精神的な状態や体質によると考えられ、一部の脊椎に過敏性の痛みが起こるもの
脊椎(せきつい)過敏症とは、一部の脊椎に過敏性の痛みが起こる疾患。特に12個ある胸椎のうち、中間部の第3胸椎から第10胸椎にかけて数個の棘突起(きょくとっき)を押すと鋭く痛むのが特徴です。
しかも、第1胸椎と第2胸椎に限局した深い所に痛みのある脊椎カリエスと違って、浅い所に痛みが生じます。
20〜30歳代の筋肉の発育の悪い女性にみられることが多く、精神的に不安定な人や神経質で敏感な人に多く、また冷え性の人など、自律神経失調症の傾向がある人によくみられます。
背中の痛みや圧迫感、肩凝りが主症状で、脊椎の炎症や外傷もなく、運動障害もみられません。脊椎のX線写真にもこれといった異常がないのが一般的で、棘突起が一直線に並んでいないで、多少左右にばらついているところから、胸椎の発育の過程で何らかの原因で左右の不均衡が起こり、棘突起についている筋肉にも不均衡な緊張が働くために起こると考えられています。
しかし、痛みを訴えない正常な人でも、このような変化は認められるものであり、放置しておいても2年以内に痛みはよくなるのが普通です。
このように因果関係についてはまだよくわかっていませんが、痛みさえ治まれば何の心配もいらないもので、疾患というよりは精神的な状態や体質によるものと考えられています。
整形外科の医師による治療では、痛みそのものに対して、鎮痛消炎剤の投与や局所麻酔剤の注射、あるいはホットパック、超短波などの温熱療法を行います。また、筋肉の発育が悪い人に起こりやすいので、疲労や前屈姿勢を長く続けることを避けることを勧めます。
脊椎過敏症の生活上の注意点としては、環境を変えるなどして不安のもとやストレスを除くことが大切です。未婚の女性は、結婚すればよくなることが多いもの。また、日常生活に軽いスポーツを取り入れ、体を鍛えるように心掛けることも必要です。
さらに、ビタミンB1、B2、ビタミンC、カルシウムなど脳神経の働きに必要な栄養素が豊富に含まれている食品を摂取することによって、精神の安定に役立ち、脊椎過敏症の原因である自律神経失調症の回復を促します。
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