旅館やホテルが発熱などの症状がある客に感染対策を求められるようにする改正旅館業法が7日の参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。エボラ出血熱を始め、感染症法上の位置付けが1類や2類などの感染症が国内で発生している間、宿泊施設での感染拡大を防ぐため、検温やマスクの着用、部屋での待機といった対応を要請します。客に医療機関の受診や診察結果の報告を求めることも可能になります。年内に施行します。
従来、客の感染防止策は任意でした。新型コロナウイルス禍では発熱のある宿泊客が旅館の求める対策に応じず、従業員や他の客の安全確保に支障を来すケースがありました。
対策に法的な根拠を定めることで、従業員の負担の軽減や客の感染不安の払拭につなげます。症状のある客が医療機関を受診し、感染が発覚した場合には宿泊を拒めるようにもします。
当初の改正案では、症状のある客が正当な理由なく検温や感染対策に応じない場合に宿泊拒否できるとしていました。ハンセン病の元患者団体が「差別を助長する」と反対、障害者団体も「一方的な判断で宿泊拒否されるのではないか」と懸念の声を上げたため、衆院の厚生労働委員会で宿泊拒否に関する項目は削除されました。厚労省が宿泊拒否や感染対策の目安を示す指針を作成することも盛り込まれました。
感染症の流行にかかわらず、「迷惑客」の宿泊を拒めるようにもします。従業員の業務を妨害する行為を繰り返した場合を想定し、具体的な要件は今後詰めます。
2023年6月7日(水)
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