2024/06/04

🟧糖尿病患者の寿命延びる 死因1位はがん、学会が調査

 日本で糖尿病と診断された人の寿命が、2020年までの10年間で男性が3・0年、女性が2・2年、それぞれ延びていることが、日本糖尿病学会が医療機関を対象としたアンケートで明らかになりました。

 同学会が1970年代から10年ごとに実施している調査の5回目。「糖尿病の死因に関する委員会」(委員長・中村二郎愛知医大先進糖尿病治療学寄附講座教授)が、全国208の医療機関から登録された糖尿病約6万9000人と非糖尿病の約16万5000人の死亡時期や死因を解析しました。

 その結果、糖尿病患者が亡くなった時の年齢は平均で男性約74歳、女性約77歳。日本人全体の寿命の伸びを上回り、寿命の差は縮まりました。

 死因について調べると、1位はがん、2位は感染症。1970年代には42%を占め、1980年代まで1位だった脳梗塞、心筋梗塞、慢性腎不全などの「血管障害」は1990年代に2位、2000年代に3位と順位が下がっていました。今回の調査では死因に占める比率が1970年代の4分の1になりました。薬剤などの進歩が貢献したとみられます。

 一方で、死因中のがんの比率は1970年代の25%から増え続け、今回は39%。国民全体では28%で高止まり傾向なのに対して上昇傾向がみられ、糖尿病患者でのがんの予防、管理の重要性が示されました。

 糖尿病のよく知られた合併症である慢性腎不全が死因となった割合は、1970年代の13%から下がり続け、今回は2・3%と国民全体の2・0%とほとんど差がありませんでした。糖尿病の増加の半面、糖尿病から人工透析が必要な慢性腎不全になる人数は減少に転じており、こちらも薬剤などの進歩を裏付ける結果となりました。

 2024年6月4日(火)

2024/06/03

🟧より深刻な感染症には「パンデミック緊急事態」発令可能に WHOが国際保健規則を改正

 世界保健機関(WHO)は1日の総会で、感染症の拡大を受けた緊急事態宣言の手続きなどを定めた「国際保健規則(IHR)」を全会一致で改正しました。感染症の拡大が「緊急事態」よりも深刻化した場合に「パンデミック緊急事態」を発令することを可能とする規定を盛り込みました。

 パンデミック緊急事態は、WHOが宣言する「国際的な公衆衛生上の緊急事態」よりも重大な局面を想定しています。新たな規則では、感染症が「複数の国家にまたがって広がる」「重大な社会、経済的混乱を引き起こす」可能性がある状況などと定義し、国際社会により高いレベルの警戒と国際協調を促しています。WHOはコロナ禍でも「パンデミック」を表明したものの、明確な規定はありませんでした。

 IHR改正が承認されたことを受け、テドロス・アダノム事務局長は「我々は、そして世界は勝利した。世界はより安全になった」と謝意を表明しました。議場からは拍手が上がりました。

 今回の改正では、医薬品へのアクセスに公平性を確保することや、規則を効果的に運用するための締約国による委員会設置なども盛り込まれました。新たな規則は各国の手続きを経て、実際に適用されます。

 一方、感染症対策の強化を目指し、2年以上にわたって協議が続けられてきた「パンデミック条約」については、総会後も議論を継続し、1年以内の交渉終結を目指すことを決めました。5月下旬に開幕した総会中も議論を続けたものの、ワクチンの公平な配分や監視体制の強化などで先進国と途上国の間の溝が埋まりませんでした。

 テドロス事務局長は、「規則改正での成功は、条約策定も成し遂げられるという自信につながる」と期待を示しました。

 2024年6月3日(月)

2024/06/02

🟧細胞を投与する再生医療後に一時的な視力障害 製造したロート製薬が注意喚起

 細胞を投与する自由診療の再生医療で一時的な視力障害が報告されたとして、細胞を製造したロート製薬(大阪市生野区)が、関係する医療機関に、同様の症状が観察された場合は適切な処置をし、同社に連絡するよう求める注意喚起の文書を配布したことが1日、明らかになりました。細胞の保存のために使われた有機溶剤が、原因となった可能性が高いといいます。

