気象庁の検討会が「異常気象」と指摘したこの夏、日本の平均気温は平年と比べて1・76度高く、気象庁が統計を取り始めてからの125年間で最も高くなったことが、わかりました。日本近海の海面水温も過去最高となり、地上も海も最も暑い夏だったことが、データから裏付けられました。
気象庁は1日、今年6月から8月のこの夏の天候のまとめを発表しました。
それによりますと、今年の夏の平均気温は平年と比べ1・76度高くなりました。
夏の平均気温としては1898年の統計開始以降、これまで最も高かった2010年の1・08度を大きく上回り、この125年間で最高となりました。
特に北日本では高温の傾向が顕著で、平年を3度上回りました。
各地で相次いだ猛暑は夜間にも影響し、8月10日には新潟県の糸魚川市で最低気温が31・4度と歴代の全国1位を更新するなど、全国248地点で最低気温が最も高くなりました。
この暑さは陸にとどまらず海域にも影響し、日本近海の平均海面水温は平年より1度高く、統計を取り始めた1982年以降、昨年の0・8度を上回り、過去最も高くなりました。
特に、北海道の日本海沿岸や北海道から青森県にかけての太平洋の海域「北海道南東方」で3・1度、北海道と青森県の西方の海域「日本海北部」で2・56度、東北から山陰にかけての「日本海南部」で2・1度、東北から関東にかけての海域「本州東方」で1・73度高くなり、いずれも夏の平均海面水温として観測史上最も高くなりました。
この記録的な暑さについて気象庁の専門家による検討会は8月28日、日本付近は高気圧に覆われやすく、暖かく湿った空気が流れ込み続けたためだとして、「異常気象だといえる」と指摘しています。
一方、夏の期間を通した降水量は北日本の太平洋側では少なくなりました。
この夏の天候を月ごとにみていくと、6月は高気圧に覆われやすく、北日本と東日本を中心に気温が上がり、7月は東北地方から九州地方が梅雨明けした下旬以降、全国的に晴れる日が多く、猛暑日が相次ぎました。
8月に入ると気温はさらに上がり、5日に福島県伊達市で、10日には石川県小松市で、いずれも40度ちょうどに達するなど記録的な暑さとなりました。
東京都の都心でも今年の猛暑日は8月31日までに22日観測され、1875年に統計を取り始めてから過去最多となったほか、最高気温が30度以上の日が8月31日までの57日間にわたり続きました。
一方、8月は北日本や東日本の日本海側では高気圧に覆われてまとまった雨が降らず、記録的な少雨となりました。1カ月の雨量が、新潟市ではわずか2ミリ、北海道南部の江差町では11・5ミリ、山形県酒田市では13ミリと、8月として過去最も少なくなりました。新潟県内では一部のダムで貯水率が0%になったほか、稲が枯れるといった農作物への影響も出ました。
気象庁によりますと、日本付近は9月いっぱいは暖かい空気に覆われると予想され、東日本から西日本では猛暑日となる日も多いと見込まれています。
気象庁は特に北日本と東日本では今後1週間程度は雨が少なく、2週間程度は気温が高い状態が続くとして、「少雨と長期間の高温に関する気象情報」を発表し、引き続き、熱中症に警戒するとともに、農作物や水の管理にも十分注意するよう呼び掛けています。
2023年9月2日(土)
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