2022/08/21

💅爪下血腫

外的な衝撃により爪床が傷付くことで内出血を起こし、爪下に血液がたまった状態

爪下血腫(そうかけっしゅ)とは、外的な衝撃や、外部からの持続的な圧迫ストレスにより、爪床が傷付くことで内出血を起こし、爪(つめ)と皮膚の間に血液がたまった状態。爪下出血とも呼ばれます。

爪下血腫の原因は、主にけがです。車などのドアに指先を挟んだり、金づちなどで指先を直接たたいたり、足の指先に重い物を落とした時などに、典型的な爪下血腫が起こります。

また、長距離走やサッカーが、爪下血腫の原因になることもあります。走っている時に足指の爪に持続的な圧迫がかかることで、内出血を起こすことがあるのです。

爪下血腫を起こした場合、すぐに爪の甲の一部分または全体が黒く変色します。爪の甲の色が変化するのは、爪の奥で内出血が起こり、爪と皮膚の間に血液がたまるためです。つまり、爪下血腫は、打撲による内出血によって皮膚にできる青あざのようなものです。

たまった血液により爪の下の内圧が上がるため、ズキズキする強い痛みを生じます。また、爪の根元の部分がたまった血液ではれ、爪がグラグラすることがあります。

時間が経つにつれて、爪の黒い部分は消えていきます。また、爪が伸びるに従って、黒い部分が移動するケースもあります。

痛みのない場合に放置しておくと、たまった血液によって爪の甲が爪床から離れているため、血腫が小さくない限り、通常は数週間で変色した爪がはがれ落ちます。爪の下の爪床に変形がなければ、元の爪の下に根元から新しい爪が作られ、指先まで伸び切れば古い爪に置き換わります。

ただし、成人の手指の爪は1日0・1ミリ、足指の爪は0・05ミリしか伸びないため、爪が置き換わるには半年から1年と長い期間がかかります。

爪下血腫が軽く、痛みがなければ、治療をせずに放置していてもかまいません。爪下血腫が重く、痛みがある場合、爪の根元の1/3に血液がたまっている場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科で治療してもらうことが勧められます。

爪床に重度の損傷が生じたり、爪の根元の1/3に血液がたまって爪母の状態が悪くなると、新しく作られる爪が変形したまま、元の形に戻らない場合がよくあるからです。このリスクを減らすためには、早期に血腫を抜いて爪を圧迫、固定しておくか、爪を除去して爪床の損傷をすぐに修復する必要があります。

爪下血腫の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科の医師による診断では、爪のはれや痛みが強い時は、X線(レントゲン)検査で骨折の有無を確認します。

皮膚科、皮膚泌尿器科、ないし整形外科、形成外科の医師による治療では、骨折があれば、骨折の治療を優先します。

爪に対しては、痛みを和らげ、爪下血腫の範囲が広がらないようにする目的で、消毒した注射針や熱したクリップの先などでゆっくりと爪に小さな穴を開けて、たまった血液を外に出します。これで痛みは緩和されます。

爪には痛みを感じる細胞がないので、爪に穴を開ける際に痛みは伴いません。爪に穴を開けた後は、不潔にならないように数日間、血液を吸収する素材を使用したガーゼで覆い、薄く伸縮性があるテープで圧迫しておきます。

痛みがひどい時には、爪とその下の皮膚に少し圧力をかけただけでも痛みが伴うので、麻酔を使用してから爪に穴を開けます。

長距離走やサッカーなどで、足指に持続的な圧迫がかかることにより爪下血腫になった場合は、なるべく走ることを控えるようにしてもらいます。軽度の爪下血腫の場合でも、さらに足や爪を酷使し続けると症状が悪化してしまうからです。

走ることによる爪下血腫を防ぐためには、クッションの効いた指先に圧力がかからないシューズを選び、足に負担をかけないように気を付けることです。また、ストレスがかかる部分にパッドなどの緩衝剤を入れたり、足指にテープを巻いたりワセリンを塗ることもお勧めで、足指を清潔に保ち、爪を正しく切ることも必要です。

