2023/12/04

🟧塩野義製薬の抗菌薬「セフィデロコル」、厚労省が承認 欧米に続いて日本でも販売へ

 塩野義製薬は11月30日、既存の抗生物質が効かない薬剤耐性感染症の治療薬「セフィデロコル」について、厚生労働省から製造販売の承認を受けたと発表しました。アメリカやヨーロッパではすでに販売しており、日本でも近く販売を始める予定です。

 塩野義は2022年3月に、日本での製造販売の承認を申請していました。セフィデロコルは2020年にアメリカで販売を始め、2023年4〜9月期にアメリカとヨーロッパで計111億円の売り上げがあり、海外市場を開拓する戦略製品となっています。日本でも薬剤耐性感染症向け抗菌薬として一定の需要が期待できるといいます。

 セフィデロコルは11月7日、「抗菌薬確保支援事業」の第1号に指定されました。抗菌薬確保支援事業は、厚労省が薬剤耐性対策の一環として新たに試行導入したもので、抗菌薬の販売を手掛ける製薬企業の収益の一定額を保証する制度で、製薬企業が薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して一定額を支援すると同時に、抗菌薬の開発を促す仕組みを作ることで、薬剤耐性対策を推進することを目的としています。

 抗菌薬は開発に多額の費用がかかる一方で、使いすぎると細菌が薬剤耐性を持つ可能性が高まるとされ、過剰な利用の抑制が求められています。セフィデロコルがあまり使われなかった場合には、一定の売り上げに達しなかったぶんを厚労省が補います。

 塩野義製薬は、「(セフィデロコルは)薬剤耐性菌による感染症で苦しむ日本の患者に対する新たな治療選択肢となることが期待される」とコメント。さらに、「当社では、抗菌薬適正使用推進の一環として、セフィデロコルの感受性検査の開発・提供に向け取り組みを進めている」としています。

 2023年12月4日(月)

🟧国際的な環境NGOが日本を「化石賞」に4回連続で選出 気候変動対策に消極的

 ドバイで開かれている気候変動対策を話し合う国連の会議「COP28」で、国際的な環境NGOは、日本が石炭火力発電所などを延命させ、再生可能エネルギーへの移行を遅らせているとして、気候変動対策に消極的だと判断した国に贈る「化石賞」に選んだと発表しました。

 「化石賞」は、世界各国の環境NGOが作るグループ「気候行動ネットワーク」が、COPの期間中、パリ協定の実施を妨げ、気候変動対策に消極的だと判断した国を毎日選び、皮肉を込めて贈っています。

 3日、COP28での最初の発表を行い、日本、ニュージーランド、そしてアメリカを化石賞に選んだとしています。日本の受賞は4回連続となります。

 気候行動ネットワークは日本について、火力発電所の化石燃料の一部を、二酸化炭素を排出しないアンモニアなどに転換することで排出削減を進めようという日本の取り組みに触れ、「環境に配慮しているようにみえて、実際は国内だけでなくアジア全体で化石燃料による発電を延命し、再生可能エネルギーへの移行を遅らせるグリーンウォッシュ戦略だ」などと批判しています。

 化石賞のトロフィーを受け取るパフォーマンスをした日本の環境NGOのメンバーの長田大輝さんは、「気候変動の影響が世界中で出ていて、一刻も早く脱化石燃料をしないといけない中、日本はそれができていない。脱化石燃料に向けて具体的な行動をしないといけない」と話していました。

 今回のCOP28でも気候変動対策に消極的な国として、国際的な環境NGOから4回連続で「化石賞」に選ばれたことについて、日本政府関係者は「民間団体の活動に、政府としてコメントすることは差し控える」とした上で、「日本政府が進める温室効果ガスの排出削減対策が講じられていない石炭火力発電所の新規建設は行わないという日本の脱炭素の取り組みを世界に発信していきたい」と話していました。

 2023年12月4日(月)

🟧日本初の「内臓脂肪減少薬」が来春発売 購入には高いハードルも

 大正製薬(東京都豊島区)は薬局などで買える一般用医薬品(市販薬)として、日本初の内臓脂肪減少薬「alli(アライ)」を来春、発売すると明らかにしました。販売は研修を受けた薬剤師がいる限定店舗のみで、購入も運動や食事といった生活習慣の改善に取り組んでいる人に限られます。

 アライは食事に含まれる脂肪の分解を阻害し、排泄(はいせつ)させる作用を有します。主な服用対象は腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、糖尿病や脂質異常などの健康障害がない18歳以上。

 日本では肥満に加え健康障害があると「肥満症」などとして治療の対象となる一方で、健康障害がない場合は服薬や手術などの治療手段がありませんでした。アライは、摂取した脂肪の約25%を排出することが期待できるとされ、医療用医薬品としての発売をへずに薬局とドラッグストア(薬店)で購入が可能な市販薬として注目を集めています。

 ただ、あくまで食事や運動といった生活習慣の改善を助ける補助的な使用であり、購入には服用3カ月前から生活習慣の改善に取り組む、服用1カ月前から生活習慣の改善に取り組んでいる記録を示すなど、高いハードルがあります。また、同剤を販売できる薬局も、専用の研修を受けた薬剤師がいる店舗に限られます。

 仙台市で11月25、26日に開かれた日本肥満学会・日本肥満症治療学会学術集会では、アライを紹介する大正製薬のブースに注目が集まりました。千葉大学医学部付属病院の横手幸太郎院長は同学会で、「行動改善と組み合わせて未病の段階から対処することにより、予防医学を新しいレベルで達成することが期待される」と述べました。

 2023年12月4日(月)

