アメリカの医薬品大手のイーライ・リリーはこのほど、同社の潰瘍性大腸炎の治療薬「ミリキズマブ」について、消化器系の難病クローン病への効果を後期臨床試験(治験)で確認したと発表しました。この結果を受けて、2024年にアメリカなどで販売承認を申請する計画です。
治験では中度から重度のクローン病の患者にミリキズマブを投与し、偽薬(プラセボ)を投与したグループと比較。52週目の時点でクローン病の症状がない「寛解」状態だった患者はミリキズマブ投与のグループでは54%でした。偽薬投与グループの約2割を大きく上回っており、クローン病の症状改善に効果が期待できると結論付けました。
ミリキズマブは潰瘍性大腸炎の治療薬として、日本で2023年3月に承認を取得し、日本イーライ・リリーが製品供給を担当し、持田製薬が「オンボー」の商品名で販売しています。
クローン病は腸など消化器に慢性の炎症を引き起こす難病。遺伝や免疫の働き、食生活などが発症に影響すると考えられているものの、はっきりとした原因はわかっていません。
アメリカではクローン病と潰瘍性大腸炎を合わせた患者数は2015年の時点で約300万人でした。日本のクローン病患者は7万人程度とされ、アメリカに比べて発症率は低いものの、患者数は増加傾向にあります。
2023年10月14日(土)
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