世界保健機関(WHO)は13日、アフリカ中部の赤道ギニアで、エボラ出血熱とよく似たマールブルグ病の最初の感染が確認されたと発表しました。これまでに少なくとも9人が死亡し、感染が疑われる人は16人に上っています。
赤道ギニアの北東部・キエンテム県では先週、200人以上を隔離し、行動制限措置を講じました。隣国カメルーンも感染防止対策として、国境沿いで行動制限措置を講じました。
マールブルグ病によく似ているとされるのが、2014年にアフリカで猛威を振るったエボラ出血熱で、アメリカやイギリスなどでも感染が確認され、世界中で1万人以上が死亡しました。
WHOによると、マールブルグウイルスに感染すると、突然の高熱や頭痛、倦怠(けんたい)感のほか、5~7日後に血液の混じった嘔吐や下痢などの症状がみられます。致死率は最高で88%に上ります。エボラ出血熱と同じウイルス性出血熱の一種で、ワクチンや承認された抗ウイルス治療薬などはありません。感染経路にコウモリが疑われているものの不明で、感染した人からは血液や体液に触れることでうつるといいます。
2005年には、アフリカ南西部のアンゴラで大流行し、200人以上が死亡しています。
WHOのアフリカ地域ディレクター、マトシディソ・モエティ氏は、「感染確認過程における赤道ギニア当局の迅速かつ断固たる行動のお陰で、すぐに全力で緊急対応に動くことができた」と述べました。
マールブルグ病の感染が拡大する可能性について、長崎大学・高度感染症研究センターの安田二朗教授は、「現地の対応次第だと思う。(エボラ出血熱の時は)どの国も対応がまずかった。初期段階で(マールブルグ病を)見付けているので、きちんと検査して陽性者を隔離すれば、封じ込めることができると思っている」と指摘しています。
日本の感染症法上の位置付けでは、現在の新型コロナウイルス感染症よりも上で、危険度が最も高い「1類」に該当しています。
松野博一官房長官は15日の会見で、「昨日(14日)厚生労働省から、検疫所・地方自治体・医療関係者に対し、赤道ギニアにおけるマールブルグ病の発生に関する注意喚起を行っている」と話しました。
厚労省は14日、渡航者への注意を呼び掛けたり、患者の搬送体制を確認したりするよう求める通知を都道府県などに出しました。厚労省結核感染症課は、「引き続き海外の感染状況や知見の収集、専門家の意見を伺いながら適切に対応したい」と述べました。
2023年2月16日(木)