今年上半期に性感染症の「梅毒」と診断された患者が5000人を超えたことが、国立感染症研究所が12日に公表した調査結果で明らかになりました。年間1万人を超える勢いで、現在の調査方法となった1999年以降で最多を記録した昨年(7983人)の1・6倍のペースで増加しています。
感染症研究所が週ごとに公表する感染症発生動向調査(速報値)によると、今年初めから7月3日までに報告された梅毒患者は5615人に上ります。昨年同期は3429人でした。
梅毒は梅毒トレポネーマを原因とする細菌感染症で、主に性的な接触により感染し、感染後3~6週間の潜伏期を経て、陰部等の感染部位にしこりができたり、足の付け根部分(鼠径部)のリンパ節がはれたりすることがあります。治療せずに放置すると、無症状のまま進行し、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすこともあります。
また、妊婦が感染すると、菌は胎児に感染し、流産・死産・先天梅毒を起こす可能性があります。
戦後間もない時期には20万人以上の患者がいたとされます。抗菌薬の普及で大幅に減少したものの、2010年代以降、再び増加に転じました。昨年1年間の集計では、3分の2が男性で、年齢層は幅広くなっていました。一方、女性は6割が20歳代でした。
近年の増加傾向について、性感染症治療に40年以上携わってきた尾上泰彦・プライベートケアクリニック東京院長は「はっきりとした理由はわからないが、SNSを通じて出会った不特定多数の人と性交渉した人や、性風俗サービスの利用者・従事者が目立つ」と話しています。
日本性感染症学会などは、予防のためにコンドームを着用、心配な場合は保健所で検査する、疑われる症状がある場合は医療機関を受診するなどを勧めています。
2022年7月13日(水)
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