2023/12/14

🟧感染症の重症化リスクを予測する手法確立 福島大と京都大、血中アミノ酸に着目

 福島大食農学類と京都大大学院医学研究科付属がん免疫総合研究センターでつくる研究チームは、新型コロナウイルスなど感染症の重症化リスクを予測する手法を確立しました。論文が月内にも、イギリスの学術雑誌に掲載されます。

 研究チームは国内で新型コロナの感染者が出始めた当初、患者によって症状の程度が異なるため、予測方法の確立を目指して研究に着手しました。

 感染から一定期間後に重症化した患者と、軽症のままの患者では、感染直後に採取した血液のアミノ酸の濃度に差異がある点に着目しました。血中のアミノ酸の量は通常、健康な状態では個人差がほぼないものの、重症化した患者は感染直後に量が減少していました。

 血中のアミノ酸が体内でどのように移動したか調べるため、栄養素などの成分を測定して画像化する福島大の「イメージング質量分析装置」を使って解析を進めました。その結果、重症化する人は、肺組織の正常化を維持するため、栄養となる血中のアミノ酸が感染直後から減少すると裏付けました。

 京都大の杉浦悠毅准教授(41)は「血中のアミノ酸の量を測定すれば重症化するか軽症にとどまるか判別できることが証明できた」とし、福島大の平修教授(48)は「インフルエンザや肺炎などの悪化のリスクを調べる際にも今回の手法が応用できる」と語りました。

 研究論文は今後、イギリスの科学誌「ネイチャー」などを出版するシュプリンガー・ネイチャーの学術雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載されます。

 2023年12月14日(木)

🟧金属片混入のドーナツ食べ、のどから出血 茨城県の観光施設が謝罪、約400個自主回収

 茨城県石岡市にある観光施設「いばらきフラワーパーク」は、施設内のレストランで販売したドーナツに金属片が混入し、ドーナツを食べた人がのどの出血やおう吐などの症状を訴えたとして、13日に謝罪しました。

 金属片が混入していたのは、レストランで提供していた「抹茶ドーナツ」。たなか農園・ぺトラン(石岡市)が運営する「ぺトランフラワーパーク工房」が、11月25日に施設内のベーカリー厨房で製造し、同日から12月8日まで販売していました。

 8日に購入客の女性1人からの連絡により、販売した商品に金属片が混入していたことが判明したといいます。消費者庁のリコール情報などによると、ドーナツを食べた購入客ののどに金属片が刺さり、痛みや出血、おう吐の症状が発生。金属片は病院で摘出し、発表時点で経過観察中とのことです。

 製造者が調査したところ、焼き菓子の製造過程で使用する「粉ふるい」1点が劣化し、一部が外れて混入したことが判明。9日の営業開始前に、原因となった粉ふるいを使用して製造したすべての商品を売場から撤去したといいます。

 観光施設は、「お買い求めいただきましたお客さまにはご心配とご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。製造者も「お客様へのご迷惑となるような事態を招いたことに対し、心よりお詫び申し上げます」とコメントしています。

 製造者は、該当期間に販売していたドーナツやスコーンなど385個を自主回収し、返金もしくは交換対応を行うと説明。また、品質管理体制の見直し、従業員の教育・研修といった再発防止策を講じるとしています。

 観光施設によると、公表した13日以降、新たに健康被害を訴える人は出ていないといいます。

 詳しい回収情報は製造者の公式サイトや消費者庁リコール情報サイトで確認できます。

 2023年12月14日(木)

🟧COP28閉幕、焦点の化石燃料「脱却を進める」で合意

 アラブ首長国連邦(UAE)で開かれていた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)は13日、閉幕し、焦点となっていた化石燃料について「脱却を進める」ことで合意しました。化石燃料を巡る今後の各国の政策が問われることになります。

 11月30日に開幕したCOP28では、初日に、気候変動による被害「損失と損害」に特化する新たな基金の運用に向けた具体的なルールが決まったほか、世界全体の気候変動対策の進捗を評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて行われました。

 対策強化に向けた交渉では、化石燃料が最大の焦点となり、欧米の先進国や島しょ国などが「段階的な廃止」を強く求めたのに対し、産油国などが反対し、協議が難航していました。