2023/12/03

🟧年代別に推奨する運動頻度のガイド案を作成 成人には1日60分以上の歩行を推奨

 新型コロナウイルスの影響などで、子供の体力が低下する中、厚生労働省は年代別に推奨する運動の頻度を示したガイド案を取りまとめました。

 スポーツ庁の調査では、小中学生の体力テストの合計点がここ数年低下していて、コロナ禍で子供の運動機会が制限された影響などが指摘されています。

 こうした中、厚生労働省は、子供(18歳未満)、成人(18歳以上)、高齢者に分け、年代別に健康のために推奨する運動量の目安を示したガイド案を取りまとめました。

 ガイド案では、18歳未満の子供は、世界保健機関(WHO)が推奨している参考値として、通学なども含めて、1日60分以上少し息が上がる程度の体を動かす活動を行うほか、ジョギングなどより強度の高い運動を週に3日以上行うことを示しました。

 さらに、スマートフォンなどの画面を見てすごす時間や座りっ放しの時間を減らすことも示しました。

 一方、部活動などで激しすぎる運動をすると、体の故障につながる可能性があるとして、週に2日以上の休養日を設けるよう注意を促しています。

 また、18歳以上の成人は1日60分以上、高齢者は1日40分以上、ウォーキングなどの活動を行うことを推奨しているほか、成人と高齢者ともに、週に2日から3日、スクワットなどの「筋トレ」を行うことが望ましいとしています。

 厚労省は、年度内にもガイドを作って自治体などに周知し、地域での健康づくりのための計画策定などに生かしてもらうことにしています。

 2023年12月3日(日)

🟧市販薬のネット販売を原則解禁へ 乱用対策で多量購入禁止、厚労省

 厚生労働省は11月30日、市販薬(一般用医薬品)のネット販売を原則解禁する案などを取りまとめ、有識者検討会に提示しました。年内に結論を出し、2025年以降に医薬品医療機器法の改正を目指します。

 医師が処方する医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品は、対面販売の義務を原則撤廃し、ビデオ通話によるオンライン服薬指導を条件として、ネット販売を解禁します。市販薬は原則、全面的にネット販売可能になる見通し。

 乱用対策では、若年層を中心に依存性がある成分を含む風邪薬など一部の市販薬の過剰摂取が広がっていることを踏まえ、20歳未満には複数個・大容量の製品は販売しません。20歳以上でも複数個・大容量の場合は理由や氏名を確認し、販売記録を保管します。

 市販薬と呼ばれる一般用医薬品の区分も、整理します。現在は薬剤師のみが販売できる1類と、薬剤師と登録販売者が販売できる2類、3類に分かれていますが、2類と3類の分類をなくし、販売者による区別とします。

 市販薬を販売する際の情報提供は2類と3類の統合後、専門家の関与が必要ないものは医薬部外品に移し、その他は説明を努力義務とします。現状の1類については情報提供の義務を維持します。

 処方箋なしで病院の薬が買える「零売(れいばい)薬局」も規制を強化し、「緊急時のみ」販売できることを法令で規定します。

 2023年12月3日(日)

🟧2023年の気温上昇、1・5度に迫る 世界気象機関「今こそ行動すべき」

 国際連合の専門機関の一つである世界気象機関(WMO)は11月30日、今年の世界の平均気温が産業革命前を約1・4度上回る見通しだとする分析を発表しました。1891年の統計開始以降、最高で、上昇を1・5度までに抑えるとするパリ協定の目標値に迫りました。 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、気候変動の危機を最小限に抑えるため「今こそ行動すべきだ」と強調しました。

 11月30日には国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開幕。WMOが示した現状を踏まえ、干ばつや洪水といった気象災害の続くアフリカ諸国などから、先進国に対して対策加速を求める声が強まるのは確実です。

 WMOによると、今年は大気中の温暖化ガス濃度も過去最高を更新する見込み。南極や北極を始め、寒冷地では氷の融解が進み、スイスの氷河はここ2年で体積の10%を失いました。

 2024年は南米ペルー沖から太平洋赤道海域の日付変更線付近にかけての海面水温が平年より上がる「エルニーニョ現象」の影響で、気温が上昇しやすい条件が整っており、さらに厳しい年になるとの予測も出ています。

 2023年12月3日(日)

🟧「PFAS」の2種の発がん性、評価を引き上げ 国際がん研究機関

 世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)は、有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス」の代表的な物質で有害とされる「PFOA(ピーフォア)」と「PFOS(ピーフォス)」の発がん性に対する評価を引き上げたと発表しました。PFOAを4段階中最も高い「発がん性がある」グループに、PFOSを新たに下から2番目の「可能性がある」グループにそれぞれ分類しました。

 PFASは日本各地の河川などでも検出されており、環境省が有害性の本格的な調査研究に乗り出す方針です。IARCは動物実験や遺伝、免疫などの研究に基づき、人での発がん性に十分な証拠があるかどうかを判断し、4段階で評価しています。

 1日の発表によると、PFOAはこれまで「可能性がある」でしたが、2段階引き上げられ最も高いグループとなりました。同じ分類にはアスベストやたばこの煙などが含まれます。PFOSは最も低い「分類不能」のグループでした。

 PFOAやPFOSは食品の包装や化粧品、防水の衣服などさまざまな製品から検出されています。現在は多くの国で使用が禁止されているといいます。

 2023年12月3日(日)

🟥男性の性機能障害「ED」治療薬、市販薬として薬局などで購入可能へ

 男性の性機能の障害「ED(勃起障害)」の治療薬が、医師の処方箋がなくても市販薬として薬局などで購入できる見通しとなった。  この薬は、「エスエス製薬」が市販薬の製造販売について承認申請していた男性の「ED(勃起障害)」の治療薬「シアリス(一般名・タダラフィル)」で、18日に開...