2023/12/31

🟧長崎大病院、ロボット手術再開へ 医療事故調査結果「過失なかった」

 長崎大学病院(長崎市)は28日、ロボットを使った子宮体がん手術を受けた長崎県内在住の女性(当時54)が手術から2週間後に大量出血し亡くなった医療事故について、手術中や術後の管理に過失はなかったとする調査結果を公表しました。事故後に停止していた同手術を来年2月から再開すると明らかにしました。

 女性はステージ1の子宮体がんと診断され、昨年7月21日に手術支援型ロボット「ダビンチ」を使って子宮を全摘出。8月1日に退院しましたが、同4日夜、自宅で下半身から大量出血して意識不明に陥り、出血性ショックで死亡し、搬送先の病院で死亡が確認されました。同5日に長崎大学病院で病理解剖し、子宮に近い左外腸骨動脈に約2ミリの穴が確認されました。

 長崎大学病院は昨年11月、外部の専門家9人を含む委員17人で構成する「医療事故院内調査委員会」を設置。4月に報告書を取りまとめ、遺族に結果を説明していました。

 報告書によると、委員による手術ビデオの確認で「血管への明らかな熱損傷は認められなかった」などとしました。女性は術後感染症を発症していたと考えられ、死因については「外腸骨動脈の全層に波及した化膿(かのう)性炎症による壁破壊に起因した動脈性出血」と判断。「感染性血管炎による血管破綻は想定外の稀有(けう)な合併症であり、退院時または死亡前に診断することは難しかった」と過失を否定しています。

 再発防止策として、血液検査の回数を増やし、手術部位の感染が否定できない場合は感染症診療科の医師に必ず相談することや、術後15日目まで入院してもらうことなどを決めました。

 会見した中尾一彦病院長は、「ご遺族には今後も丁寧に説明していきたい」と述べました。

 2023年12月31日(日)

2023/12/30

🟧認知症基本法、新年に施行 本人や家族の意見反映

 認知症の人が尊厳や希望を持って暮らせる共生社会実現が目的の新法、認知症基本法が2024年1月1日に施行されます。岸田文雄首相が本部長の「認知症施策推進本部」設置を規定し、国が本人や家族らの意見を反映した「基本計画」を作ります。都道府県や市区町村にも「推進計画}の策定を促し、各地域で本人の社会参加や相談・ケア体制整備などが期待されます。

 認知症に特化した初の法律で、2023年6月14日に議員立法で制定。団塊世代が全員75歳以上となる2025年には認知症の人は推計675万~730万人で、高齢者の約5人に1人に上ると見込まれます。

 法律は基本理念に、国や自治体が対策に取り組む責務があり、国民も認知症の理解を深めることに努めると明記。施策として、(1)学校教育などで理解増進(2)交通安全の確保、使いやすい製品普及(3)社会参加の機会確保や雇用継続へ啓発(4)適切な保健医療や福祉サービス提供(5)本人や家族の相談体制整備―などが盛り込まれました。

 政府はこうした対策の「基本計画」作りに向け、本人や家族、医療関係者などから意見を聞きます。都道府県や市区町村は努力義務として、各地域の本人らの意見を踏まえ「推進計画」を策定します。

 2023年12月30日(土)

🟧感染症、来年1月から2月に警戒が必要 インフル高止まり、コロナ増加傾向

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行してから初めての年末年始を迎える折、季節性インフルエンザの感染は高止まりし、東京都内では溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の初の流行警報が発出されました。加えて、新型コロナウイルスの感染者も増加傾向。医療関係者は、「来年1~2月はコロナ禍の過去3年間よりも大変な冬になるかもしれない」と警鐘を鳴らしています。

 厚生労働省は22日、全国約5000の定点医療機関が11~17日に報告したインフルエンザの患者数が14万7858人で、1医療機関当たり29・94人だったと公表しました。前週よりやや減ったといえど、30人超の「警報レベル」に近く、予断を許しません。

