2023/10/05

🟧「梅毒」の患者が岩手県で増加、9月時点で年間最多に並ぶ 長野市は過去最多

 岩手県内で性感染症の「梅毒」の患者数が増えています。今年は9月24日時点で29人となり、すでに年間患者数が過去最多だった昨年と同数に上っています。全国的に増加する中、県は各保健所で無料・匿名の検査を行っているほか、早期の医療機関の受診を呼び掛けています。

 県感染症情報センターの集計によると、県内の今年の患者報告数は、9月18~24日が2人で、累計29人となりました。全数把握が始まった1999年以降で最多だった2018年と2022年(速報値)の年間患者数29人と早くも並びました。

 一方、長野市保健所は4日、性感染症の「梅毒」の患者報告数が1日時点で25人となり、記録のある2006年以降最多となったと明らかにしました。全国や長野県全体の患者数も過去最多ペースで増加。交流サイト(SNS)やマッチングアプリで、見知らぬ人とも簡単に出会えるようになったことが一因とみられ、県や市は適切な予防を呼び掛けています。

 市保健所によると、2006年~2017年の年別の梅毒患者報告数は1ケタ台で推移し、2018年に初めて10人を超えました。今年は3カ月を残して、これまで最多だった2019年の23人を上回りました。今年の県全体の報告数は10月1日時点で63人に達しており、過去最多だった2022年の71人(速報値)を超えるペースとなっています。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、人との粘膜接触などによって体内に侵入する感染症。感染後数週間で、侵入した部位にしこりや潰瘍などができることがあり、治療をしなくても症状はいったん軽くなります。数カ月で手のひらなどに赤い発疹が現れます。

 早期の薬物治療で完治が可能なものの、放置すると脳や心臓に合併症を起こします。また、妊婦が感染すると流産や死産の危険性が高まり、赤ちゃんが先天性梅毒を患ったりする恐れもあります。

 2023年10月5日(木)

2023/10/04

🟧武田薬品、アメリカで肺がん治療薬の販売中止 迅速承認後に治験で効果示せず 

 武田薬品工業)は3日、2021年にアメリカ食品医薬品局(FDA)から条件付きで販売できる「迅速承認」を受けた肺がん治療薬について、アメリカでの販売を自主的に中止すると発表しました。正式承認の取得に向けて続けていた後期臨床試験(治験)で、効果が示せなかったことが理由。

 対象は経口投与する「エクスキビティ(一般名:モボセルチニブ)」で、アメリカ以外にスイス、韓国、オーストラリア、中国でも条件付きで承認されていましたが、治験のつまずきにより有効性を確認するデータ提出の要件が満たせなくなりました。アメリカ株式市場引け後の時間外取引(アフター・マーケット)で株価は約6%下落しました。

 武田薬品は7月に、目標を達成する見込みがないとして治験中止を発表していました。また、2022年にヨーロッパ連合(EU)での販売承認申請を取り下げました。

 治験は非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、化学療法との比較で安全性と有効性を評価しましたが、薬の投与によって病気の進行を防ぐ期間の評価項目を達成できませんでした。後期治験の全データを学会か、査読のある学術誌で発表します。

 アメリカ以外にエクスキビティを承認した各国でも販売を中止する方針で、当局と協議を進めています。

 2023年10月4日(水)

🟧不登校の小中学生、過去最多の29万9048人 いじめ認知件数も過去最多の68万1948件

 不登校の状態にある小中学生は、昨年度およそ29万9000人となり、10年連続で増加して過去最多となったことがわかりました。いじめの認知件数や暴力行為も過去最多となっており、調査した文部科学省は「コロナ禍での生活環境の変化や、学校生活での制限による交友関係の築きにくさなどが背景にある」とみています。

 文部科学省は全国の小中学校と高校、それに特別支援学校を対象に不登校やいじめ、自殺などの状況を毎年調査していて、昨年度の結果をまとめました。

 それによりますと、小中学校を30日以上欠席した不登校の状態にある子供は、前の年度から5万4000人余り、率にして22%増え、29万9048人となりました。10年連続で増加し、過去最多となっています。

