うつ的になってしまう人もいます。退職うつ病を発症しやすいタイプは、学校を卒業してからずっと同じ会社に勤め、仕事中心にひたすら頑張ってきた会社人間の人です。40年前後働き続けて定年退職を迎えると、自分の人生の中心であった仕事を失い、何をしてよいのやら途方に暮れてしまいます。また、会社を辞めるということは、愛着を持ってきた仕事、地位や肩書き、所属していた集団、経済的基盤といったものを失い、さまざまな喪失感を伴うものです。

特に、現代社会では寿命が長くなり、60歳代もまだまだ働ける年齢です。多少の衰えは感じていても、自分としては十分働く気がある時期に会社を辞めなくてはならないというのは、社会から必要とされていないように思ってしまい、必要以上に自分を過小評価したり、劣等感にさいなまれたり、むなしさ、寂しさを感じたりもします。それとともに、家庭では主(あるじ)としての地位が揺らいでいることを感じ、プライドさえも打ち砕かれます。

同時に、これまでの生活リズムが一気に大きく変化し、行動範囲が会社から地域へと変化します。出勤する必要がなくなった長い一日をどのように過ごしたらよいか、わからなくなってしまい、気分が沈み込んで何かをする気力がなくなったり、回りのことに興味が持てなくなって人生が味気なく感じられるようになります。意欲減退、無気力、無感動のほか、頭が重い、めまいがする、胃の調子が悪い、疲れやすいなどの身体症状が現れたり、記憶力が衰えるというようなこともあります。

そのような状態が長く続くと、食欲も低下し、睡眠障害なども起こって、日常生活に支障が出てくるようになります。最悪の場合は、自分を責め、自殺を図ることさえあります。

うつ病の原因は十分にわかっていませんが、脳内の神経伝達の一部が一時的に悪くなって、情報(刺激)の伝わり方が部分的に悪くなっているのではないかと考えられています。だから、うつ病の人がやる気をなくしてぐったりしているのは、決して怠けているわけではないのです。脳、あるいは神経という臓器が一時的に不調になっていると考えたほうが、わかりやすいかもしれません。

退職うつ病の症状がみられたら、早期に発見して治療を受けるようにしましょう。うつ病と診断された場合は、抗うつ薬による薬物療法がメインに行われます。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬を中心に、気分を安定させる気分安定薬や抗精神病薬、不安や不眠を改善する抗不安薬や睡眠薬など、さまざまなものが選択されます。

薬を服用することで、落ち込みやイライラが改善され、気分が安定して楽になりますが、3カ月から6カ月、1年くらいの時間がかかります。風邪の熱が解熱剤で翌日には下がったというような治り方はせず、一進一退で、調子が悪くなったり調子がよくなったりという状態を繰り返しながら、次第に軽快していき、ある日気付いてみたら、全く元通りの健康な状態になっていたというような経過をたどります。

調子がよくなったり、副作用が出たりからといって自己判断で薬の服用を中止すると、うつ病が再発することもあるので、注意が必要です。医師と相談しながら、根気よく治すことが大切です。

なお、周囲の人が励ますとかえって本人が重荷に感じ、症状が悪化することもあるので、ストレスを与えないような気配りが必要です。

退職うつ病を予防するには、早めに定年後の第二の人生の計画を立て、その準備をしておくことです。定年前から、仕事以外に熱中できる趣味などを持つようにしましょう。また、休日は家族と一緒にどこかへ出掛けるなど、家庭でのコミュニケーションを増やし、自分の居場所を作っておきましょう。趣味のサークル、地域の行事などに積極的に参加し、会社や家庭以外の人間関係も築いておくのもよいでしょう。

何よりも定年退職後の人生を明るく前向きにとらえ、「これからは、今までやりたくてもやれなかったことをやる」というような考え方をすれば、うつ病とは無縁な第二の人生が送れるでしょう。

🇮🇶大前庭腺炎

膣の入り口付近に位置する左右一対の大前庭腺に、細菌が侵入して炎症が起こる疾患

大前庭腺炎(だいぜんていせんえん)とは、膣(ちつ)の入り口付近に位置する左右一対の分泌腺に、細菌が侵入し、その細菌に感染することが原因で炎症が起こる疾患。バルトリン腺炎とも呼ばれます。

