中国では、新型コロナウイルスの感染者が2日連続で過去最多を更新するなど感染の拡大が続いています。習近平指導部が厳しい行動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策を掲げる中、停滞する経済に、さらに追い打ちをかける懸念が強まっています。
中国政府によりますと、国内では24日、すべての省や自治区などで、新型コロナウイルスの新規感染者が、合わせて3万1987人(入国者除く、無症状含む)確認されました。3万1444人が確認された23日に続き、2日連続で過去最多を更新し、感染の拡大が続いています。
このうち首都北京市では、当局が企業に在宅勤務を求めるなど対策が強化されており、中心部の朝陽区にあるオフィス街は、平日にもかかわらず人や車の往来はまばらで、ひっそりとしています。
また、飲食店は店内での飲食の提供をとりやめていて、30歳代の女性の経営者は「この1カ月は何もできず収入もなくなりました。影響はとても大きく、店仕舞いして別の仕事に変えるかどうか考えています」と話していました。
習近平指導部は、厳しい行動制限などを伴う「ゼロコロナ」政策の継続を掲げており、野村ホールディングスの香港にある現地法人の調査によりますと、地区の封鎖など、何らかの措置を行っている国内の都市は、11月21日の時点で合わせて48に上ります。これらの都市の経済規模を合わせると、中国のGDP(国内総生産)の約40%に及ぶということです。
また、11月24日の時点で、中国全土で2万カ所以上が高リスクエリアとして厳しい管理下に置かれているといいます。
北京市では、24日の感染者が1800人余りと、4日連続で1000人を上回り、過去最多となっています。このため、感染のリスクがあるとされる集合住宅やオフィスビルなどを、一時的に封鎖する措置が次々にとられています。
このうち、朝陽区にある集合住宅の1つでは、感染対策をとる必要があるとして現地時間の25日正午から住民の出入りが急きょ禁止されました。
集合住宅が閉鎖される前には、大勢の住民が近くのスーパーを訪れ、野菜や飲料水、インスタント食品などを次々に買い求めていました。
北京市では、今年の開催が中止された世界最大規模の新車の展示会、「北京モーターショー」の会場となるはずだった郊外にある大型施設が、臨時の隔離施設に改造されています。
入り口では白い防護服を着た人たちが車の出入りを監視しており、隔離された人たちに届けられたとみられる宅配の荷物の段ボールなどが山積みになっていました。
施設の周りには高い壁が設けられていて、中の様子をうかがい知ることはできませんが、中国のSNSでは、今回の感染拡大を受けて収容が始まっていると伝えられています。
北京市では同じような隔離施設がほかにも建設されていて、当局が感染のさらなる拡大に備えているものとみられます。
2022年11月25日(金)