2023/05/12

🟧WHO、エムポックス(サル痘)の緊急事態宣言終了を発表 新規感染者数減少で

 世界保健機関(WHO)が11日、欧米を中心に患者が相次いだエムポックス(サル痘)の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を終了すると発表しました。

 WHOのテドロス・アダノム事務局長は11日の会見で、「エムポックスがもはや『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』ではないと宣言することをうれしく思います」と述べました。

 WHOには、計8万7377人以上の感染と140人の死亡が111カ国から報告されてきました。テドロス事務局長は、直近3カ月の感染者数が前の3カ月と比べて、ほぼ9割減になったことを紹介し、「アウトブレークを制御することについての着実な進歩を確認した」と述べました。

 ただし、テドロス事務局長は「これで仕事が終わったわけではない」とも強調。引き続 き、詳細な感染経路がわかっていないアフリカを含む、すべての地域に影響を及ぼしており、忍耐強い対処が必要になると訴えました。

 エムポックスはウイルスを持つ動物との接触で感染し、人から人への感染はまれとされるものの、患者の体液や、皮膚の病変に触れることなどでも感染します。性的接触や患者が使った寝具などでも感染するため、誰でも感染する可能性はあります。

 従来はアフリカ中部や西部で時々流行する感染症でしたが、昨年5月以降、欧米を中心に感染が拡大。WHOは昨年7月23日に最高度の警告である「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、ピークとなった昨年の8月中旬には、1週間で7500人余りの新たな感染者が報告されました。

 エムポックスの主な症状は、発熱やリンパ節のはれ、全身に広がる発疹などとされる一方で、今回の流行では発疹が性器周辺にとどまったりするなど、従来と異なる症状が報告されています。患者の多くは軽症で2~4週間で自然に治っていますが、まれに重症化する例もあります。

 WHOによると、今回の流行で報告されている患者の96%は男性で、その多くは男性間による性的接触があった人でした。

 日本国内では昨年7月、初めて患者が確認されました。世界的には患者数は減っているものの、国内では今年に入り、患者の報告が増えています。国立感染症研究所によると、5月2日時点で129人を数え、全員男性で、死者は報告されていません。

 2023年5月12日(金)

🟧ワクチン接種偽装で委託料詐取、院長に有罪判決 東京地裁「医師の権限を悪用」

 新型コロナウイルスワクチンを接種したと偽り、自治体から接種委託料をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた医師船木威徳(たけのり)被告(51)=東京都北区=の判決公判が12日、東京地裁(野村賢裁判長)でありました。判決は「金銭目的でないことを踏まえても悪質だ」として、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡しました。

 判決によると、同区の「王子北口内科クリニック」院長の船木被告は2021年、「ワクチンを接種したくないが、接種済証が欲しい」という知人らから依頼を受け、計15人にワクチン接種をしたとするうその予診票を札幌市や大阪市など5つの自治体に提出。業務委託料計約6万8000円をだまし取りました。

 船木被告は自ら開くセミナーで「ワクチン接種しなくても接種済証を発行する」旨の資料を配るなどしていました。判決は「ワクチン接種業務の委託を受けた医師の権限を悪用し、被害額も少額とはいえない」と批判。一方、被害の全額を弁償していることや反省の態度を示していることなどから執行猶予が相当としました。

 2023年5月12日(金)

2023/05/11

🟧アメリカ、経口避妊薬の初の市販化へ道 FDA諮問委員会が肯定意見

 アメリカ食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は10日、製薬大手ペリゴ傘下のHRAファーマ社の経口避妊薬「オーピル」について、購入に処方箋が必要な薬からドラッグストアなどで自己判断で買える市販薬への転換を肯定する意見を全会一致でまとめた。FDAが今後、最終判断します。承認されれば、アメリカで初めて緊急用以外の経口避妊薬の市販が実現します。

 アメリカでは2022年6月の連邦最高裁判決で、州による人工妊娠中絶の禁止が容認され、中絶を原則禁止とする州が増えました。望まない妊娠が年300万件ほど起きているとされるアメリカでは避妊への関心は高まっており、諮問委員会も「意図しない妊娠を避けやすくなる」としています。

 諮問委員会は9~10日の会合で、HRAファーマ社の日常服用する経口避妊薬「オーピル」について議論し、17対0で市販化を勧告しました。アメリカメディアによると、FDAは今年夏から秋ごろに市販化の可否を判断する予定です。

 アメリカでは、性交から72時間以内の使用を想定した緊急避妊薬を除き、避妊薬の購入には処方箋が必要となっています。FDA内では、常用避妊薬に関して「毎日、同じ時刻に服用する」といった方法を守れない利用者も多く、医師の助言が必要だとの声もあるといいます。