 東京都は21日、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者が都内で増えているとして、1999年の感染症法施行以来初の警報を発出しました。子供が多く感染し、急な発熱や、のどの痛みなどの症状がみられます。

 のどや目などに症状が出る咽頭結膜熱も、例年の同時期より大幅に増えています。

 浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師は、「コロナ禍のマスクや手洗いで多様な感染症ウイルスにさらされていない期間が長かったため、免疫が確立されていないことが感染症流行の要因と考えられる。呼吸器系の感染症以外にも食中毒も多い。流行の中心は子供だが、大人も注意が必要だ」と語っています。

 新型コロナも4週連続で増加傾向です。世界保健機関(WHO)は19日、変異型「JN・1」を「注目すべき変異型」に分類したと発表しました。既存のワクチンに効果があるとし、公衆衛生に大きな脅威をもたらすリスクは低いとの認識を示しました。

 矢野医師は、「この冬は医薬品不足も問題になっている。コロナ以外の感染症も加わり、医療機関の病床がひっ迫したり、救急搬送困難事案などが増えることも予想される」と危惧しています。

 忘新年会や帰省、Uターンなど人の動きも活発になる年末年始の感染拡大も心配です。

 矢野医師は、「コロナ禍のような過度な対策は必要ないが、受験生や高齢者を守る行動は必要だ。公共交通機関で移動する際にはマスクを着用するほか、唾液を経由する感染症もあるので、会食で食卓を囲む際にも、はしやスプーンを共有しないことを勧める」と助言しました。

 2023年12月30日(土)

🟧水道管の漏水エリアを人工衛星から点検 期間短縮や効率化を実現

 地中に埋められた水道管の老朽化が課題となる中、長野県で人工衛星を使って漏水エリアを見付ける点検が実施されました。人による点検と比べ、期間短縮や効率化が実現できたといい、各地の自治体でも採用する動きが広がっています。

 この点検は、イスラエルの企業が開発し、国内の代理店「ジャパン・トゥエンティワン」(愛知県豊橋市)が提供しています。国内では愛知県豊田市での導入以降、北九州市や浜松市など70余りの自治体で使われました。

 人工衛星から地表へマイクロ波を照射します。マイクロ波が地中で漏れた水に当たると反射波が発生。この波を衛星で受信した後、独自のアルゴリズムで解析し漏水エリアを浮き彫りにできます。機器の設置や設備投資も不要で、漏水部分は半径100メートルの範囲まで絞り込めるとしています。

 長野県内では昨年、全長約2000キロメートルの水道管にこの点検を実施し、395カ所で漏水の疑いを検知。早期の修繕につながったといいます。従来は作業員が地中の異常音を手掛かりに一カ所ずつ確認しており、時間がかかる上、作業員の熟練度によって発見率のばらつきが課題でした。

 水道管の耐用年数は40年程度とされています。しかし、人口の減少や節水機の普及、飲料水の購入の増加など家庭の水道使用が減少したことによって水道事業による収入が十分に見込めなくなった結果、水道管を新しくする予算が捻出できないという窮状があります。

 2023年12月30日(土)

🟥出産前などに多く分泌される「オキシトシン」に毛の成長促す働き 神奈川県の研究所など発表

 神奈川県の研究所などの研究チームは、出産前や授乳期の女性で多く分泌され、分娩誘発・促進作用がある「オキシトシン」と呼ばれるホルモンに、毛の成長を促す働きがあることを人の細胞を使った実験で突き止めたと発表しました。

 この研究は、神奈川県立産業技術総合研究所の景山達斗研究員と横浜国立大学の研究チームが国際的な科学雑誌で発表しました。

 チームは、妊娠中に体毛が濃くなったという体験談に注目し、妊娠後期から授乳期の女性に多く分泌されるホルモン、オキシトシンと毛の成長の関係を調べました。

 チームでは、人の細胞から毛根の根元にある「毛包」と呼ばれる器官を作製し、オキシトシンを振りかけて変化を観察したところ、6日目の時点でオキシトシンをかけなかった場合と比べて毛の元となる組織の長さが約1・3倍になっていました。

