長崎大学病院は25日、7月に子宮体がんの手術を受けた女性患者が2週間後に、自宅で大量出血して死亡したと発表しました。同病院によると、女性は初期段階のがんで、手術をすればほぼ助かるケース。中尾一彦院長は医療事故であることを認め「遺族に心苦しく申し訳なく思っている」と謝罪しました。同病院は外部委員を含めた院内調査委員会の設置を決めました。
関係者によると、女性は県内の54歳(当時)。7月19日に同病院に入院し、21日に手術支援型ロボット「ダビンチ」を使用した摘出手術を受けました。8月1日に車いすで退院。同4日、自宅で下半身から大量出血して意識を失い、救急搬送先の病院で死亡が確認されました。
同5日に長崎大学病院で病理解剖した結果、子宮に近い左外腸骨動脈に約2ミリの穴が確認されました。同病院は10月24日の院内会議で医療法に定める医療事故に当たると判断、遺族への説明後、第三者機関「医療事故調査・支援センター」へ報告することを決めました。
三浦清徳産科婦人科診療科長によると、執刀医2人は複数回のロボット手術の経験があるといいます。三浦科長は「手術中に傷を付けたという認識はなかったが、手術14日後に起こったことであり、死亡の切っ掛けになったのではないかと疑われる」と説明しました。同病院は原因が判明するまで、ロボット支援下での子宮体がん手術を停止します。
女性の夫は、「妻がなぜ死ななければならなかったのかを知りたい」として、今後の詳しい原因究明を求めています。
亡くなった女性患者の遺族に対し、長崎大学医学部は「医学発展のため尊いご遺体を提供いただいた方々のご供養を行うため」として、27日に同大坂本キャンパスで開催する解剖体(献体)慰霊祭の案内状を9月下旬に送付していました。女性の夫らは、「医療事故の遺族に対して配慮がない」と反発しました。
遺族によると、女性の死因を知りたいと病理解剖を希望し、遺体を長崎大学病院に移送して解剖をしました。案内状を受け取った女性の夫は、病院側との交渉の席で「医学の発展のために妻の遺体を提供した覚えはない」と怒りを見せました。病院側は「病院ではなく医学部が対応したこと。申し訳ない」と述べたといいます。
また、病院側は25日の会見で、遺族に対し解剖費を請求し受け取っていたことを明らかにしました。中尾一彦院長は「他の病院から受け入れた遺体だったため、事務手続き上の問題で請求してしまった。配慮不足だったと猛省している。解剖費はこちらが負担する」と述べました。
2022年10月27日(木)
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