 一方、日本では緊急避妊薬も含めて、医師の処方箋が必要となっています。緊急避妊薬の普及を推進する国際団体によると、緊急避妊薬は19カ国で市販され、76カ国では薬剤師の説明を受ければ処方箋なしで購入可能だといいます。

 2023年5月11日(木)

🟧韓国、新型コロナ「エンデミック」宣言 危機警戒レベル引き下げ

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は11日、中央災難(災害)安全対策本部の会議で、新型コロナウイルスの世界的な大流行「パンデミック」から、地域内で流行を繰り返す「エンデミック」と呼ばれる状態に移行したことを宣言した。

 また、韓国政府は11日、中央災難安全対策本部の会議で、6月1日をもって新型コロナウイルスの感染症危機警戒レベルを最も高い「深刻」から「警戒」に引き下げる内容を盛り込んだ計画を発表しました。

 警戒レベルの引き下げによる最大の変化は、感染者の隔離義務の解除。当初計画にあった5日間の隔離義務への移行を省略し、現行の7日間の隔離義務は6月から5日間の隔離「勧告」に切り替えられます。ただ、政府は医療機関と感染リスクの高い施設では隔離が維持される必要があるとして、強制的義務が解除されても「自発的同意による隔離措置」を行うよう要請しました。

 このほか、医療機関、薬局、感染リスクの高い施設でのマスク着用義務も緩和されます。 医療機関と薬局ではマスク着用が「勧告」に切り替えられるものの、病院級以上の医療機関と入所型施設ではマスク着用義務が当面維持されます。

 施設での面会時の飲食も認められます。従事者に義務付けられていた週1回の検査義務も「必要時に施行」へと緩和されます。 

 韓国への入国者に勧告されていた入国後3日以内のPCR検査は終了します。

 隔離勧告への切り替えを含む防疫対策の緩和は、危機警戒レベルの引き下げに合わせて6月から施行する計画ですが、告示改正などの行政手続きが早期に完了すれば危機警戒レベルの引き下げより前に施行することも検討するといいます。

 医療対応は、3月末に提示されたロードマップの計画通りに実施します。

 危機警戒レベルが「警戒」に引き下げられれば新型コロナの臨時検査所の運営を終了し、常設の選別診療所のみ運営されます。日曜日を除いて毎日集計・発表されている感染者数の統計は、週単位に変更されます。新型コロナへの対応は中央災難安全対策本部から保健福祉部の中央事故収拾本部が統括することになります。

 予防接種や治療薬、治療費、生活支援・有給休暇、防疫物資などのサポートは従来通り維持されます。

 防疫当局は「新型コロナの流行は緩やかな増加傾向を示しているが、現在の対応システムの下で安定的な管理が可能であり、世界的にも非常事態から脱して長期的な管理システムへの転換が可能な時期が到来した」と説明しました。また、今後は国内外の状況を綿密に確認しながら、大規模な再流行が発生すれば防疫対策を再び強化すると強調しました。

 韓国の中央防疫対策本部は11日、この日午前0時現在の国内の新型コロナウイルス感染者数は前日午前0時の時点から2万574人増え、累計3135万1686人になったと発表しました。

 新規感染者数は、1月28日(2万3591人)以来の高水準となった前日(2万3521人)に比べると2947人少ないものの、3日連続で2万人を上回りました。1週間前の4日(2万146人)より428人、2週間前の4月27日(1万4277人)に比べ6297人、それぞれ多くなっています。

 マスク着用義務が解除された後、過ごしやすい季節になり人の移動も増えた影響で、新規感染者数は増加傾向にあります。

 新規感染者のうち、海外からの入国者は32人でした。

 重症者数は前日から6人増え、157人となっています。新たな死者は12人で、前日に比べ11人少なくなっています。死者の累計は3万4583人。

 2023年5月11日(木)

🟧塩野義製薬、売上高・最終利益ともに過去最高 コロナ飲み薬「ゾコーバ」が貢献

 塩野義製薬が10日に発表した2023年3月期連結決算(国際会計基準)は、同社が開発した国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」などが貢献し、売上高に当たる売上収益は前期比27・3%増の4266億円、最終利益は62・0%増の1849億円で、いずれも過去最高を更新しました。2024年3月期の業績予想では、昨年11月に承認申請した新型コロナワクチンとゾコーバを合わせた売上高計1050億円を見込みました。

 ゾコーバは昨年11月に緊急承認されて、政府が200万人分を購入し、今年3月末に一般流通が始まりました。ゾコーバの売上高は政府の購入分で1000億円、一般流通分が47億円でした。研究開発費は同社全体で過去最高の1024億円に上り、手代木(てしろぎ)功社長は記者会見で「それでも最高利益を更新できたことに自信を深めている」と述べました。