 また、毛包にかけるオキシトシンの量を増やすほど、毛の成長にかかわる特定の遺伝子が活発に働くこともわかったということです。

 このためチームは、オキシトシンが毛の成長を促している可能性があるとしています。

 景山研究員は、「妊娠によって体毛が濃くなるという声を裏付ける結果で驚いている。脱毛症に悩む女性や子供にも使える薬の開発などに役立てたい」と話しています。

 2023年12月30日(土)

2023/12/29

🟥脳死判定、瞳孔検査できない場合はCTで代替へ 臓器提供の意思尊重に期待

 厚生労働省は来年1月から、脳死判定で瞳孔の状態を確認する検査などができない場合、CT(コンピューター断層撮影法)やエックス線を使った補助検査を導入します。画像検査で脳内の血流が失われていることを確認します。

 本人や家族に臓器提供の意思があるものの、検査ができないため提供に至らない例があるものの、補助検査の導入で、より提供の意思が尊重されるようになると期待されます。

 臓器移植法に基づく法的な脳死判定では、①深い昏睡(こんすい)②光を当てても瞳孔が動かず、一定以上広がっている③顔を左右に振っても眼球が動かないなど脳幹反射の消失④平たんな脳波⑤自発呼吸の消失の5項目を、2人以上の医師が6時間(6歳未満は24時間)以上の間隔を空けて2回確認します。

 しかし、交通事故で目が傷付いていたり、白内障があったりすると、瞳孔や脳幹の状態を調べるのが難しいため、厚労省は代わりの手段として、画像検査を使って判定することを認めることにしました。

 検査項目のうち、深い昏睡、平たんな脳波、自発呼吸の消失については、従来通り確認が必要です。

 医療現場が検査を行いやすいようにするため、2024年度に脳死判定のマニュアルを改訂します。

 2023年12月29日(金)

🟥北海道の新型コロナ感染者、約3カ月ぶりに1医療機関当たり10人超え 神奈川県の感染者は6週連続で増加

 北海道は28日、道内の定点医療機関における18〜24日の新型コロナウイルス感染者数が1施設当たり10・69人だったと発表しました。前の週から1・38人増加しました。10人を超えるのは9月25日〜10月1日以来、約3カ月ぶり。全定点医療機関の合計感染者数は313人多い2416人でした。

 道内の定点医療機関における感染者数は増加傾向にあります。道感染症対策課によると「年末年始が近付き、人との接触増加が影響しているのでは」といい、手洗いや換気など基本的な感染対策を呼び掛けています。

 新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は28日、県内358カ所の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。18~24日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は2・88人で前週比0・38人増え、6週連続で増加しました。

 報告された患者数は全県で1030人。定点医療機関当たりでは、横浜市が2・68人、川崎市が3・35人、相模原市が2・33人、政令市以外の県域が3・05人でした。27日時点の入院者数は364人(前週比113人減)で、うち重症者は7人(同2人増)でした。

 また、同期間の季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が22・10人で、前週比2・08人減少しました。

 報告された患者数は全県で7912人。定点医療機関当たりでは厚木保健福祉事務所(31・16人)、鎌倉保健福祉事務所三崎センター(31・00人)の管内で警報レベルの30人に達しました。

 2023年12月29日(金)

🟪介護職員の数が初の減少、他産業との賃金差響く 厚労省が発表

 介護職員の数は2023年度に約212万6000人で、2022年度よりも2万8000人減少し、厚生労働省は、減少に転じるのは調査開始以来初めてだとしています。  厚労省によりますと、昨年10月1日時点での有料老人ホームなど介護施設や介護サービス事業所で働く職員の数は、約212万...