日本人の2人に1人がかかるとされているがんの対策について、厚生労働省の有識者協議会は、自治体が行うがん検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げることを盛り込んだ、「第4期がん対策推進基本計画案」を取りまとめました。
国のがん対策の柱となる基本計画は、患者や医師らで作る厚労省の有識者協議会で定期的に見直されており、7日、今後6年間の方針を定める新しい基本計画の案がおおむね了承されました。
計画案では現在の基本計画に盛り込まれている「予防」「医療の充実」「がんとの共生」の3つの柱を維持し、課題や取り組むべき施策などを定めるとしています。
具体的には「がん検診」について、新型コロナの影響で受診者が1割から2割ほど減少しているという研究報告を踏まえ、感染症のまん延時などに備えた準備や対応を検討することを初めて盛り込んだほか、自治体が行うがん検診の受診率の目標を、これまでの50%から60%に引き上げるとしています。
また、「医療」では、患者の痛みや精神的な苦しみを和らげる「緩和ケア」について、診断された時からすべての医療従事者が適切に支援できるよう、がん相談支援センターとの連携など体制の整備を進めるとしています。
がん対策の基盤の整備では、遺伝子情報をもとにした「全ゲノム解析」など、新技術を活用し、効果が高い治療薬の研究などを進めるとしています。
厚労省は、この基本計画案についてパブリックコメントを実施して、広く意見を聞いた上で、来年3月までに閣議決定することを目指すことにしています。
厚労省の研究班によりますと、新型コロナの感染拡大が始まった2020年度のがん検診の受診者数は、それ以前の3年間の平均と比べて胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮けいがんの5つのがんで約1割から3割減少し、このうち減少幅が最も大きかった胃がんでは35%減少したということです。
がん検診の受診率は、いずれのがんでも増加傾向にあるものの、2019年時点で、男性の肺がん検診を除いて「第3期がん対策推進基本計画」の目標だった50%を達成できていません。
2022年12月8日(木)
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