 問題を調査した「特定認定再生医療等委員会」の議事録などによると、東京都のクリニックで、更年期障害や卵巣の機能低下に伴う症状の改善を目的に、自由診療で同社製造の「脂肪由来の間葉系幹細胞」が点滴で投与されました。

 昨年11月、患者に視力障害が出たとクリニックが認定委員会に報告。今年3~4月にも、このクリニックで似た症状が2件相次ぎましたが、いずれも回復したといいます。

 認定委員会では、細胞に含まれていた有機溶剤「ジメチルスルホキシド(DMSO)」が血管の収縮を引き起こした可能性があるといった意見が出ました。

 ロート製薬によると、DMSOは細胞の品質を維持するための保存液として使用されています。

 2024年6月2日(日)

2024/06/01

🟧新型コロナ感染者数は計1万6554人で横ばい 最多の沖縄県は一部で医療逼迫

 厚生労働省は5月31日、全国約5000の定点医療機関から20~26日に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数は計1万6554人で、1機関当たり3・35人だったと発表しました。3週連続で増加しましたが、前週(3・28人)比はほぼ横ばいの1・02倍。昨年の同時期は1機関当たり3・63人でした。

 最多の沖縄県は1機関当たり14・09人で、一部の医療機関の負担が増して逼迫しており、このまま感染が広がり続けると対応が困難になる恐れがあります。

 都道府県別で1機関当たりの感染者数が多かったのは、沖縄県に次いで鹿児島県5・34人、北海道4・84人など。少なかったのは福井県1・33人、愛媛県1・69人、香川県1・77人などでした。

 全国約500の定点医療機関が報告した新規入院患者数は計1489人で、前週比1・13倍でした。

 2024年6月1日(土)

2024/05/31

🟧元理研高橋氏、iPS網膜特許で和解 理研やヘリオスなどと 

 理化学研究所の元研究者、高橋政代氏が代表を務めるビジョンケア(神戸市)などは30日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)関連の特許で理研などと和解したと発表しました。同特許はiPS細胞から網膜細胞を製造する特許で、理研やバイオ新興のヘリオスなどが特許権を持っていますが、高橋氏はビジョンケアなどでも特許を使えるよう2021年に国に「裁定」を請求していました。

 東京都内で記者会見した高橋氏は、「iPSには医療を変える大きな力がある。医療側の私たちなら早期に開発ができると思っていたので、特許使用を認められたのは大きい」と話しました。

 和解によって自由診療を対象に、ビジョンケアなどが、患者自身のiPS細胞を使った細胞から網膜細胞の作製などができるようになるといいます。iPS細胞由来の網膜細胞を使う医薬品を開発中のヘリオスと住友ファーマは、ビジョンケアなどに特許権を行使しないといいます。

 高橋氏は理研に在籍中の2014年、世界で初めて網膜の難病に対してiPS細胞由来の細胞を移植する手術に成功。実用化に向けてヘリオスの設立にもかかわったものの、2019年にビジョンケアを立ち上げ社長に就任しました。

 裁定の対象は目の「網膜色素上皮細胞」の製造技術に関する特許で、失明のリスクがある網膜難病の治療が期待されています。高橋氏は発明者の一人ですが、職務発明として理研に特許を受ける権利を譲渡しました。理研はヘリオスとの間で特許契約を結んでおり、理研を退職した高橋氏はこの技術を自由に使えない状態になっていました。

 2024年5月31日(金)

2024/05/30

🟧沖縄県の狂犬病予防接種率52・2%、8年連続で全国ワースト 世界では毎年5万5000人が犠牲に

 沖縄県内の狂犬病の予防注射接種率が低迷しています。県が29日に発表した2023年度の速報値は前年度比マイナス0・2ポイントの52・2%でした。2022年度は52・4%で全国平均の70・9%を大きく下回り、少なくとも8年連続で全国ワースト。2023年度の全国平均はまだ公表されていないものの、県内で改善傾向が見られないことからワーストを更新する可能性が高くなっています。

 2023年度の県内市町村ごとの接種率は、南大東村が1000%で最も高く、北大東村85・7%、多良間村83・1%と続き、離島町村が上位を占めました。最低は本部町の25・9%でした。