💅爪カンジダ症

真菌の一種のカンジダが感染、増殖して、爪や爪の周囲に炎症を生じる疾患

爪(そう)カンジダ症とは、カンジダという真菌の一種が感染、増殖して、爪(つめ)や爪の周囲に炎症を生じる疾患。

真菌は、カビ、酵母(イースト)、キノコなどからなる微生物の総称であり、菌類に含まれる一部門で、細菌と変形菌を除くものに相当します。葉緑素を持たない真核生物で、単細胞あるいは連なって糸状体をなし、胞子で増えます。

その真菌の一種であるカンジダは、もともと人間が持っている常在菌で、口腔(こうくう)や気管支、肺、腸管、膣(ちつ)内、皮膚などに常在して生息し、病原性が弱いため害を及ぼしません。しかし、疲労が重なったり、疾患で体の免疫力が低下している時、あるいは妊娠している時、糖尿病にかかっている時などに、カンジダが増殖して病原性が現れると、皮膚や口腔、膣などさまざまな部位に炎症を引き起こします。

爪や爪の周囲に炎症を引き起こすと爪カンジダ症が生じ、段階的にカンジダ性爪囲炎、カンジダ性爪炎、爪カンジダを生じます。

爪の周囲に炎症が起きるカンジダ性爪囲炎の場合、症状が軽く、痛みも出ないことが多いものの、爪の生え際が赤みを帯びだり、はれたりします。

この爪囲炎を繰り返していると、カンジダ性爪炎に移行し、爪が変色し、表面に凹凸ができる、横にすじができる、赤くなってはれ、痛むといった症状がみられます。

カンジダ性爪囲炎とカンジダ性爪炎は、爪の表面だけがカンジダに感染している状態ですが、カンジダが爪の内部にまで寄生すると、爪カンジダになります。爪が黒ずんできて、爪の先が皮膚から離れて浮き上がったような状態になり、爪が変形します。また、爪が厚くなることもあれば、逆にボロボロになって先端が欠けたりすることもあります。

カンジダ性爪囲炎、カンジダ性爪炎、爪カンジダは足指の爪よりも手指の爪によく発生し、健康に問題はなくても、手を水で頻繁にぬらしたり洗ったりする職業の人や主婦にもよくみられます。

ある日突然、爪が変色したり変形したりした時は、爪カンジダ症を疑うことが必要です。また、見た目には白癬(はくせん)菌と呼ばれる一群の真菌の感染により生じる爪白癬、いわゆる爪の水虫や、ほかの爪の疾患と似ているため注意が必要で、自己判断で薬を塗ったりすると症状が悪化する可能性もありますので、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診することが勧められます。

爪カンジダ症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、通常、爪の外観に基づいて判断します。診断の確定には、爪の破片を顕微鏡で調べ、培養して、真菌の一種のカンジダを認めることが必要です。爪では皮膚と違って真菌を見付けにくく、真菌の形態が不整形で、カンジダと白癬菌との違いを判定しにくいことが多いので、注意が必要です。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、カンジダを殺す抗真菌薬のイトラコナゾールなどを服用します。さらに、抗真菌薬のイミダゾール系統の外用薬も併用します。

治療期間は6カ月以上、1年間くらい要することもありますが、症状が軽い場合には、塗り薬だけで治ることもあります。

もし免疫不全、糖尿病など全身的な要因があれば、それらの治療、改善が重要になってきます。

予防には、水仕事の後にはしっかりと手を乾かして清潔にすることを心掛けます。指や爪が湿っている状態は、カンジダが発生する原因となるからです。

🇲🇻早期再分極症候群

致死性不整脈へと直接つながる可能性がある不整脈疾患

早期再分極症候群とは、心臓の器質的な病変がない場合でも、心室細動や心室頻拍などの致死性不整脈へと直接つながる可能性がある不整脈疾患。J波症候群、ERS(Early Repolarization Syndrome)とも呼ばれます。

