この夏の日本の平均気温は平年と比べて1・76度高く、気象庁が1898年(明治31年)に統計を取り始めてから昨年と並んで最も高くなったことがわかりました。
気象庁によりますと、今年7月は最高気温40度以上を1日に6つの地点で観測するなど危険な暑さが続いたほか、8月も西日本を中心に高気圧に覆われて日差しが強く照りつけ、連日猛烈な暑さとなりました。
このため、今年の夏の日本の平均気温は平年と比べて1・76度高くなり、2023年と並んで気象庁が1898年に統計を取り始めてから最も暑い夏となりました。
地域別でみると西日本が平年より1・4度、沖縄・奄美が平年より0・9度高く、それぞれ地域別の統計を取り始めた1946年(昭和21年)以降で最も高くなったほか、東日本は平年より1・7度高く1位タイとなりました。北日本は平年より2・3度高く、過去2番目となりました。
地点別では、横浜市で平年を2・3度、千葉市で2・2度それぞれ上回るなど、全国80地点で観測史上1位(タイを含む)を記録。水戸市で2・4度、埼玉県熊谷市で2・2度上回るなど、61地点で観測史上2位(同)となりました。
東京都心の今夏の平均気温は26・9度と平年を2・1度上回り、観測史上3位。1位の2010年夏に0・2度の差まで迫りました。
日々の最高気温でも極端な暑さが目立ち、7月29日に栃木県佐野市で日本歴代3位の41・0度、群馬県館林市で40・2度を観測するなど、7~8月に全国9地点で40度以上を記録しました。
中小都市や離島など全国15地点(関東では千葉県銚子市)の観測データを用い、都市化の影響が大きい大都市圏の暑さを除外して長期傾向(温暖化など)をみるための「日本の平均気温偏差」も今夏、基準値を1・76度上回り、昨年夏と並び過去最高でした。
特に7月以降に全国で記録的な高温となったことを受けて、気象の専門家らによる気象庁の「異常気象分析検討会」は2日、会合を開いて分析しました。
高温の背景として7月と8月ともに偏西風が北へ蛇行し、背の高い暖かな高気圧に覆われやすく日差しが強まった上、特に7月は太平洋高気圧が西日本に向かって強く張り出したことが影響したと指摘しています。
また、地球温暖化や春に終息した「エルニーニョ現象」、日本近海の高い海面水温も影響しているとみられるということです。
「異常気象分析検討会」の会長で東京大学先端科学技術研究センターの中村尚教授は、「去年は圧倒的に気温が高く『異常気象といって差し支えない』と発言したが、今年もそれに匹敵する、もしくはそれを上回るような地域もあった。今年の暑さも異常気象といって差し支えない」と述べました。
その上で「長期的な地球温暖化が気温を底上げしていることは否めない。特にここ2、3年は海面水温が高い。以前と比べて気温が上がりやすい状況は続くのではないか」と指摘しています。
2024年9月3日(火)