 このうち小学生が10万5112人で、10年前の2012年度の5倍に、中学生が19万3936人で、10年前の2倍に増えています。このほか高校生も増加して6万575人でした。

 また、認知されたいじめの件数は、小学校が55万1944件、中学校が11万1404件、高校が1万5568件、特別支援学校が3032件で、合わせて68万1948件と、前の年度より6万件余り増え、過去最多となりました。

 いじめによる自殺や不登校などの「重大事態」と認定された件数も200件余り増えて923件と過去最も多く、4割近くは「重大事態」として把握するまで学校がいじめと認知しておらず、課題がみられました。

 調査では、小中学校と高校の暴力行為の発生件数が9万5426件と過去最多となったほか、自殺した児童や生徒は小学生が19人、中学生が123人、高校生が269人で合わせて411人となり、過去2番目に多くなりました。

 こうした状況について文部科学省は、「児童生徒の自殺が後を絶たないことは、極めて憂慮すべき状況だ。不登校などの増加はコロナ禍の長期化で生活環境が変化したことや、学校生活でのさまざまな制限で交友関係が築きにくくなったことなどが背景にある」と分析しています。

 2023年10月4日(水)

🟧長野県民の9割以上が塩分取り過ぎ 調味料から取る量が多いことや漬物などを多く食べる食文化が影響か

 長野県民の9割以上が食塩を取り過ぎていることが、県の県民健康・栄養調査(速報値)でわかりました。塩分の取り過ぎは脳血管疾患の要因とされており、調味料から取る量が多いことや、漬物、魚の加工品を多く食べる食文化が影響している可能性があるとみて、県は減塩を呼び掛けます。

 調査はおおむね3年に1度行っており、今回は昨年10~12月、県内42地区の599世帯約1250人が回答しました。

 それによると、20歳以上の1日当たりの食塩摂取量の平均は男性11・5グラム、女性9・6グラム。国の定める目標量は男性7・5グラム未満、女性6・5グラム未満で、目標量を上回る男性は93・5%(前回比0・3ポイント増)、女性は90・0%(前回比2・0ポイント減)でした。県は男女ともに8グラム以下を目標に減塩を呼び掛けているものの、摂取量は横ばいでした。

 また、野菜の摂取量の平均は近年横ばいで、男性が333グラム、女性が298グラムでした。全国的にみると、県民の野菜摂取量は多いとみられるものの、男女ともに国の目標量の350グラムより少なくなりました。

 肥満とされるBMI(体格指数)25以上の20歳以上の男性は27・1%、「やせ」とされるBMI18・5未満の20歳以上の女性は14・0%で、ともに横ばい。一方、65歳以上の低栄養傾向の女性は、前回よりも9・6ポイント多い36%と急増していました。

 長野県は2020年時点で平均寿命が男性が全国2位の82・68歳、女性が全国4位の88・23歳ですが、2010年時点の健康寿命の男性72・55歳、女性74・99歳との差は大きくなっています。また、脳血管疾患の死亡率は全国上位であり、脳卒中は要介護の主な原因となっています。

 2023年10月4日(水)

2023/10/03

🟧プール熱の患者報告数が減少に転じる 専門家「さまざまな感染症に注意が必要」

 子供を中心に感染する「咽頭結膜熱」、いわゆる「プール熱」は、患者が多い状態となって5週連続で増加していましたが、最新のデータでは前の週より患者の数が減少に転じました。専門家は「今年は引き続きさまざまな感染症に注意が必要だ」と指摘しています。

 「咽頭結膜熱」、いわゆるプール熱は、子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルやプールでの接触などを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、9月10日から24日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者の数は4126人で、前の週よりも400人余り減りました。1医療機関当たりでは、前の週より0・14人少ない1・31人となりました。過去10年で2番目に多い患者数です。

 地域別では、福岡県が4・44人、沖縄県が3・61人、大阪府が3・55人と国の警報レベルの目安となる「3」人を超えていて、このほか、佐賀県が2・39人、大分県が2・36人などとなっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「プール熱はピークを超えたと思うが、今年はほかにもさまざまなウイルス感染症が交錯している状況で注意が必要だ。すでにインフルエンザの流行が始まっている地域もあるので、親も子もワクチンを打つなど対策をとってほしい」と話しています。