大前庭腺は、バルトリン腺とも呼ばれ、女性が性的興奮を起こした時に、性行為を滑らかにする薄い乳白色の粘液を分泌する働きがあります。男性の尿道球腺、あるいはカウパー腺、クーパー腺とも呼ばれる分泌線に相当します。

大前庭腺の存在について最初に記述されたのは17世紀で、デンマークの解剖学者キャスパー・バルトリン(1655年〜1738年)によります。

その粘液の排出管である大前庭腺は、長さ約2センチのスポイトのような袋で、腟の入り口の横、小陰唇の下端にある腟前庭に開口しています。

エンドウ豆ほどの大きさの大前庭腺の開口部から、ブドウ球菌、淋菌(りんきん)、クラミジア・トラコマーティス、あるいは腸内細菌のバクテロイデスや大腸菌などが侵入し、それらの細菌に感染すると、急性期には排出管に炎症が起こり、開口部が発赤して、はれ、痛み、違和感が現れます。時には、小陰唇の外側、大陰唇にまで、発赤、はれ、痛みが現れます。

大前庭腺炎による炎症が治まった後に、開口部の閉鎖が起こると、本来は外に分泌される粘液が排出管内部にたまり、拡大して嚢胞(のうほう)を形成します。嚢胞は液体を満たした袋を意味し、これを大前庭腺嚢胞といいます。

多くは大前庭腺の片側だけに形成され、小さい際には気が付かないこともあります。次第に大きくなって、嚢胞がクルミ大ないし鶏卵大などさまざまな大きさになると、膣の入り口付近の時計に例えると5時または7時の位置に、紙でふいた際に丸いものが手に触れるようになってきます。

歩行時や性交時に軽い痛みが生じることもありますが、細菌感染を伴っていなければ無痛性のことも多く、また自然に開口部が再び開いて、排出管内部にたまった粘液が流れ出して、嚢胞が縮小してしまうこともあります。

一方、大前庭腺嚢胞内に細菌感染が起きると、うみが排出管内部にたまって、膿瘍(のうよう)を形成します。膿瘍はうみの塊を意味し、大前庭腺膿瘍といいます。

発赤、はれ、痛みがはっきりしてきて、膿瘍全体に押すと痛む圧痛を認めます。

さらにひどくなると、大陰唇も膨張して熱感を伴う腫瘤(しゅりゅう)を形成し、歩行時や性交時に痛みが生じたり、何もしていないのに感じる自発痛が生じたりします。ひどい痛みによって、歩行困難に陥ることもあります。

大前庭腺炎が悪化して、大前庭腺膿瘍になる前に症状に気付き、婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。

大前庭腺炎の検査と診断と治療

婦人科、産婦人科の医師による診断では、嚢胞のある位置や、圧痛のある膿瘍の位置で判断し、排出管内部にたまっている粘液やうみを培養して原因となっている菌を特定します。

婦人科、産婦人科の医師による治療では、急性期では、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)の全身投与、局所の湿布を行います。大前庭腺炎の段階では、多くが抗生物質の投与で治ります。

慢性化して嚢胞を形成した場合は、排出口をつくる手術を行うこともあります。膿瘍を形成し、痛みが強い場合は、切開してうみを出す手術を行います。再発を繰り返す場合や、嚢胞や膿瘍が大きい場合は、嚢胞や膿瘍を摘出する手術を行います。

予防法は、膣や外陰部の清潔を保ち、大前庭腺内への細菌の侵入を防ぐ以外にありません。特に、大小便の排出の時や性交渉の時に清潔を心掛けることです。

🇮🇶大腿外側皮神経痛

大腿の感覚をつかさどる神経が傷害されて、痛みなどが生じる神経痛の一つ

大腿外側皮(だいたいがいそくひ)神経痛とは、大腿の前面と外側の感覚をつかさどる外側大腿皮神経が傷害されて、痛みなどが生じる神経痛の一つ。外側大腿皮神経痛、知覚異常性大腿痛とも呼ばれます。

外側大腿皮神経は第2、第3腰椎(ようつい)から出て前方へ向かい、腰の部位で急激に曲がって鼠径(そけい)部の辺りから皮膚の下に出て、大腿の前面と外側の皮膚に分布します。そのため、腰椎部で神経が圧迫された時に、大腿の周辺に痛みや知覚異常が生じることがあるほか、外側大腿皮神経が鼠径靭帯(じんたい)を貫通する骨盤の前上腸骨棘(こっきょく)部で筋肉や靭帯により圧迫された時にも、大腿の周辺に痛みや知覚異常が生じることがあります。

