特定の遺伝子に変異のある人がピロリ菌に感染すると、胃がんの発症リスクが約22倍になるとの分析結果を、理化学研究所や愛知県がんセンターの研究チームが30日、アメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表しました。ピロリ菌を除菌すれば、胃がんの発症リスクを大幅に下げられる可能性があるとしています。
ピロリ菌は胃がんのリスクを高める要因の一つとして知られ、感染がかかわっている胃がん患者は特に東アジアで多くなっています。一方、生まれ付きの遺伝子の変異が発症とどう関係しているかは、十分にわかっていませんでした。
理化学研究所の碓井喜明特別研究員らの研究チームは、血液や組織などを集めて保管するバイオバンクを活用。日本人の胃がん患者約1万2000人と、がんではない約4万4000人のDNAを調べました。その結果、9個の遺伝子と胃がんの関連が明らかになりました。
このうち、傷付いた遺伝子を修復する働きを持つ「BRCA1」や「BRCA2」など4個の遺伝子のいずれかに変異がある人がピロリ菌に感染していると、変異もピロリ菌感染もない人と比べて約22倍、胃がんになりやすいという結果になりました。
2023年3月31日(金)
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