再分極は、心電図の波形において心臓の電気的刺激が収束していく過程のことを指す言葉であり、早期再分極症候群は、心臓の拍動を生み出す電気的刺激の伝達において、通常の場合よりも心筋の電気的刺激が早く収束する不整脈の形態を意味することになります。

これに対して、早期再分極症候群の別名として使われることも多いJ波症候群のJ波は、心室の収縮を表すQRS波と、心室の弛緩(しかん)すなわち再分極を表すT波の間に出現することがある心電図の小さな波のことを指す言葉であり、心電図のQRS波の終わりにJ波が割り込むように出現することによって、心筋の電気的刺激を収束させる本来の波であるT波がくる前に早期に心筋の弛緩が始まることになります。

従って、心電図においJ波が出現すると、心臓の電気的刺激の収束である再分極が通常よりも早期に始まることになるので、心電図にJ波が現れるJ波症候群は、早期再分極症候群へとつながる一連の不整脈の形態としてもとらえられることになります。

早期再分極症候群ないしJ波症候群においては、心筋の電気的刺激の伝達において、本来よりも早く心臓の電気的刺激が収束する再分極が始まることによって、心臓の電気的状態が不安定となり、特発性の心室頻拍や心室細動といったより重篤で命にかかわる不整脈の状態へと移行する可能性がある程度高まる可能性があると考えられます。

しかし、こうした潜在的な危険性の一方で、早期再分極や心電図におけるJ波の出現は、自覚症状がないものや、心電図におけるJ波の所見が極めて軽微であるものも含めると、全人口の5~10%程度の人に見られるほど非常に多く認められる心電図の特徴でもあります。

つまり、早期再分極症候群という不整脈の形態自体は、発症率の極めて高い、極めて一般的な不整脈の形態であり、早期再分極症候群を有する人の多くが、実際には、失神などの危険な兆候はおろか、何の自覚症状も感じずに、心室細動のような致死的な不整脈とは無縁のまま健康な生活を送っているということにもなります。

早期再分極症候群と診断された場合、その不整脈の形態が実際にどの程度命にかかわる危険性が高いかは、心電図に見られるJ波の波形の大きさや、頻脈発作の有無、失神やめまい、立ちくらみといった危険な兆候の有無などから総合的に判断されていくことになります。

特に、ブルガダ症候群やQT延長症候群といったほかの致死性不整脈と合併して、この早期再分極症候群が現れている場合は、心室細動や心室頻拍を引き起こす危険性が高まる要因として重視されることになります。

早期再分極症候群を発症する70〜80%は男性であり、発症年齢は40歳前後。突然死の家族歴を10〜20%に認め、これは早期再分極症候群の発症に遺伝的背景が関与していることを示唆しており、実際に現在までに5種類のイオンチャネル遺伝子が原因遺伝子として報告されています。

心室細動や心室頻拍を引き起こす状況は一様でなく、夜間や睡眠中に発作を来す場合が多いものの、労作時や運動時に発作を来す場合も少なからず存在します。

主に左室下壁誘導ないしは左室側壁誘導の早期再分極が心室細動に関連しますが、右側胸部誘導に早期再分極を認めることもあります。J波の高さはさまざまな状況において変動し、時に消失するものの、徐脈が生じたり,長いポーズ(心停止)が生じた時に増強し、心室細動の発作の直前に通常は最もJ波は高くなります。

早期再分極症候群の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、失神の既往歴、突然死の家族歴があり、心臓に流れる電流を異なる12方向から記録する12誘導心電図による検査で、左室下壁誘導(心電図検査のⅡ、Ⅲ、aVFと呼ばれる項目)と左室側壁誘導(心電図検査のⅠ、aVL、V4-V6と呼ばれる項目)の中の2誘導以上で1ミリ以上のJ波を認めた場合、早期再分極症候群の可能性を疑います。

循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心室細動が出現した場合は、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術を行います。植え込み型除細動器は、致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置。

心室細動が頻回にわたって出現する場合には、発作予防の抗不整脈薬の投与が必要となり、β(ベータ)刺激薬であるイソプロテレノールや心拍を早くするためのベーシングが有効です。再発予防には、キニジンが有効です。