前上腸骨棘部で外側大腿皮神経が圧迫された時には、股(こ)関節の位置や格好で症状が生じたり、治まったりすることもあります。コルセットの着用、窮屈な下着やズボンの着用、べルトの締めすぎ、自動車のシートベルトの締めすぎなどにより、前上腸骨棘部で外側大腿皮神経が圧迫された時にも、痛みや知覚異常が生じます。

また、肥満、妊娠により骨盤周囲の筋肉の緊張が強くなることで、外側大腿皮神経が障害されることもあります。妊婦においては胎児が正常な位置にいない場合に、大腿外側皮神経痛としてしびれが出ることもあります。鼠径ヘルニアの手術や股関節の手術の後に、一時的な外側大腿皮神経の圧迫により障害されることもあります。

症状は、大腿の前面から外側にかけて、ヒリヒリと痛んだり、しびれが出たり、知覚が鈍くなったりします。服が皮膚にこすれるのが苦痛になることもあります。しかし、外側大腿皮神経は感覚だけをつかさどる神経で運動をつかさどらないため、足がまひして上がらなくなったり、歩行に支障を来すことはありません。大腿の内側や膝(ひざ)より下に、症状が出ることもありません。

大腿外側皮神経痛の多くは、姿勢や動作によって症状に変化がみられます。

骨盤の前面を走る前上腸骨棘部で外側大腿皮神経を直接圧迫することによって、痛みが憎します。起立や歩行時は、外側大腿皮神経が牽引(けんいん)気味になり痛みが増します。

股関節の伸展は、外側大腿皮神経を牽引し痛みが増します。反対に、股関節を深く屈曲することでも、外側大腿皮神経自体を圧迫し痛みが増します。うつぶせに寝ている時は、外側大腿皮神経が軽く圧迫され、股関節が伸展されるので痛みが増強する傾向があります。仰向けに寝て軽く膝(ひざ)を曲げている時は、痛みが軽減します。

案外多い病態ですが、正確な診断を受けていないことが多いようです。もし、大腿外側皮神経痛の症状に思い当たることがあれば、整形外科、神経内科の医師を受診することが勧められます。

大腿外側皮神経痛の検査と診断と治療

整形外科、神経内科の医師による診断は、特徴的な症状と、前上腸骨棘部の周囲で軽く皮膚の上をたたくと大腿の前面と外側に響くようなしびれと痛みが出るチネルサインで判断します。念のために、腰椎や骨盤のX線写真、MRI検査などで、変形性腰椎症や腰椎椎間板ヘルニアなどの疾患がないかどうかをチェックします。

坐骨(ざこつ)神経痛との鑑別が必要ですが、しびれなどの場所が坐骨神経痛と大腿外側皮神経痛では違いますので、鑑別は簡単です。坐骨神経痛では、尻(しり)から大腿の裏側、下腿などにしびれや痛みが出ます。

整形外科、神経内科の医師による治療は、外側大腿皮神経を圧追する原因を取り除くことが第一です。体重を減らすことや、骨盤部の矯正、窮屈な下着やズボンの着用の禁止などが、効果を発揮します。

また、消炎鎮痛剤の内服、外用を行い、痛みが強い場合は局所麻酔薬を注射して痛みを和らげる神経ブロックを行います。この場合、1 回の注射では一時的に症状が緩和しても、数時間から1日で元の症状に戻ったりしますので、何回か注射を繰り返すこともあります。局所麻酔薬と一緒に、ステロイドホルモン剤という炎症を抑える薬を注射することもあります。

腰椎部で神経が圧迫された時には、脊髄(せきずい)の周囲の硬膜外腔(がいくう)に局所麻酔薬を注射して、神経の痛みを和らげる硬膜外ブロックを行います。

症状が治まらず、日常生活に支障を来す場合は、外側大腿皮神経を剥離(はくり)、または切離する手術を行うこともあります。炎症を起こした神経は周囲の靱帯や筋肉と癒着した状態にありますので、その癒着を手術で解き放つのを剥離、神経そのものを切除して痛みを感じなくするのを切離といいます。

