厚生労働省は13日、2023年版の「過労死等防止対策白書」を公表しました。睡眠時間が理想より不足すればするほど、うつ病などになるリスクが高まるという調査結果を示し、「心身の健康を保つためには、睡眠時間の確保が重要」と指摘しました。
白書では、労働者や自営業者ら9852人を対象に、昨年12月に行ったアンケート調査の結果を分析しました。理想とする睡眠時間は、「7~8時間未満」が最多の約45%でしたが、実際に確保できているのは、「5~6時間未満」が最も多く約36%でした。
睡眠時間と精神状態の関係を比較したところ、うつ病や不安障害の疑いがある人の割合は、理想の睡眠時間を確保している場合や、理想より1時間不足している場合では20%未満でした。これに対し、理想から2時間不足すると約28%、3時間不足すると約38%に上り、理想と実際の睡眠時間の差が広がると、精神状態が悪化する傾向がみられました。差が広がるにつれて、幸福感も低下する傾向がみられました。
また、前日の疲労を翌朝に持ち越すことがある人の割合は、労働時間が「週20~40時間未満」で約53%だったのに対し、「週60時間以上」では約69%に達しました。
「週60時間以上」だった人は2022年に8・9%で、前年から0・1ポイント増え、9年ぶりに増加に転じました。「週60時間以上」働いている人の4割以上が理想の睡眠時間から2時間以上不足していました。
白書は、「労働時間が長い人は疲労を翌日に持ち越しやすく、うつ傾向も高い。心身の健康を保つため、睡眠時間を確保することが重要になる」としています。
白書ではこのほか、芸術・芸能分野で働く人たちの労働実態も初めて調査。640人の回答を分析したところ、「声優・アナウンサー」(35人)の約26%、「俳優・スタントマン」(108人)の約20%がセクハラ被害を受けた経験があると答えました。
2023年10月14日(土)
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