抗不整脈薬の効果がない場合は、心室細動の引き金になる心室性期外収縮を発生させている左室下壁あるいは左室側壁の異常興奮部位を探し出し、足の付け根などからカテーテルと呼ばれる電極を心臓内に挿入し、高周波電流で焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーション(カテーテル焼灼法)という手術を行うことがあります。

🇱🇰早期乳児てんかん性脳症

新生児期から乳児早期に発症する難治性のてんかん

早期乳児てんかん性脳症とは、新生児期から生後3カ月以前の乳児早期に発症する難治性のてんかん。大田原症候群とも呼ばれます。

生後4カ月から1歳ころに発症するウエスト症候群(点頭てんかん)、2歳~8歳に発症するレノックスガストー症候群とともに、年齢依存性てんかん性脳症に分類されます。それぞれのてんかんの好発年齢が乳幼児期にみられること、早期乳児てんかん性脳症からウエスト症候群へ、さらにウエスト症候群からレノックスガストー症候群へと年齢とともに移行することが多いため、脳の発達過程とこれらのてんかんの発症が密接に関連しているものと考えられています。

早期乳児てんかん性脳症を発症すると、強直発作を頻発します。強直発作は全身を強直させて、頭部を前屈し、両上肢を挙上させ、眼球が上転する数秒~30秒程度の発作で、発作の発見時には多くの場合、一過性に呼吸を止めて、唇や爪(つめ)が青紫色になるチアノーゼが見られます。

脳波を調べると、覚醒(かくせい)時、睡眠時を問わず持続的に、サプレッションバーストという特徴的な脳波が認められます。サプレッションバーストは、振幅の小さい波の時(サプレッション)と、振幅の大きい波の時(バースト)とが交互に現れるものです。

強直発作に伴って脳の働きが弱まり、知的障害や運動障害などを来します。

早期乳児てんかん性脳症は、脳の低酸素や感染症、事故などよる脳損傷によっても生じますが、一部は遺伝子の配列の異常によって生じます。

発作は難治で、多くは抗てんかん剤およびステロイド剤に反応しません。薬剤が部分的に有効で発作が消退しても、心身の障害を残し予後は極めて不良で、早期死亡の例も少なくありません。

脳の前頭葉に焦点性皮質形成異常のある早期乳児てんかん性脳症の場合には、外科治療が精神運動発達と発作コントロールの両方に有益な効果があります。

🇱🇰早期ミオクロニー脳症

生後3カ月以内、多くは新生児期に発症する難治性のてんかん

早期ミオクロニー脳症とは、生後3カ月以内、多くは新生児期に発症する難治性のてんかん。

てんかん発作は、初期には断片的なミオクロニー発作が起きます。ミオクロニー発作とは突然、全身がピクンとする一瞬の発作で、その時、意識は保たれています。 やがて、部分発作や全身性のミオクロニー発作、短い強直発作(スパズム)などを起こしてきます。

脳波を調べると、覚醒(かくせい)時、睡眠時を問わず持続的に、サプレッションバーストという特徴的な脳波が認められます。サプレッションバーストは、振幅の小さい波の時(サプレッション)と、振幅の大きい波の時(バースト)とが交互に現れるものです。てんかん発作が起きた時の脳波は、棘徐波(きょくじょは)が認められます。

早期ミオクロニー脳症は脳の低酸素や感染症、事故による脳損傷などさまざな原因に起きますが、一部はSLC25A22という遺伝子の配列の違い(変異) によって起きることがわかっています。先天性の代謝異常との関係も指摘されており、非ケトン性高グリシン血症という先天性代謝異常によって起きることもあります。

てんかん発作に伴って脳の働きが弱まり、知的障害や運動障害などを来します。

小児科、あるいは神経内科の医師による治療では、抗てんかん薬の内服のほか、ビタミンB6の内服、副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン(ACTH)療法、甲状腺(こうじょうせん)刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の注射などが行われます。