🇴🇲大腿骨頸部骨折

老人に多い、太ももの骨の股関節に近い部分の骨折

大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折とは、太ももの骨である大腿骨の脚の付け根に近い部分の骨折。股関節(こかんせつ)の関節包の外側で骨折する外側(がいそく)骨折と、関節包より内側で骨折する内側(ないそく)骨折とに分けられます。

関節包とは、文字通り関節の包みのことで、この内側が股関節の中ということになります。関節包の外側は血流がよいため骨がくっつきやすいのですが、内側は血流が乏しいため折れた骨はなかなかくっつきにくいことで知られています。

大腿骨頸部骨折は高齢者、特に女性に多く、骨粗鬆(こつそしょう)症などで骨がもろい状態で起こりやすくなります。また、この骨折の95パーセントは転倒によって起こります。日本では年間約10万人の人が受傷しており、高齢化が進むにつれて今後も増えていくことが予想されます。外側骨折は50歳以上に多く、内側骨折は60歳以上に多く起こっています。

転倒によることが多いといっても、つまずく、ベッドから落ちるなど、若い人では起こり得ないような軽い外力で起こることがほとんどです。特に原因が思い当たらず、いつの間にか骨折していたということも3〜5パーセントにみられます。

典型的には、骨折した直後から脚の付け根の痛みとはれがあり、歩くことができなくなります。内側骨折よりも外側骨折のほうが症状は激しく、外側骨折では骨折したところからかなり出血するため、早期に適切な処置を行わないと貧血が進んで危険な状態になることもあります。

骨折のタイプや程度によっては、骨折直後は痛くなかったり、立ち上がったり歩いたりできる場合があります。脚の付け根ではなく、膝(ひざ)が痛くなることもあります。認知症(痴呆〔ちほう〕症)のある高齢者の場合には、しばらく気付かれないこともあるので注意が必要です。

大腿骨頸部骨折は単に、骨が折れたというだけではすまず、さまざまな問題を引き起こします。まず、痛くて歩けないまま寝たきりの状態でいるために床擦れ、尿路感染症、肺炎、認知症などが起こる可能性が高くなります。次に、体を動かさないために関節拘縮や筋力低下などが起き、たとえ骨折が治ったとしても歩けなくなることがあります。実際の統計では、自分で歩けていた人の約3分の1が、歩けない、または介助で歩ける、という状態になっています。

治療法には大きく分けて、手術療法と保存療法があります。特に高齢者の場合は、全身状態が許せば手術によって早期に痛みをとって体重をかけられるようにし、リハビリを開始することが望ましいと考えられています。

内側骨折の手術では、ずれが少ない場合や若い人の場合に、ずれを元に戻して骨折部をネジで固定します。高齢者で、ずれが大きい場合には、金属製の人工骨頭に置き換えます。外側骨折の手術では、プレートとネジ、または骨の中に入れた金属のくぎとネジを組み合わせたもので固定します。

一方、保存療法を選択するのは、内側骨折で骨のずれがほとんどなく、比較的若い人の場合と、骨がくっつく可能性が高く、数カ月間寝たきりでいてもそれほど大きな問題が起きない場合です。ただし、内側骨折は骨折部の血流が悪いために骨がくっつかないまま偽関節になったり、折れた骨が壊死したりする可能性があります。

また、手術や麻酔というのは体にかなり負担がかかりますので、全身状態が悪いため、寝たきりでいる危険性より手術をする危険性のほうが高いと判断される場合には、保存療法を選択します。手術しない場合でも、数カ月安静にしていると痛みは落ち着いてきます。

内側骨折の場合、基本的に骨がくっつくことはありません。従って、足に体重をかけることはできませんが、あまり痛みなく車椅子(いす)に座っていることは可能です。場合によっては、よいほうの足に体重をかけて立つことができることもあります。痛みが落ち着き次第、できるだけ早く車椅子に移って寝たきりを防ぐことが重要です。

外側骨折の場合、安静を保っていれば骨はくっつきます。通常3~4週間程度で多少動かしても骨がずれなくなり、2~3カ月程度で体重をかけて歩く練習を開始します。

一般的に、骨折後の歩行能力は手術をしたとしても1ランク落ちるといわれています。例えば、家の外を自由に歩いていた人は杖(つえ)が必要になる、杖で歩いていた人は主に家の中での生活になる、家の中をつかまりながらやっと歩いていた人はベッドからポータブルトイレや車椅子への移動がやっとになる、といった具合です。

