塩野義製薬(大阪市中央区)は4日、開発中の新型コロナウイルスの飲み薬(経口抗ウイルス薬)について、中国でも新薬承認申請する方針を明らかにしました。審査の円滑化に向けて、申請前に臨床試験(治験)データなど資料の提出を始めました。すでに製造販売の承認を申請した日本や、供給に向けて政府と協議するアメリカなどに続き、中国でも実用化に向けて動き出します。
中国平安保険グループ(中国・広東省)との合弁会社である平安塩野義有限公司(中国・上海市)を通じ、中国当局である中国国家薬品監督管理局薬品審評中心に資料の提出を始めました。非臨床試験や治験のデータは、日本の厚生労働省に提出しているものと同様です。正式な新薬承認申請の時期や実用化の時期については、未定としています。2023年3月期の業績に与える影響は「今後、状況に応じて精査する」といいます。
新型コロナの飲み薬について、国内では2月に厚労省に製造販売の承認を申請し、6月に専門部会で審議されました。創設された「緊急承認」制度を適用する初めての審議でしたが、「さらに慎重に議論を重ねる必要がある」と、審議は継続されました。承認されれば100万人分を提供することで日本政府と基本合意しています。
海外ではアメリカなどでも実用化を目指し、治験などを実施する予定。生産面では原材料の調達について現在の中国に加え、アメリカやインドでも年内に調達を始める方針で、グローバルで実用化を目指した体制づくりが進んでいます。
塩野義製薬の飲み薬は、新型コロナウイルスが増殖する際に利用する3CLプロテアーゼという酵素を選択的に阻害することで、新型コロナウイルスの増殖を抑制することができる1日1回、5日間投与の経口抗ウイルス薬で、これまでにウイルスを速やかに減少させる効果、副作用が比較的軽く十分に許容できる良好な忍容性が確認されており、また現在流行しているオミクロン型感染に特徴的な呼吸器4症状および発熱の症状改善効果が示唆されています。
塩野義製薬の広報担当者は、「日本での提供開始を最優先としつつ、海外向けについても準備を進めていきたい」とコメントしています。
2022年7月4日(月)
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