しかし、てんかん発作は難治で、多くは抗てんかん剤や副腎皮質刺激ホルモンに反応しません。有効な治療法もなく、予後は極めて不良で、重症心身障害が残ったり、誤嚥(ごえん)性肺炎や骨粗鬆(こつそしょう)症など全身症状の併発が多く、死亡する例も少なくありません。

🇱🇰双極性障害(躁うつ病)

●躁状態と、うつ状態を繰り返す気分障害

双極性障害とは、躁(そう)状態とうつ状態を繰り返す精神疾患であり、気分障害の1つ。従来、躁うつ病と呼ばれていた病気に相当し、双極性感情障害とも呼ばれます。

双極性障害(躁うつ病)の生涯有病率は、0.2~1.6パーセントであるとされます。同じ気分障害の1つで、うつ病だけを繰り返す単極性障害(単極性うつ病)の生涯有病率6~15パーセントと比べると、低めではありますが、決して珍しい疾患ではありません。

発病年齢は、単極性障害の場合は年齢層が幅広く分布しているのに対して、双極性障害は20歳代にピークがあります。また、単極性障害は男女比が1対2と女性に多いのに対して、双極性障害では男女比は1対1となっています。

双極性障害は一度回復しても、再発を繰り返すことが多く、生涯に渡る薬物投与による予防が必要となることが普通です。

発症の原因はいまだ解明されていませんが、単極性障害と同様、疾患脆弱(ぜいじゃくせい)性、すなわち病気になりやすい性質を持つ人に身体的、あるいは心理的負荷がかかり、脳の機能のバランスが取れなくなると発病するとされています。

疾患脆弱性を規定する因子は複雑ですが、その1つに遺伝があり、双極性障害の親を持つ人の2~3割は発病すると見なされています。双生児で一方が発病した場合、他方も発病する一致率は6~8割ともいわれています。しかし、他の2~4割は遺伝以外の要因であり、遺伝と環境要因の両方で規定されると考えられます。

シナプスと、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質を介した神経伝達機構に障害が生じることに、双極性障害の発症原因を求める仮説もあります。

双極性障害は、双極1型障害と双極2型障害に分けられています。双極1型障害の方が躁状態が激しいもので、双極2型障害は軽躁状態を伴うものです。

躁状態とは、気分の異常な高揚が続く状態です。軽躁状態とは、基本的に躁状態と同じ症状で、社会的、職業的機能に影響のない程度のものを指します。双極2型障害においては、軽躁状態そのものが発症者本人や家族に認識されていないことも多く、自覚的には反復性の単極性障害(単極性うつ病)であると考えている発症者も多くみられます。

自尊心の肥大、多弁、注意散漫、活動の増加といった躁状態が1回認められれば、双極1型障害と診断されます。1回の躁状態で終わるケースはまれで、一般的には、症状のない回復期を伴いつつ、うつ状態と躁状態のいずれかが繰り返していくケースが多くみられます。

躁状態から次の躁状態までの間隔は、数カ月から5年と幅があります。再発を繰り返すにつれて、病状の持続期間は長くなる一方、病状と病状の間隔は短くなります。うつ状態から急に躁状態になる躁転もまれではなく、一晩のうちに躁転することもあります。

中には、1年のうちに4回以上、躁状態とうつ状態を繰り返すケースもあり、これを急速交代型(ラピッドサイクラー)と呼びます。時に、躁とうつの症状が混じり合って同時に現れることがあり、これを混合状態と呼びます。

