血液の成分の血小板が少なくなる難病の患者に、自分のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した血小板を輸血する臨床研究を行った結果、拒絶反応や副作用は起こらず、安全性が確認されたと京都大学の研究チームが発表しました。
これは、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授などでつくる研究チームが、9月30日にオンラインで記者会見をして発表しました。
研究チームは、血小板などが少なくなる難病「再生不良性貧血」の患者1人に、iPS細胞から作製した血小板を輸血する臨床研究を2019年3月から続けてきました。
患者は、血小板の型が日本人の中では極めてまれなタイプで、異なる型の他人の血小板は受け付けないため、自分のiPS細胞から血小板を作製して投与する方法がとられました。
20ミリリットルから180ミリリットルの量を3回にわたって投与し、1年間経過観察を行ったところ、拒絶反応や大きな副作用は起こらず、安全性が確認されたということです。
研究チームは、将来的には他人から血小板の輸血を受けられない患者への治療や、iPS細胞を使った献血に頼らない輸血の実用化につなげていきたいとしています。
江藤教授は、「世界で初めての臨床研究で安全性が確認できたことは大きな成果だ。今後、低いコストでの血小板の提供などに向け、研究を進めたい」と話しています。
2022年10月2日(日)