しかし、リハビリテーションの進み具合は個人差が大きく、本人の意欲、痛みの程度、体力、合併症、認知症の有無などによって大きく変わってきます。認知症状が強い場合には、リハビリがあまり進まないことが予想されます。

🇴🇲大腿骨頸部疲労骨折

正常な大腿骨頸部に骨折を起こさない程度の負荷が、ランニングで繰り返し加わった場合に生じる骨折

大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)疲労骨折とは、太ももの骨である大腿骨の頸部に、正常な状態では骨折を起こさない程度の負荷が、ランニング中心のスポーツ活動で繰り返し加わった場合に生じる骨折。

骨折は、骨が壊れることを意味し、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、へこんだ場合も骨折です。正常な骨では、かなり大きな負荷がかからないと骨折しませんが、正常な骨に小さい負荷がかかる場合でも、同じ部位に繰り返し長期間かかり続けて、骨にヒビが入る微細な骨折を生じたり、ヒビが進んで完全な骨折に至る状態が疲労骨折です。

疲労骨折のほとんどは、スポーツ活動で激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に生じます。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツ活動で発生する可能性があり、それぞれのスポーツ活動ごとに疲労骨折を生じやすい部位があります。

下肢の中で最も太く、股(こ)関節から膝(しつ)関節に至る長い骨である大腿骨のうち、付け根に近い部位の頸部に疲労骨折を生じるスポーツ活動としては、まず陸上のマラソン、長距離走が挙げられ、そのほかのスポーツ活動でも、走り込みを続けることで生じます。

長時間のランニングによって、股関節を介した体重の荷重が上方から繰り返し加わることにより、大腿骨頸部の上部、あるいは下部に疲労骨折が発生します。

大腿骨頸部の上部に疲労骨折が発生するタイプは、伸張型と呼ばれ、張力が加わることで発生し、体重の荷重がかかるベクトルが骨折部を開こうとする方向へ働くため、離解して骨折が転位することがあります。

大腿骨頸部の下部に疲労骨折が発生するタイプは、圧迫型と呼ばれ、圧迫力が加わることで発生し、骨折が転位する可能性はほとんどありません。

この大腿骨頸部疲労骨折は、ランニング中心のスポーツ活動をしている女性にとりわけ多くみられるのが特徴です。過度のダイエットを行ったり、ホルモンのバランスが崩れることにより、骨の脆弱(ぜいじゃく)化が起こりやすいために、女性に多いと考えられています。

大腿骨頸部疲労骨折を生じても、一般の外傷性骨折のように皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、骨折部は軽度の腫脹を伴い、股関節周辺に痛みを生じます。

痛みは、ランニングの開始時に強く出て、運動途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて、痛みが強くなります。運動を休んでいる間は、痛みはほとんど出現しません。

骨折部の悪化とともに、ランニング時の痛みが強くなり、通常の歩行に際しても痛みが出るようになることもあります。また、大腿部や膝(ひざ)などに痛みを感じることもあります。

短期的に集中的なランニングを行った時に、大腿骨頸部疲労骨折が生じることが多いのも特徴です。競技者の要因としては、筋力不足、筋力のアンバランス、走る姿勢や走法のアンバランス、O脚やX脚や外反足などの下肢の構造的アンバランス、体の柔軟性不足などが考えられ、環境の要因としては、オーバートレーニング、競技者の体力や技術に合わないトレーニング、不適切なシューズ、練習場が硬すぎたり軟らかすぎるなどが考えられます。

明らかな外傷がなく、ランニング中心のスポーツ活動時に股関節周辺の痛みを感じる場合は、疲労骨折が疑われます。整形外科を受診することが勧められます。

大腿骨頸部疲労骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、スポーツ活動の種類などから判断します。

骨折の初期の段階では、X線(レントゲン)検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後1カ月程度で骨膜反応という骨折の修復により異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。

骨折の初期の段階で診断を確定できない場合に、痛みを誘発して再現するテストを行って、骨折の可能性を検査することもあります。大腿骨頸部の骨折では、片脚ジャンプで股関節周辺に痛みが誘発されます。そのほか、股関節を内側にひねると痛みを誘発されたり、股関節の可動域の制限を生ずることもあります。