双極性障害の症状は、躁状態とうつ状態で対照的です。基本的には、感情やエネルギーが高まった躁状態に対して、うつ状態は感情やエネルギーの低下状態と理解できます。

具体的な躁状態の診断基準は、以下の症状が3ないし4つ以上みられる状態が1週間以上続き、社会活動や人間関係に著しい障害を生じることとなります。

1. 自尊心の肥大=自分は何でもできるなどと、気が大きくなる

2. 睡眠欲求の減少=眠らなくても、いつも元気なまま過ごせると思い込む

3. 多弁=一日中しゃべりまくったり、手当たり次第にいろいろな人に電話を掛けまくったり、メールを送りまくったりする

4. 観念奔逸=次から次へ新しい考えが浮かんでくる

5. 注意散漫=気が散って一つのことに集中できない

6. 活動の増加=仕事などの活動が増加し、よく動く

7. 快楽的活動に熱中=お金やクレジットカードを使いまくって買物をしたり、性的逸脱行動に出る

この躁状態の初期には、発症者は明るく開放的であることもありますが、症状が悪化するとイライラして、怒りっぽくなる場合も多くみられます。

本人の自覚的には、エネルギーに満ち、快いものである場合が多くて、苦痛を感じません。他人から見ると、感情のコントロールができなくなっていて危なっかしい状態で、社会的には、さまざまなトラブルを引き起こすことが多くみられます。本人は病気だという認識もないので、治療や入院も拒否しがちです。

逆に、うつ状態になると何週間も、憂うつな気分が続きます。朝が最も憂うつで、夜になってくると軽くなるのが普通です。食欲もなくなり、不眠になり、躁の時のことを思い出して自己嫌悪に陥ったり、悲観的なことばかり考えてしまいます。双極性障害のうつ状態では、不眠もありますが、過眠になることも多く見受けられます。

ひどい時は、ほとんど寝たきりになり、頭も働かず、生活ができなくなって入院することもあります。少し体力がついてきても、気分は悪いので、「破産してお金がない」といった貧困妄想や、「恐ろしいことをした」などの加害妄想が出るために将来を悲観し、自殺を図ったりする場合もあります。

●気分安定薬の継続的な服用が治療の柱

双極性障害(躁うつ病)は、発症者の結婚、職業、生活にしばしば深刻な影響を招く原因となります。離婚率も高く、健康な対照者の2~3倍とされています。また、自殺率も高くなっています。

躁状態が確認されれば、双極性障害の診断はさほど困難ではありません。しかし、うつ状態のみの場合は、単極性障害(単極性うつ病)と診断したケースのうち、2~3割が経過を追うと双極性に転じるので、注意が必要です。特に20歳以前、あるいは20歳代で発病する単極性障害の場合は、慎重に経過をみていく必要があります。

双極性障害の治療は単極性障害と同様、薬物療法、心理療法、社会的サポート(地域支援活動)の3本柱で行われますが、薬物療法は単極性障害と基本的に異なります。

双極性障害では、気分安定薬を中心に用いるのが原則で、躁状態だけでなく、うつ状態もある程度予防することが知られています。日本では、炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸の3種類の気分安定薬が使用できます。

炭酸リチウムは、気分安定薬のうち最も歴史が長く、その有効性について最も科学的研究が行われている薬物です。ただし、治療域と中毒域が近いために、血中濃度を定期的に測定する必要があります。全般的には副作用の少ない薬物ですが、一般的な副作用としては、手の指先の震えがあるほか、時に飲み始めの数週間に、極端な倦怠(けんたい)感が出て服用を止める患者もいます。有効血中濃度を超えた場合、複視、ふらつき、意識障害、腎障害などの中毒症状が現れます。

カルバマゼピンは元来、てんかん、三叉(さんさ)神経痛の治療薬であり、双極性障害に用いられ始めたのは比較的最近。一般的な副作用としては、眠気や倦怠感、めまいなどですが、極まれに、全身性の薬疹(やくしん)、肝機能障害、造血機能障害などが生じることがあり、重篤な状態となる場合もあります。リチウムと同様に、有効血中濃度を超えると中毒症状が現れるため、定期的な血中濃度測定が必要です。

バルプロ酸も元来、てんかんの治療薬ですが、最近、気分安定薬として用いられ始めました。副作用が比較的少ないため、使用しやすい薬物です。

これらの気分安定薬を用いた治療においては、ある種類が無効でも、他の気分安定薬が有効な場合もあります。また、2剤以上組み合わせることで有効な場合も。服薬が不規則であると効果がないため、薬を規則的に飲み、有効血中濃度に保つことが重要です。

