ダウン症の人に生じる認知機能の障害を、ホルモンの一種を投与することで改善できたとする研究結果を、フランスのリール大学などの研究チームがまとめました。研究チームは「将来の治療法として期待が持てる」と説明しており、論文が2日付のアメリカの科学誌「サイエンス」に掲載されました。
ダウン症は染色体の異常で起きる先天性の病気。知的発達の遅れなどが特徴で、空間認識や記憶力をつかさどる認知機能に障害が出ることもあります。数百人に1人の割合で生まれるとされています。
研究チームは、ダウン症を再現したマウスを使った実験の結果から、生殖にかかわる「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)」と呼ばれるホルモンが認知機能に関係しており、人の治療に使えると考えました。GnRHは、子宮筋腫の治療薬などでも使われています。
ダウン症の男性7人を対象にした試験では、7人にこのホルモンを6カ月間、定期的に投与。その結果、認知機能のテストで、6人に機能の改善がみられました。
ダウン症に詳しい北畠康司・大阪大学准教授は「ダウン症による知的障害についての治療法はこれまでなく、興味深い成果だ。より参加者を増やした試験での有効性の確認が待たれる」と話しています。
2022年9月3日(土)
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