同省によると、感染者は都内に住む30歳代の男性。発熱、頭痛、発疹、倦怠(けんたい)感の症状があり、都内の病院に入院しているものの、状態は安定していると伝えられています。国籍は明らかにしていません。
男性は6月下旬にヨーロッパに渡航し、7月中旬に帰国。同15日から倦怠感があり、25日に都内の医療機関を受診。東京都健康安全研究センターの検査で感染が判明しました。ヨーロッパ滞在中、後にサル痘と診断された人と接触歴があったといいます。保健所が男性の帰国後の行動歴などを聞き取り、濃厚接触者の有無を調査しています。
世界保健機関(WHO)などによると、サル痘の人から人への感染は、患者の発疹や体液などに接触することで起きます。潜伏期間は7~14日程度とされ、発熱や頭痛、リンパ節のはれなどの症状が1~5日続いた後、発疹が出ます。治癒するまでは、発症から2~4週間かかります。
多くは自然に回復しますが、子供などは重症化する可能性があるとされています。国内で備蓄のある天然痘のワクチンが、サル痘の発症や重症化予防に有効とされます。治療は対症療法が基本ですが、ヨーロッパで承認された治療薬もあります。
医療体制が不十分なアフリカでの致死率は3~6%程度という報告もあり、アフリカ以外での死者は報告されていません。
サル痘は、これまで主にアフリカの一部で感染が広まっていたものの、今年に入り、イギリスやスペインなど75カ国・地域で1万6000人以上に急増しています。WHOは23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。
サル痘の感染者が国内で初めて確認されたことについて、サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授は、「感染者が確認された国が世界で75カ国まで広がっていた中で、日本から海外へ出張や旅行ができる状況だったので、国内でもいつ感染者が確認されてもおかしくなかった。入国の際に症状が出ていなければ、検疫では見付けられなかった可能性が非常に高い。今回のケースについて、まだ詳しいことはわからないが、例えば、海外から帰国後、数日以内に発症したというのであれば、広がらずに収束させることができると思う」としています。
その上で「国や行政機関の対応としては、患者の隔離や濃厚接触者の調査、また、濃厚接触者がいる場合は21日間は発症しないかを調べることなどを徹底すれば、感染拡大は最小限に抑えられる。新型コロナウイルスのように飛まつによって簡単に感染するウイルスではないので心配しすぎる必要はないが、患者さんが直接、触れた場所に触れると間接的に感染リスクがあるので、アルコールの消毒などの対策が有効だ」と話しています。
2022年7月25日(月)
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