整形外科の医師による治療では、骨折部に負担のかかるランニングなどのスポーツ活動を休止し、必要に応じて固定を行い、骨の癒合を図ります。一般には、4〜8週間の固定が必要となることが多く、激しい負荷のかかる競技者の場合には、12〜16週間の固定による安静が必要となることも珍しくありません。

固定による安静期間の後に、徐々にリハビリを開始します。まずは、日常生活だけのリハビリを行い、続いて、痛みが生じない範囲に制限してスポーツ活動を再開します。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いため、慎重に運動を再開する必要があります。

転位のある骨折の場合や、大腿骨頸部の上部に骨折のある場合は、手術が必要となることがあります。また、手術後のリハビリが最低6カ月間必要となります。

再発予防としては、疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、運動前後にストレッチを行ったりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。

🇴🇲大腿骨骨幹部疲労骨折

正常な大腿骨骨幹部に骨折を起こさない程度の負荷が、ランニングで繰り返し加わった場合に生じる骨折

大腿骨(だいたいこつ)骨幹部疲労骨折とは、太ももの骨である大腿骨の骨幹部に、正常な状態では骨折を起こさない程度の負荷が、ランニング中心のスポーツ活動で繰り返し加わった場合に生じる骨折。

骨折は、骨が壊れることを意味し、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、へこんだ場合も骨折です。正常な骨では、かなり大きな負荷がかからないと骨折しませんが、正常な骨に小さい負荷がかかる場合でも、同じ部位に繰り返し長期間かかり続けて、骨にヒビが入る微細な骨折を生じたり、ヒビが進んで完全な骨折に至る状態が疲労骨折です。

疲労骨折のほとんどは、スポーツ活動で激しいトレーニングをしている運動部の学生や社会人に生じます。陸上、サッカー、野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツ活動で発生する可能性があり、それぞれのスポーツ活動ごとに疲労骨折を生じやすい部位があります。

下肢の中で最も太く、股(こ)関節から膝(しつ)関節に至る長い骨である大腿骨のうち、中央部にある骨幹部に疲労骨折を生じるスポーツ活動としては、まず陸上のマラソン、長距離走が挙げられ、そのほかのスポーツ活動でも、走り込みを続けることで生じます。

長時間のランニングによって、過度の体重の荷重が上方から繰り返し加わったり、地面をける際に生ずる突き上げが下方から繰り返し加わったり、大腿四頭筋、ハムストリング、内転筋などの大きな筋群による張力が繰り返し加わることによって、大腿骨骨幹部の構造的な弱点といえる部位に疲労骨折が発生します。

大腿骨骨幹部は大腿骨の中央部にあって、皮質骨で囲まれている海綿骨と骨髄からなる円筒形のほぼ真っすぐか、軽く湾曲している部分で、股関節に近い上方部分、中間部分、膝関節に近い下方部分の3つに区切ると、中間部分と膝関節に近い下方部分に多く起こります。また、骨幹部の内側に起こることが特徴で、これは内転筋(内もも)による牽引(けんいん)張力のためだと考えられています。

大腿骨骨幹部疲労骨折を生じても、一般の外傷性骨折のように皮下出血や著しい腫脹(しゅちょう)を伴うことはありませんが、骨折部位は軽度の腫脹を伴い、内側を手や指で押さえると痛みを生じます。股関節に近い上方部分の骨幹部の疲労骨折では、股関節や鼠径(そけい)部に痛みを生じることもあります。中間部分や、膝関節に近い下方部分の骨幹部の疲労骨折では、膝関節に痛みを生じることもあります。

痛みは、ランニングの開始時に強く出て、運動途中は痛みが軽くなります。運動終了時から終了後にかけて、痛みが強くなります。運動を休んでいる間は、痛みはほとんど出現しません。

骨折部の悪化とともに、ランニング時の痛みが強くなり、通常の歩行に際しても痛みが出るようになることもあります。

短期的に集中的なランニングを行った時に、大腿骨骨幹部疲労骨折が生じることが多いのも特徴です。競技者の要因としては、筋力不足、筋力のアンバランス、走る姿勢や走法のアンバランス、O脚やX脚や外反足などの下肢の構造的アンバランス、体の柔軟性不足などが考えられ、環境の要因としては、オーバートレーニング、競技者の体力や技術に合わないトレーニング、不適切なシューズ、練習場が硬すぎたり軟らかすぎるなどが考えられます。