 会期を1日延長して、各国が13日に採択した合意文書では「段階的な廃止」には言及せず「化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」としています。

 化石燃料を巡っては2021年の会議で排出削減対策がとられていない石炭火力発電所の段階的な削減で合意していましたが、今回の会議では、石炭を始め石油や天然ガスといったすべての化石燃料を対象に脱却を進めていくことになりました。

 国連の気候変動枠組み条約のサイモン・スティル事務局長は記者会見で「化石燃料の時代に終止符を打つことはできなかったが、合意は化石燃料の終わりの始まりになる」と述べて成果を強調しました。

 一方で、南米コロンビアのスサナ・ムハマッド環境・持続可能開発相は、「私たちは前進したが、結果を台なしにする落とし穴がいくつもある」と指摘し、脱却を進めるためには石炭などに依存する途上国への支援が欠かせないとしています。

 各国は今回の合意文書を受けて、遅くとも2025年までに新たな削減目標を提出することになっており、今後の政策が問われることになります。

 まず、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を1・5度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を2019年と比べ、2030年までに43%、2035年までに60%、削減する必要があるとしています。

 その上で温室効果ガスの排出につながる石炭や石油、天然ガスといった化石燃料について「化石燃料からの脱却を進め、この重要な10年間で行動を加速させる」としています。

 また、2030年までに世界全体の再生可能エネルギーの発電容量を3倍にし、エネルギー効率の改善率を世界平均で2倍にすることや、排出削減対策がとられていない石炭火力発電の段階的な削減に向けた努力を加速することでも合意しました。

 さらに、効率的でない化石燃料に対する補助金について、段階的な廃止をできるだけ早く行うとしています。

 このほか気候変動による被害「損失と損害」に特化する新たな基金については、特にぜい弱な途上国を対象にするなど運用に向けた具体的なルールで合意しました。

 基金にはこれまでに合わせて7億9200万ドル、日本円にして1150億円余りの拠出が表明されたとしています。

 一方で、先進国が途上国の温暖化対策を支援するため約束した年間1000億ドルの資金支援が2021年の時点で達成されていないとして深い懸念を示し、先進国に対し目標達成に向けた努力を一層強化するよう求めています。

 2023年12月14日(木)

🟧肺がんで死亡の男性、アスベスト救済制度申請却下後に労災認定

 建物の解体作業に従事し、肺がんで死亡した81歳の男性がアスベスト(石綿)によるがんだったとして労災に認定されたことがわかりました。男性は国の救済制度の申請が退けられていて、支援団体はその後、労災が認められたケースは異例だとしています。

 アスベスト被害の患者などの支援に当たる団体は13日、厚生労働省で記者会見を開き、40年近く建物の解体作業に従事し、昨年、81歳で死亡した東京都内の男性が労災に認定されたことを明らかにしました。

 支援団体によりますと、男性は2年前に肺がんを患った後、アスベストの被害者に医療費などを給付する国の救済制度に申請しましたが、昨年、退けられ、その後死亡しました。

 男性の妻が労災申請をしたところ、アスベストを吸ったことを示す胸膜プラークが確認されたことなどから、今年6月に労災に認定されたということです。

 支援団体によりますと、国の救済制度の申請が退けられた後、労災が認められるケースは異例だということです。

 妻は、「国の救済制度が不認定となった数カ月後に夫は他界したので、被害が認められたことを報告できなかったことが悔やまれます。同じような人は諦めずに手続きしてみてほしい」とコメントしています。

 支援団体ではアスベストの被害に関する相談を14日と15日の3日間、午前10時から午後7時まで受け付ける予定で、電話番号はフリーダイヤル、0120-117-554です。

 2023年12月14日(木) 

🟧国産初の新型コロナワクチンの接種始まる

 日本の製薬会社が開発した国産として初めての新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が、12月から各地で始まりました。