 2023年10月3日(火)

🟧武田薬品のワクチンをWHOが推奨 デング熱流行地域の6~16歳に接種を

 世界保健機関(WHO)は2日、武田薬品工業が開発したデング熱ワクチン「QDENGA(キューデンガ)」について、デング熱が大規模流行している地域で6~16歳の子供への接種を推奨すると発表しました。QDENGAはヨーロッパ連合(EU)やインドネシア、ブラジルなどではすでに承認済み。

 蚊が媒介するウイルス感染症のデング熱は近年、感染者が増加しており、地球温暖化も要因となって確認地域も拡大しています。QDENGAは初回接種の3カ月後に、2回目を受けるようWHOは求めています。9月下旬に開かれた専門家による諮問委員会の協議結果を踏まえて決定しました。

 デング熱はアフリカやアジア、中南米での流行拡大が懸念されており、専門家はQDENGAについて「幅広い使用の可能性を秘めた最初のデング熱ワクチンだ」と述べました。 

 WHOはまた、イギリスのオックスフォード大が開発したマラリアのワクチン「R21」の子供への接種を推奨すると発表しました。

 蚊が媒介するマラリアは、アフリカの幼い子供を中心に毎年50万人もの死者を出しています。マラリアのワクチンは、すでにWHOによって承認されたものがありますが、現在世界的な需要に供給が追い付いていないということで、WHOとしては新たなワクチンの承認によって普及を後押ししたい考えです。

 2023年10月3日(火)

🟧フランスでトコジラミ大発生 政府、オリンピック向け駆除作戦

 フランスの公共交通機関や空港などで「南京虫」の名前で知られる害虫の「トコジラミ」の発生が相次いで報告され、社会問題となっています。殺虫剤への耐性が高まったことなどが背景とみられます。国内外からの多くの観客が予想される来年7月のパリ夏季オリンピック開催まで1年を切る中、政府は深刻な問題だとして駆除作戦に乗り出しました。

 地元メディアによると、ここ数週間、パリの地下鉄や高速列車TGV、空港の待合室、映画館、病院などでトコジラミの発生が報告されました。すべてが確認されたわけではないものの、ソーシャルメディア上に列車や地下鉄をはい回るトコジラミの映像が公開され話題となっています。

 事態を重く見たパリのエマニュエル・グレゴワール副市長は9月下旬、エリザベット・ボルヌ首相に書簡を送り「来年にオリンピック・パラリンピック開催を控える中、国はこの災いに見合った行動計画を早急に策定する必要がある」と訴えました。

 これを受け、クレマン・ボーヌ交通担当相は9月29日、対策を話し合うため近く交通事業者と面会すると約束しました。

 トコジラミはフランスでは1950年代までにほとんどいなくなっていましたが、ここ数十年は、人口密度の上昇と大量輸送機関での移動の機会が増えたことなどで再び増加しています。

 トコジラミの問題が生じた世帯はここ数年、全体の10分の1に上っているとみられます。通常、駆除には数百ユーロかかり、多くの場合、何度も行う必要があります。

 トコジラミは、マットレスに卵を産み付け、生息する習性があることから名付けられましたが、衣服や荷物の中にも入り込み、夜になると出てきて人の血を吸います。

 フランスの衛生当局は、旅行の際はホテルのベッドを点検し、中古の家具やマットレスを自宅で使用する時は注意するよう呼び掛けています。また、自宅で発見した場合は、直ちに影響を受けた部屋の駆除作業を行わなければならないとしています。

 血を吸われると、皮膚に赤みや水疱(すいほう)、大きな発疹ができ、場合によって激しいかゆみやアレルギー反応を起こします。精神的苦痛や睡眠障害、不安、うつ病を引き起こすこともあります。

 フランス当局によれば、トコジラミの発生は衛生状態とは関係ありません。

 2023年10月3日(火)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...