男性の精巣上体に液体がたまり、袋状になった嚢腫ができる疾患
精液瘤(りゅう)とは、精巣上体の主に頭部に、液体がたまって袋状になった嚢腫(のうしゅ)ができる疾患。精液嚢腫とも呼ばれます。
精巣上体、すなわち副睾丸(こうがん)は、男性の陰嚢(いんのう)内に左右各1個あって卵形をしている精巣、すなわち睾丸(こうがん)の頭部、および後部に付着しています。小さいコイル管のような形をしていて、精液を収集したり運搬したりする働きがあります。
この精巣上体の細い管腔(かんくう)壁の一部が虚弱になり、伸びて嚢状に膨らみ、精子の混入したミルク状、あるいは透明な液体が充満すると、嚢腫ができます。通常、大きさは直径2センチから3センチほどですが、それよりも大きな場合もあります。
主に性機能が活発な青年期に生じやすいとされ、20歳~50歳代にできます。一般的には症状もなければ、痛みを感じることがなく、非がん性。通常の状態では、精液瘤によって生殖能力が阻害されることもありませんし、大きくなって陰嚢がはれ、違和感や不快感を生じない限りは治療をする必要もありません。
精液瘤の検査と診断と治療
万が一、精液瘤が大きくなって支障が生じるようであれば、医師の判断によって手術で取り除くこともできますので、泌尿器科の専門医を受診します。
医師の診断では、陰嚢にしこりを触れれば精液瘤を疑いますが、小さいものは慢性の副睾丸炎と紛らわしいため、超音波検査で判別します。大きいものは陰嚢がはれて、陰嚢水腫(陰嚢水瘤)との区別が難しいため、針を刺して精液瘤の内容物を採取し、顕微鏡下で検査して精子が発見されれば判別できます。
精液瘤が小さい場合は、様子をみます。治療せずに放っておいても、心配はありません。大きい場合は、手術して摘出します。
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