2024/02/08

🟧誰もがかかる可能性のある「心の病」の正しい知識を 40年ぶりに高校で必修化

 増加の一途をたどっている小中高生の自殺の要因の一つに鬱(うつ)病など精神疾患も指摘されている折、2022年度からは高校の保健体育の教科書に精神疾患についての記載が40年ぶりに復活しました。子供たちが「心の病」についての正しい知識を持つことで、予防や早期治療につなげようと、教育現場では試行錯誤を続けています。

 大修館書店の教科書「新高等保健体育」では、計6ページにわたってイラストとともに鬱病や統合失調症など主な疾患の症状や対処法、予防法などを紹介。人の言葉に過敏になったり、電車に乗れなかったりと各疾患の具体的なサインも掲載し、誰もが罹患(りかん)し得る病気であることや、知識を身に付けることで早期発見と周囲の人の支援につながると説明しています。

 背景の一つには、小中高生の自殺者の増加があります。厚生労働省によると2022年の自殺者は514人と過去最多。また、国立成育医療研究センターが子供対象の精神科がある16の医療機関に調査したところ、「死にたい」という希死念慮を持つと診断された20歳以下の外来患者は、2022年度で214人で、調査を開始した2019年度から1・6倍となりました。

 一方で、高校で必修化するだけでなく、義務教育段階の小中学校での学習が必要との声も上がっています。精神疾患に罹患した成人のうち、約50%が14歳までに、約75%が24歳までに発症しているという海外の研究結果もあり、発症のピークは10歳代前半とみられるためです。

 精神疾患を抱える人の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(やすひろ)事務局長は、高校での必修化に「正しい知識を持つ取っ掛かりになる」と評価しつつも、自身や周囲の不調に早期に気付くには、小中学生からの学習が必要と強調。「早い段階から学ぶ機会を設け、年齢を重ねながら疾患について理解していくことが重要」と指摘しています。

 2024年2月8日(木)

🟧福岡県のインフルエンザ感染者数、2019年1月以来の1万人超 新型コロナも11週連続の増加

 福岡県は8日、県内198カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの感染者数が1月29日~2月4日の1週間で、前週比1・64倍の1万1358人だったと発表しました。1万人を超えるのは、コロナ禍前の2019年1月以来。

 3週連続の増加で、1医療機関当たりは57・36人でした。11週連続で、大きな流行の発生や継続が疑われることを示す「警報レベル」の基準値30人を超えています。

 県の医師会によりますと、インフルエンザB型の感染者が急増しているということです。県は「2月中は流行が見込まれ、さらに感染者が増える可能性がある」としており、感染拡大防止のため手洗いや、適切なマスクの着用を呼び掛けています。

 新型コロナウイルスの同期間の感染者数は、前週比1・22倍の2765人。11週連続の増加となり、1医療機関当たりは13・96人でした。

 また、子供の感染が多く、高熱やのどの痛みなどの症状が出る「咽頭結膜熱」と、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」いわゆる「溶連菌感染症」も「警報レベル」が続いています。

 2024年2月8日(木)

2024/02/07

🟧致死率ほぼ100%、アフリカ豚熱が韓国で急拡大 農水省が水際対策強化へ

 ブタの伝染病、アフリカ豚(ぶた)熱(ASF)が九州に近い韓国のプサン(釜山)で急拡大し、日本に侵入するリスクが高まっているとして、農林水産省は、旅行客の往来が活発になる旧正月の「春節」に合わせ、水際対策を強化することになりました。

 ASFは人には感染しませんが、ブタやイノシシが感染すると致死率はほぼ100%とされています。

 日本での感染は確認されていないものの、国内で発生した場合、有効なワクチンがないため、畜産業に大きな打撃となることが懸念されています。

 農水省によりますと、昨年12月以降、韓国の南東部プサンで感染が急拡大し、日本の豚の飼育数で約3割を占める九州などに向かうフェリーターミナルの近くでも、野生のイノシシからアフリカ豚熱の感染が確認されたということです。

