日本とアメリカの製薬会社が共同で開発したアルツハイマー病の新薬についてアメリカ食品医薬品局(FDA)は6日、患者の脳内にたまっている異常なたんぱく質を減らす効果を示したとして、治療薬として承認したと発表しました。
FDAがアルツハイマー病の新しい治療薬として承認したのは、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの製薬会社「バイオジェン」が共同で開発を進めてきた新薬「レカネマブ」です。
アルツハイマー病になった患者の脳では「アミロイドβ」という異常なたんぱく質がたまっていて、これによって神経細胞が壊れると考えられています。
FDAは、研究チームが行った約850人を対象にした中間段階の臨床試験(治験)で、この薬を投与された患者の脳からアミロイドβを減らす効果が示されたと評価しています。
承認された治療薬はアミロイドβがたまる前の段階で人工的に作った抗体を結合させて取り除こうというもので、神経細胞が壊れるのを防ぎ、病気の進行そのものを抑える効果が期待されています。
ただ、壊れてしまった神経細胞を再生させることはできないため、発症する前の「軽度認知障害」の段階や、発症後、早期に投与することが重要だとされています。
アミロイドβに作用するアルツハイマー病の治療薬がアメリカで承認されるのは今回が2例目で、FDAは「アルツハイマー病との闘いにおける重要な進歩だ」としています。
今回の承認は深刻な病気の患者に対し、より早く治療を提供する「迅速承認」という仕組みで行われ、開発したエーザイは、最終段階の臨床試験(治験)のデータをもとに、速やかに完全な承認を申請することにしています。
2023年1月9日(月)
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