消費者庁は9日、食品表示法に基づく食品表示基準を改正し、食物アレルギー表示制度の義務表示品目に「くるみ」を追加しました。今後2年間を経過措置期間とし、2025年4月1日以降は商品パッケージへの表示が義務付けられます。
食物アレルギー表示制度は、原材料に使用した場合に必ず商品パッケージに記載しなければならない義務表示品目と、必須ではない表示推奨品目に分かれます。
今回の改正で、「くるみ」は従来の表示推奨品目から義務表示品目へ格上げされました。この結果、義務表示品目は8、表示推奨品目は20となりました。
事業者は商品パッケージを変更しなければならないため、2025年3月31日までの2年間を経過措置期間とします。その間は、従来の表示ルールによる商品も流通することになります。
改正に伴って消費者庁は9日、原材料・製造方法の再確認や、原材料の仕入れ先への再確認などを食品関連事業者に周知するよう、都道府県などに要請しました。
また、消費者庁によると、食品に「くるみ」が含まれているかを確認するための検査方法を確立。民間による検査キットの開発も完了しているといいます。
国内では2014年ごろから、ナッツ類の摂取で食物アレルギーを発症する事例が増加。そのうち、「くるみ」による症例数の増加が顕著となっています。
食物アレルギーの実態把握を目的とした2021年度全国調査によると、「くるみ」は即時型症例数もショック症例数も、「鶏卵」「牛乳」「小麦」の次に多くなりました。
消費者庁の新井ゆたか長官は定例記者会見で、「食品アレルギーの表示は消費者の生命、身体の危害にかかわるものであり、食品関連事業者には原材料や製造方法を改めて確認してほしい」と呼び掛けました。
今回の改正ではほかに、表示が義務付けられている「特定遺伝子組み換え農作物」に、「EPA及びDHA産生のなたね」を追加します。厚生労働省の安全審査を経て、今後、国内流通することが見込まれるためです。
2023年3月9日(木)
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