2023/06/11

🟧エーザイ、アルツハイマー病新薬「レカネマブ」を韓国でも承認申請

 エーザイは8日、アメリカの医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、韓国食品医薬品安全処(MFDS)に新薬承認を申請したと発表しました。レカネマブはアメリカですでに、条件付きの承認に相当する「迅速承認」を取得しています。

 日本やヨーロッパ、中国、イギリスなどでも、承認を申請しています。エーザイは「韓国に続き、アジア各国での新薬承認の申請をしていく」としています。

 レカネマブは早期アルツハイマー病の患者を対象としており、症状の悪化を27%抑えるとされます。病気の原因物質の一つといわれるたんぱく質「アミロイドベータ」を脳内から除去する効果があるといいます。

 2023年6月11日(日)

2023/06/10

🟧国内初の民間精子バンクが活動中止 法整備の遅れや経済面での維持困難を理由に

 精子がない病気などで不妊のカップルに対して安全に第三者の精子を提供しようと、独協医科大学の医師らが設立した国内初めての民間精子バンクが、今年3月末で活動を中止していたことがわかりました。精子提供を巡る法整備が進んでいないことや、経済面で施設の維持が難しくなったことが理由としています。

 第三者から提供された精子を使う不妊治療は、3年前の段階で日本産科婦人科学会の登録施設で年間約2000件行われ、77人の赤ちゃんが生まれています。

 近年、精子の提供者が減少し、患者の受け入れを停止している施設も多く、SNSなどで知り合った個人から精子を購入するケースもあることから、独協医科大学の岡田弘特任教授などは安全な治療ができるよう、一昨年国内初となる第三者からの精子を保存する民間精子バンク「みらい生命研究所」(埼玉県越谷市)を設立し、昨年からは国内の2カ所の医療機関に提供していました。

 しかし、岡田特任教授によりますと、精子バンクは今年3月末で活動を中止したということです。

 その理由について、第三者からの精子や卵子の提供で生まれた子供の出自を知る権利や、精子バンクの位置付けについての法整備が進まないことや、精子の検査や施設の維持費で赤字が続いたことなどがあるとしています。

 これまでに提供された精子は大学で保管し、今後、活動を再開させたいとしていますが、具体的なめどは立っていないということです。

 岡田特任教授は「生殖補助医療は不妊に悩むカップルだけでなく生まれてきた子供の権利が保証されるものでなければならない。精子バンクは管理しなければならない情報が多く、民間の一機関が単独で成り立たせるのは難しいとわかったので、事業を援助する法整備は必要だ」と話しています。 

 2023年6月10日(土)

🟧海外臓器移植あっせん、仲介NPOを新たに提訴 死亡患者遺族が4000万円返還を求める

 NPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)の仲介でベラルーシに渡航し、肝臓と腎臓の同時移植を受けた後に死亡した患者男性(当時45歳)の遺族がNPOを相手取り、費用の一部約4000万円の返還を求める訴訟を東京地裁に起こしていたことがわかりました。提訴は、NPOが臓器移植法違反容疑で2月9日に警視庁に摘発される前の1月29日付。

 訴状によると、男性は肝臓と腎臓を患い、NPOに仲介を依頼してベラルーシで臓器移植を受けることを決意。昨年5月ごろ、医師の診断書の手配や現地での滞在支援などの名目でNPOと契約を交わし、計約8500万円をNPOの口座に振り込みました。

 男性は同月中にベラルーシに入国し、臓器提供者(ドナー)が見付かるのを待ったものの、同7月下旬、NPOの滞在支援などは不要になったとして契約解除をNPOに伝えました。一方で、現地での滞在は続け、同9月1日に病院で肝臓と腎臓の移植手術を受けましたが、手術後に腹膜炎を起こし、同28日に現地で死亡しました。

 遺族は訴状で、男性が支払った費用のうち4000万円は使われておらず、NPOの不当利得に当たるとして返還を求めています。5月に第1回口頭弁論があったものの、NPO理事長の菊池仁達(ひろみち)被告(63)(臓器移植法違反で起訴)は勾留中で出廷せず、6月27日に次回弁論が予定されています。

