2023/06/13

🟧川崎市、ぜんそく患者への医療費助成廃止へ 関係者が市に抗議、存続求める

 川崎市は、高度経済成長期の深刻な大気汚染を切っ掛けに、市内のぜんそく患者に独自に行ってきた医療費の助成制度を廃止する条例案を12日、市議会に提出しました。「ほかのアレルギー疾患との公平性を担保するため」としており、可決されれば、来年3月末で新規の受け付けが打ち切られることになります。

 川崎市は、高度経済成長期の昭和30年代から40年代にかけての深刻な大気汚染を切っ掛けに、国の公害認定の新規受け付けが終了した昭和63年以降も、市内のぜんそく患者を対象に年齢に応じて医療費の一部か全額を独自に助成する制度を続けてきました。

 対象者は今年3月現在、子供を含めて1万2438人で、2023年度当初予算額は約3億6800万円となっています。

 しかし、市がアレルギー疾患への対策を検討してきた結果、ぜんそく患者だけではなくさまざまなアレルギー疾患の患者を対象に医療体制の整備や予防に向けた啓発を総合的に進めていく方針が今月決まりました。

 その上で市は、12日に開かれた市議会で「ほかのアレルギー疾患の患者との公平性を担保するため」として、ぜんそく患者への独自の助成制度を廃止する条例案を提案しました。

 今月29日の市議会の採決で可決されれば、来年3月末で新規の受け付けが打ち切られることになります。2024年4月以降の2年間は経過措置で、現行受給者に助成を続けます。

 助成の廃止案について、市が今年2月から3月にかけて行ったパブリックコメントでは700通を超える市民の意見が寄せられ、ほとんどが廃止への反対や懸念の声だったということです。

 川崎市は「大変重く受け止めるが、市民からは公平性を欠くという声もあり、法律や国の指針に照らしても特定の疾患への助成を続けることは困難だ。今後は医療提供や相談の体制整備や人材育成などを進めていく」としています。

 川崎市のぜんそく患者らでつくる「川崎公害病患者と家族の会」の大場泉太郎事務局長は、「助成制度がなくなれば患者が病院を受診する回数が減る恐れがある。患者の中には通院のために生活費を削らなくてはならないという声もあり、不安が強くなっている。多くの市民が廃止に反対の意思を示しているのになぜ強行するのか」と話しています。

 2023年6月13日(火)

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