2022/07/28

🇦🇷悪性線維性組織球腫

軟部組織と骨から発生する悪性腫瘍

悪性線維性組織球腫(しゅ)とは、軟部組織と骨から発生する悪性腫瘍(しゅよう)。最初は軟部組織に発生する腫瘍(しゅよう)として、この疾患名がつけられたのですが、その後、骨にも発生することが明らかとなり、骨の疾患としても悪性線維性組織球腫という腫瘍名がつけられています。

骨のがんである原発性悪性骨肉腫の中では、骨肉腫や軟骨肉腫、ユーイング肉腫の頻度が高く、悪性線維性組織球腫はそれらに比べると頻度が低くまれな疾患です。20歳代後半から発症頻度が増えてくることが知られていますが、比較的に高い年齢層によくみられる疾患で、50歳代に最も多く、以下40歳代、60歳代の順になっています。

発症の原因は明らかではありませんが、一部の発病者では遺伝子異常の関与も指摘されています。例えば、RB1遺伝子と呼ばれる遺伝子に生まれ付きの異常を有する人は、網膜芽細胞腫、平滑筋肉腫などと同様に、悪性線維性組織球腫を発症するリスクが高まることが知られています。

そのほかにも、治療で用いられた放射線の影響によって、悪性線維性組織球腫が発生することもあります。

軟部組織で発生しやすい部位は、手足、特に大腿(だいたい)部で、腹部臓器の周りである後腹膜や骨盤の周りなど体幹部にも発生します。多くは筋肉の中、あるいは筋肉と筋肉の間の筋間など体の深い部位に発生し、皮膚と筋肉の間の皮下組織といわれる体の表面に近い部位にも発生します。肺など体のほかの部位に転移することもあり、咳(せき)や呼吸困難などの呼吸器症状が出現する可能性もあります。

骨で発生しやすい部位は、大腿骨、上腕骨、脛(けい)骨などの長管骨と、骨盤。初期には、骨や関節がはれたり、その部位に痛みを感じたりすることがありますが、はれは数週間から数カ月の間に一気に大きくなるケースが多くみられます。また、骨が非常にもろくなって、本来では骨折を来さないほどの力が加わるだけで骨折を起こすこともあります。

この疾患が疑われる時には、がんセンターや大学病院など専門の施設での治療が必要です。

悪性線維性組織球腫の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、骨や関節にはれや痛みが出現した際には、X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査、骨シンチグラム検査(アイソトープ検査)などの画像検査を行い、腫瘍の有無を確認します。悪性腫瘍が疑われる際には、組織の一部を採取して顕微鏡でその性状を調べる病理検査(生検9を行います。

同じような症状を引き起こす悪性腫瘍として骨肉腫や軟骨肉腫などさまざまなものがあるため、病理検査による鑑別診断は必須です。

悪性線維性組織球腫は、肺を中心に全身に転移する可能性があるため、全身への病気の広がりを評価するためにPETーCT検査などを行います。疾患の広がり具合に応じて、治療方針を決定します。

整形外科の医師による治療では、手術による腫瘍の切除が中心になります。良好な治療成績を得るためには、病変部位を完全に切除することが重要となります。非常に急速に増殖するため、大規模な手術となることも少なくありません。また、手足に再発した場合には、罹患した腕や脚を切断することも考慮されます。

なお、進行の程度によっては、化学療法や放射線療法といった治療が行われることもあります。疾患が見付かった時には、悪性の細胞が体中に広がっている可能性を考えて、全身に抗がん剤を投与する機会が増えています。しかし、発病者が高齢であるなど、抗がん剤の副作用が強く出てしまうことが予想される場合は、切除手術のみで様子をみることになります。

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