症状が時としてわかりにくいことがあるのも大腿骨骨幹部疲労骨折の特徴で、痛みのある部位が漠然としていることが多いともされています。これは、骨の感覚神経系の同一感覚領域(スクレロトーム)において放散痛や関連痛が起こり、手や指で押さえると痛みを生じる圧痛部位と一致しないこともあるためです。

明らかな外傷がなく、ランニング中心のスポーツ活動時に大腿部の中央部などに痛みを感じる場合は、大腿骨骨幹部疲労骨折が疑われます。整形外科を受診することが勧められます。

大腿骨骨幹部疲労骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、骨の痛みがある部位と症状、スポーツ活動の種類などから判断します。

骨折の初期の段階では、X線(レントゲン)検査を行ってもほとんど異常を示さず判断が難しいこともありますが、骨折後2、3週間程度で骨膜反応という骨折の修復により、皮質骨に局所的腫脹や軟骨が生じることで異常がわかります。骨シンチグラフィー検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、骨折の初期の段階の病変でも判断することが可能です。

骨折の初期の段階で診断を確定できない場合に、痛みを誘発して再現するテストを行って、骨折の可能性を検査することもあります。大腿骨骨幹部の疲労骨折では、片脚ジャンプで股関節周辺や膝関節周辺に痛みが誘発されます。そのほか、股関節を内側にひねると痛みが誘発されたり、股関節の可動域の制限が生ずることもあります。

すでに骨折部が悪化して骨の破壊が進んでいれば、X線(レントゲン)検査でも明らかな骨のヒビや骨の離断像が映り出されます。

整形外科の医師による治療では、骨折部に負担のかかるランニングなどのスポーツ活動を休止し、必要に応じて固定を行い、骨の癒合を図ります。一般には、4〜8週間の固定が必要となることが多く、激しい負荷のかかる競技者の場合には、12〜16週間の固定による安静が必要となることも珍しくありません。

固定による安静期間の後に、徐々にリハビリを開始します。まずは、日常生活だけのリハビリを行い、続いて、痛みが生じない範囲に制限してスポーツ活動を再開します。疲労骨折の場合、同じ部位が再骨折する可能性が高いため、慎重に運動を再開する必要があります。

転位のある骨折の場合や、骨の完全離断のある場合は、手術が必要となることがあります。手術では、骨のずれを元に戻して骨折部をネジ、あるいはプレートとネジ、さらに骨の中に入れた金属のくぎとネジを組み合わせたものなどで固定します。また、手術後のリハビリが最低6カ月間必要となります。

再発予防としては、疲労骨折が発生した要因を検討し、通常のトレーニングが過度にならないようにしたり、運動前後にストレッチを行ったりして、普段からコンディションの調整をすることも大切です。

🇰🇼大腿骨骨折

太ももの骨である大腿骨の外傷による骨折

大腿骨(だいたいこつ)骨折とは、太ももの骨である大腿骨の外傷による骨折。

太ももは、上半身を支え、かつ歩行するのに使う重要な部位で、太い大腿骨と筋肉が付いています。太ももの損傷は、筋肉などにも起こりますが、大腿骨が骨折する場合もあります。

大腿骨は、股(こ)関節と膝(しつ)関節の間にある人体最大の長管骨で強靭(きょうじん)な構造になっているため、若い人に骨折が生じるのは極めて強い外力を受けた時です。受傷の原因は交通事故が最も多く、ほかに高所からの落下、ラグビーなど激しい運動中の外部からの衝撃、小児の遊戯中の事故などがあります。

しかし、高齢者、特に閉経した女性の高齢者で骨粗鬆(こつそしょう)症にかかっている場合は、立ち上がる際によろけて転倒したり、歩行中に段差につまずいて転倒したり、ベッドから落ちるだけでも骨折が生じます。

この大腿骨骨折は、上側の股関節側から順に、大腿骨頭、大腿骨頸部(けいぶ)、大腿骨転子(てんし)部、大腿骨転子下、大腿骨骨幹部、大腿骨顆部(かぶ)の骨折に分けられます。

交通事故などによる強い外力による大腿骨骨折の場合は、ほかの部位の骨折や頭部、胸部、腹部の重要臓器の損傷を合併することが少なくありません。大腿骨の下3分の1の骨折では、主要な膝窩(しつか)動脈や総腓骨(そうひこつ)神経などの損傷を合併することがあります。