 さらに、2月10日から始まる旧正月の「春節」に合わせた連休で、日本と韓国、中国などとの間で旅行客の往来も活発になるため、農水省は水際対策を強化することになりました。

 空港や港で入国者の靴底の消毒を徹底するほか、カーフェリーで入国する場合は、車や二輪車などの消毒も実施します。

 肉製品の食べ残しから日本の野生イノシシに感染が広がる恐れもあるため、生の肉やソーセージのほか、韓国の手巻きすし「キンパ」などに紛れてASFに感染した豚肉が持ち込まれる可能性があるとし、韓国からの船と航空便で検査を行う家畜防疫官や空港や港の探知犬も増強しました。

 また、都道府県には、畜産関係者などへの注意喚起に協力するよう呼び掛けるなど、関係機関と連携し、対処するとしています。

 対策について坂本哲志農林水産相は、「(ASFは)一度侵入を許すと、我が国の畜産業に壊滅的な被害を生じることになる。危機感を共有し、侵入防止に取り組みたい」と述べました。

 ASFは、日本で感染が相次ぐ豚熱(CSF)とはウイルスの種類が異なる別の病気。1909年にケニアで初めて確認され、アフリカやヨーロッパで広く発生しました。2018年8月にはアジアで初となる感染が世界最大のブタの生産国である中国で判明。ブタの飼育頭数が一時約4割減り、推定1000億ドル以上の損失が生じたとされます。今年1月までに韓国や香港、インドなどの地域に感染が拡大しています。

 高熱や元気減退など症状はCSFと似ているものの、ASFの大きな特徴は強い感染力と、ほぼ100%とされる高い致死率。そして、現時点で有効なワクチンや治療法がないことです。

 CSFやAFSは感染したブタやイノシシの唾液や糞尿中にウイルスが排泄され、それと接触することで感染が拡大します。ウイルスは死骸で数カ月以上、冷凍の場合でも1000日以上も感染力を維持します。さらにAFSはダニによる媒介感染も確認され、感染による急死も散見されています。

 AFSのワクチンについては、ベトナムで開発され接種された事例もあります。ただ、専門家からは、接種後のブタの体内で毒性のある新たなウイルスの発生につながる懸念などが指摘されており、多くの国で使用は推奨されていないのが現状。

 国内で野生イノシシのAFS感染が確認された場合、半径3キロ圏内に他の死んだ個体がないか捜索、周囲に電気柵やわなを設置し感染拡大を防止します。また、農場のブタの感染が確認された場合は、発生農場だけでなく、未感染の家畜も含めて一定範囲内の家畜を殺処分する「予防的殺処分」の対象としています。

 2024年2月7日(水)

🟧埼玉県上尾市の病院で集団食中毒、病院食提供の「日清医療食品」に営業停止処分

 埼玉県上尾市の上尾中央総合病院で、入院患者72人の集団食中毒が発生し、埼玉県は7日、病院食を提供している業者に対して、この病院での営業を3日間停止する処分を出しました。

 営業停止の処分を受けたのは、東京都千代田区に本社を置く「日清医療食品」です。

 埼玉県によりますと、1日、上尾中央総合病院で病院食を食べた30~90歳代の入院患者の男女72人から、下痢や腹痛の症状が出たということです。

 保健所が検査したところ、症状を訴えた人のうち25人の便から「ウエルシュ菌」が検出されました。症状を訴えた人はいずれも症状は軽く、快方に向かっているということです。

 1日の病院食は、朝食が大根のとろみ煮やひじきの煮物、昼食が里芋と野菜の含め煮や麻婆春雨などで、入院患者481人に提供されました。夕方ごろから症状を訴える人が出始めたといいます。

 どの料理が原因かはわかっていないものの、保健所はウエルシュ菌による食中毒と断定。食品衛生法に基づき、給食業務を受託している日清医療食品に対して同病院での営業を7~9日の3日間停止する処分を出しました。