 世界保健機関(WHO)の勧告では、狂犬病のまん延防止には接種率70%以上が必要とされています。県内では41市町村のうち、名護市や今帰仁村、嘉手納町など32市町村がこの基準を満たしておらず、万が一、狂犬病が発生した場合、まん延阻止が難しい状況です。

 狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主または管理者は年に1回の予防接種が義務付けられています。例年、4~6月は狂犬病予防注射月間で、各市町村で犬の集合注射が行われています。ただ、県内には狂犬病は過去の病気だと思い込む人も多いとみられ、接種率は例年50%前後と低迷しています。

 県薬務生活衛生課は、「狂犬病が人に感染して発症すると、致死率はほぼ100%。世界では毎年5万5000人が犠牲になっているという推計もある。飼い主としての責任感を持ち、この機会に予防接種をお願いしたい」と呼び掛けました。

 国内では1956年を最後に犬の狂犬病の発生はないものの、2020年に外国で犬にかまれて帰国後に発症した患者の事例があります。2013年には台湾でも発症が確認されたほか、沖縄はアメリカ軍物資などから小動物にウイルスが紛れ込んで入ってくる可能性もあり、同課は「常に侵入の脅威にさらされている」と説明しています。

 2024年5月30日(木)

2024/05/29

🟧2023年度、赤ちゃんポストに9人預け入れ 理由は「生活困窮」が最多

 熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)について、運用を検証する熊本市の専門部会が、昨年度(2023年度)後半の運用体制について報告しました。また、昨年度1年間に「ゆりかご」に預けられた子供の数も公表しました。

 慈恵病院では、親が育てられない乳幼児を匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる「赤ちゃんポスト」を運営しています。

 一方、熊本市では外部有識者による専門部会を設置して、半年ごとに「ゆりかご」の運用状況を検証しています。

 5月29日は、この専門部会が2023年10月から2024年3月末の運用状況について検証した結果が「熊本市要保護児童対策地域協議会代表者会議」で報告されました。

 報告では、この期間の「ゆりかご」の運用体制について、「刑法上の明らかな違法性は認められない」と判断しました。

 2023年度の1年間に預けられた子供は9人だったと報告されました。2007年の運用開始以来、累計は179人。

 9人は、生後1カ月未満の「新生児」が7人と最も多く、このうち4人が生後7日未満の「早期新生児」でした。残る2人は、生後1カ月以上1年未満の「乳児」と、生後1年から就学前の「幼児」がそれぞれ1人でした。

 なお9人のうち8人には、親からの手紙などが添えられていました。

 後から親が病院側に接触するなどして、居住地がわかった5人のうち、関東と中部がそれぞれ2人、熊本県内が1人でした。

 出産した場所がわかった7人のうち、4人が自宅で出産していていて、ゆりかごに預けた理由としては「生活困窮」が6人と最も多く、母親などの厳しい状況が垣間見えます。

 熊本県と熊本市、さらに慈恵病院が設置する窓口には、2023年度の1年間で合わせて4273件の相談が寄せられ、前年度(3866件)と比べて407件増えています。

 相談内容では、「思い掛けない妊娠」が1162件と最も多く、「妊娠や避妊に関する相談」が1037件、「出産や養育についての相談」が928件と続きました。

 報告を受けて熊本市の大西一史市長は、「孤立出産や出産直後の長距離移動に伴う母子の生命の危険などの課題は、依然として残されている」と指摘した上で、「子供たちの大切な命と権利を社会全体で守り、課題を抱える方々を孤立させることがないよう、国に要望するとともに、全国の自治体とも連携して取り組んでいく」とコメントしました。

 2024年5月29日(水)

🟥みちのく記念病院の「みとり医」、自分の氏名わからず署名できず 青森県警、「しかるべき処分」の意見つけ書類送付

 2023年3月、青森県八戸市のみちのく記念病院で患者同士の殺人が起き、それを病院が 隠蔽(いんぺい)していた衝撃的な事件。県警は医師法違反(無診察治療)の疑いで同病院に勤務していた男性医師(86)の捜査書類を青森地検に送付し、起訴を求めない「しかるべき処分」の意見をつけた。一...