大腿骨の骨折部には、内出血によるはれ、皮下出血、異常な動きを認め、起立は不可能になり、受傷した脚の自動運動もできなくなります。膝窩動脈の損傷があると、足の指の色調は不良となり、足背部で拍動を触れなくなります。神経まひがあると、足首や足指の運動が不可能となります。

骨折部でかなり大量の出血があるため、血圧低下やショック症状を起こすことがあり、合併損傷が多いほど強くなります。

大腿骨骨折が発生した際は、応急処置として副木を当てて骨折部が動かないようにします。大量出血が予想され、さらにほかの部位に損傷を合併することがあるので、体を起こさずに横にしたまま医療機関に運びます。

大腿骨骨折の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断は、局所の症状で容易につきます。X線(レントゲン)検査で、骨折部位、骨折型、転位の程度を調べます。ただし、大腿骨のずれが小さい亀裂骨折で、受傷した後も歩けている状態の場合は、X線検査では判別しづらいこともあり、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行います。

整形外科の医師による治療は、大きく分けて手術療法、ないし保存療法を行います。特に高齢者の場合は、全身状態が許せば手術によって早期に痛みをとって体重をかけられるようにし、リハビリを開始することが望ましいと考えられています。

股関節にある関節包より内側で骨折する大腿骨頸部の骨折(内側骨折)の手術では、ずれが少ない場合や若い人の場合に、ずれを元に戻して骨折部をネジで固定します。高齢者で、ずれが大きい場合には、金属製の人工骨頭に置き換えます。

関節包の外側で骨折する大腿骨転子部の骨折(外側骨折)の手術では、骨のずれが大きいことが多いので、プレートとネジ、または骨の中に入れた金属のくぎとネジを組み合わせたもので固定します。

一方、保存療法を選択するのは、大腿骨頸部の骨折(内側骨折)で骨のずれがほとんどなく、比較的若い人の場合と、骨がくっつく可能性が高く、数カ月間寝たきりでいてもそれほど大きな問題が起きない場合です。ただし、大腿骨頸部の骨折は骨折部の血流が悪いために骨がくっつかないまま偽関節になったり、折れた骨が壊死したりする可能性があります。

また、手術や麻酔というのは体にかなり負担がかかりますので、全身状態が悪いため、寝たきりでいる危険性より手術をする危険性のほうが高いと判断される場合には、保存療法を選択します。手術しない場合でも、数カ月安静にしていると痛みは落ち着いてきます。

大腿骨頸部の骨折の場合、基本的に骨がくっつくことはありません。従って、足に体重をかけることはできませんが、あまり痛みなく車椅子(いす)に座っていることは可能です。場合によっては、よいほうの足に体重をかけて立つことができることもあります。痛みが落ち着き次第、できるだけ早く車椅子に移って寝たきりを防ぐことが重要です。

大腿骨転子部の骨折(外側骨折)の場合、安静を保っていれば骨はくっつきます。通常3~4週間程度で多少動かしても骨がずれなくなり、2~3カ月程度で体重をかけて歩く練習を開始します。

小児の大腿骨骨折の場合は、骨癒合が良好で変形がよく矯正され、1センチまでの短縮は自家矯正が可能なため保存療法を行います。長期間ベッド上で固定されても全身的な合併症や関節の拘縮が起こらないので、年齢に合わせてベッド上でいろいろな牽引(けんいん)療法を行います。

2〜3歳以下に対しては、垂直に両下肢を牽引するブライアント牽引を行います。3〜8歳児に対しては、股関節を30度曲げた位置にして牽引するラッセル牽引を行います。また、2〜12歳児に対しては、股関節と膝関節を90度曲げた位置にして牽引するウエーバー牽引を行います。

一般的に、高齢者の骨折後の歩行能力は、手術をしたとしても1ランク落ちるといわれています。例えば、家の外を自由に歩いていた人は杖(つえ)が必要になる、杖で歩いていた人は主に家の中での生活になる、家の中をつかまりながらやっと歩いていた人はベッドからポータブルトイレや車椅子への移動がやっとになる、といった具合です。

しかし、リハビリテーションの進み具合は個人差が大きく、本人の意欲、痛みの程度、体力、合併症、認知症の有無などによって大きく変わってきます。認知症状が強い場合には、リハビリがあまり進まないことが予想されます。

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