 製薬大手の「第一三共」が開発したmRNAワクチンは、12月から全国の自治体で接種が始まりました。

 新型コロナワクチンはこれまで、アメリカのファイザーやモデルナなど海外の製薬会社のものが使われていましたが、このワクチンが11月に承認され、厚生労働省と140万回分を供給することで合意したため、国産として初めて接種に使えるようになりました。

 このワクチンは、新型コロナのオミクロン型の派生型「XBB」系統に対応しており、3回目以降の追加接種を行う12歳以上が対象となっています。

 13日からこのワクチンの接種を始めた東京都板橋区のクリニックでは、予約していた住民が訪れ、ワクチンの安全性や有効性について医師の説明を聞いた上で接種を受けていました。

 クリニックの田幡雅彦医師は、「ワクチンの効果への期待はこれまでのものと変わらないが、供給面で何かがあった時に国産のものがあることで安心感はある」と話していました。

 2023年12月14日(木)

2023/12/13

🟧ほくろ取りクリームに注意 重い皮膚障害などの事故情報

 「ひと塗りで安全にほくろやいぼが取れる」などとうたい、インターネットで販売されている「点痣膏」という中国製とみられるクリームについて、国民生活センターが分析したところ、重い皮膚障害などを引き起こす恐れがあることがわかり、使用の中止を呼び掛けています。

 国民生活センターが使用の中止を呼び掛けているのは、「点痣膏」という中国製とみられるクリームです。

 国民生活センターによりますと、今年10月末までの5カ月間に、この商品を使用し、皮膚にやけどのような跡が残ったなどという事例が4件、寄せられているということです。

 このうち、70歳代の女性は、連絡先が海外になっている販売サイトで購入して使用したところ、クリームを塗った額が赤くはれ、化学熱傷によって皮膚が壊死(えし)していると診断されたほか、鼻の周りに塗った50歳代の女性は皮膚がむけて茶色く変色したということです。

 国民生活センターが同じ銘柄の4つの商品の成分を分析したところ、すべてカルシウムが検出され、重い皮膚障害などを引き起こす強いアルカリ性を示したということです。

 商品はSNSの広告や販売サイトで、「素早いほくろ除去」「痛みも跡もない」などとうたっていて、商品外箱には主要成分や使用説明が中国語で書かれていたものの、日本語表記はありませんでした。

 国民生活センターは商品を持っている場合はすぐに使用を中止するよう呼び掛けるとともに、個人輸入の医薬品や化粧品は安全性の確認が不十分だとして、少しでも不明な点がある場合は購入を控えるよう呼び掛けています。

 2023年12月13日(水)

🟧ウイルス性感染症「エムポックス」で国内初の死者 海外渡航歴のない埼玉県の30歳代男性

 厚生労働省は13日、ウイルス性の感染症「エムポックス(サル痘)」に感染した埼玉県に住む30歳代の男性が死亡したと発表しました。「エムポックス」による死者が確認されたのは、国内では初めてです。

 エムポックスは、エムポックスウイルス(’モンキーポックスウイルス)が原因の感染症。発熱や頭痛、リンパ節のはれといった症状が生じた後に、顔などに発疹ができ水膨れとなります。多くは2~4週間で自然に回復するものの、子供や妊婦、免疫不全の人は重症化することがあります。

 厚労省によると、男性は今年9月にエムポックスへの感染が確認され、11月に死亡したということです。男性に海外渡航歴はなかったほか、エイズウイルス(HIV)に感染し、免疫不全状態だったということです。

 エムポックスは日本では4類感染症に指定され、主にアフリカ中央部から西部にかけて発生していましたが、2022年5月以降、海外渡航歴のない感染者が欧米などを中心に世界各地で報告されています。国内では昨年7月から今年12月3日までに227人の感染者が確認されています。

 2023年12月13日(水)

🟥血液製剤使えなくなるなど不適切な取り扱い5件相次ぐ 日本赤十字社公表

  日本赤十字社は、冷凍庫の電源が落ちて血液製剤1万本あまりが輸血用として使えなくなるなど、血液事業での不適切な取り扱いが5件相次いだことを明らかにした。日本赤十字社は、今後、全国で一斉点検を実施するなど、再発防止に努めるとしている。  これは、日本赤十字社が19日、東京都内で会...