岩手県内で性感染症の「梅毒」の患者数が増えています。今年は9月24日時点で29人となり、すでに年間患者数が過去最多だった昨年と同数に上っています。全国的に増加する中、県は各保健所で無料・匿名の検査を行っているほか、早期の医療機関の受診を呼び掛けています。
県感染症情報センターの集計によると、県内の今年の患者報告数は、9月18~24日が2人で、累計29人となりました。全数把握が始まった1999年以降で最多だった2018年と2022年(速報値)の年間患者数29人と早くも並びました。
一方、長野市保健所は4日、性感染症の「梅毒」の患者報告数が1日時点で25人となり、記録のある2006年以降最多となったと明らかにしました。全国や長野県全体の患者数も過去最多ペースで増加。交流サイト(SNS)やマッチングアプリで、見知らぬ人とも簡単に出会えるようになったことが一因とみられ、県や市は適切な予防を呼び掛けています。
市保健所によると、2006年~2017年の年別の梅毒患者報告数は1ケタ台で推移し、2018年に初めて10人を超えました。今年は3カ月を残して、これまで最多だった2019年の23人を上回りました。今年の県全体の報告数は10月1日時点で63人に達しており、過去最多だった2022年の71人(速報値)を超えるペースとなっています。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が、人との粘膜接触などによって体内に侵入する感染症。感染後数週間で、侵入した部位にしこりや潰瘍などができることがあり、治療をしなくても症状はいったん軽くなります。数カ月で手のひらなどに赤い発疹が現れます。
早期の薬物治療で完治が可能なものの、放置すると脳や心臓に合併症を起こします。また、妊婦が感染すると流産や死産の危険性が高まり、赤ちゃんが先天性梅毒を患ったりする恐れもあります。
2023年10月5日(木)