2023/01/09

🟪アルツハイマー病新薬、日本でも年内承認目指す エーザイの「レカネマブ」

 日本の製薬大手エーザイは7日、アメリカの製薬企業バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」がアメリカ食品医薬品局(FDA)に迅速承認されたと発表しました。対象は早期の患者で、病気の原因とみられる物質を脳内から取り除き、認知症が進行するスピードを緩やかにします。日本でも早急に申請し、年内承認を目指すとしています。

 アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という異常なたんぱく質が脳内に蓄積することで神経細胞が傷付き、認知機能が低下すると考えられています。既存の認知症薬は脳内の信号の伝達を活発にすることで症状の一時的な改善を図るものの、徐々に進む脳の損傷は止められません。レカネマブは脳内のアミロイドβを除去することで、長期的に脳の損傷の進行を抑えることを図ります。

 アメリカの迅速承認は、深刻な病気の薬を早く実用化するために、効果が予測できれば使用を認める制度。エーザイは2021年秋から2022年春にかけ、中間段階の臨床試験データでFDAに迅速承認を申請していました。

 その上で2022年秋、早期アルツハイマー病患者約1800人が参加した最終段階の臨床試験で、レカネマブを1年半にわたり、2週に1回点滴した集団は、偽薬を点滴した集団に比べ、症状の悪化を27%抑制したとする論文を発表しました。

 迅速承認は暫定的なもので、正式な承認を得るには、有効性を検証する追加の臨床試験が必要になります。

 迅速承認を受け、エーザイの内藤晴夫・最高経営責任者(CEO)は7日、東京都内で記者会見を開き、最終段階の試験結果をFDAに提出し、正式承認の申請を行ったと説明しました。アメリカでのレカネマブの販売は、23日の週までに始めます。

 アメリカでの販売価格については、患者1人当たり年2万6500ドル(約350万円)に設定するとしました。

 日本で承認された場合は、公的保険診療の中での使用が想定されます。薬価は国が決め、アメリカよりも低く設定されることが一般的ですが、それでも百万円単位になると見なされます。患者の自己負担は、国の高額療養費制度があるため、70歳以上の一般所得層(年収156万~約370万円)の場合は年14万4000円が上限となり、医療財政の圧迫を懸念する声もあります。

 2023年1月9日(月)

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