幼児に多いウイルス性のいぼで、他人にも移りやすい疾患
百いぼとは、6歳以下の子供の皮膚に多くできる小さな、丸い突起物。でき初めは水っぽく見えるので、水いぼ、あるいは伝染性軟属腫(しゅ)とも呼ばれています。
ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスの感染が原因で起こり、自分の皮膚に移って広がるだけでなく、プールなどで肌と肌が触れ合うことにより他人にも移りやすい疾患です。
背中や首、ひざの裏など皮膚の薄いところにできやすく、直径1~3ミリほどで、肌色や白色、赤みがかったものがあります。半球状に盛り上がり、表面は滑らかで光沢があり、成長したものでは中央にへそのようなくぼみができるのが特徴です。
自覚症状は少ないものの、時に多少のかゆみを伴うこともあります。気になって絶えずいじることも多く、このため自分の体に次々と移して数を増やすことになります。
放っておいて自然治癒することもあります。しかし、半年から2年、長いと4年ほどかかりますし、その間にいぼの数が増えてしまう恐れもあります。早めに皮膚科、ないし小児科の専門医を受診することが勧められます。
百いぼの検査と診断と治療
皮膚科、小児科の医師による治療では、先が輪っかになった特殊なピンセットで、いぼをつまみ取るのが、最も早く効果的な方法です。軟属腫小体という、いぼの中にあるウイルスの白い塊を取り除くのです。ただ、痛みがあるので、泣いたり暴れたりする子供もいます。痛みを和らげるために、事前に局所麻酔剤付きのテープを張った後に行うこともあります。
一部の医師では、痛くない治療として、いぼを液体窒素で凍らせウイルスを死滅させる方法や、硝酸銀溶液を塗って焼き取る方法などをしています。しかし、治療期間が長くなったり、効果が出にくかったり、硝酸銀の場合、患部回りの皮膚にまで薬剤がついてしまい、軽いやけどの跡が残ってしまうこともあるなど一長一短です。治療内容を問い合わせてから、受診するとよいでしょう。
百いぼの周囲が湿疹(しっしん)化した場合には、保湿外用剤や非ステロイド系抗炎症剤を使用します。かゆみがあると、引っかくことで皮膚が傷付き、いぼの数が増え、さらにかゆみも増すという悪循環を生じてしまうので、かゆみ止めの飲み薬を処方することもあります。
外科的な治療法以外では、漢方薬の服薬を勧めることもあります。よく使われるのは保険適用の「ヨクイニン」という生薬で、飲んでいるといぼの増加が抑えられたり、いぼの消失が早まるといった効果がみられます。しかし、1回に飲む量が多く、治るまで時間がかかるため、少し負担感があるかもしれません。
「ヨクイニン」は薬局などに売っている「はと麦茶」に含まれており、それをお茶にして飲むと効果があるようです。
家庭での注意としては、軽いかゆみを感じることがあっても、いじって、いぼをつぶさないこと。ウイルスが散って症状が広がったり、他人に移すことになります。 水を介して移ることはなく、裸同士の接触で感染すると考えられています。治るまで入浴は兄弟姉妹と別々にし、タオルも使い分けます。保育園などのプールは、治療がすむまで控えることが望まれます。
また、乾燥肌の子供やアトピ―性皮膚炎の子供は百いぼの感染を生じやすいので、肌が乾燥しないように保湿のスキンケアが重要です。乾燥した肌は傷などないように見えても、皮膚のバリヤー機能が低下しています。スキンケアをおろそかにすると、感染が拡大して極端にいぼがたくさんできたり、難治化してしまうことがあります。乾燥肌の部分には、ふだんから保湿効果のあるクリームや乳液で手入れをしましょう。
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