 日清医療食品は、「発症された患者様とご家族様には、多大なる苦痛とご迷惑をお掛けしましたことを心より深くお詫び申し上げます」などとコメントしています。

 埼玉県は、加熱調理した食事でも放置せずになるべく早く食べ、保存する時はパックに小分けして冷蔵するなど早く冷やす工夫を呼び掛けています。

 ウエルシュ菌は肉や魚、野菜などに広く付着します。加熱に強く、大量に調理され、長時間室温で放置される食品が原因になることが多いとされます。

 2024年2月7日(水)

🟧節分の恵方巻きなどで176人が食中毒 島根県益田市

 島根県益田市の業者が作った節分の恵方巻きなどを食べた80人が相次いで下痢やおう吐などの症状を訴え、益田保健所は食中毒と断定して、この業者を6日から5日間の営業停止処分にしました。

 処分を受けたのは、惣菜店や飲食店を営む益田市駅前町の「ちるちるみちる」です。

 島根県によりますと、4日に益田市内の医療機関から、この業者が製造した恵方巻きを食べた4人が胃腸炎の症状を訴えて受診したと益田保健所に連絡がありました。

 益田保健所が調べたところ、この業者が2月1日と2日に製造した節分の恵方巻きを食べた10歳未満から80歳代の男女66人が、下痢やおう吐などの症状を訴えたということです。

 また、1月31日に、この業者が営む飲食店で宴会料理を食べた20歳代から70歳代の男女14人が下痢やおう吐、それに発熱の症状を訴えたということです。

 2人が入院しましたが、すでに退院し、ほかの患者も回復傾向にあるということです。

 2月7日には、この業者が作った恵方巻きで発生した集団食中毒で、新たに72人に症状が確認され、計138人になりました。病因物質はノロウイルスでした。

 宴会料理を食べて症状が出た人も新たに24人判明し、計38人になりました。恵方巻きと宴会料理を原因とする集団食中毒は、計176人となりました。

 島根県薬事衛生課は、「調理の前には、せっけんと水で十分に手を洗い、食材は十分加熱してほしい」と呼び掛けています。

 2024年2月7日(水)

2024/02/06

🟧夫婦6割がセックスレス、性の実態調査で判明 若年男性の性への無関心も浮き彫りに

 婚姻関係がありながら、性交渉が1カ月以上ないと回答した人の割合が6割を超えることが、日本人の性に関する実態調査「ジャパン・セックスサーベイ2024」で明らかになりました。若年男性が他の世代より性への関心が際立って薄いことも、判明しました。

 調査を行った専門家は、「日本人のセックスレスが加速しており、特に若年男性は草食化を通り越し〝絶食化〟が進んでいる印象がある」と懸念を示しました。

 調査は総合医療品メーカー「ジェクス」の依頼を受けた「日本家族計画協会」が実施しました。実態調査は2012年から始まり、今回で5回目。昨年11月にインターネットを使って行われ、全国18~69歳の男女5029人を対象に、性への関心や悩み、性生活の実態などを聞き取りました。

 調査で明らかになったのは、日本人のセックスレスの実態で、調査対象者のうち、有配偶者の回答を分析したところ、1カ月以上、夫婦間で性交渉がないと答えた割合は64・2%となり、2020年の前回調査の51・9%を大きく上回りました。

 調査を担った日本家族計画協会会長で産婦人科医の北村邦夫氏は、同協会が長年取り組んでいる別の性に関する調査結果も紹介しながら、「婚姻関係にある人たちのセックスレスに歯止めがかからない状況だ」と説明しました。

 セックスレスについては、最終学歴ごとに比較する興味深い調査項目もありました。海外大学卒の人(5029人のうち0・4%)のセックスレスの割合は12・9%にとどまり、5~6割を占める他の学歴層の人との違いが際立ちました。

 性交渉の経験の有無を聞く項目について、「ない」と答えた割合は、男性が19・2%(前回13・3%)、女性16・5%(同9・4%)。男女とも各世代で前回調査を上回りました。

