厚生労働省は30日、国内で2021年に結核との診断を受けた患者は人口10万人当たり9・2人だったと発表しました。1950年代に調査が始まってから初めて10人を切り、世界保健機関(WHO)の分類で初めて「低蔓延(まんえん)国」となりました。
明治から戦前にかけて結核は「不治の病」と恐れられ、1970年代の後半まで日本人の死因のワースト10に入っていました。特効薬の登場や栄養状態の改善、感染対策によって、アメリカやイギリスの水準に近付きました。
厚労省によると、国内で2021年に結核と診断された患者は過去最少の1万1519人(前年比1220人減)、死亡したのは1844人(前年比65人減)でした。新型コロナウイルスの流行による受診控えや保健所の繁忙による接触者健診の制限などにより、減っている可能性も指摘されています。
人口10万人当たりの新規患者数(罹患(りかん)率)は2000年に31・0人でしたが、2015年は14・4人と年々低下しました。日本は2020年に低蔓延国入りを目指していたものの、同年の罹患率は10・1人とわずかに上回って、「中蔓延国」のままでした。
結核の典型的な症状は、たんのからむせきや微熱、だるさが2週間以上続くことです。ただ、高齢者ではせきがでないことが多く、発見の遅れにつながっています。放置すると、たんに血が混じるようになり、半数の人が亡くなります。
2022年8月31日(水)
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