 菊池被告は、男性とは別の患者2人にベラルーシでの臓器移植をあっせんしたとして臓器移植法違反(無許可あっせん)で東京地裁に起訴されています。

 NPOを巡っては、中央アジア・キルギスなどでの移植を依頼した別の男性(59)も昨年12月、手術を受けられなかったなどとしてNPOに約1841万円の返還などを求める訴訟を東京地裁に起こしています。

 2023年6月10日(土)

🟧海外で臓器移植の543人、国内で通院中 渡航先はアメリカ最多227人、仲介団体関与は25人

 海外で臓器移植を受けた後、帰国して国内医療機関に通院している患者が3月末時点で543人に上ることが、厚生労働省の実態調査で明らかになりました。渡航先はアメリカが227人で最多、移植仲介団体が関与していたのは25人。調査結果は8日の参院厚生労働委員会で、加藤勝信厚労相が報告しました。

 臓器移植を巡っては、国内では臓器提供者(ドナー)不足が深刻で、無許可あっせん団体の仲介で海外に渡航し、トラブルに遭う患者も目立ちます。

 調査はNPO法人「難病患者支援の会」(東京都目黒区)による臓器あっせん事件を受け、厚労省研究班が実施。4~5月に日本心臓移植研究会や日本臨床腎移植学会など関係学会を通じ、医療機関203施設の計280診療科から回答を得ました。

 543人のうち、生体からの移植は42人、死体からは416人、不明が85人でした。臓器ごとの内訳は、腎臓250人、心臓148人、肝臓143人、肺2人。国別ではアメリカのほか、中国175人、オーストラリア41人、フィリピン27人、ドイツ13人、コロンビア11人、ベラルーシ5人など。

 国内移植をへて医療機関を受診している患者は3万1141人でした。

 加藤厚労相は「渡航して移植を受けた患者が一定数通院している実態が明らかとなった」とし、「各国が臓器提供と移植の自給自足の達成に努めるべきだという国際的な原則に基づき、臓器移植を国内で完結できるような体制の構築に努めていく」と表明しました。

 調査では、NPOのような移植仲介団体の関与の有無や、団体の名称などについても尋ねており、厚労省は調査結果を踏まえ、団体に対する規制の在り方についても検討します。

 2023年6月10日(土)

2023/06/09

🟧タウリン欠乏が老化の要因、摂取した動物は長生き アメリカ・コロンビア大が発表

 貝類やイカ・タコといった軟体動物に多く含まれる物質「タウリン」の補充が、老化防止に有望であることを動物実験で確かめたと、アメリカのコロンビア大学などの国際チームが8日、アメリカの科学誌「サイエンス」で発表しました。ただ、人への効果は臨床試験で検証するまで不明といい、チームは「老化防止目的で過剰摂取しないでほしい」としています。

 タウリンは人間の体内でも作られ、コレステロールを減らしたり、肝機能を強化したりする効果があるとされます。栄養ドリンクの成分としても知られます。

 チームは、血中のタウリンの量を調べ、乳幼児に比べ60歳の人は8割減ることを確認しました。マウスやアカゲザルでも加齢に伴い大幅に減少していたといいます。

 中年期のアカゲザルに1日1回、半年間にわたってタウリンを投与したところ、投与しなかったグループに比べ、骨密度と骨量が増加。さらに、膵臓(すいぞう)や肝臓の機能低下を示す物質が減るなど、加齢に伴う体の衰えが改善しました。マウスで同様の実験を行うと、投与したグループは寿命の中央値が10~12%増加したといいます。

 人に補充した場合の効果は未解明。ヨーロッパの中高年約1万2000人のデータでは、血中のタウリン濃度が高いと肥満や糖尿病が少なくなりました。チームは「毒になるとも考えられず、口から補える。臨床試験をする価値はある」としました。

 チームは人で効果のある摂取量を1日3~6グラムと推計し、ヨーロッパ食品安全機関が安全な摂取量の上限とする1日6グラムの範囲内としています。

 福井県立大の伊藤崇志教授(食品機能科学)は、「人に近いサルで、タウリンが老化防止にかかわることを明らかにした重要な成果だ。ただ、人で効果のある量などは、今後の検証が必要だ」と話しています。

