新型コロナウイルスの感染後、症状が長引く人では、ストレス反応にかかわるホルモンが減少するなど、血液中の物質に特定の変化がみられるとする研究成果を、アメリカの研究チームが発表しました。研究チームは新型コロナの「後遺症」の正確な診断や治療法の開発に応用できるとしています。
この研究は、アメリカのコネチカット州ニューヘイブンに本部を置くイエール大学の岩崎明子教授らの研究チームが、科学雑誌「ネイチャー」で発表しました。
研究チームは、新型コロナに感染した後、けん怠感や息苦しさなど、何らかの症状が長引く「後遺症」が1年以上ある人と、感染後、後遺症がない人、感染しなかった人など、合わせて268人の血液成分を分析しました。
その結果、後遺症がある人たちでは、血液中にあるB細胞やT細胞と呼ばれる特定の免疫細胞が増加していたほか、体内で潜伏していたヘルペスウイルスが活性化するなどの変化が確認されたということです。
さらに、後遺症がある人では、体の状態を一定に保ちストレス反応にかかわる「コルチゾール」というホルモンの量が、後遺症がない人や感染しなかった人と比べ、半減していました。
研究チームは、こうした変化を指標にすることで、新型コロナの後遺症の正確な診断や、治療法の開発につながるとしています。
岩崎教授は「後遺症の中でも、けん怠感は、コルチゾールの低下が要因だと考えられ、ほかの症状も、免疫とホルモンの量が不安定になることで起きている可能性がある。後遺症があることを周りに理解されず悩み続ける人も多いので、原因の解明を目指し、さらに研究を進めたい」と話しています。
2023年10月15日(日)
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