医療法人輝鳳(きほう)会(東京都豊島区)が運営する医療機関で自由診療の再生医療を受けた2人が敗血症となった事案で、厚生労働省は24日、再生医療安全性確保法に基づき、輝鳳会と都内の医療機関代表2人に対し、再発防止策の策定などを求める改善命令を出しました。調査では複数の法令違反や、不適切な衛生管理体制が確認されたといいます。
発表などによると、輝鳳会の医療機関「THE K CLINIC」(同中央区)で今年9月30日、がんの予防をうたった再生医療で細胞の投与を受けた2人が帰宅中に緊急搬送され、集中治療室(ICU)に入院。敗血症と診断され、その後回復しました。
この医療機関では、希望者の血液から培養した免疫細胞を自分の体に戻す再生医療を提供しており、2人は同法人「池袋クリニック」(同豊島区)で別々に血液を採取されていました。血液は同法人の培養センター(同所)で、細胞の培養と処理が行われたといいます。
厚労省は10月25日付で、培養センターでの細胞の加工などを一時停止する緊急命令を発出し、同29日から同センターなどに立ち入り調査しました。その結果、2人の細胞加工物の残液から細菌が確認され、同省はいずれかの工程で混入した可能性が高いと結論付けました。
培養センターでは、点検整備の記録の作成が行われないなど複数の法令違反があり、無菌試験の一部を目視で行うなど不適切な体制もあったといいます。このため同省は改善命令で、衛生管理体制の再検討や、改善計画の提出などを求めました。
藤田医科大の八代嘉美教授(幹細胞生物学)は、 「がんの『予防』をうたう再生医療は一般的に科学的根拠に乏しい。再生医療の提供には高度な衛生管理が求められ、混入防止の教育体制や緊急時の安全確保策など、国や学会が連携して対策を考える必要がある」と話しています。
2024年12月24日(火)