 2023年6月9日(金)

🟧全国の新型コロナ定点把握、前週の1・25倍で9週連続増加 沖縄県は最多で「注意必要」

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、6月4日までの1週間では1つの定点医療機関当たりの平均の患者数が4・55人で、前の週の1・25倍となっています。増加は9週連続です。

 厚生労働省は「比較的低い水準だが全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、沖縄県では感染が拡大しているとみられ、今後の感染状況を引き続き注視したい」としています。

 厚労省によりますと、5月29日~6月4日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から4568人増えて、2万2432人となりました。

 また、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数は4・55人で、前の週の1・25倍となりました。前の週から増加が続くのは9週連続となります。

 都道府県別では多い順に、沖縄県が15・8人、石川県が6・98人、北海道が6・71人、千葉県が6・66人、岩手県が6・44人。少なかったのは島根県2・29人、高知県2・45人、滋賀県2・47人など。42の都道府県で前の週より増加しています。中でも沖縄県は前週比1・53倍と突出して多く、注意が必要といいます。

 このほか、6月4日までの1週間に新たに入院した人は全国で4003人で、前の週と比べて768人の増加となりました。

 2023年6月9日(金)

🟧食品ロス量、2021年度の推計約523万トン 前年度比1万トン増

 消費者庁・農林水産省・環境省の3省が9日発表した2021年度の食品ロス量(推計値)によると、事業系・家庭系を合わせた食品ロス量は前年度から1万トン増の約523万トンとなりました。コロナ禍の影響により、製造業や小売業で需要の見通しが立たず、事業系の食品ロス量が増加しました。

 2021年度の食品ロス量の内訳は、事業系(製造・卸・小売・外食)が前年度から4万トン増の279万トン。家庭での食べ残しや消費期限・賞味期限切れによる廃棄といった家庭系が3万トン減の244万トン。合計で1万トン増の523万トンと推計されます。国民1人当たりに換算すると、1日に茶わん1杯の量に近い約114グラム、年間で約42キログラムの食品ロスが発生しています。

 事業系については、コロナ禍に伴う行動制限を背景に、事業者側の需要予測が困難だったことから、前年度から製造業が4万トン増、小売業が2万トン増となりました。

 製造業では、大学の休校が繰り返されて注文が取り消されたことや、内食の需要が拡大した影響も考えられるといいます。小売業については、内食需要の変化を読み切れなかったことが主な原因とみられます。

 外食産業は営業自粛や客足が遠のいたため、市場の縮小に伴って食品ロス量も1万トン減少しました。

 家庭系の詳細をみると、未開封のまま捨てる「直接廃棄」は、前年度と同じ105万トンで推移。食材の皮をむきすぎるといった「過剰除去」は1万トン増の34万トン、「食べ残し」は4万トン減の105万トン。

 このうち「直接廃棄」はここ数年、横ばいで推移。削減に向けて、「消費期限」「賞味期限」に対する消費者の理解を深める取り組みなどが課題に上っています。

 政府は、2000年度比で2030年度までに食品ロス量を半減させるという目標を掲げています。2000年度は事業系547万トン、家庭系433万トンで、2021年度時点の削減率はそれぞれ約49%、約44%となりました。

 目標達成にはさらに30万トン余りの削減が必要ですが、今後の経済状況の改善によっては食品ロス量が増加する懸念もあり、国は引き続き周知や啓発活動に力を入れたいとしています。

 河野太郎内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)は、「2030年度までに半減させるという目標を着実に達成するにはさらなる努力が必要で、達成に向けて消費者庁として施策のパッケージを年末までに策定したい」と話していました。

 2023年6月9日(金)

🟩カルディ、生ハム7万個を自主回収へ 一部からサルモネラ属菌を検出

 輸入食品などを販売する「カルディコーヒーファーム」の運営会社「キャメル珈琲」は、店舗で取り扱っていた生ハムの一部からサルモネラ属菌が検出されたと発表し、約7万個の商品を自主回収することにしています。  コーヒー豆や輸入食品などを販売する「カルディコーヒーファーム」の運営会社「...