政府は、医療機関の窓口でマイナンバーカードを健康保険証代わりに使う「マイナ保険証」をオンライン診療にも導入する方針を固めました。2024年秋に現行の保険証が廃止され、マイナンバーカードに機能が一本化されることから、対面診療だけでなく、オンライン診療での使用も可能とすることで、マイナンバーカードの取得を促す狙いがあります。
2024年4月の運用開始を目指し、近く閣議決定する2022年度第2次補正予算案にシステム改修などの必要経費を計上する予定。
新たなシステムでは、まず、患者が自分のスマホにオンライン診療の予約ができる専用アプリをインストールします。その後、スマホにカードをかざして読み取れば、政府が新たに構築する全国統一のウェブサービスに接続され、情報閲覧に同意するか尋ねる画面が表示されます。患者が同意すれば、医療機関の端末に情報が取り込まれる仕組みです。
政府は今後、オンライン診療のアプリ開発業者にカードの読み取り機能を追加するよう要請する考えで、自宅のパソコンにカードリーダーを取り付けて読み取る方法も可能とします。全国統一のウェブサービスは、厚生労働省所管の「社会保険診療報酬支払基金」が運営します。
政府は昨年10月、医療機関の窓口に設置したカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り、患者の保険資格などが確認できるシステムの本格運用を始めました。医療機関には、保険証に記載の番号や氏名、生年月日などを手入力する手間が省け、業務の負担軽減につながる利点があります。
現在、オンライン診療ではマイナンバーカードが使えず、患者がスマホなどの画面越しに保険証を提示したり、事前に医療機関に保険証の画像をメール送信したりする必要があります。政府は、新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえ、オンライン診療の活用を呼び掛けているものの、保険証しか使えない仕組みは、患者と医療機関の双方にとって負担となってきました。
一方、政府は2022年度中にほぼすべての国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目標としているものの、10月18日時点でマイナンバーカードを取得しているのは全国民の50・1%。医療機関でのカードリーダー導入率も伸び悩んでおり、従来の保険証の廃止に向けて大きな課題となりそうです。
2022年11月6日(日)
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