激しい躁状態には鎮静効果のある抗精神病薬を、程度の重いうつ状態には抗うつ薬を、不眠に対して睡眠導入剤を用いますが、これらはあくまでも付加的なものです。

また、気分安定薬の長期使用により、双極性障害の6割は再発を予防することが可能なので、再発予防に重点を置いた治療計画が必要です。

しかし、発症者に服薬の必要性が十分、理解できていないこと、副作用を不快に感じること、一度に複数の種類の薬が処方されて混乱することなどにより、服薬が不規則になったり、中断することがあります。このような状態が続いた場合、再発する可能性が高まります。

医師の処方を守って服薬することを服薬順守、あるいはコンプライアンスといいますが、これを高めるために、医師や薬剤師から病状や治療法について十分な説明を受けて理解すること、家族など周囲の人も服薬に協力することが重要となります。

再発予防のためには、服薬順守を高めると同時に、ストレスを管理することが重要となります。一時的な好調、不調に振り回されずに、根本となっているストレスや性格を改善していくことで躁状態、うつ状態を繰り返さなくなります。

💅爪甲委縮症

爪の甲がもろくなって、輝きを失い、委縮したり、欠落したりする状態

爪甲(そうこう)委縮症とは、爪(つめ)の甲がもろくなって、輝きを失い、委縮して小さくなる状態。オニカトロフィア、アトロフィとも呼ばれます。

爪がきちんと育っていない状態であり、爪の甲の形が崩れ、通常の半分程度の大きさにしかならず、表面がでこぼこになります。悪化すると、ボロボロと爪の甲がはがれ落ちる症状が現れ、欠落することもあります。爪の甲が欠落すると、痛みを感じるなど不便なことが多く起こってきます。

爪甲委縮症の原因としては、ごくまれに先天性ないし遺伝性の爪甲委縮症もありますが、多くは後天性で、栄養不足、外傷、内臓の疾患に伴って生じます。

爪も皮膚の一部であり、主に蛋白(たんぱく)質の一種のケラチンで構成されているため、食事での栄養バランスの偏りや過度のダイエットなどで、爪に必要な蛋白質が不足することで、爪甲委縮症を生じることがあります。

爪の付け根の皮下にあり、爪を作り出している爪母を強打したり、傷付けたりして、爪母が損傷することで、爪甲委縮症を生じることもあります。この場合、爪母に損傷が加わってから数週間後に、爪の発育不全の状態が現れます。

胃腸などの疾患があるために、体内で栄養の吸収が悪くなり、極度の栄養不足になることで、爪甲委縮症を生じることもあります。

爪甲委縮症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲の委縮、欠落を起こし得る食事摂取の状況、外傷の有無を聞いたり、胃腸などの疾患を検査したりします。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、栄養不足が原因で爪甲委縮症を生じている場合、栄養バランスのとれた1日3食の食生活を心掛け、爪の健康に必要な栄養素である蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類などをしっかり摂取してもらいます。

爪を作り出している爪母の損傷が原因で爪甲委縮症を生じている場合、現在の医療では手当できないとされています。爪が委縮、欠落して直接さらされた爪床部分の皮膚からばい菌が侵入して、感染症を起こしやすくなるのを防ぐ補助医療目的で、人工爪(付け爪)をつけることもあります。

胃腸などの疾患が原因で爪甲委縮症を生じている場合、その原因となる疾患を治療することが先決です。

日常では、爪を保護するためにも、水仕事をする際は柔らかいゴム手袋を着けるようにし、使った後にハンドクリームなど油分の高いもので保湿ケアを行うこと、指先に過度の力を入れないこと、指先を圧迫したり強い刺激を与えないことが予防となります。

🟥千葉県旭市の農場のうずら10万羽余り、鳥インフルエンザで処分

 千葉県旭市にある農場で死んだうずらから「高病原性」の疑いがある鳥インフルエンザウイルスが検出され、県はこの農場で飼育されているおよそ10万8000羽の処分を始めた。千葉県内で鳥インフルエンザの感染が確認されたのは今シーズン初めてである。全国では18例目。  千葉県によると、2...