 2024年3月期連結業績予想は、売上収益が5・5%増の4500億円、最終利益が16・2%減の1550億円。

 コロナの飲み薬はアメリカのメルク製、アメリカのファイザー製と合わせた3剤とも国内での処方が伸び悩んでいます。手代木社長は「医療機関で実績を積み重ね、最新の安全性データを提供するなどの活動を地道に続けていくしかない」と語りました。

 ゾコーバは9月末まで全額が公費負担となるものの、特例措置が終わると、窓口で3割負担の場合は治療1回当たり1万5000円超の自己負担となる見通し。手代木社長は「(10月以降の)下期はかなり使用が減る」とし、承認申請済みの韓国と台湾などを念頭に「アジアの市場に期待している」と語りました。

 一方、コロナのワクチンは定期接種での使用を想定しています。手代木社長は「政府が懸命に審査しており、今年の秋ごろまでに提供開始できれば」と期待を示しました。

 2023年5月11日(木)

2023/05/10

🟧3人の親を持つ子供、イギリスで初誕生 難病の遺伝予防へ核移植

 イギリスの日刊紙ガーディアンは9日、母系遺伝性の難病ミトコンドリア病が子供に伝わるのを防ぐ目的で受精卵の「核移植」を行い、遺伝的に3人の親を持つ子供がイギリスで初めて誕生していたと報じました。

 2018年にイギリス政府の研究監視機関「ヒト受精・発生学委員会」(HFEA)が移植を初承認して以降、少なくとも30件が承認され誕生した子は「4人以内」といいます。

 ミトコンドリア病は細胞内小器官「ミトコンドリア」の働きが低下することで、運動障害などを起こす病気。病気を持つ母親の卵子と正常なミトコンドリアを持つ卵子提供者の卵子それぞれに、父親の精子を体外受精させ、病気の母親の受精卵から核を取り出し卵子提供者の受精卵に移植しました。

 移植した受精卵には提供女性のDNAを持ったミトコンドリアがあり、子供は父母とこの女性の計3人の遺伝子を持つことになります。

 イギリスでは2015年に法改正し、世界で初めて核移植を合法化しました。

 文部科学省によると、日本では同様の手法で受精卵をつくる研究を可能にするため、関連指針の改正を進めています。

 2023年5月10日(水)

🟧アサヒ飲料、空気中の二酸化炭素を吸収する自販機を開発 6月から実証実験

 街なかにある自動販売機で気候変動対策の一翼を担おうという取り組みが始まることになりました。大手飲料メーカー「アサヒ飲料」が空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する機能を備える自販機を新たに開発しました。

 この自販機は、カルシウムなどを使った二酸化炭素の吸収材を機器の中に埋め込み、半径1メートル程度の外気を取り込む機能を備えていて、自販機の稼働に伴う電力消費で排出される二酸化炭素の20%程度の吸収を見込んでいます。

 商品を補充する際に定期的に吸収材を交換することで、1台当たりの年間の二酸化炭素の吸収量は最大で、スギの木およそ20本分に相当する約70キログラムということです。

 開発したアサヒ飲料では、6月から実証実験に入り、この自販機を「二酸化炭素を食べる自販機」としてアピール。関東や関西エリアを中心に、濃度が高いとされる屋内のほか、屋外のさまざまな環境下に約30台を設置します。

 それらの自販機周辺の二酸化炭素計測などを進め、来年以降には既存の自販機にも二酸化炭素吸収材を搭載させて全国で本格展開を目指します。

 また、回収した吸収材に蓄積された二酸化炭素を肥料や建材に活用するパートナー企業や自治体を募集。二酸化炭素を原料とした肥料を利用した場合、一部の植物の生育が促進されるメリットなどを訴求し、パートナーの拡大を図ります。

 飲料メーカー各社の間では、自販機の省エネ化などの取り組みが広がっていますが、アサヒ飲料によりますと、自販機に二酸化炭素を直接吸収する機能を持たせる開発は国内で初めてだということです。

 アサヒ飲料の米女(よねめ)太一社長は、「自動販売機による二酸化炭素の削減と吸収量を高めることで、2030年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)な自販機の実現を目指したい」と話していました。

 2023年5月10日(水)

🟧インフルエンザ患者数、現行の統計開始以降で最多に

 昨年12月29日までに全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1医療機関当たり64・39人で、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、最も多くなっています。43の都道府県で「警報レベル」の30人を超え、すべての都道府県で前の週より増加しています。  国立感染症...