日本で糖尿病と診断された人の寿命が、2020年までの10年間で男性が3・0年、女性が2・2年、それぞれ延びていることが、日本糖尿病学会が医療機関を対象としたアンケートで明らかになりました。
同学会が1970年代から10年ごとに実施している調査の5回目。「糖尿病の死因に関する委員会」(委員長・中村二郎愛知医大先進糖尿病治療学寄附講座教授)が、全国208の医療機関から登録された糖尿病約6万9000人と非糖尿病の約16万5000人の死亡時期や死因を解析しました。
その結果、糖尿病患者が亡くなった時の年齢は平均で男性約74歳、女性約77歳。日本人全体の寿命の伸びを上回り、寿命の差は縮まりました。
死因について調べると、1位はがん、2位は感染症。1970年代には42%を占め、1980年代まで1位だった脳梗塞、心筋梗塞、慢性腎不全などの「血管障害」は1990年代に2位、2000年代に3位と順位が下がっていました。今回の調査では死因に占める比率が1970年代の4分の1になりました。薬剤などの進歩が貢献したとみられます。
一方で、死因中のがんの比率は1970年代の25%から増え続け、今回は39%。国民全体では28%で高止まり傾向なのに対して上昇傾向がみられ、糖尿病患者でのがんの予防、管理の重要性が示されました。
糖尿病のよく知られた合併症である慢性腎不全が死因となった割合は、1970年代の13%から下がり続け、今回は2・3%と国民全体の2・0%とほとんど差がありませんでした。糖尿病の増加の半面、糖尿病から人工透析が必要な慢性腎不全になる人数は減少に転じており、こちらも薬剤などの進歩を裏付ける結果となりました。
2024年6月4日(火)
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