 さらに今回の調査では、若い男性の性への関心の低さも浮き彫りとなりました。「セックスをしたいと思いますか」という問いに、10~20歳代の男性で「思う」とした割合は63・4%。30~60歳代の各世代の男性が8割を超えるのに対して、著しく低い結果でした。

 セックスをしたいと「思わない」とした割合も10~20歳代は36・6%で、1割程度しかいない他の世代の男性と大きく異なりました。

 北村氏は、「若い男性については、性に関心がある層とない層の2極化が進んでいるのが実態だと考えられる。現代は、動画などで性的なコンテンツに容易に触れられる時代。それで十分満足し、人と人の触れ合いを面倒くさいと思う若者もいるのかもしれない」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟧有害性指摘のPFOS含む消火剤、東京都所有の駐車場など30施設に設置判明

 有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」を巡り、東京都が所有する駐車場や事務所ビルなどにある消火剤について都が調べたところ、30の施設で有害性が指摘される物質を含むものが設置されていたことがわかりました。

 「PFAS」は、有機フッ素化合物の総称で、「PFOS(ピーフォス)」や「PFOA(ピーフォア)」など一部の物質は水や油をはじく特性などから、かつて泡消火剤など幅広い用途に使われていましたが、有害性が指摘され、国は水質の暫定的な目標値を設けるなどして規制しています。

 こうした中、昨年12月、東京都町田市内の立体駐車場に設置されていた消火設備を何者かが起動し、PFOSを含む泡消火剤が近くの川に流れ出て、川の水から国の目標値を上回る値が検出されました。

 これを受けて都が、都の施設すべてで、PFOSを含む消火剤が設置されているかどうか緊急で調査を行ったところ、都内の駐車場や事務所ビルなど、合わせて30の施設で設置されていたことがわかりました。

 都は、規制対象の物質を含んでいることがわかった場合、取り替えており、今回の結果を踏まえ、交換を進めています。

 また、民間施設でも交換を進めようと、費用の一部を補助するのにおよそ2億3000万円余りを新年度・2024年度予算案に盛り込んでいます。

 町田市では、昨年12月、市営の立体駐車場の消火設備が何者かによって起動され、有害性が指摘されているPFOSを含む泡消火剤がまき散らされました。

 市によりますと、泡消火剤の中には、PFOSが8リットルから1・6リットル程度含まれ、洗い流した際などに、排水溝から近くを流れる境川に流れ出たということです。

 これを受けて、市が川の水質検査をした結果、下流の2カ所で国の暫定的な目標値の1リットル当たり50ナノグラムを大幅に上回る、810ナノグラムと190ナノグラムのPFOSが検出されたということです。

 消火設備は、天井に張り巡らされたパイプを通して上から泡消火剤を放出する仕組みで、火を感知した場合に自動で作動するほか、火事に気付いた人が手で起動できるよう、封のされたレバーも駐車場内に設置されています。

 この泡消火剤は、PFOSが規制される前の1980年に駐車場ができた際に設置されたもので、来年度以降の老朽化した駐車場の建て替えに合わせてPFOSを含んでいないものに交換する予定だったということです。

 PFASの問題に詳しい京都大学大学院の原田浩二准教授は、「立体駐車場などに設置されている泡消火剤は古いものだと、PFOSを含んでいるものが数多くあり、それが今も残っている。PFOS自体は劣化しない物質だが、消火設備は劣化してしまうので、老朽化で誤作動などが起きた場合に、PFOSを含んだ泡消火剤が流出するケースが全国各地で報告されている」と指摘しています。

 その上で、「身近なところにも流出リスクが常にあること、それが場合によっては水源などにも影響し得ることは考える必要がある。立体駐車場などでは、規模によって消火設備の設置が義務付けられているが、消火剤をどのように交換するのかという仕組みが十分ではなく、設置当初からずっと置かれている状態になっているものもあるので、早くPFOSが出ないものに交換することは喫緊の課題だ」と話しています。

 2024年2月6日(火)

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。  訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ...